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ヤガミ・ユマ@鍋の国さんからのご依頼品


/*ポイ捨てはいけません*/

#ある結末

芝村 の発言:
ヤガミ難しいと思うけどなあ

ヒサ の発言:
難しいです……。うーでも、やりやすさで選んでいるわけでは無いので(笑
今回の、コインは返却できましたか……?(受け取れないとしか言えてないかもorz)

芝村 の発言:
コイン?
ああ。投げ捨てていいよ。
誰が拾うか知らないけどね。あっはっはっ

ヒサ の発言:
わーんorz
いえ、ものを…しかもひとからもらったものを投げ捨てるのはっ
でも持っているのも……うううorz

芝村 の発言:
持っていれば結果確定だ。どっちがいいかい?

ヒサ の発言:
投げ捨てます。わーんこのやろー!(全力

芝村 の発言:
はい。

/*/

#その続き、番外編

「あら、どれが出てくるかと思ったらあなただったんだ。久しぶりー」
「……なんでだ」
 ヤガミは額を抑えつつ、このままぶっ倒れてうめきたくなる衝動を必死にこらえていた。いや、もうこの際こらえなくてもいいんじゃないかという気もしたが、そこはそれ、目の前に誰もいなければそうしただろうが、誰か一人の視線でもあるのならば話は別だった。プライドが、許さなかった。
「へぇ。本物だったんだ、これ」
 ヤガミの前には一人の女が立っている。派手な装飾をじゃにじゃらとつけた金のかかっていそうな人物だ。そのわりにすっきりと背筋を伸ばし、どこか満足げに笑う姿は悪戯っ子を連想させる。
 一応、覚えのある人物だ。
 だが問題はそこではなかった。彼女の右手で頃がされている一枚のコインである。
「なんでそこにそれがある……」
 百年ほど頭痛に苛まされたとしてもこうはなるまいというほど見事な顔をするヤガミ。その視線を受けて、彼女はにんまりと笑った。
「あら。拾っただけだけど?」
 もっとも、これが頭に落ちてきたときはすぐそこの電信柱を叩き折ってやりたくなったけど。という言葉は封じる。
「拾った……?」
「ええ。あら、名前が彫ってあるわねー。鍋ヒサ子、と……」
 名前を聞いた瞬間、ヤガミはなんとも言えない気持ちになった。腹の奥底でふつふつと煮える赤い苛立ち。一方で、そこから上の方は文字通り凍るほどの衝撃。
 まさか捨てられた? なんで。
 なんで、に込められた赤と青がぐるぐるまざったような気持ちは複雑すぎて、とても音声にできなかった。ヤガミは沈黙したままコインを見ていた。
「さて。拾った物は返すのが礼儀だけどー……捨てられた物はもらっちゃってもいいわよね?」
「いいか。捨てた物もとってはならないんだ」
「気にしない気にしない。じゃあ、今日これからしばらくつきあってもらおうかな」
「なんでだ」
「ふふふ。あー、今日はなんかいい日かもー」
 そんなことを言いながら彼女は歩き出す。ヤガミは天を仰いだ。
 曇天だった。

