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**那限逢真・三影@芥辺境藩国様からのご依頼品 久々に小笠原に来ました。  小笠原は東京よりちょっと空気がいいので落ち着きます。  ただ、日差しが東京より強いのが問題ですね。  こう日差しが強いと……。 /*/  目眩がし、思わずしゃがみこんで咳をしました。 「ん? 大丈夫か? あの人」  小笠原の学校から人が出てきました。  あら、知っている顔もいますね。 「あの人って、あれが月子嬢だぞお前……」 「ああ、そう言えば」 「月子嬢、今いいですか?」  やってきたのは、那限逢真さんと、見知らぬ人です。  先程の会話から察するに、二人はお友達のようです。 「なんでしょう?」  顔を上げたら、二人が心配そうにこっちを見ています。  いけない。旅行に招待されたのにこんな顔しちゃあ。  私は立ち上がりました。 「はい」 「こちら、常世知行。オレの親友で、芥辺境で文族をやっている人です」  どうもお友達を紹介してくれるようです。  常世知行さんと目が合うと、笑っていました。 「初めまして、常世知行です」 「はい。こんにちは」 「こんにちは」 「咳をしていますが大丈夫ですか?」  いけないいけない。  いきなり見知らぬ人にまで心配をかけちゃ。  私は努めて明るい表情をしました。 「今日は、少しごめんなさい」 「いえ、お気になさらずに」  常世さんは首を振ってくれました。  代わりに那限さんが話しかけてくれました。 /*/ 「体調、大丈夫ですか?」 「はい」 「では、すいませんが、一時間ほどお話させてもらっていいでしょうか?」  那限さんがそう話しかけた時、光が勢いよく走ってきました。  あら? これはこの間の……?  光は形を取り、那限さんの頬を思いっきり引っ張り始めました。 「うわきものー!!」  小さなポニーテールの羽妖精が頬をパンパンにして怒っています。  思わず笑みがこぼれました。  微笑ましいなあ、と。 「いたたた。Q引っ張らないでくれ」 「うわきものー」 「してないしてない」  ……笑いすぎて、むせました。 「大丈夫ですか?」 「大丈夫です」  常世さんが私を心配している間も、那限さんはQをなだめていました。 /*/  羽妖精のQは胸を張っています。  確か、この間神に捕まっていたのを那限さんに助けられたんですね。  きっと那限さんをヒーローのように思っているんでしょうね。小さい頃の、私とコウみたいいなものなんだなと、懐かしくなりました。 「そう言えば、何でヨシフキンに瓶詰めにされていたんだ?」 那限さんは首を傾げてQを見ています。 「この手の妖精は、瓶の底に砂糖水をつけて、月明かりのしたで3晩、運良く蓋を閉めると手に入るんです」 「なるほど、月子さんは博識なんですねえ」  素直に常世さんが感心してくれたので、思わず顔を赤くしました。  妖精や式神は、私の得意分野だから、博識とか、そういうのとは少し違うんだけどな……。  Qは「ムーッ」とでも言いたげに那限さんに抗議しています。 「私は違うよ! ちがうー、ちがうー」 「そうか。お前がそう言うなら違うんだろうな」  那限さんは微笑みながらQを見ました。 「Qの故郷はどういうところなんだ? 瓶詰めにされる前にいたところでもいいけど」 「森。川もあるよ。マスがとれる」  Qはえっへんとばかりに胸を張っています。 「ニジマスとかイワナだったら取れたな。オレの故郷も。……まぁ、森の中じゃなくて山の中だったけど」 「ついていっていい?」 「ん? いいよ。機会があったら一緒に行こうか。というか、Qがいるなら歓迎するよ。楽しい旅になりそうだしな」  那限さんの言葉にQは喜んで踊り始めました。 「えーっと、よかったね」  私が語りかけると、妖精の捕まえ方をしゃべったせいか、Qは那限さんの後ろに飛んでいきました。嫌われちゃった、かな? 「そうだな……宜しかったら、月子さんもどうですか? 空気きれいですし、いいところですよ?」 「少し、考えさせてください」  常世さんの言葉に、ちょっと返事はできませんでした。  Qは「ガルルルル」と言いたげな顔で那限さんの後ろから顔を出しています。   彼女を安心させるよう、私は微笑んでみました。  Qはプイっと顔を逸らしただけでした。  うーん、完全に嫌われたかなあ……。 /*/  Qは本当に那限さんがお気に入りなようです。  彼に誘われて胸ポケットに納まり、上機嫌なようです。 「月子さん、妖精ってあんなに人にすぐ懐くものなんですか?」  常世さんは胸ポケットの中のQを指差して訊きます。 「精霊はともかく、妖精が人に懐くのは珍しいんですよ。妖精は勝手だから」 「なるほど」 「……そういうものなの?」  那限さんは「そういうものかな~」と下を見下ろすと、Qは「えっへっへ」と得意そうに笑っています。 