※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

船橋鷹大@キノウツン藩国様からの依頼より


空歌:「がんばる・・・まず、ダイエット・・・とか」

船橋鷹大 :「ダイエット?別に必要ないと思うけど」

船橋鷹大 :「まあ運動するのはいい事だよ」

後になって思い返せばこの言葉が全てのめんどい元凶であったと船橋鷹大は語る。

~空歌のダイエット作戦~

砂漠の横に建つ3階建てマンション「めぞんツン国」
「え、汗をかくいい運動?」
「う…うん」
船橋空歌の言葉に比野火焔は目を丸くした。
最近宰相府に出稼ぎに出ている彼女は珍しく帰宅していたところを空歌に懇願されて話を聞いていたのである。
「その…さ、最近ずっとお家の中にしかいないし、ちょっと体、動かそうかな、って思って」
「ふーん」
生返事を返しつつ、いつもよりも(!)やや挙動不審な態度を取る空歌を見る火焔。
運動不足とは言うが、この国に来てからの空歌は以前よりも体を動かす量が増えているはずである。
前に小笠原に一人住んでいた頃はそれこそ学校との往復くらいしか外に出る機会がなかったはずだが、現在では生活物資を買いに行くにも出歩かなければいけない。
同姓の火焔から見ても、最近の空歌は大分引き締まってきた…感じがする。いやあ美少女ハンター廃業しなきゃよかったなーとかなり…ちょっと思う。
それにしても体重を気にするほどではないはずではあるが、まあ友達としてとりあえずカマをかけてみることにした。
「空歌、太ったの?」
…訂正、カマでも何でもなく直球ストレートであった。がどーん、という派手な音と共に空歌が倒れる。
「……………ち、違うの。でも今よりちょっと落としたいの」
よろよろと手を突いて立ち上がる空歌。既にグロッキー状態である。
そんな空歌にすばやく近づいた火焔の手が伸びる。
「どれどれ」
ふにゃ
「ひゃぁぁっ!?」
「・・・そんなについてないと思うけどなあ。むしろとってもスレンダー…?」
「ちょ、か、火焔ちゃん?」
「む、だが下とは限らないのか。しからばその上を」
ふにゅ
「ひょわぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「うむ、何というか内蔵まであと一歩。おなかというより皮一枚」
「ねえ!火焔ちゃん!火焔ちゃんてば!?」
「フフフ、ならば残るはあと一点。乙女の何でもできる証拠を確かめるしかあるまい」
そう言うが早いか、火焔は腰に抱きついたままの態勢から空歌を床の上に転がした。
「やめて!?火焔ちゃんいつもの火焔ちゃんじゃないよ!?目つきが何か怖い!」
「ハハハナニヲイッテルンダ。アタシハイツモトオナジニキマッテルジャナイカ」
必死に逃れようとする空歌をマウントポジションに取ると、火焔は非常に生き生きと螺旋を描く目で見つめる。
(ああこれだ。これこそがあたしの本領ではないか。最近こう切れキャラとして位置付けされているがこういうのがあたしではないか!)
ばたばたと暴れる空歌を気にせず抑え込むとわきわきと両手を伸ばし-
がちゃり
「うるさいから、あんまり騒がないで」
「…は、遥さん?狙撃銃を零距離はかなり危険だと思うんだけどな遥さん?引き金を絞るのは止めて欲しいな遥さん!?」
物凄いひんひん泣く空歌の危機を救ったのであった。

