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高層天気図

  • 2000m以上の山の気象を判断するのに、地上天気図では十分に予測できないことがある
  • 山が波打つ雲海の上に島のように見え、上空は快晴なのに地上は雨ということがある
  • 登山には標高3000m付近の状態がわかる700hPaの高層天気図をよく使う
  • 山の気象は700hPaの気象そのものである
  • 高層天気図では気圧が700hPaである地点の標高を結んだ等高線が記されている
  • 地形図のように考えると、谷や峰などがわかりやすいだろう
  • 等温線によってどこに寒気や暖気があるかがわかる
  • 高層天気図は上空の風のうねり具合によって表される

高層天気図の見方

  • 等高線は60mごとに、等温線は3度ごとにかく
  • Cは気温の低い寒冷域、Wは気温の高い温暖域
  • 風速はノット単位で表す
  • 1ノットは1時間に1カイリ進む速さ
  • 1カイリは1852m
  • 1ノットは風速0.5(m/s)
  • 例えば西の風20ノットとは、西の風、風速10mのこと
  • 表記は付録参照
  • 等高線と平行に風が吹く(地衡風)
  • 等高線と等高線の幅の狭いところほど風が強い
  • 緯度1度の間隔は111.1km
地上の天気とのずれ
  • 地上天気図の低気圧や前線は、上層に行くとその位置が北西の方にずれる
  • 山では温暖前線は地上の前線より早く現れる
  • 寒冷前線は地上の前線より遅れてやってくる
  • 地上天気図で山の気象を考えるときはこのずれを頭に入れておく必要がある
トラフ
  • 上層の気圧の谷(トラフ)が地上の低気圧に対応する
  • トラフは低気圧の西の方約500kmの所にある
  • トラフが深い(等高線の値が小さい)ほど低気圧が強い
  • もっと強くなるとトラフの中に閉じた等高線を作る
  • トラフは細長い四角のような、ダブルラインで表す
  • トラフは低気圧と関係しているため、登山にとってトラフの位置は重要
リッジ
  • 地上天気図の高気圧に対応するのは上層の気圧の峰(リッジ、尾根)である
  • ジグザグの線がリッジを表す
  • 低気圧と同様にリッジが強いほど高気圧が強く、閉じた等高線を作ることもある
空気の上昇・下降
  • 等温線を横切って寒気の方から暖気の方に吹くところでは空気は下降運動をする
  • 下降すると温度が上がり、雲が次第に消えるため天気がよくなる
  • 同様に暖気の方から寒気の方に吹くところでは上昇流が起こり天気が悪くなる
トラフ付近の天候
  • トラフの右側(前面)では南寄りの風が吹き、気温は高く天気が悪い
  • トラフの左側(後面)では北寄りの強い風が吹き、気温は急降下して天気はよくなる
  • トラフは等高線の形状から、V型とU型に分けられる
  • V型のトラフは、そこで風向きが南西から北西に急変し、強い風が吹く
  • 発達したトラフはこのV型で、地上には強い低気圧がある
  • 天気は大きく崩れるが、回復も早い場合が多い
  • U型のトラフは風向きが緩やかに変わり、トラフのところでいったん西風が見られる
  • 天気の回復が遅れ、悪天が続く

高層天気図の書き方

  • シーズンにはラジオたんばの朝5時50分の気象通報で、山岳気象を放送する
  • 山岳気象通報では前日21時の700hPa天気図の内容が放送される
  • 高層天気図用紙は大きな書店で売っている
  • 内容は天気図用紙に直に記入する
  • 放送される地点の場所と経緯度で指示される場所を天気図上で指摘できるよう練習する
  • はじめの内はテープレコーダーに録音しておき、後で再生しながら記入する
放送内容
  • 各地の高層気象・・・風向(十六方位)、風速(ノット)、高度(m)、気温(℃)
  • 概況
  • 高気圧・低気圧の位置、示度
  • トラフの位置
  • リッジの位置
  • 主な等高線の位置
  • 寒気や暖気の位置
  • 主な等温線の位置
  • 台風・低気圧など主要な気象現象についての情報
記入の仕方
  • 西南西などの十六方位は馴染みが少ないので、慣れておく必要がある
  • 東西南北は経緯度線に平行な方角なので、隅の方では北が上ではない
  • 短い羽は5ノット、長い矢羽根が10ノット、黒い旗が50ノットの風速を表す
  • 風速は実用上は2ノット=1m/sと計算すればよい
  • 高度は右上に、気温は左上に記入する
  • 高気圧・低気圧などは、経緯度でその位置を放送する
  • 天気図上のその場所に×印をつけてその横にHやLと書き、中心の高度を書き込む
  • 進行方向が放送された場合は進行方向を矢印で記入する
  • トラフやリッジ、主な等高線や等温線はその始点、中間点、終点を放送する
  • トラフとリッジは図上に×印をつけて、ダブルラインやギザギザ線を大まかにかいておく
  • 天気図の日付、時刻も忘れずに記入する
等高線・等温線の引き方
  • 等高線は3000mを中心に実線で60mごとにかき、放送された主な等高線の指定された位置を順番に薄く結ぶ
  • これをガイドラインとして、各地の高度の値を利用して順に等高線をかく
  • ガイドラインに沿ってひくと、割合にスムーズに引ける
  • 気象庁では3000mは300というふうに、10m単位で表示している
  • 等高線は破線で0℃を中心に3℃ごとにかく
  • 太破線は使わない
  • 等温線も等高線と同様にして引く
  • 最後に等温線や等温線の値を記入し、300と270は太線とする
  • トラフはダブルライン、リッジはジグザグ線をつけて、明示すると見やすい
  • 等高線は60mごと、等温線は3℃ごとに引く
  • 等高線や等温線は内挿しながら引く
  • 等高線は風向きに平行である
  • 風下に向って左側の高度が低く、右側が高い
  • 等高線の間隔は風速が大きいほど狭く、風速が小さいほど広い
  • 同じ値の等高線や等温線が1本で孤立することはない
  • 等高線や等温線がクロスしたり、枝分かれすることはない
  • 同じ等高線や等温線が長い距離を並行に走ることはない
  • 等高線や等温線は甚だしく凹凸しない
  • 等高線の間隔は普通急に広くなったり、狭くなったりしない
  • 等高線はトラフと交わるところでは、高度の低い方を内側にして折れ曲がる
  • リッジのところでは高度の高い方を内側にして折れ曲がる
  • 台風の等高線は円で中心ほど混んでいる

