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**瀬戸口まつり@ヲチ藩国様からのご依頼品 『セトグチ・ジョーンズ ~春の園の秘宝~ 』 作:11-00230-01 玄霧弦耶 /*/ 軽快な音楽とともに、ジープに乗った優男がアップになる。 全身を茶系統の衣装で包み、腰には鞭。ハンドルを操作する手と逆の手には拳銃が握られている。 優男の顔には似合わない無精ヒゲが生えていた。その上、似合わないくせに妙に格好よく見える。 ジープを駆る男の名はセトグチ。腕利きのトレジャーハンターだ。 そのジープが一度大きく、跳ねた。 ジープを追うのは妖しげな人物達。皆、揃って黒衣に身を包んでいる。こちらは、何故か装甲車だ。 さらに、装甲車を駆る妖しい人影の中には、前髪しかない太った人物までいる。 どうやら、妖しい人影たちのリーダーのようだ。 セトグチが駆るジープの中には彼の他にもう一人、セトグチよりも小柄な女性が乗っている。 なるたけ乱暴にならないようにジープを駆るセトグチだが、装甲車からの攻撃を受けながらではいくらなんでも無理がある。 後ろからの銃撃が怖いのか、運転に酔ったのか、この先どうなるのか心配なのか、あるいは、その全てか。 小柄な女性は青い顔をしてジープの中で丸く縮まっている。 「大丈夫かいお嬢さん?」 装甲車に拳銃で応戦しつつ、セトグチが女性に声をかける。 今まさに銃撃戦のさなかと言うのに、驚くほど優しい声だった。 女性が、ゆっくりと顔を上げる。 セトグチが、微笑んでいた。 「安心するんだ。俺に任せればきっ…」 プツン。 「・・・なんだ、こりゃ」 ものすごく呆れた顔で瀬戸口がテレビを切る。 間違っている。何もかもが間違っている。 何処が間違っているか突っ込めないのが先ず間違ってる。なんだ、セトグチ・ジョーンズって。 と言うか何で装甲車なんだ。というかジョーンズならもうちょっとこう、あるだろ。 「そもそも、だ。ほんの少し俺に似てるのが一番気に食わん」 どうやら一番呆れているのはその部分らしい。 ともあれ、瀬戸口高之はテレビを消し、この後の予定に向けて服を着替えることにした。 /*/ 『セトグチ・ジョーンズ ~春の園の秘宝~ 』 改め 『瀬戸口高之の準備風景(春の園編)』 作:11-00230-01 玄霧弦耶 /*/ 嫌がらせとしか思えないような番組を見てしまい、やや落ちた気分を引き締める為、クローゼットの前に立つ。 カジュアルな服装とフォーマルなスーツ。その二つをしばし見つめた後、相手のことを想像する。 彼のこれまでの経験が、フォーマルスーツが適切であるはじき出した。 颯爽とスーツを着込み、クローゼットの姿見の前で軽くチェックをする。 そして、主張しすぎない小物をつけ、髪型の確認をする。 全ての動作を流れるようにこなし、最後に香水をつけるかつけないかで一瞬悩む。 行き先を考慮してのことだった。結局、数秒後には悩むのをやめ、そのままで寝室を後にした。 「さて今日は、と。」 春の園の地図を広げる。 先日はつい油断して子供も居る前で『色々』やってしまったので反省したらしい。 ゆくゆくは養女を取ってお父さんになる(予定の)者としては、子供の教育に悪いことは避けるつもりのようだ。 先ほどから確認している部分は、余り人が着そうにない穴場ばかりである。 ……少なくとも、子供は居ないところのようだ。 そうして地図の上を流れる彼の目が、とある部分で止まった。 春の園の一角。桜の区画だった。 「桜、か。」 不意に、昔を思い出した。 美しい人。名前を付けてくれた人。微笑んでくれた人。愛しい人。 遥か昔のことを思い出し、頭を振る。 頭の中にののみの言葉が響いた。 『過去はただの思い出なの。今は一時の腰掛けなのよ?』 「そうさ。そうとも。過去はただの思い出だ」 自嘲気味に笑い、思い出したことを全て、記憶の奥底に仕舞い込んだ。 今の自分には相手もののみも居る。それで十分じゃあないか。 過去に縛られる必要なんてない。今は一時の腰掛だ。 もうキッドって訳でもない。そうさ、もう子供じゃないんだ。 「いかん、辛気臭くなったな」 『これじゃああわせる顔がない』とでも言うような顔をして、片付け始める。 そもそも、昔取った杵柄と言うべきかして、地形情報は元から頭に全部入っていた。 それでもわざわざ地図で確認をしたのは、いわゆる儀式のようなものだった。 デートというものは、それなりに気を使うものなのであった。 その筋の『プロ』であるところの瀬戸口も然り。 「さ、後はお姫様を待つだけだ」 時間は予定の時刻の20分前。 準備は万全。プレゼントは用意してないが、なに。問題はない。 これでも相手の思考や好みは理解しているつもりだ。 時計を眺めながら時間を刻む。なんともいえない瞬間を楽しんでいると、呼び鈴が鳴った。   「ぴんぽーん」 と、同時に声が聞こえた。 お相手が来たようだ。少しの間玄関で会話する。 デート前のこの会話も重要だ。今日の相手の機嫌を細かく察知し、今日のプランを微調整する。 愛の伝道師(現在そちらは休職中)の必須スキルだ。 そして、会話の間に相手の服装を見る。清楚な感じだ。自分の服装は間違ってないらしい。 「・・・で、デートは?」 