「痩せる運動その1ー。山岳騎兵なんだから雷電に乗ろう!」
ぱちぱちぱち、とやややる気のない拍手が厩舎の前で響いた。
「あの…火焔ちゃん」
「なあに?」
「どうしてタンクトップなの?」
「騎乗してる時に暑いから」
「ど、どうしてホットパンツなの?こんな丈の短い…」
「汗を流せる部分を増やすため」
「ど…どうしてわたしもおなじかっこうなの…?」
「あたしのテンションが上がるから!」
短めのタンクトップを引っ張って背中とおなかを必死に隠そうとする空歌に、いいねえいいねえとニヤニヤする火焔であった。
「そ、それで」
「いやー最近忘れられてる気がするけどあたしとあなたは山岳騎兵!そして山岳騎兵といえば雷電」
びし、と指を天に向けると大きく手を回して厩舎に振りかざす。
「さぁ!コガ!今こそあんたの本気を見せる時!乙女の一大事だスクランブル!!」
もそもそとマグロを食べていたコガは火焔の言葉を聴くと、あくびをして藁の上にごろり、と寝そべる。
「こん駄犬がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
火焔のドロップキックが勢い良くコガの背中に突き刺さる。コガは慣れたもので嫌そうな顔をしただけだった。
いいから早く出ろ!と後ろからがしがし蹴りが飛んできて、しぶしぶコガは外に出る。
「という訳で、遠乗り100時間」
「え?」
「100時間耐久で乗れば痩せるって!」
「無理!絶対無理!」
いやいや、と涙目で首を激しく振る空歌。
「まあ乗ってみてから考えようか!」
えー!と叫ぶ空歌を引きずって無理やりコガにくくりつけると
ぐったりと汗だくになって目を回した空歌をコガが運んできたのは一時間後であった-

「痩せる運動その2!やっぱ水泳だよね!」
ぱち、ぱち、と元気のない拍手がオアシスに鳴った。
「いやあ、やっぱ駄犬に頼るのが間違ってたね。最後に頼れるのは自分の体のみ!」
黒と緑のストライプに彩られたビキニの胸の前で、火焔はぐぐっと握りこぶしを作る。
空歌はといえばお気に入りの桜色のワンピース姿でへとへとのようであった。
「じゃあ往復ターン500回!」
「む、無理だよ。私泳げない…」
「くあー!しまったそうだった!」
ガッデム、と叫びながら天を仰ぐ火焔。
すぐに首を左右に振りながらいやまてここで諦めてどうするあたしとぶつぶつ呟きだす。異様な雰囲気に空歌は若干引いた。
「だが諦めてはいけない、あたしが泳ぎを教えてあげるから」
「あ、足つかないと私怖い…」
あと火焔ちゃんが、と喉元まで出かかった言葉を手で抑え込むと空歌は後ずさりする。
その手をぐわし、と火焔が掴んだ。昼間なのに目が爛々と輝いているのを、空歌は確かに見た。
「支えててあげるから!さあさあさあさあ!」
「わ、わかったからひっぱらないでええええ」

「はいみぎーひだりーみぎーひだりー。そうそういい感じいい感じ」
オアシスの真ん中で火焔に手を取られながら、空歌は必死にバタ足をしている。。
あわあわと必死に息継ぎをしながら動く足は、ばしゃばしゃというよりはべそべそという感じの音を立てている。
「火焔ちゃん離さないでね!絶対に離さないでね!!」
「うんうんもう58回聞いた。とりあえず力抜いて水に浮いてからね」
空歌の懇願を59回いなすと、火焔はそろりそろりと気づかれないように手を引っ張ってオアシスの中央へと動く。
「いやーずいぶん泳げるようになったねえ」
「も、もう上がってもいい?」
「いや、最後の仕上げを」
え、という形に口をあけたところで両手を支えていた感触がなくなる。
支えをなくした空歌は、必然的に両手を天に伸ばしたままあわあわと溺れ始めた。
「た、たすけて!たすけて!」
「大丈夫大丈夫。ここまでバタ足でこれたんだから必ず浮ける!」
「無理!無理だから!」
「むう、無理じゃないっていってるのに…」
ぶつぶつ言いながら空歌を引き上げようと、火焔がかがんで手を伸ばす。
だが既に目をつぶって(そんなに深くないのに)溺れかけていた空歌は既に周りが見えていなかった。
更にバランスを崩した無茶な体勢に、心ならずも中途半端に覚えたバタ足を無意識に使ったことで空歌の右手は火焔の予想外の速度を得る事になる。
がしっ
「へ?」
ぶちんっ
何かを引きちぎったような感触が手に伝わったが、もちろん空歌はそれどころではない。廻りも判らず必死に手足をばたばたとしていた。
「わー!?」
顔を真っ赤にした火焔が必死に返して、返してーとこっちに来た様な気がしたが、もちろん空歌はそれどころではない。
空中をもがいていた手が何かに当たった時、彼女はそれを必死に掴んだ。しがみついた先が何か酷く柔らかな感触だったが、ようやく見つけた命綱である。必死に掴んで離さなかった。
うおー!ちょっとー!という叫び声が聞こえた気がしたがもちろん空歌はそれどころではない。そのまま足も抱きついて離れようとはしない。
いかな身体能力に優れた火焔といえど水中で、しかも溺れかけた人間に思い切りしがみつかれた状態では身動きが取れるわけがなく、水中で溺れそうな人間を助けようとして起こる二次災害の典型例が発生したのであった。
「ぎゃー!!コガー!!助けてー!!!」
叫び声が響き渡った。

