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  • 84

新中学生にゃべっち (^ ^)v

 新中学生となった、にゃべっち。

 詰襟の学生服はさすがにまだ似合わないものの、相変わらず女の子のような美少年ぶりに磨きがかかり、注目度満点の初登校となった。

 同じ『B中学校』に通う姉ミーちゃんは3年生になっていたが、入学当初から陸上部のエースとして大活躍し、手先も器用で成績もまずまず優秀だった兄マッハを何かと引き合いに出され、数人の教師から

 「兄貴のマッハ君と比べ、妹のオマエはあまりパッとしないな」

 などと言われ続けたらしい。

 「ホント、イヤになるわ。
 ま、その点、オメーは出来が良いから平気だろうけどな。
 こっちはまた、これでオメーと比較されちゃ、なお最悪じゃねーかよ・・・」

 などと散々にグチを聞かされていたものだったが、幸か不幸かこの時には既にかなりの教員の移動があり、マッハを知る教師は数えるほどになっていた。

 さて、中学最初のクラス分け。

 全500人中のおよそ半分は『B小』でお馴染みの顔ぶれのはずだったが、なぜかにゃべっちの6組は知らない顔ばかりで、小学生時代に気の合った友人が一人も見当たらず、困惑した。

 元々半数は「H小」と「Y小」の知らない連中とあって、まるでヨソの学区にでも紛れ込んだような錯覚に襲われる。

 それにしても当然の事ながら、みんな小学校を卒業したのはつい半月前というのに、こうしてお揃いの学生服とセーラー服に身を固めた姿となるや、一気に大人びて見えてしまうのは不思議なものだ (^。^)

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  • 83

一族シリーズpart4 【ショーイチ祖父物語】 神童にゃべっちのルーツ?(後編)

 さて、名古屋の中心部・中区朝日町(今の栄・錦辺り)に会社を移すや高級住宅地・白壁に邸宅を構え結婚。

 お相手は千種区覚王山の、由緒正しき家柄の娘である。

 子供は3人。

 長男のユータローは、子供のころからオヤジのショーイチ氏とは正反対の根っからの遊び人で、大の勉強嫌いだった。

 授業すら、まともに訊いたためしがなかったため、当然の事ながら成績が悪く

 「なぜに、このようなデキの悪いヤツが生まれてしまったのか?」

 と真面目人間を絵に描いたような、ショーイチ氏を大いに嘆かせる事になる。

 2人目は、待望の女の子。

 これが、後のにゃべっち母である。

 こちらは兄とは違い、成績優秀で小学校では常にトップ3に名を連ね、中学から大学までを名門お嬢様校『金城学院』で通したが

 「ワシの子にしては、まだまだこの程度では物足らん」

 とトップが指定席だったショーイチ氏の目には、まだまだ不満であったらしい。

 3人目は男の子だったが、この人は不幸にも幼くして病死の不運に見舞われる。

 末っ子の少年は父親譲りの秀才で、小学校を主席で通すと名古屋随一の名門『東海中学』(現在の東海高校)へ入学。

 「ユキヒトは、オレに似てデキが良いな!」

 と、ようやくショーイチ氏も満足だった。

 結局はデキの悪かった兄も、最後は弟と同じ電気関係に強い国立の名古屋工業大学へ進み会社の後継ぎとなったのだが、そういった経緯から神童といわれたにゃべっちの小学生時代、母は

 「にゃべっちの天才は、きっとウチの父親や弟に似たのよねー」

 と繰り返し訊かされたものであった ヽ( ´ー`)ノ

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  • 82

ショーイチ祖父物語 ~ 神童にゃべっちのルーツ?(一族シリーズpart3・前編)

 にゃべっちの祖父・ショーイチ氏が、岡山県某の床屋の息子として生まれたのは明治末期(かつての首相・犬養毅とその息子の法相・犬養剛の血を引くとか訊いた事があったが、出所がホラ吹きの伯父だけに真偽は不明)

 心臓に持病のあった父は、仕事を休みがちでそのため家計は楽ではなかったが、ショーイチ少年は殊のほか賢く小学校を飛び抜けた成績の主席で卒業する。

 家計の事情と病弱な父に代わり、8人兄弟の長兄として弟や妹を養っていかなければならないこともあり、旧制中学校(今の高等学校)進学は半ば以上は諦めかけていたショーイチ少年にとって幸運だったのは、大阪・梅田に金満家の親戚が存在した事であった。

 事情を伝え聞いた、大阪のオジサンから

 「そんなに優秀な子なら、勿体無いでんな。
 よっしゃ、ほならワシが引き取って大学まで出したるがな」

 というありがたい申し出があり、向学心旺盛なショーイチ少年は一も二もなく、この好意に甘える事となった。

 当時も今も、大阪一の名門として知られる大阪一中を優秀な成績で卒業したショーイチ少年は、大阪帝国大学(現大阪大学)へ進むと、電気工学を学び卒業後は逓信省に入省。

 役人として実家に仕送りをする傍ら独学で電気工学を学び、電気通信事業関係の資格を取得するや数年のお役所勤めにピリオドを打ち、世話になっていた親戚の家の息子との共同出資で大阪・梅田に電気及び電話工事の会社を設立した。

