アスラ王
力による支配を目論んだ混沌の軍団の長は、それよりも強き力に滅ぼされた。
最早彼に価値はなく、この場にて立ち尽くすのみ。
その様な彼を襲う少女が一人、
彼は彼女に問いかけた。
「人間よ、なぜ戦う」
彼女の返答に、彼は二度目の問いを放った。
「力が、欲しいか」
彼女は答えを出した。
ならばくれてやろうと、彼は命を差し出した。
これは、死以外に道はなかった悪魔が人間に未来を託した話。
アリシア
魔王を生み出したのは、かの姫であったのだろうか。
蘇りし亡霊の姫君は、殺戮の舞台にて己の過去を物語る。
彼女は魔王に攫われた、
まるで陳腐な幻想絵巻
だが、魔王に囚われた彼女を迎えに来たのは勇者ではなく魔法使いだった。
姫君は知る、魔法使いの絶望を。
姫君は知る、魔法使いの憎悪を。
姫君は語る、勇者に向けて。
そして散る、魔法使いを独りにしておけるものか。
物語は語り終えられた。
拍手代わりの銃声と拳。
これにて姫君の物語は終了。
オザワ
男も又、混沌の英雄。
力を求めた乾いた魂。
少年の時分から彼は力の持つ素晴らしさを知っていた。
叩き伏せられた彼への生贄は、その素晴らしさを言葉よりも雄弁に物語った。
そして、とうとう彼は出会う。
究極の力、悪魔召喚の術に。
崩壊後の世界、少年だった彼は初老に近い年齢に入っていた。
だが、変わらずその目は野望に爛々と輝いていた。
彼は己の力で一つの街を支配した。
そして、彼はこの殺戮の舞台にて全ての力を剥ぎ取られる。
力を持っていた無力な彼を滅ぼしたのは、
皮肉にも「武器にならぬ」と嘲笑った一冊の本であった。
最終更新:2012年11月19日 14:11