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鍋 ヒサ子@鍋の国様からのご依頼品



芝村 の発言:
車にはねられた。
鍋 ヒサ子@鍋の国 の発言:
わあい。


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車にはねられて入院した。

そろそろ一年ぐらい前になる話である。

今さら思い出そうとしている自分がいる。しかも早朝に。

今さらなんだけど、まあ。
あれであのとき入院さえしなければ――
――もう少し、ほのぼのとラブコメしてたんじゃないだろうか。






「いやいや、結局ラブコメなのかよ」

 セルフでつっこみ、パジャマ姿の半眼で袖をぱたぱたさせる。
 一人馬鹿なことしてる自分を見下ろしてる自分を幻視し、笑いそうになる。 

 まあ、入院がなければ「コイン」はなかったはずだ。
 うんあれはないな、いろんな意味で。今考えてもない。
 あれはひどかった、他にもコインとか、コインとか、コインとか。あの馬鹿め。

 さておき、今日はお弁当にしようと朝も早いところ起きたのだった。
 携帯で呼び出して食べてもらおう。
 けど眠い。
 二度寝しそう。
 今寝たら1時間目に間にあわなくなるなあと、学生でもないのに考える。
 動けば眠気も消えるだろうか、とりあえず脚立を出そう。
 脚立がなければ料理も出来ぬ。

 またあの学校の中庭に行きたいなあ。
 今なら、自分があのとき思い描いていたような風景で――2m90cmも離れながら手作り弁当食べるような初々しさもなくて――恋人同士の昼休みを満喫できそうだ。

そういえば、鶏のから揚げとアジのフライは本当に嫌いなのだろうか。


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その日は、気持ちの良い朝で。
雲が一つもなく。
少しだけ涼しいような気もした。


 そして車に ひ  か   れ   ま   し     た       。



――まあ、それはさておき。
 ひかれる日の4時間目前の休み時間。ヤガミは校門前で腕を組んで不機嫌そうで、ヒサはというと教室で凹んでいた。

 机に 「|Ω|」←こんな感じで不貞寝している。

 たまにやってきた留学生が朝からずっとorz ってる様子。
みかねた女生徒が相談に乗ればヒサも藁にもすがる思いで相談するのだが。
とはいえ、

「ごめん、よくわかんないや、それ」
 三つ編みをくるくるしながら謝られる。
 それでもなんとか話をまとめようとしてくれる。
「とりあえず、彼氏のようなそうでないような人と昼休みにお弁当を食べるので凹んでるのよねえ」
 なんだそれ。
「で、年上だけど、教師ではないらしい」
 ううううと言う呻きのあとでヒサが口を開いた。
「教師をやってもらいたかったんだもん」
「無職なの?」
 それには答えない、というか聞いてない。
「鶏の唐揚げとアジのフライが嫌いだって言うのよ」
「それは知らないけど」
「鶏からが嫌いだなんて絶対嘘。きっとあたしのだから食べたくないんだ...ぜったい、子ども扱いされてる(泣)」
「それは...ないだろうなあ」
 三つ編み少女は苦笑して断言した。
「ヒサ子さんって、自分が考えてるより大人だし...むしろ一番自分のこと子どもだと思ってるのは――」

 女生徒はなにか言おうとしたが、ふとそれをやめた。

「ねえ、自転車で走ってたらさ、」
 ん、とヒサが頭を起こし、眠そうな目で女生徒を見上げる。
 微笑っていた。
「前からも自転車がやってきて、お互いに避けようとするんだけど何故だか同じ方向によけちゃってぶつかっちゃうなんてことない?」
「あ、それよくある!」
「でしょう」

 満足げの三つ編みの女生徒。
 それとは対象に力強く頷いてから、それがいったい何なのだと首を傾げるヒサ。


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 そういえば、あのコもだいぶん見舞いに来てくれてたなあ。
 と思いだしたところで目が覚めた、いつのまにか、まどろんでいたのだ。
 キッチン用の脚立(必須台所用品)を出そうとして脚立に座って寝ていた。

 なんて寝やすい脚立だ。

 おかげで、あのときの弁当の中身を全部思い出せた。
 そうそう、ピンク色の包みだった。

 せっかく思い出せたことだし、今日はあの弁当にしよう。材料も時間もそんなに無いけど、そこはまあいろいろごまかそう。
 このお弁当見たら、あいつはなんて言うのだろう。
 ちょっとおもしろそう。

 そういえば、鶏のから揚げとアジのフライは本当に嫌いなのだろうか。


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「前より幼くなったな。どうか、したのか?」

 そんなことを聞かれて、

「どうしたらいいのかわかんないので素直になってみました」

 そう答える自分。

――なるほど、行き違っている。

 好かれたいと思えば、人は好かれたい相手に合わせようとする。
 二人が双方とも好かれたいと願うのなら。
 二人ともが相手に合わせようとするだろう。
 それが、たまにとんでもない行き違いを生んだりもする。
 互いに道を譲ろうとして結局ぶつかってしまう自転車みたいに。

 ああ、そういうことなのかなあ。


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 気づいたところで目が覚めた。
 半分寝ていたらしいけど、お弁当はなぜか完成していた。
 途中まで作っていた記憶はあったけど、最後は夢遊しながら作っていたらしい。

 試しに食べたら卵焼きの塩味がきつかった。
 前食べたときの方がうまかったとか言いそうだな。

 もしそうだったなら、とりあえず笑ってやろう。





作品への一言コメント

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  • な、なにかしらこれ、なんでこんなに気恥ずかしくなるのかしら……!!(笑  楽しいSSありがとうございました! お願いしてよかったです。脚立に乗らないと料理も出来ないヒサ子さんに萌えました(そこか -- ヒサ (2008-06-19 13:34:38)
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引渡し日:2008/6/18


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最終更新:2008年06月19日 13:34