 この会社こそが、今や名古屋で中企業までにのし上った「××社」の母体であったが、当時はまだ昭和の初期で電話など一般家庭には普及していなかった事を考えると、さすがに先見の明があったと言えるだろう。

 そんな、折からの通信需要の風に乗り会社は順風満帆に成長し、学資等なにかと面倒を見てもらった親戚のオジサンへの辞退を押し切り、熨斗をつけたお礼の清算を済ませると名古屋へと移る(この大阪から名古屋へ会社を移した経緯は、イマイチ不明である)

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  • 81

第二の事件part4 (;・_・)ノ

 そうして、にゃべっち家離れからヨーコ従妹が追い出されたのとあたかも軌を一にするかのように、被害を受けた化粧品会社の方ではいつも毒々しい厚化粧をしていた若い事務員の姿が、何故か見られなくなった・・・

 或る時、その会社の代表者であるオバサン(といっても、件の事務員が一人いただけの個人の小さい会社である)と顔を見合わせた折りにオヤジが

 「最近、オタクの事務員さんを見かけないが・・・?」

 と何気なく問うてみると

 「それがねー、ダンナさん・・・」

 と声を顰め

 「ダンナさんだから、恥を忍んで話すんだけど・・・」

 ここからオバサン社長の、思いもよらぬ告白が始まるのだった。

 「あのコったら、私が営業廻りで外へ出ている時に事務所の電話を無断で使ってるじゃない。
 勿論、私用もいいとこよー、友達なんかに電話を掛け捲っていたのよぉ。
 前からやけに電話代が多いな、とは思ってたんだけど私も忙しいからついついそのままにしてたんだけど、今月なんてン万円もあったんだから驚くじゃないの。
 まったく近頃の若い娘ときたら、困っちゃうわよねー」

 段々と青ざめてきたオヤジの顔色にも気付かぬかのように、更にお喋りオバサンの愚痴は続く。

 「それで頭に来たから、問い詰めてやったのよ。
 そしたら、なんて言ったと思う?

 『確かに時々私用で使ってはいたけど、絶対にそんな金額になるまで掛けた憶えがない』

 ってのさ。

 『なにをバカな! ここの事務所には、私のほかアンタしか居ないでしょーが』

 って言ったら

 『そんなの、知りません。
 じゃあ、社長が掛けたんでしょ』

 って。
 ホント、どこまで厚かましいやら・・・あれだけ非常識なのには、ホトホト困るわー。
 ええ、勿論即刻ヒマを出しましたとも。オホホホホホ!」

 という思わぬ展開が・・・  ̄_ ̄;) うーん

 そのオバサン社長言うところのン万円という請求額の中には、勿論ヨーコ従妹が無断借用した幾らかが含まれていた事は言うまでもないが、こういう展開になればいかに真面目人間とはいえ商売人としての体面が何より大事なオヤジだけに、巧い具合に不良事務員の犯罪に埋没してしまった形のヨーコ従妹の犯行を、勿怪の幸い「去るものに口なし」とばかり、件の消えた事務員に責を負って貰う腹を決め込んでしまった。

 こうして札付きの悪党らしく、どこまでも悪運の強いヨーコ従妹の恥曝しな犯行はにゃべっち家外部には漏れることなく、闇から闇へと葬られる事となったのであった (メ-_-)ノ~┻━┻ポイッ