びしょぬれのコガに背負われて二人が発見されたのはそれから30分後のことである。

船橋鷹大が旅行社から帰ってくると、空歌は布団で横になっていた。
何やったんだろう、と船橋が近づくとばね仕掛けのように飛び起きる。
「や、やあ。おかえり」
「…えーといったい何したんだ?」
「な、なんでもないよ?」
答える空歌の顔から濡れタオルがずれ落ちる。
「そか」
「あ、お夕飯まだ用意してないからちょっと待ってね」
立ち上がろうとして、空歌は躓いた。ぷるぷると震える手足で台所まではいずっていこうとしている。
「筋肉痛なんだろ。無理しなくていいから」
船橋は空歌をもう一度寝かせると、頭を撫でて新しいタオルを乗せた。
空歌、またしても涙目である。今度はさっきまでとは違う意味の涙目だが。
船橋は気づかないのか手馴れた様子で、昨日の残り物を簡単に温めなおすと食卓に並べていく。

夕食をとった後、船橋は空歌に湿布を貼りながら大体の話を聞いた。
もちろん空歌であったからそんなに流暢に話せるわけもなく、聞き終わる頃にはすっかり夜になっていた。
「ふーん、泳ぎに行ってきたのか」
「う、うん。頑張ったんだけど溺れちゃって…その、真央ちゃんに治して貰ってた」
火焔の水着が酷いことになってたりとかは流石に黙っておいた。かっこ悪いし、笑われるかもと思ったのだろう。
「あんまり無茶するなよ。ほい、貼り終わった」
「うん、ありがとう鷹大くん…」
「いいって。今度は一緒に泳ぎに行こう」
「うん」
「んじゃ、おやすみ」
ぱちり、と電気が消える。数分もしないうちに寝息が聞こえてきた。
しばらくしてから、空歌はもそもそと筋肉痛をこらえて布団から這い出す。
寝息を立てる船橋を眺めながらしばらくどうするか迷うと、同じ布団にもぐりこんで背中越しに横になった。
(…鷹大くん、一緒に泳ぎに行きたいって言ってくれた。うれしいなあ)
ちょっと照れた後、は、でもと何かに気づく。
(もし火焔ちゃんと一緒に行きたいとかだったらどうしよう…大きい人がいいのかな、スタイルいい人がいいのかな)
前に小笠原の海に行った時の記憶が頭の中をよぎる。そういえばあの時も胸の大きい人ばっかり見てた…
(や、やっぱりダイエットしよう。明日から御飯抜こう…)
その日何度目かの涙目になりつつ、空歌の意識は眠りについていくのであった。

その後、強制的にめぞんを出てダイエットするはめになろうとはこのときの空歌は知る由もない。


作品への一言コメント

感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)

名前:
コメント:



引渡し日:2008/07/22


counter: -
yesterday: -
最終更新:2008年07月22日 15:48