「いいね、いこうか」 相手が腕を組みたがるが、まだ早い。 なんせここはまだ宰相府の寮だ。どこでだれが見てるか分からん。 どうにも宰相府のやつらはゴシップに飢えているようだしな。 別に見せ付けてやっても良いが、どこからののみの耳に入るか分からんしな。 そんなことを考えつつ、瀬戸口はまつりを連れて春の園へ向かう。 心にある種の決意を抱えながら。 その決意の行く末が、良い未来に繋がることを信じて。 /*/ おまけ  パーパラッパー パーパラー ※例のあのBGM 愛する人を守り……(地面に落ちた帽子を拾い上げる男のカットイン)  パーパラッパー パーパパーパーパー ※例のあのB(ry 愛に飢えた人を救い……(鞭を使ってジープに飛び乗る男の映像)  パーパラッパー パッパラー ※例のあ(ry 悪の軍勢に勝利した。(崩れる遺跡から走り抜ける集団の映像)  パーパラーパーパラーパーパラー ※例の(ry 冒険は、続く。(夕日を背にたたずむ男の映像)  パーパラーパッパラッ ※れ(ry セトグチ・ジョーンズ ~宰相府の王国~ 近日公開未定。 いや、戦犯は金曜ロードショーなんです。信じてください(ぉ ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - 音楽が頭から離れなくなりましたっ どうしてくださるんですか(笑) というかsono -- 瀬戸口まつり@ヲチ藩国 (2008-08-25 21:33:11) - その映画のポスターがみてみたいです。 --このたびは依頼をお受けいただいてありがとうございましたーw -- 瀬戸口まつり@ヲチ藩国 (2008-08-25 21:35:26) #comment(,disableurl) ---- ご発注元:瀬戸口まつり@ヲチ藩国様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=1016&type=949&space=15&no= 製作:玄霧弦耶@玄霧藩国 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1394;id=UP_ita http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1398;id=UP_ita 引渡し日:2008/08/21 ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|
**瀬戸口まつり@ヲチ藩国様からのご依頼品 『セトグチ・ジョーンズ ~春の園の秘宝~ 』 作:11-00230-01 玄霧弦耶 /*/ 軽快な音楽とともに、ジープに乗った優男がアップになる。 全身を茶系統の衣装で包み、腰には鞭。ハンドルを操作する手と逆の手には拳銃が握られている。 優男の顔には似合わない無精ヒゲが生えていた。その上、似合わないくせに妙に格好よく見える。 ジープを駆る男の名はセトグチ。腕利きのトレジャーハンターだ。 そのジープが一度大きく、跳ねた。 ジープを追うのは妖しげな人物達。皆、揃って黒衣に身を包んでいる。こちらは、何故か装甲車だ。 さらに、装甲車を駆る妖しい人影の中には、前髪しかない太った人物までいる。 どうやら、妖しい人影たちのリーダーのようだ。 セトグチが駆るジープの中には彼の他にもう一人、セトグチよりも小柄な女性が乗っている。 なるたけ乱暴にならないようにジープを駆るセトグチだが、装甲車からの攻撃を受けながらではいくらなんでも無理がある。 後ろからの銃撃が怖いのか、運転に酔ったのか、この先どうなるのか心配なのか、あるいは、その全てか。 小柄な女性は青い顔をしてジープの中で丸く縮まっている。 「大丈夫かいお嬢さん?」 装甲車に拳銃で応戦しつつ、セトグチが女性に声をかける。 今まさに銃撃戦のさなかと言うのに、驚くほど優しい声だった。 女性が、ゆっくりと顔を上げる。 セトグチが、微笑んでいた。 「安心するんだ。俺に任せればきっ…」 プツン。 「・・・なんだ、こりゃ」 ものすごく呆れた顔で瀬戸口がテレビを切る。 間違っている。何もかもが間違っている。 何処が間違っているか突っ込めないのが先ず間違ってる。なんだ、セトグチ・ジョーンズって。 と言うか何で装甲車なんだ。というかジョーンズならもうちょっとこう、あるだろ。 「そもそも、だ。ほんの少し俺に似てるのが一番気に食わん」 どうやら一番呆れているのはその部分らしい。 ともあれ、瀬戸口高之はテレビを消し、この後の予定に向けて服を着替えることにした。 /*/ 『セトグチ・ジョーンズ ~春の園の秘宝~ 』 改め 『瀬戸口高之の準備風景(春の園編)』 作:11-00230-01 玄霧弦耶 /*/ 嫌がらせとしか思えないような番組を見てしまい、やや落ちた気分を引き締める為、クローゼットの前に立つ。 カジュアルな服装とフォーマルなスーツ。その二つをしばし見つめた後、相手のことを想像する。 彼のこれまでの経験が、フォーマルスーツが適切であるはじき出した。 颯爽とスーツを着込み、クローゼットの姿見の前で軽くチェックをする。 そして、主張しすぎない小物をつけ、髪型の確認をする。 