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  • 80

第二の事件part3 (;・_・)ノ

 「どうやら化粧品会社へ入って、電話しとるらしいな。
 しかも1時間は、優に超えとったし」

 という、マッハからの報告を訊いた真面目人間のオヤジが危機感を募らせた事は、言うまでもない。

 商売人として当然ではあるが、何よりも世間体を異常なまでに気にするのが、オヤジの性質であった。

 「早いとこ止めさせないと、バレたら大恥だわよ、こんな事って・・・
 ああ、情けない」

 と嘆く母に

 「まあ、そうだが・・・面と向かって問い詰めたところで、素直に認めるようなタマではないからな。
 アイツだけは、現行犯でおさえるしかないだろう・・・」

 といった経緯で、再びスパイ役のバイトを依頼されたマッハ。

 なにせ、憎っくきヨーコ従妹の犯行を暴いた上に、バイト料まで懐に出来るのだから、口では

 「まあ、オレもこんな真似はあんまり気が進まんが・・・」

 などと言ってはいたものの、内心は満更でもなかったろう。

 こうして犯行現場をオヤジによって押さえられ、逃げ場を失ったかにみえたヨーコ従妹だったが「逮捕後」の第一声は

 「マッハのバカヤローが! 
 アイツが報告しやがったのか、チクショウ! 
 あのネクラ男が!」

 と反省の色は微塵もないどころか、逆にマッハを罵倒し叫んでいたらしい。

 「バカモン! 
 マッハには、オレが言いつけたのだ。
 誰が好んで、こんな情けない事をしたがるもんか。
 オマエの様子が、日頃から怪しいのはわかってたんだぞ。

 それにしてもなんたる非常識なヤツだ、オマエは! 
 相手の会社に知れたら、下手すりゃ訴訟モンだぞ。
 こんな事は・・・」

 「そんなもん、いちいち大騒ぎせんでも文句言ってきたら、電話代払やーええんでしょーが」

 と当のヨーコ従妹本人は、済ましたものだったとか。

 こうした度重なるご乱行の数々で、さすがに妹(従妹の母)思いのオヤジも

 「キョーコはまだしも、あのヨーコだけは到底オレにも手に追えんわ。
 ありゃあ、まだ親の目の届くとこに置いとか、な何しでかすかわかったもんじゃないぞ」

 と実の妹である、実家へと帰すことになり

 「折角、兄さんとこは大きくて空き部屋もあるから、良いと思ったんだけどねー。
 本当にヨーコだけは、ウチでも持て余して・・・一体、誰に似たものやら・・・」

 と、オカンムリの様子であった(事実、このオヤジの妹も役所に勤める亭主も非常に真面目でおとなしい、ごく常識人だったのだが・・・)

 ところがである。

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  • 79

第二の事件part2 (;・_・)ノ

 「おまえら、ええなー、天国みたいじゃん。
 オレなんかキョーコとヨーコに挟まれて、地獄だったぜ。 
 アイツらがおらんかったら、オレも本当は早稲田くらいは入っとたのに」

 と半ばは冗談めかして、しかし半ばは本気ともそれそうな憎憎しげな口調で語っていた通り、キョーコ従姉のステレオ大音響とヨーコ従妹の度重なる夜遊びに散々悩まされていたのは、事実のようだった。

 しかも、悪い事にはヨーコ従妹の部屋がマッハの隣にあてがわれた事で、3年生の受験の年には当時流行ったアラベスクらのディスコサウンドを連日深夜までガンガンと鳴らされていたから、デリケートなマッハには堪らない。

 遂には

 「うるせーぞ、バカヤロー」

 と怒鳴っても

 「なにー? 
 テメーなんか、どーせロクな大学に受かりゃしねーくせしやがって、一丁前の勉強などヤメトケ。
 偏屈男メが!」

 と例の通りの良い大声で、3倍にも膨れ上がった毒舌が返って来るのみであった。

 こういった事が数限りなくあったから、マッハの方では当然の如くにこの従姉妹(特に、ヨーコ従妹)に対しては日頃から恨み骨髄であった事は、当然の成り行きであったろう。

 さて、そんな或る日の事。

 普段は、滅多に両親になど話し掛ける事などはなかったマッハが、珍しく母に

 「ヨーコが夜中になると、3Fのどっかの事務所へ入り込んでるみたいだ・・・どっか連れの所に、電話でも掛けてるんじゃないかな?」

 という報告があり

 「それは困ったわねぇ・・・じゃあマッハが今度、様子を確かめてみてくれない?」

 と依頼された。

 マッハという男は、中学生くらいの時から家に居る時は食事と風呂以外はいつも部屋に閉じ篭もりきりで、何をやっているのかサッパリ見当のつかない男だったから、人のために動くような事は一切有り得ないタイプだったが、実は親父譲りの非常にガメツイ性格だったから

 「バイト料を出すから、やってよ」

 という依頼でOKしたのだった。

 元々、日頃から「超」の字の付くほどに秘密主義者のマッハだから、こういった忍びなどは得意中の得意でドアそっと開けて階段を何段か昇ったところで、あのヨーコ従妹独特の無神経な良く通る大声を耳にするまでは何の造作もなかったが、その非常識な通話はなんと優に1時間以上にも及んでいたという事だった Ψ(ーωー)Ψ

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  • 78

第二の事件part1 (;・_・)ノ

 にゃべっち家では中学生になるとともに、鉄筋コンクリートの離れの鍵付き個室の部屋を与えられるのが慣わしであった。

 当時、テナント貸ししていた2Fの会社との契約が終了したのを契機に、オヤジがビルのメンテやセキュリティなどを含めた面倒や採算面からテナント業から撤退を決めていたため、取り敢えず3Fを貸していた火災保険会社や化粧品会社など3つの会社とは、そのまま契約切れを待つ形で2Fの4室を家族の部屋に当てる事にした。

 長男のマッハが中学に入学した時は4部屋が空いた時で、偶々従姉のキョーコ姉が高校を卒業した年と重なった(勉強嫌いのキョーコ従姉は、大学へは進学せずコンピューター会社へ就職した)事もあって

 (中学生のマッハを、一人で目の届かない離れに置いておくのも、何かと心配だ・・・)

 という、両親の話を訊いたキョーコ従姉が

 (じゃあ、一部屋を私に貸してよ。
 中学生を一人で住ませるなんて、良くないし、ミーが入るのは5年も先でしょうが)

 と働きかけた。

 もとより両親としては、社会人のキョーコ従姉が同じフロアにいれば、中学生のマッハのお目付け役にはうってつけであろうという計算が働きもしたし、またキョーコ従姉の方でも煩い両親のいる実家から出て格安で部屋を間借りできるという、まさに両者の利害が一致を見てこの年から、マッハとキョーコ従姉が離れに住む事になる。

 3年後には、同じく高校を出て姉のキョーコ従姉と同じ名古屋のコンピューター会社に就職した、妹のヨーコ従姉も

 (オネーばっかりずるい。
 私も、ここに住むよ!)