 ちなみに。前を行く女の名を、堀口ゆかりという。


 翌日のことである。ヤガミはのんびりと歩いて病院に来ていた。横をゆかりがついてきている。彼女は対して面白くも無さそうな表情を浮かべているが、昨日ちょっとした約束をしたせいで今は不承不承ついてきている様子だった。
 約束というのは、このようなものである。
『わかった。つきあってやるから、明日はこっちにつきあえ』
 そのとき何故か妙に驚いたような表情をされたが、はて、何故だろうか。まあそんなことはどうでもよろしい、とヤガミは病院に入っていく。ロビィを抜け、エレベータに乗って目的の階へ。そしてさっさと廊下を歩いていって部屋に向かった。
 だが、目的の場所には、予期したとおりヒサ子はいなかった。
「だぁから、本人がいないって言ったんだからいないに決まってるじゃない」
 ゆかりは面倒くさそうに言うと、あーあとため息をつきながら窓辺に向かった。ふむふむ、ここから落ちて来たのか、そういえばあのあたり歩いてたなーと地面の方を見ている。
 鍋ヒサ子は、うっかり車にひかれてしまった非情に(ヤガミの)心臓に悪い人物である。大けがをして、手足も腰もしっかりかためられた状態でベッドに転がされていたのが昨日の事。勿論まだ退院なぞできるはずもなく、この場から立ち去ることはできない。
 もっとも、彼女には彼女の事情があり、昨日まではともかく今日は会えないという話を聞いていた。
「それでも、もしかしたら、とは思ったが――」
 案の定いなかったというわけだ。
 問いただしたいこともあったのに。
 それを思うと苛立ちと同時に恐怖も感じる。まさかコインを投げ捨てられるとは思わなかった……。
 ふと、昨日のやりとりは嘘だったんじゃないかという気がしてきた。こちらを気遣って好いているふりをしていたのではないだろうか。それならコインを投げ捨てたことにも説明が……。
「なにくらい顔してるのよ。人を引っ張り回しといて、挙げ句の果てにこんな所に連れてきといて、なに、それは」
「ああ、すまん」
 気付けば、ゆかりが不満そうにこちらを睨んでいた。昨日ヒサ子に渡したコインは、今や彼女の手の中にある。どういう因果だと思わずにはいられない。
「まあ。そういう運命だったと言うことだな。悪かった。帰る」歩き出すヤガミ。
「ちょっと。なんだったの、これ」ゆかりはむぅ、と不満そうな顔。
「人に会いに来たんだが、いなかった。それだけだ」
「そのわりにはすっごい落ち込んでる顔に見えるけど? 悪戯書きしたくなるくらい」
「どんな顔だ」
 ゆかりは自分の頬を引っ張って変な顔をした。無視して歩くヤガミ。
「ちょっと!」
「お前を恋人だと紹介しようと思ってた」
「……は、はぁっ!?」愕然とするゆかり。
「まあ。また機会があるだろう」
「ちょ、ちょっと待った――えーっと」
 わしわしと頭を掻くゆかり。それから大きくため息をつくと、とりあえずこっち来なさいと、抗議するヤガミの声を無視してロビィに引っ張り出していった。


「はぁ。まあ、事情はわかったわ」
 なんで私こんな話聞いてるんだろう。ゆかりは心と体の表情をまったく一致させた苦々しい表情を浮かべていた。
 どうせつきあわせるのならもっと面白い事につきあわせてくれればいいのに、と思う。しかしまあ。なんというか。ここでそういうことを言うのも妙に憚られた。畜生。あとで絶対に仕返ししてやる、と誓うゆかり。
 とりあえず。ヤガミから聞いたのはこんな話だ。
 彼は好きな人がいるらしい。なんだかあれこれと誤魔化している感じだったが、ようやくすればそういうことだ。で、相手もヤガミを好いているらしい。結構な事じゃないか、とおもう。しかしその相手とは年の差がありすぎるのが問題らしい。幼いのだ、と言う。いいじゃないそれくらい、と思う。ただ、ガンオケはこないだやったので、谷口と石田みたいな状態か、と何となく考えた?
 いいじゃないかそれくらい、と思うのだが、ヤガミにとっては大問題らしい。まさしく彼は、相手――ヒサ子の自分に対する好きは、ヤガミが彼女に対して抱いている好きとは別の物なのだと思っているらしいのだ。
「あーもう、うっとうしい」
「何がだ」
 おっと、思わず心の声が出てしまいました。おほほほ。笑って誤魔化すゆかり。
「いいじゃない別にそんなこと。結局の所お互い好きあってるんだからー」
「だからな……おまえ、俺の話を聞いていたのか?」
「いや、適当に聞き流してたけど」
「…………」
 あ、こめかみが引きつった。からかいがいがあるなーとにんまりするゆかり。いけないぞ、楽しいぞ。わくわくしている自分を感じる。

 ちなみに。後日気になって鍋ヒサ子のパーソナルデータを調べたところ、十七歳だという事に気付いてゆかりはぶっ倒れている。何が年の差じゃこのやろー。ちゃんと調べてけー!