700hPa天気図の法則

  • 地上天気図での低気圧が700hPa天気図のトラフと対応していれば、この低気圧は強い
  • 同様にリッジに対応した地上天気図での高気圧は強いものである
  • 700hPaの風向きが地上の寒冷前線と垂直の時は、前線はあまり活動的でない
  • その時天気が悪いのは前線近くだけである
  • 700hPaの風が寒冷前線と平行なときは、前線は強いものである
  • その時は通常、寒冷前線の通過後、南西風が北西風に変わるまで悪天が続く
  • 700hPaのリッジ線の端まで温暖前線の前方の雲域が広がっている
  • リッジが鋭いほどこの法則が当てはまる
  • 低気圧の発生期に700hPa天気図にも低気圧的な流れがあると、この低気圧は発達する
  • 700hPa面の風が東寄りであると天気はよくなる
  • トラフの前面の暖気流、後面の寒気流が強いとき、このトラフに対応する低気圧は発達する
  • リッジの前面は下降気流があり天気がよくなる
  • 地上の低気圧は700hPa天気図の風に沿って、7割くらいの速さで移動する
トラフについての法則
  • トラフの前面にある地上天気図の低気圧は発達するが、後面にある低気圧は衰弱する
  • トラフの軸が垂直の時、低気圧は発達の最盛期である
  • トラフが深まる傾向があれば低気圧は発達する
  • 地上の前線の上をトラフが通れば、前線上に低気圧が発生する可能性がある
  • 地上天気図の高気圧の上にトラフがあれば、この高気圧は弱い
  • トラフの前面には上昇気流がああって天気が悪い
  • トラフの後面には下降気流があり天気がよくなる
ブロッキング現象
  • トラフが南方に深く南下し、そこにちぎれた低気圧ができたりする
  • 逆にリッジが北方に深く北上し、そこにちぎれた高気圧ができる
  • この状態をブロッキング現象といい、少なくとも36時間はその状態が継続する
  • トラフは停滞して悪天が継続し、リッジならば好天が継続する

夏の700hPa天気図

上空の東風
  • 日本付近は高圧帯となり、弱い西風から時には東風となる
  • 高気圧が日本から中国大陸にまで広がっているのが特徴
  • 天候は非常に安定し、登山には最適
  • 上層の雲が東から西に移動する
  • このときはリッジが日本上空を東西にのびている、いわゆる鯨の尾型の時
雷雨
  • 夏の中緯度高気圧も7〜10日くらいの周期で弱まったりする
  • その時日本海北部を通る低気圧から伸びた寒冷前線が日本を通過すると、広い範囲で大規模な熱界雷が発生する
  • 低気圧に伴うトラフ後面の寒気が大雷雨の引き金になっている
  • 雷発生の目安は上層に寒気が入ること
  • このことを応用すると富士山と御前崎との朝方の気温差から発雷の確率がわかる
  • 上層の風が強いと積乱雲は発達しきれないことがある
  • 富士山の気温が前日、前々日と比べて7〜8℃以上低くなった場合は要注意
  • 寒気の動きに注意すると、発蕾するかがわかりやすい
  • 「雷3日」ということわざがあるように、雷は3日くらい続く傾向にある
  • 登山においては、数日前の情報にも気を配る必要がある
  • トラフ通過後の寒気によって、熱界雷が起こることがある
  • 梅雨時はトラフの動向に注意し、盛夏には寒気の流入による発雷に注意する
台風
  • 台風は上層の中緯度高気圧の周辺の気流に沿って進む傾向がある
  • つまり高層天気図上での太平洋高気圧の外縁に近い等高線に沿って進む
  • 台風の進路は700hPa図では判断しにくく、進路の予想は気象庁の発表を聞くべき
最終更新:2010年03月29日 10:01