 と、かねてから宣言していた通りに乗り込んできた事で、2Fには従姉妹とマッハで4室のうちの3室が埋まる事となった。
 その従姉妹が離れに揃ってからは、高校生になったにゃべっち家長男・マッハの悪夢の日々の始まりであったらしい。

#ちなみにヨーコ従姉は、後に記述するある事件により僅か3ヶ月でにゃべっち家を出る事になり、2年後には中学生となったミーちゃんが入居し、再び3部屋が埋まる。

 更に2年後、最後に中学生となったにゃべっちが部屋を構えた4月は、前月に一浪後に東京の大学へ入学を決めたマッハが、その数ヶ月前には20代半ばで嫁いで行ったキョーコ従姉が出ており、残っていたのは中学3年の姉ミーちゃんのみであった。

 こうして、丁度入れ代わりで常時複数の人数が保たれていたのは、まったく奇遇である。

 元々が、余計な事はあまり喋らないマッハだから当時は不満を抑えていたようだったが、大学2年になって2年ぶりで帰省した時には既に結婚していたキョーコ従姉も、またヨーコ従妹もある事情からこの離れからは姿を消し、代わって高校生のミーちゃんと中学生のにゃべっちが、部屋を構えているのを目の当たりにしたのである。

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  • 77

ある女学生の犯罪part4

 ヨーコ従姉にとっては、調子に乗って最後にキョーコ従姉を仲間に引き込んだ事が運の尽きで、百戦錬磨の悪党であるヨーコ従姉とは違いこうした悪事に手馴れてはいなかったキョーコ従姉が、やはりドジを踏んだのは『天網恢恢疎にして漏らさず』というところであったろう。

 しかし、常々オヤジから

 「アイツは心臓に毛が生えているか、余程鈍感なのかのどっちかだぞ・・・」

 と、扱き下ろされていたヨーコ従姉の「真価」が発揮されたのは、実はこの後であった。

 この「事件」があったのは11月頃から12月にかけてであったが、にゃべっち家では例年、正月に一族(といってもこの頃は、にゃべっち家と従姉妹のみだが)が集まるのが慣わしである。

 キョーコ従姉が、早朝から起きだしておせち料理を作る母の手伝いをしている間、大晦日からキョーコ従姉の部屋に転がり込んでいたヨーコ従姉は、天下泰平の高いびきでグウスカと寝ていたが、出来上がったおせちを皆が食べ終わった昼過ぎに大あくびをしながらやって来た。

 母も、その存在をすっかり忘れていて

 「そういやアンタ・・・昨日から、キョーコんとこに居たんだっけ・・・?」

 と言うと

 「あけましておめでとう」

 も何もなく

 「ちょっとちょっと・・・私の喰らいもんはないのー?」

 さらにマッハ、ミーちゃん、にゃべっちらが次々に両親からお年玉を貰う光景を見ていたヨーコ従姉が、持ち前の通りの良い大声で

 「なにー、オバサン?
 私のお年玉は、ないの?」

 これには両親も呆れて、顔を見合わせた事は言うまでもなかった ( ´Д`)はぁ?

 「お年玉って・・・? 
 アンタのお年玉が、あるはずないでしょうが・・・ちょっとぉ、神経はマトモなの?」

 呆れて声も出ない態の親父に成り代わり、さすがに日頃は温厚な母も怒りを隠せず、しかし小さい子供達の手前もあるから遠回しに精一杯の皮肉をかましたが

 「なんだ・・・まあ高校生になったら貰えんのかぁ・・・チェッ、つまらん!」

 と、露ほどの反省の色もなかった Ψ(ーωー)Ψ

《補足》
 なおこの20万円は、コンピューター会社で実力を発揮し結構な高給を取っていたヨーコ従姉妹から、数年後に全額返却された。
 翌年の土用丑の日には、地元の有名ウナギ屋から「特上うな重2人前」も届けられたそうな ヽ( ´ー`)ノ

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  • 76

ある女学生の犯罪part3

 これで居間に居ない従姉妹の犯行は明らかだから、早速オヤジは離れ2Fのキョーコ従姉の部屋を襲った事は、言うまでもない。

 「オイ、ヨーコ! 
 オマエがオレの金庫から、金を盗ってったのはわかっとるぞー。
 白状してみー」

 が、さすがにヨーコ従姉とて高校生とはいえ付近一帯にその名の轟くような悪党だから、このオヤジの剣幕にも顔色を変えたのはほんの一瞬で

 「ワタシが、金庫の金を盗んだだって? 
 ハハハ・・・笑わせちゃいけない。
 フン、バカバカしい・・・ヘンな言いがかりを付けるんじゃないよ」

 と、スケ番の本性を丸出しにしたふてぶてしい態度が、いよいよ顕わとなってきた。

 「何が言いがかりなもんか。
 いいか・・・この前からオマエがウチヘ来た時に、いつも金庫の金が減っているのをオレが気付かんとでも思っておったか? このバカモノめが・・・ 
 さっきもオレが便所へ行く足音を訊きつけて、慌てて逃げたのはオマエだろう。
 金庫の鍵が開いて金が下に落ちとったのは、どういうわけかか説明してみー」

