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「946日向美弥SS」(2011/06/07 (火) 20:31:47) の最新版変更点
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**日向美弥@紅葉国様からのご依頼品
じゃあ、藩王に連絡してきますね、と電話に向かう美弥を横目に、玄ノ丈はベッド脇に置いてあった端末を引きよせた。
めんどくさい、とばかりに緩い動きだった。
「まあ、ここから取れる情報にも限りはあるが…なにせ専門外だからなあ…」
基礎教養だけでも頭に入れておかないと、事件の調べようもないだろう。
ここに来て覚えた、ごくごく単純な電子書籍ソフトを立ち上げて、頭が痛くなるような単語を読み始める。
どうせ暫くは遠くにも行けない。近場の街での情報収集がせいぜいだ。
ちらりと部屋の外を見る。
自分の伴侶だって、ごく普通にやるべきことをやっている。
「なるようになる、か」
いくつかのことを考えながら、玄ノ丈は<暇つぶし>をはじめた。
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coffee break
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落ち着きがない昨今の情勢の中。
玄ノ丈と美弥の、二人の家で、玄ノ丈はとても暇そうにしていた。
くたりとソファーでくつろいでいる。
「玄ノ丈さん」
美弥が声をかけて側に行くと、「ん?」と軽く首を傾げて反応された。
……かわいい。
本能のままに、更に距離を詰めて飲み物はテーブルに置いて自分はソファーに座り、ごろごろと甘える。(そこまで一挙動だった)
と、機嫌良くなでなでされた。
しあわせだー。
「大きなヤマだ」
「ですね」
なでなでされるがまま、玄ノ丈にもたれる。
くっついているところが暖かい。
家に二人いるのは、とてもよい。いろいろ、いろいろあったからというのもあるが、好きな人と一緒にいられるのは、こう、純粋に、よい。
しあわせだー、とふやけた思考を情勢に戻しつつ、玄ノ丈の話を聞く。
「が。金が使えないんじゃ、環状線もロクに乗れないわけで、回復までには随分かかりそうだ」
「お金をまわせないと、流通その他、厳しいですね。うちの国は、観光収入の割合も大きかったですし」
「まったくだ。まあ、スーパーインフレが始まって、こっちで約1ヶ月、なんの手も打てなかったのはミスだろうが」
ちょっとため息のような仕草が垣間見えた。
なにか、別の事かな、と思いつつ飲み物を勧めると、玄ノ丈が喉を湿らせつつも言葉を継いだ。
「他にもあるかもな」
「他に、というのは?」
「わからんが、外交費用を大統領府が出すと、経済破綻する理由が、個人的によくわからん。だからかもしれん」
どちらも経済専門家ではなかった。
ので、二人してうーん、と首を傾げる。
「こちらでも、よく理解できてなかったとこです。対処に追われて、そのあたりはつっこめてないですね」
「まあ、金が増えてインフレになるのは、TVのニュースで何となく分かった」
諸々の対処が終わったら考えるやつも出てくるだろう。
そうひとつ頷き、玄ノ丈は言った。
「実際、調べてみてそれだけなら、まあ、次から金の使い道を考えようで終わる」
「ええ」
「まあ、暇なんだな。実際」
最初に戻る、とばかりに暇そうにしている玄ノ丈を、美弥は軽く抱きしめた。
触れている面積が増える。
「相手が経済だと、動く人も動き方もかわってきますしね」
身体を受け止められる。
なでなで。
撫でられて、ふにゃりとした。なでなではよい。
こちらに心をくばっていてくれるのが分かるのだから。
いいんだけ、ど。
「電車代もないんだがな」
なでながら苦笑された。
(でんしゃだい…)
インフレ=お金が意味無くなる=お金足りない。
…外に出るにはお金が要るのか。
はたと思いついた。
「あう…それでうちにいるんだ。ちょっと、うれしいですけど」
同じ状況の人がたくさん、なのだろう。
とはいえ、家に玄ノ丈がいるのは本当に嬉しいので、感情のままに微笑んでしまう。
「いやまあ、俺はごろごろするでいいが、農家以外は大変だぞ。今は」
うなづく。
確かにそれは、自分たちも危惧していたことではあるのだ。
「ええ、うちの国は食料生産地あるから、そちらの支援を厚くしつつ。都市船関係は、どうなっています?」
「うかんだままだな。まあ、水と空気には困らない」
「確かに、潜行しちゃうと空気の問題でてしまいますしね。かといって、そのままでいつまでもいられないし……にゃうう。けっきょくまず経済建て直し、か」
「で、それは俺の専門外だ」
いっそのこと清々しいまでの言い切りに、ちょっとだけ笑った。
このひとは(こういう人達はと言うべきか)、できることとできないことを明確に区別できているのだ。
そして自分は、専門ではないにしろ、話をしなければいけない立場なのだった。
「うん、そのへんは藩王摂政と話し合ってみる。まず状況がぜんぜん把握できてなかったのが、こっちの問題だったから」
「まあ、でのみというやつで、ようやく回復基調だ」
「うん、あとは回復の波に乗り遅れないようにですね。そのへんは藩王もあれこれ話してたし」
頭を玄ノ丈さんにあずけてあれこれと考える。
ごろごろしたり抱きついたり始終くっついているせいか、なんというかほわほわする。
玄ノ丈さんは相変わらず、なでなでしてくれるし。…うん、なでてはくれるんだ。
心の中で、多少考えてはうーんと却下してみたり。
「それがいい。俺も暇つぶしする」
「はい。えーと、暇つぶしって?」
「今回の経済事件を調べてみる。専門外なのは分かってるが」
「ううん、裏がありそうでなさそうで気持ち悪いのも確かだし。調べてくれると助かります」
なんだか無性に口づけたくなって頬にキスすると、玄ノ丈は笑った。
(ん、だいじょうぶそうなきがする)
更にごろごろと甘える。
「にゃー、その前に今ちょっとだけ甘えさせてください」
「?」
撫でてくるその腕を取って、封じて。
「さっきから、なでられるばかりなので」
少し長めに口づけた。
からかうような笑いを返される。
「お前は忙しいんじゃないのか?」
「藩王と連絡とれるのは、数時間後です。忙しいけど、編成はもう終わらせてるし、今この時間は待機だから、ゆっくりしてるんですよ」
「なるほど」
微笑んで説明していると、玄ノ丈に押し倒された。
視線の先に玄ノ丈がいるのが、たまらなくうれしかった。
「数時間ね」
「うん」
玄ノ丈に優しくキスをされ、うっとりと目をとじた。
「ゆっくり会いたくて、時間あけてきたんです」
頬や口の端に唇を触れさせ、最後にキスのお返しをする。
「愛してる」
「私も、愛してます」
美弥は、目の前にいる想い人を抱きしめた。
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これ以上ないほどの砂糖っぷりで、え、私何を文章にすればいいの!?と難産いたしました(笑)
とはいえ、始終によによしながら書かせて頂きました。ありがとうございました。
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ご発注元:日向美弥@紅葉国様
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製作:サカキ@星鋼京
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引渡し日:2011/06/07
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