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439瀬戸口まつりSS - (2008/08/21 (木) 15:25:40) のソース

**瀬戸口まつり@ヲチ藩国様からのご依頼品
『セトグチ・ジョーンズ ~春の園の秘宝~ 』


作:11-00230-01 玄霧弦耶


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軽快な音楽とともに、ジープに乗った優男がアップになる。
全身を茶系統の衣装で包み、腰には鞭。ハンドルを操作する手と逆の手には拳銃が握られている。
優男の顔には似合わない無精ヒゲが生えていた。その上、似合わないくせに妙に格好よく見える。
ジープを駆る男の名はセトグチ。腕利きのトレジャーハンターだ。

そのジープが一度大きく、跳ねた。
ジープを追うのは妖しげな人物達。皆、揃って黒衣に身を包んでいる。こちらは、何故か装甲車だ。
さらに、装甲車を駆る妖しい人影の中には、前髪しかない太った人物までいる。
どうやら、妖しい人影たちのリーダーのようだ。

セトグチが駆るジープの中には彼の他にもう一人、セトグチよりも小柄な女性が乗っている。
なるたけ乱暴にならないようにジープを駆るセトグチだが、装甲車からの攻撃を受けながらではいくらなんでも無理がある。
後ろからの銃撃が怖いのか、運転に酔ったのか、この先どうなるのか心配なのか、あるいは、その全てか。
小柄な女性は青い顔をしてジープの中で丸く縮まっている。

「大丈夫かいお嬢さん?」

装甲車に拳銃で応戦しつつ、セトグチが女性に声をかける。
今まさに銃撃戦のさなかと言うのに、驚くほど優しい声だった。
女性が、ゆっくりと顔を上げる。

セトグチが、微笑んでいた。

「安心するんだ。俺に任せればきっ…」

プツン。



「・・・なんだ、こりゃ」

ものすごく呆れた顔で瀬戸口がテレビを切る。
間違っている。何もかもが間違っている。
何処が間違っているか突っ込めないのが先ず間違ってる。なんだ、セトグチ・ジョーンズって。
と言うか何で装甲車なんだ。というかジョーンズならもうちょっとこう、あるだろ。

「そもそも、だ。ほんの少し俺に似てるのが一番気に食わん」

どうやら一番呆れているのはその部分らしい。
ともあれ、瀬戸口高之はテレビを消し、この後の予定に向けて服を着替えることにした。


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『セトグチ・ジョーンズ ~春の園の秘宝~ 』
改め
『瀬戸口高之の準備風景(春の園編)』

作:11-00230-01 玄霧弦耶



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嫌がらせとしか思えないような番組を見てしまい、やや落ちた気分を引き締める為、クローゼットの前に立つ。
カジュアルな服装とフォーマルなスーツ。その二つをしばし見つめた後、相手のことを想像する。
彼のこれまでの経験が、フォーマルスーツが適切であるはじき出した。

颯爽とスーツを着込み、クローゼットの姿見の前で軽くチェックをする。
そして、主張しすぎない小物をつけ、髪型の確認をする。
全ての動作を流れるようにこなし、最後に香水をつけるかつけないかで一瞬悩む。
行き先を考慮してのことだった。結局、数秒後には悩むのをやめ、そのままで寝室を後にした。

「さて今日は、と。」

春の園の地図を広げる。
先日はつい油断して子供も居る前で『色々』やってしまったので反省したらしい。
ゆくゆくは養女を取ってお父さんになる(予定の)者としては、子供の教育に悪いことは避けるつもりのようだ。
先ほどから確認している部分は、余り人が着そうにない穴場ばかりである。
……少なくとも、子供は居ないところのようだ。
そうして地図の上を流れる彼の目が、とある部分で止まった。
春の園の一角。桜の区画だった。

「桜、か。」

不意に、昔を思い出した。
美しい人。名前を付けてくれた人。微笑んでくれた人。愛しい人。
遥か昔のことを思い出し、頭を振る。
頭の中にののみの言葉が響いた。

『過去はただの思い出なの。今は一時の腰掛けなのよ?』

「そうさ。そうとも。過去はただの思い出だ」

自嘲気味に笑い、思い出したことを全て、記憶の奥底に仕舞い込んだ。
今の自分には相手もののみも居る。それで十分じゃあないか。
過去に縛られる必要なんてない。今は一時の腰掛だ。
もうキッドって訳でもない。そうさ、もう子供じゃないんだ。

「いかん、辛気臭くなったな」

『これじゃああわせる顔がない』とでも言うような顔をして、片付け始める。
そもそも、昔取った杵柄と言うべきかして、地形情報は元から頭に全部入っていた。
それでもわざわざ地図で確認をしたのは、いわゆる儀式のようなものだった。
デートというものは、それなりに気を使うものなのであった。
その筋の『プロ』であるところの瀬戸口も然り。

「さ、後はお姫様を待つだけだ」

時間は予定の時刻の20分前。
準備は万全。プレゼントは用意してないが、なに。問題はない。
これでも相手の思考や好みは理解しているつもりだ。
時計を眺めながら時間を刻む。なんともいえない瞬間を楽しんでいると、呼び鈴が鳴った。

  「ぴんぽーん」

と、同時に声が聞こえた。
お相手が来たようだ。少しの間玄関で会話する。
デート前のこの会話も重要だ。今日の相手の機嫌を細かく察知し、今日のプランを微調整する。
愛の伝道師(現在そちらは休職中)の必須スキルだ。
そして、会話の間に相手の服装を見る。清楚な感じだ。自分の服装は間違ってないらしい。

「・・・で、デートは?」
「いいね、いこうか」

相手が腕を組みたがるが、まだ早い。
なんせここはまだ宰相府の寮だ。どこでだれが見てるか分からん。
どうにも宰相府のやつらはゴシップに飢えているようだしな。
別に見せ付けてやっても良いが、どこからののみの耳に入るか分からんしな。



そんなことを考えつつ、瀬戸口はまつりを連れて春の園へ向かう。
心にある種の決意を抱えながら。
その決意の行く末が、良い未来に繋がることを信じて。








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おまけ


 パーパラッパー パーパラー ※例のあのBGM

愛する人を守り……(地面に落ちた帽子を拾い上げる男のカットイン)

 パーパラッパー パーパパーパーパー ※例のあのB(ry

愛に飢えた人を救い……(鞭を使ってジープに飛び乗る男の映像)

 パーパラッパー パッパラー ※例のあ(ry

悪の軍勢に勝利した。(崩れる遺跡から走り抜ける集団の映像)

 パーパラーパーパラーパーパラー ※例の(ry

冒険は、続く。(夕日を背にたたずむ男の映像)

 パーパラーパッパラッ ※れ(ry


セトグチ・ジョーンズ ~宰相府の王国~
近日公開未定。



いや、戦犯は金曜ロードショーなんです。信じてください(ぉ


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ご発注元:瀬戸口まつり@ヲチ藩国様 
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製作:玄霧弦耶@玄霧藩国
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http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1398;id=UP_ita

引渡し日:2008/08/21

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