「妖精は幸運をもたらすから無理にでも飼いたがる人が多いんです」  その一言にQは「ツーン」と言ってあさっての方向を向いています。 「ああ、だからヨシフキンに捕まえられたのか」と、那限さんはようやく合点の言った顔をしました。「勉強になるなあ」と常世さんも頷いていますね。  Qはポニーテールをプルプル震わせて那限さんを見ています。 「そう言えば、Qの髪はきれいだな。どうやってといてるんだ?」 「歯ブラシ」  その答えにみんな絶句しました。  あらあら。 「これからは逢真さんが梳かせばいいんじゃないですか?」 「作ってあげたらどうでしょう」  私と常世さんの答えに「そうだなあ」と那限さんは頷きました。 「私も手伝いましょうか? お人形のを探せばすぐですし」 「あ、お願いできますか? 男の私だと気が付かない部分もありそうで……」 「最近は100円ショップとかでもあるんですよ」  私は思わず笑っていました。  Qは幸せものだなあと、思いました。 /*/ 「Qは他に欲しいものとかあるか?」 「えっと勝負下着」  周りは凍りつきました。  あらあら。  Qは那限さんに好いて欲しいんだなあ。  そう思いました。 「……まあ鈍いですから、気付いていないとは思いますけどねえ」  常世さんもおっしゃっています。  勝負下着かどうかはともかく、100円ショップで人形の水着は売っているから、それをあげたら喜ぶんじゃないかしら?  こうして私達は、100円ショップに、Qの為に買い物をする事になりました。  頑張って。  私は密かにQにエールを送るのでした。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) #comment(,disableurl) ---- 御発注元:那限逢真・三影@芥辺境藩国様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=224;id=gaibu_ita#234 製作:金村佑華@FEG http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=497;id=UP_ita ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|
**那限逢真・三影@芥辺境藩国様からのご依頼品 久々に小笠原に来ました。  小笠原は東京よりちょっと空気がいいので落ち着きます。  ただ、日差しが東京より強いのが問題ですね。  こう日差しが強いと……。 /*/  目眩がし、思わずしゃがみこんで咳をしました。 「ん? 大丈夫か? あの人」  小笠原の学校から人が出てきました。  あら、知っている顔もいますね。 「あの人って、あれが月子嬢だぞお前……」 「ああ、そう言えば」 「月子嬢、今いいですか?」  やってきたのは、那限逢真さんと、見知らぬ人です。  先程の会話から察するに、二人はお友達のようです。 「なんでしょう?」  顔を上げたら、二人が心配そうにこっちを見ています。  いけない。旅行に招待されたのにこんな顔しちゃあ。  私は立ち上がりました。 「はい」 「こちら、常世知行。オレの親友で、芥辺境で文族をやっている人です」  どうもお友達を紹介してくれるようです。  常世知行さんと目が合うと、笑っていました。 「初めまして、常世知行です」 「はい。こんにちは」 「こんにちは」 「咳をしていますが大丈夫ですか?」  いけないいけない。  いきなり見知らぬ人にまで心配をかけちゃ。  私は努めて明るい表情をしました。 「今日は、少しごめんなさい」 「いえ、お気になさらずに」  常世さんは首を振ってくれました。  代わりに那限さんが話しかけてくれました。 /*/ 「体調、大丈夫ですか?」 「はい」 「では、すいませんが、一時間ほどお話させてもらっていいでしょうか?」  那限さんがそう話しかけた時、光が勢いよく走ってきました。  あら? これはこの間の……?  光は形を取り、那限さんの頬を思いっきり引っ張り始めました。 「うわきものー!!」  小さなポニーテールの羽妖精が頬をパンパンにして怒っています。  思わず笑みがこぼれました。  微笑ましいなあ、と。 「いたたた。Q引っ張らないでくれ」 「うわきものー」 「してないしてない」  ……笑いすぎて、むせました。 「大丈夫ですか?」 「大丈夫です」  常世さんが私を心配している間も、那限さんはQをなだめていました。 /*/  羽妖精のQは胸を張っています。  確か、この間神に捕まっていたのを那限さんに助けられたんですね。  きっと那限さんをヒーローのように思っているんでしょうね。小さい頃の、私とコウみたいいなものなんだなと、懐かしくなりました。 「そう言えば、何でヨシフキンに瓶詰めにされていたんだ?」 