 いよいよ、動かぬ証拠を突きつけられ観念か・・・

 と思いきや、逆に怒りに顔を高潮させたヨーコ従姉は、思わぬ叫びを始めたのだった。

 「オネェのドジヤローが、バカヤロー! 
 ドジ踏みやがって、畜生。
 オマエなんかに、教えるんじゃなかったよー、クソッたれめ。
 ちょっとオジサンさー、私じゃなくてアイツが犯人だからね。
 ワタシャ、金庫の番号を教えてやっただけで、後の事は一切知らんわ」

 さあ、こうなれば今度はキョーコ従姉の怒るまいことか。

 それまではクビをすくめて、オヤジとヨーコ従姉の成り行きを見守るばかりだったが、こと自分に火の粉が降りかかってきたから黙ってはいられない。

 元々、このキョーコ従姉の方はヨーコ従姉ほどに明け透けなアバズレではなかったものの、ことヒステリーの度合いに関しては、さすがのヨーコ従姉も真っ青なほどの恐ろしさなのだった。

 「オマエもいい加減にせんかー、このバカヤローが。
 私がやったのは今日だけで、残りは全部オマエがやったんだろーって、このアバズレが」

 「なにー。
 テメー、ブッ殺すぞ。
 クソゴリラババァめ」

 「テメーこそ死ね、泥棒ザルが」

 といった調子で、いつもの大喧嘩が始まってしまった。

 後に母がヨーコ従姉から訊いたところによると、度々キョーコ従姉の所へ遊びに来ていた折りに偶然目にしたのか、はたまたチャンスを窺っていたのかは定かではないものの、ともかく視力左右とも2.0の「鳥目」が自慢のヨーコ従姉が、オヤジが金庫を開けている隙を盗み見て、数回に渡って掠め取った金額は合計で、およそ20万にものぼっていたらしい (/||| ̄▽)/ゲッ!!!

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  • 75

ある女学生の犯罪part2

 とはいえ、母が掠め取るような事は考えられず、また家族と言っても当時中学生だったマッハは陸上部のエースとして、
毎日厳しい練習に明け暮れていたためにボロ雑巾のようになって帰宅してくるのは夜遅くであり、家では食事を済ませるとさっさと離れの部屋に閉じ篭もっているような日常からも、到底犯人にはなりえない。

 またミーちゃんとにゃべっちに至っては、まだまだどちらも小学校低学年生でその行動範囲は常に母の目の届く範囲を出なかったから、これも犯人適格性はまったくない。

 となると犯人として考えられそうなのは、離れの部屋を借りて住んでいたキョーコ従姉と、そこへしょっちゅう遊びに来ていた高校生のヨーコ従姉のどちらかか、或いは2人の共犯という見方が順当であろう。

 日頃はズボラなオヤジも、いよいよ被害が重なるにつれここへ注目し、一計を案じたのだった。

 折り良く(折悪しく?)ヨーコ従姉が遊びに来ていた日に、ある商品の売り上げ金8万円を意図して金庫の一番上に揃えておくと、案の定いつの間にか7万円に減っていた。

 (ヨーコめ!
 やはり犯人はアイツか・・・!)

 とオヤジは確信を持ったものの、面と向かって問い質したところで素直に認めるようなタマではない事は、これまでの経験からも充分過ぎるほどにわかっていたから、次には現行犯で押さえる策を練る。

 こうなればなにせオヤジは百戦錬磨の商売人であり、また人生経験豊富な40路過ぎの中年男だから、いかに近所にその名の轟く悪党・ヨーコ姉とはいえ、赤子の手を捻るに等しい。

 そうしてチャンスを待つ間、偶々トイレに向かったオヤジが店の方から不審な物音を訊きつけた。

 押っ取り刀で駆けつけると、慌てて逃げ出すような人影。

 犯人の逃げ足が早く正体こそは見逃したが、金庫の下の地面には慌てて逃げたせいか落ちているはずのない紙幣が一枚、落とされていたのだった ジー(;¬_¬)

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  • 74

ある女学生の犯罪part1

 当時まだ高校生だったヨーコ従姉は、家が近い事もあってにゃべっち家の離れに住んでいた、3歳年上の姉であるキョーコ従姉を訪ねては良く遊びに来ていた。

 にゃべっちの母はクリスチャンでもあり、育ちの良さから親切で気前の良い性格で一族皆から愛されていたが、イナカ育ちの偏屈な頑固者であるオヤジは何かと口うるさい事から、この従姉姉妹にも敬遠されていた。

 特に妹のヨーコ従姉の方は、持ち前の遠慮を知らぬ厚かましい性格と無軌道を絵に描いたような名うての不良娘だっただけに、超の字の付くほどに昔気質な真面目人間のオヤジの方でもその顔を見れば説教を垂れ始めずにはいられなかったらしく、ガミガミと小言の百曼陀羅も垂れるのが常だったせいで、要領の良いヨーコ従姉は次第にオヤジの留守を狙ってやって来てはオヤジが帰ってくると、風のように去っていくというパターンが板についてきていた。