全ての動作を流れるようにこなし、最後に香水をつけるかつけないかで一瞬悩む。 行き先を考慮してのことだった。結局、数秒後には悩むのをやめ、そのままで寝室を後にした。 「さて今日は、と。」 春の園の地図を広げる。 先日はつい油断して子供も居る前で『色々』やってしまったので反省したらしい。 ゆくゆくは養女を取ってお父さんになる(予定の)者としては、子供の教育に悪いことは避けるつもりのようだ。 先ほどから確認している部分は、余り人が着そうにない穴場ばかりである。 ……少なくとも、子供は居ないところのようだ。 そうして地図の上を流れる彼の目が、とある部分で止まった。 春の園の一角。桜の区画だった。 「桜、か。」 不意に、昔を思い出した。 美しい人。名前を付けてくれた人。微笑んでくれた人。愛しい人。 遥か昔のことを思い出し、頭を振る。 頭の中にののみの言葉が響いた。 『過去はただの思い出なの。今は一時の腰掛けなのよ?』 「そうさ。そうとも。過去はただの思い出だ」 自嘲気味に笑い、思い出したことを全て、記憶の奥底に仕舞い込んだ。 今の自分には相手もののみも居る。それで十分じゃあないか。 過去に縛られる必要なんてない。今は一時の腰掛だ。 もうキッドって訳でもない。そうさ、もう子供じゃないんだ。 「いかん、辛気臭くなったな」 『これじゃああわせる顔がない』とでも言うような顔をして、片付け始める。 そもそも、昔取った杵柄と言うべきかして、地形情報は元から頭に全部入っていた。 それでもわざわざ地図で確認をしたのは、いわゆる儀式のようなものだった。 デートというものは、それなりに気を使うものなのであった。 その筋の『プロ』であるところの瀬戸口も然り。 「さ、後はお姫様を待つだけだ」 時間は予定の時刻の20分前。 準備は万全。プレゼントは用意してないが、なに。問題はない。 これでも相手の思考や好みは理解しているつもりだ。 時計を眺めながら時間を刻む。なんともいえない瞬間を楽しんでいると、呼び鈴が鳴った。   「ぴんぽーん」 と、同時に声が聞こえた。 お相手が来たようだ。少しの間玄関で会話する。 デート前のこの会話も重要だ。今日の相手の機嫌を細かく察知し、今日のプランを微調整する。 愛の伝道師(現在そちらは休職中)の必須スキルだ。 そして、会話の間に相手の服装を見る。清楚な感じだ。自分の服装は間違ってないらしい。 「・・・で、デートは?」 「いいね、いこうか」 相手が腕を組みたがるが、まだ早い。 なんせここはまだ宰相府の寮だ。どこでだれが見てるか分からん。 どうにも宰相府のやつらはゴシップに飢えているようだしな。 別に見せ付けてやっても良いが、どこからののみの耳に入るか分からんしな。 そんなことを考えつつ、瀬戸口はまつりを連れて春の園へ向かう。 心にある種の決意を抱えながら。 その決意の行く末が、良い未来に繋がることを信じて。 /*/ おまけ  パーパラッパー パーパラー ※例のあのBGM 愛する人を守り……(地面に落ちた帽子を拾い上げる男のカットイン)  パーパラッパー パーパパーパーパー ※例のあのB(ry 愛に飢えた人を救い……(鞭を使ってジープに飛び乗る男の映像)  パーパラッパー パッパラー ※例のあ(ry 悪の軍勢に勝利した。(崩れる遺跡から走り抜ける集団の映像)  パーパラーパーパラーパーパラー ※例の(ry 冒険は、続く。(夕日を背にたたずむ男の映像)  パーパラーパッパラッ ※れ(ry セトグチ・ジョーンズ ~宰相府の王国~ 近日公開未定。 いや、戦犯は金曜ロードショーなんです。信じてください(ぉ ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - 音楽が頭から離れなくなりましたっ どうしてくださるんですか(笑) というかsono -- 瀬戸口まつり@ヲチ藩国 (2008-08-25 21:33:11) - その映画のポスターがみてみたいです。 --このたびは依頼をお受けいただいてありがとうございましたーw -- 瀬戸口まつり@ヲチ藩国 (2008-08-25 21:35:26) - ソコは是非、秘宝館で発注をかけていただく形で(笑)>ポスター -- 玄霧弦耶@玄霧藩国 (2008-09-16 20:26:48) #comment(,disableurl) ---- ご発注元:瀬戸口まつり@ヲチ藩国様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=1016&type=949&space=15&no= 製作:玄霧弦耶@玄霧藩国 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1394;id=UP_ita http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1398;id=UP_ita 引渡し日:2008/08/21 ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|

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