価値観

愚痴った時点で、自分の中で納得させていた
価値が崩壊してしまう。そして自分も。
よって愚痴れない。
弱いんです、人間は。
そんなひとがいっぱいいると思われる。




ドナーは

まず、ドナーの身体にメスをいれると、ドナーの血圧が上昇する。
その後、ドナーはゆっくりと手を振り回しはじめ、自分に繋がれた管を掴もうとしたりする。
最後に、ドナーは臓器摘出時には涙を流す。
このような事を、みんなは知っているのだろうか。
マスコミは伝えているのだろうか。



ホテルで

昨日、出張で某所の東横インに泊まったんだけど 今朝、チェックアウトしようと思ったらフロントの女性が
「おくつろぎいただけましたか?」
なんて普段言わないことを聞いてきた。
表情から察するに、ああ、彼女なりの気遣いなんだなと思って
「ええ。あなたたちも大変でしょうけど、ずっと使わせて頂くので頑張って下さい」
って言ってあげた。
彼女は一瞬間をおき
「ぁ……ありがとうございます!」
と言いながら急に泣き始めた。
俺は呆気にとられどうしていいか分からずにいたら、隣の客が拍手をしながら言う。
「頑張ってね!あなた達は何も悪くないんだから!」
他に8人くらいいた客もつられて拍手を始める。
「頑張れ!」「いいホテルだよ!!」
フロントには3人の女性がいたけど全員号泣。客も何人か泣いていた。涙と拍手。
テレビドラマみたいな光景だった。
気づいたら俺も泣いていた。信じられないと思うけど本当に作り話。




佐藤君


学生の頃、休み時間は机に伏せて寝たふり
行事の時はトイレで小をするふり、人が来たら
切り上げて他のトイレですごす。先に出ればそのまま居座り
ずっとトイレで過ごす。教師との二者面談で友達は居るかと
聞かれて何も答えられず、バスの座り場所に困り、親に心配
かけまいと家では明るく振舞い、最悪な高1。でもその年の
正月、一通の年賀状が来たんだ。それは隣の席の佐藤君だった。
今年もヨロシク、と。涙がでるほど嬉しかった。なのに勇気が
なくて返事が書けなかったんだ。冬休みが明けてもその事には
触れないでいてくれる佐藤君。僕に来た最期の年賀状の返事を
今、勇気をだして書こうと思う



親父のテープ


俺、小さい頃に母親を亡くしてるんだ。


それで中学生の頃、恥ずかしいくらいにグレた。
親父の留守中、家に金が無いかタンスの中を探しているとビデオテープがあったんだ。
俺、親父のエロビデオとかかな?なんて思って見てみた。
そしたら・・・
病室のベットの上にお母さんがうつってた。
『〇〇ちゃん二十歳のお誕生日おめでと。なにも買ってあげれなくてゴメンね。
お母さんがいなくても、〇〇ちゃんは強い子になってるでしょうね。
今頃、大学生になってるのかな?もしかして結婚してたりしてね・・・』
10分くらいのビデオテープだった。


俺、泣いた、本気で泣いた。
次ぎの瞬間、親父の髭剃りでパンチパーマ全部剃った。
みんなにバカにされるくらい勉強した。
俺が一浪だけどマーチに合格した時、
親父、まるで俺が東大にでも受かったかのように泣きながら親戚に電話してた。


そんで、二十歳の誕生日に、案の定、親父が俺にテープを渡してきた。
また、よく見てみたら。
ビデオを撮ってる親父の泣き声が聞こえてた。
お母さんは、笑いながら『情けないわねぇ』なんて言ってるんだ。
俺また泣いちゃったよ。
父親も辛かったんだろうな、
親父にそのこと言ったら、知らねーよなんて言ってたけど、
就職決まった時、
親父が『これでお母さんに怒られなくて済むよ』なんていってた。



俺このビデオテープがあったからまっとうに生きられてる。




おんなのこ


女の子はかわいければいい
それだけでいい

数学ができなくてもいい
難しい漢字なんて読めなくてもいい
暗記も苦手でもいい
かわいいんだから

マラソンで歩いてもいい
100メートル走でころんでもいい
すりむいて泣いてもいい
かわいいんだから

受験に失敗してもいい
あたま悪くてもいい
車の免許とれなくてもいい
かわいいんだから


かわいい女の子をお嫁さんにしたら
毎日そのかわいい笑顔に包まれて生活できるんだ
料理は少しだけ得意だったらうれしい
けど別にヘタでもかまわない、俺が料理くらいする

そして子供ができたらその子はきっとかわいいに違いない
そしたらその子供はそれだけで良い人生を送れるんだ
顔こそブスであるが、それ以外は完璧な子よりも何倍もいい人生を

女の子はかわいければそれだけでいいんだ


クリスマス


何年か前のクリスマスイブ。
仕事で飛行機に乗った。
アップグレードしてくれるとの話だったけど、
乗客がひとりもいなくて、そのクラスのキャビンは閉鎖。
二階席に、自分ひとり。
十数時間を経て、降りる時に余り物のシャンパンを貰った。

タクシーに乗って、運転手のおっさんに、
「クリスマスはどうするんだ」と聞かれ、
「仕事」と答える。
「そうか、大変だな。オレも仕事だ。でも、早めに切り上げて家族と過ごすよ。
 こんなご時世だから、たいしたことしてやれないけどな」

降りる時に、チップとともに、もらったシャンパンをおじさんに渡した。
「ありがとうな、お前にもメリークリスマス」

いいクリスマスだった。


むかしは


中学の頃は明るかった
今の自分をその頃の仲間達に見せたくない
幸せな思い出をそのままにしておきたい
だから会いたい気持ちを抑えている
最終更新:2007年06月23日 07:34