 そうした或る日の事である。

 「オイ! 
 オレの金庫の金が1万円減っとるんだが、オマエ知らんか?」

 と唐突にオヤジからヘンな疑いを掛けられた母は、資産家令嬢上がりで気位は高いから怒るまいことか。
 普段の温厚な性格をかなぐり捨て

 「ちょっと・・・冗談は止して欲しいわねぇ。
 なんで私が、アンタのお金に手をつけなきゃならないのさ。
 それほど落ちぶれてはいませんよ、もう・・・第一、アナタの金庫なんてどうやって開けるのよ?」

 と怒りの抗議をしながらも問い質してみると、以下のような話であった。

 店舗には、オヤジの事務机の後ろに高さ1mほどの据付の耐火金庫があり、数字やら鍵やらから幾通りもの複雑な組み合わせから成るセキュリティは万全だったが、これとは別に当座用のお金を保管していた手提げ金庫が壁を模した物入れに仕舞ってあったのだ。

 欲張りな割りにはズボラなところもあったオヤジは、この金庫の鍵を時々締め忘れていたらしい。

 勿論、そんな事情は商売にはタッチしない母の知るところではなく、また自営業者のオヤジにしても1万円程度は大金というわけでもないので、この時はそれほどの騒ぎにもならなかった。

 ところがこれ1回ではなく、金額はしれてはいたもののこの頃ちょこちょこと、金庫の金が減っている事に気付いた (;・_・)ノ

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  • 73

一族シリーズpart2 ヨーコ従姉物語(後編)

 そんな優秀かつ過激な性格のヨーコ従姉だから、当然の事ながら(ヨーコ従姉の目には)デキの悪い「不肖の姉」を何かと小バカにしては、2人で大喧嘩を繰り返してきた。

 が、さしもの神童であるこのヨーコ従姉もにゃべっちと争う大の怠け者であったツケが廻ってきたか、中学に入ると同時に成績は一気に急降下するや、次第にワルの本性が頭を擡げてくる。

 髪を赤く染め始め見る間に『B中』のスケ番となるや、校内ばかりではなくA市全域に轟くほどの「大物ぶり」を発揮し始めたのであった ( ̄m ̄*)ブブッ

 そうして遂には成績も真ん中を通り越して下がって行き、名古屋の私立高校へ通う事になると半年も経たぬうちに早くも夜遊びを覚え、学校帰りまたは学校をサボってディスコへ通っては酒にタバコにと、堕落した学生生活を満喫していたらしい。

 悪い事に持ち前の美貌に加え、170cmはあろうかというモデルばりのスラリとしたプロポーションで、ディスコにやってくる数々の男子学生を手玉に取っていたというから驚く。

 援助交際が珍しくない今でこそ、高校生のディスコ通いや飲酒といっても驚くものはいないだろうが、当時はまだ名古屋もディスコの勃興期であり大人の社交場の時代であったから、こんなところでデカイ顔をしてタバコをふかしているのは男子学生でも、名古屋の相当な札付きの不良くらいなものであった。

 冒頭にも触れたように、このヨーコ従姉とキョーコ従姉の母はにゃべっち父の妹君だったが、この人はとても無口で大人しい人であり、また役所に勤めている亭主も絵に描いたような真面目で実直そうな人柄だっただけに

 「ヨーコは一体、誰に似たんだ? 
 あんなトンデモないヤツが、一族から出るとは嘆かわしい・・・」

 と口うるさいオヤジは、なにかとブツクサ言っていたものだった ( ̄д ̄)ブツブツ

  • 72

一族シリーズpart2 ヨーコ従姉物語(前編)

 キョーコ従姉とヨーコ従姉は、にゃべっち父の妹夫婦の娘で3歳違いの姉妹である。

 姉妹とはいえ性格はまったくの正反対で、極度のヒステリーで一旦火が付くと手が付けられなくなるところは互いに共通する部分だったが、普段の性格は無口でおとなしいキョーコ従姉に対し、ヨーコ従姉の方は明け透け(というか、蓮っ葉)な口調でズバズバと歯に衣着せぬ物言いをする、天下の嫌われ者であった。

 キョーコ従姉の方はかなり人見知りをする性格で、それがために初対面からしばらくはやや陰気な印象を持たれがちだったが、慣れ親しんだ相手には別人のように朗らかな態度に豹変するのが常であった。

 一方、ヨーコ従姉の方は人見知りなどは考えられぬ底抜けの図々しさで、超の付く毒舌で機関銃のように捲くし立てる陽気で愉快な性格ではあったが、あまりに度が過ぎ遠慮が無さ過ぎるために近しい人々からは敬遠される存在だ。

 このように、子供の頃から対照的だった2人の違いは、成績にも表れていた。

 理数系が苦手なキョーコ従姉は、早熟なタイプの多いにゃべっち一族の中では唯一、子供の頃からあまり成績が芳しくなかったらしい(真ん中よりちょいマシという程度)