「えー。でも本人が今日はいないって言ったんでしょう? わざわざ言うくらいには気を使ってるって事じゃないの、それ」
 ゆかりは何となくそんなことを口にした。別の可能性もいくつかあったが、なんとなく言う気にはならなかった。
「まあ。そうだな」
「それに年の差とか思いの差とか、そんなに悩むこと?」
「悩むことって……」やや目を見開くヤガミ。「おまえな」
「別にいいじゃない。満足行くまで好き会えば。だいたいね、それで恋人を連れてくるなんて言ったら、そりゃあ私じゃなくてもコイン投げるわよ。どちくしょー! 莫迦にすんなー! こんにゃろー! って」
「いやそこまでは……」
 言うかもしれないな、あいつなら。心の中でヤガミは思った。
「ああもう。勘違いさせることばかりしてるあなたが悪いんじゃない。ちゃんと話聞いたら?」
「あいつが不可解すぎるんだ! 俺はあいつのことをだな……」
「態度なんていくらでも勘違いされる物でしょう。それともなに、自分のふるまいは何もかも相手に伝わるなんて思ってるの、あんたは」
 うぐっとヤガミは言葉に詰まった。ほら見ろ、と笑うゆかり。
 まあ。これだけ言えばわかるだろう。
「はいはい。じゃあそういうことで、よし。お説教代は高級レストランのフルコースで」
「……なんだか損をした気分だ。だいたいなんで説教されて金を払わなくちゃならないんだ?」
「あら。思ったより元気ね。もっと責められたい?」
 にんまりと笑うゆかり。ヤガミは顔を引きつらせた。
「ふん……わかった。仕方ない」
「それでよし。素直は美徳ねー」
 いいながらゆかりは遠い目をした。
 なんか。納得されたらされたで、妙に虚しいというか、腹が立つというか……。
 つまらない。
「言っておくが。酒は無しだ」
「えーっ!?」
 そんなセンチな気分は一瞬で吹っ飛んでしまった。それを期待してたのにっ!?
「当たり前だろう」
「ひどいー」
「子供が背伸びするな」
「私は子供じゃないっ」
「子供はみんなそういうんだ」

 静かにしてください! と看護士に注意されるのはこれから数分後のことである。


/*/
#しばらくあと、本編

 ゆかりが部屋に入ったとき、鍋ヒサ子はベッドでごろごろしていた。細っこくて小柄な体、長い髪。しかし可憐とも言える見かけにそぐわぬでっかいギプスが、その片腕を固定していた。
 一日前、見舞いに行ったヤガミが骨を折ってしまったと言って腹を立てながらそわそわしていたのを思い出すと、何となく腹が立った。
「こんにちは」
 突然声をかけられたことに驚いたのか、ぴくりとヒサ子は肩を揺らした。こっちを見る。
「こんにちは。初めましてー」
「はい。これをどうぞ」
「なんですかこれ」
 挨拶もそこそこにさっさと用件を片付ける。手渡したのは携帯電話である。
「見て分からない? 携帯電話。正確にはPHSね」
「……そろそろサービス終了とか聞いたような気もします」悩ましげな顔をするヒサ子。「で、それで何をしろと。というか、やっぱり何ですかこれ」
「ヤガミから。武士の情けのプレゼント」肩をすくめるゆかり。「やっぱり心配してるみたいよ? じゃ、そういうことで、せいぜいがんばってね。アハハハ」

 それにしても、一目見た感想。
「あれ本当に十七歳?」
 あれじゃあ、ヤガミが幼い子だと思ってしまうのも無理ねーと思うのです。



作品への一言コメント

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引渡し日:2008/07/09


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最終更新:2008年07月09日 20:57