那限さんは首を傾げてQを見ています。 「この手の妖精は、瓶の底に砂糖水をつけて、月明かりのしたで3晩、運良く蓋を閉めると手に入るんです」 「なるほど、月子さんは博識なんですねえ」  素直に常世さんが感心してくれたので、思わず顔を赤くしました。  妖精や式神は、私の得意分野だから、博識とか、そういうのとは少し違うんだけどな……。  Qは「ムーッ」とでも言いたげに那限さんに抗議しています。 「私は違うよ! ちがうー、ちがうー」 「そうか。お前がそう言うなら違うんだろうな」  那限さんは微笑みながらQを見ました。 「Qの故郷はどういうところなんだ? 瓶詰めにされる前にいたところでもいいけど」 「森。川もあるよ。マスがとれる」  Qはえっへんとばかりに胸を張っています。 「ニジマスとかイワナだったら取れたな。オレの故郷も。……まぁ、森の中じゃなくて山の中だったけど」 「ついていっていい?」 「ん? いいよ。機会があったら一緒に行こうか。というか、Qがいるなら歓迎するよ。楽しい旅になりそうだしな」  那限さんの言葉にQは喜んで踊り始めました。 「えーっと、よかったね」  私が語りかけると、妖精の捕まえ方をしゃべったせいか、Qは那限さんの後ろに飛んでいきました。嫌われちゃった、かな? 「そうだな……宜しかったら、月子さんもどうですか? 空気きれいですし、いいところですよ?」 「少し、考えさせてください」  常世さんの言葉に、ちょっと返事はできませんでした。  Qは「ガルルルル」と言いたげな顔で那限さんの後ろから顔を出しています。   彼女を安心させるよう、私は微笑んでみました。  Qはプイっと顔を逸らしただけでした。  うーん、完全に嫌われたかなあ……。 /*/  Qは本当に那限さんがお気に入りなようです。  彼に誘われて胸ポケットに納まり、上機嫌なようです。 「月子さん、妖精ってあんなに人にすぐ懐くものなんですか?」  常世さんは胸ポケットの中のQを指差して訊きます。 「精霊はともかく、妖精が人に懐くのは珍しいんですよ。妖精は勝手だから」 「なるほど」 「……そういうものなの?」  那限さんは「そういうものかな~」と下を見下ろすと、Qは「えっへっへ」と得意そうに笑っています。 「妖精は幸運をもたらすから無理にでも飼いたがる人が多いんです」  その一言にQは「ツーン」と言ってあさっての方向を向いています。 「ああ、だからヨシフキンに捕まえられたのか」と、那限さんはようやく合点の言った顔をしました。「勉強になるなあ」と常世さんも頷いていますね。  Qはポニーテールをプルプル震わせて那限さんを見ています。 「そう言えば、Qの髪はきれいだな。どうやってといてるんだ?」 「歯ブラシ」  その答えにみんな絶句しました。  あらあら。 「これからは逢真さんが梳かせばいいんじゃないですか?」 「作ってあげたらどうでしょう」  私と常世さんの答えに「そうだなあ」と那限さんは頷きました。 「私も手伝いましょうか? お人形のを探せばすぐですし」 「あ、お願いできますか? 男の私だと気が付かない部分もありそうで……」 「最近は100円ショップとかでもあるんですよ」  私は思わず笑っていました。  Qは幸せものだなあと、思いました。 /*/ 「Qは他に欲しいものとかあるか?」 「えっと勝負下着」  周りは凍りつきました。  あらあら。  Qは那限さんに好いて欲しいんだなあ。  そう思いました。 「……まあ鈍いですから、気付いていないとは思いますけどねえ」  常世さんもおっしゃっています。  勝負下着かどうかはともかく、100円ショップで人形の水着は売っているから、それをあげたら喜ぶんじゃないかしら?  こうして私達は、100円ショップに、Qの為に買い物をする事になりました。  頑張って。  私は密かにQにエールを送るのでした。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - 月子視点の物語にQの微笑ましさが出ていていいです。どうもありがとうございます -- 那限逢真@天領 (2008-02-18 00:43:04) #comment(,disableurl) ---- 御発注元:那限逢真・三影@芥辺境藩国様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=224;id=gaibu_ita#234 製作:金村佑華@FEG http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=497;id=UP_ita ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|

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