 加えてやや色黒で「花王石鹸」といわれたルックスもパッとせずにこれといって目立たない存在だったのに対し、色白のふっくらした丸顔で目がパッチリと可愛らしかったヨーコ従姉の方は成績も常に医者の娘とトップを争っていた秀才であり、また「サル」と言われたほどすばしこく、運動神経もピカイチであった。

 加えて手先も器用で芸術系の才能にも恵まれるなど、にゃべっち顔負けの「神童」ぶりで学校でも知らぬ者はないほど有名だったらしい。

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  • 71

一族シリーズpart1 キョーフのネコ捨て名人・キョーコ従姉物語(後編) (;゚ロ゚)ヒイイイィィィィ

 日頃は、滅多に意見などした事のないロバのようにおとなしい亭主からも、汗と涙のボーナスを搾り出して買い落とした血統書付きとあって

 「今度のヤツは、前のようなノラとは違って上等なんだからな。
 間違っても、捨てんといてくれや!」

 と、珍しくクギを刺されたが

 「捨てる訳ないでしょー。
  ちょっとぉ、人訊きの悪いこと言わんといて欲しいわー、ガッハッハッハ!」

 などと、ソラトボケていたらしい。

 そうして、数ヶ月間は家族みなから大事にされてきたアメショーだったが或る日、子供達が学校から帰るとまたしてもその姿が忽然と消えているのであった (  ゜ ▽ ゜ ;)エッ!!

 当然、子供らはキョーコママに

 「ママ? 
 ネコがいないよ・・・?」

 と問うてみるが、キョーコママは

 「いつのまにか、居なくなってたんだよー。
 どこ行ったのか、私も不思議でしょうがないんだから・・・まあネコだから、そのうち帰って来るでしょうよ」

 とハンで押したような返事を繰り返すのみで、さして心配しているような顔色は窺えない。

 勿論、高価な血統書付きとあって、うっかり外に散歩などに出しては人に浚われてしまうのはわかりきっているから、日頃から充分注意を払っていてネコの方も臆病になっていただけに、そこにはあきらかに作為が含まれていなければならない。

 が、重ねて何度も問うては

 「知らないって言ってるだろ・・・煩いな、もう」

 と、例によってヒステリーの発作を誘発するだけだから、家族の誰もが

 (本当はまた、ママが捨てたんでしょ?)

 と疑いながらも直接抗議する勇気のないまま、いつしかウヤムヤとなってしまったのであった。

 家族には、強引に

 「謎の行方不明」

 で押し通した、キョーコママ。

 やがて激怒しながらも、母には直接には言えない思いのたけを話しに来た長女から一部始終を訊き同情した、にゃべっち母から

 「アンタが捨てたんじゃないの? 
 なにせ、ポチの前科があるからね・・・」

 と問い詰められたが

 「本当に、知らんのだって! 
 知らない間に、どっかへ消えてたんだよ。
 人に訊いたんだけど、ネコって案外そんな気まぐれなところがあるみたいだよ・・・」

 とあくまでも言い張っていたが・・・

 なにせ前科数犯の「オオカミオバサン」の言だけに、一族では最早信じるものとていないのであった Ψ(ーωー)Ψ

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  • 70

一族シリーズpart1 キョーフのネコ捨て名人・キョーコ従姉物語(前編) (;゚ロ゚)ヒイイイィィィィ

 前回の「ポチは何処へ・・・?」から、およそ20年後のお話。 

 当時は、まだ独身でハシリのコンピューター会社に務めていたキョーコ従姉も、時流れて今や3児の母として40路を過ぎたベテラン主婦の座に納まっていた。

 或る時、高校生の長女が友達から子猫を貰い受ける話が持ち上がった。

 末娘も、この年から小学校に入学し日中は少しヒマの出来たキョーコ従姉は、退屈しのぎにはうってつけのこのネコを歓迎しせっせと世話を焼いていたらしい。

 「私って、案外動物好きなのよねぇ・・・フフフ」

 などと、にゃべっち母にも自慢していたのも可愛らしい仔猫のうちで、やがて持ち前の飽きっぽさとヒステリーから家族の知らぬ間に、どこかへ捨ててしまったらしい ( ̄m ̄*)ブブッ

 学校から帰ると、忽然と姿を消してしまったネコに3人の子らは当然不審を感じはしたものの、何せキョーコママのヒステリーは到底尋常ならざるものだから、家族とはいえうっかりと非難などできるものではない。

 また気まぐれなキョーコ従姉だから、家計を楽にしようとパートを始めてもそんなワガママかつ短気な性格だからしてどれも長続きせず、日中は独り居の無聊を持て余す事となる。

 ちょうどそういった日常が続いていた頃、亭主の勤める大手の会社が時ならぬ好景気に見舞われ、予想外のボーナスが支給される事になった。

 念願の家族サービスを済ませても、まだ優に10万ほど予算が余る嬉しい誤算が出来し、早くも浪費家のキョーコ従姉が

 「さあて・・・みんな。
 この10万のお金を、何に使おうか?」

 と3人の子供に問い掛けると、2人の娘は

 「ペットが欲しいよ・・・可愛いネコちゃんがいいわ」

 と声を揃え、また小学校高学年の長男坊は

 「オレは、犬の方がいいな」

 と、口々に希望を述べ立てた(結婚前からキョーコ従姉によって、去勢されたようになっていたおとなしい亭主に意見のあろうハズはない事は、言うまでもない)

 犬嫌いのキョーコ従姉は、長男の希望を却下しネコに決めると早速一家でペットショップへと向かい、そこで某サラ金のCMよろしくすっかり一目惚れをしてしまったアメリカンショートヘアを、大枚8万円也で買い落としたのであった [岩蔭|]⊿ ̄)そぉ~

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  • 69

ポチは何処へ・・・? part4 オ―イ・・ (;´д`)ノ

 そのようにして、なんとなく釈然としないままにもウヤムヤとなりかけていた、数ヶ月後の事。

 母とキョーコ姉との間で交わされた会話により、ついにその真相が暴露されたのだった。

 「ところでアンタって酷いんじゃないの? 
 何で、私がポチを捨てたなんてデタラメをにゃべっちやミーに吹き込むわけよ?
 一体、どういうつもりなの?」

 と、何かの拍子に詰め寄られたキョーコ姉。

 最初こそは例によってオトボケを決め込んでいたものの、いよいよ追い詰められてか或いはさすがに良心の呵責を感じてか、散々に追求された挙句に、ようやくの事で真相を明かしたのであった。

 「ハハハ・・・バレタカ・・ そう、私が捨てたんだよ。
 あんまりキャンキャンと煩く咆えるえるからさ、あのバカ犬めが」

 どうやら一家揃っての家族旅行は千載一遇のチャンスとばかり、近所にある映画館の駐車場に縛り付けてきたらしい。

 ところがその日は、夕方になると真夏の夕立が訪れた。

 強度のヒステリーで、カっとなると手が付けられないキョーコ姉ではあるが、元々根っからの悪人という訳ではないから、さすがにその雷雨で心配になり

 「ちょっとポチを探してくるよ・・・」

 と留守番の婆さんに言い残し様子を見に行くと、キョーコ姉の縛り方がヘタクソだったのか、或いはあまりにキャンキャンと鳴き立てるのに迷惑した近所の誰かが鎖を解いてしまったのか、縛っておいたはずの映画館駐車場の元の場所にも周囲からも、ポチの姿は忽然と消え失せていたのだった。

 その映画館は、にゃべっち家からはほんの目と鼻の先といった距離だったから

 「あんな近くなんだから、普通の犬なら勝手に戻ってくるでしょうが。
 やっぱ、あの犬はアホだわ」

 と母にコッテリと油を絞られた腹いせからか、ポチの鈍さ加減ばかりを嘲笑うキョーコ姉だったが、或いはポチの方では天敵・キョーコ姉のいる家には足が向かず、自ら逆方向を選んで去っていったというのが案外真相だったのかも知れない (*´ー`) フッ

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  • 68

ポチは何処へ・・・? part3 オ―イ・・ (;´д`)ノ

 そうして摩訶不思議な気持ちに包まれたまま旅先から家へ帰ると、確かにお婆さんの言の通り小屋は勿論の事、どこからもポチの姿が掻き消えているのであった (´・ω・)y--oO○

 とにもかくにも留守中でもあり、門はずっと閉めたままだからポチが勝手に出て行ったという事は考えられず、また門そのものにしても2mはあるから犬の跳躍力で飛び越えられる高さでは毛頭ない。

 また飼っている間に見る見る成長したポチは、門の下の隙間から這い出られるほどの小さい体でもなく、また猫のような特殊な柔らかい身を持っている訳ではないから、どう考えて見ても人為的な手が加わっているとしか結論付ける事が出来ない状況なのであった。

 となると「容疑者」は、留守中にゃべっち家に居た件の留守番の婆さんと従姉のキョーコ姉、そしてマッハ兄さんの3人だが、まずは電話で犬の失踪を確認した夕方の時点で、まだ陸上部の練習から家に帰っていなかったマッハは真っ先に除外されるとして、さらに絞っていくと何の利害関係もない婆さんがポチを捨てるのは、今後の信用に関わるのに引き換えて何のメリットも考えられず、こうした消去法からもやはり大の犬嫌いのキョーコ姉が犯人であるという、論理的帰結に至るのはごく自然であろう。
 勿論、当の本人はあくまで知らぬ存ぜぬの一点張りで、それどころか落胆するにゃべっちやミーちゃんには

 「アンタたち、知ってる? 
 実はポチがいなくなったのは、おかーさんが捨てたからなんだよー」

 などと、根も葉もないデマを吹き込む悪質さであった。

 無論、にゃべっちとミーちゃんも子供心にも、キョーコ姉の吹き込む話にはどこかしら胡散臭い匂いを嗅いでおり、密かに当のキョーコ姉本人こそが怪しいと睨んでいたものだったが ジロー(;¬_¬)

 というのも普段は気が小さいが、一度ヒスを起こすとトンデモナイ行動を起こすこの姉の性癖は、これまでで充分に知っていたからである。

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最終更新:2007年08月18日 00:23