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蒼のあおひと@海法よけ藩国さんからのご依頼品


タイトル:吾輩は琥珀である

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吾輩は猫である。名前はまだ無い。

この世に生を受けて3週間。
母とは生き別れたが生きて行くくらいは何とかなっている。
厚い寒いは酷くなく、
そのあたりを歩いていればごはんをくれる人間は多いし、
恐ろしい生き物も・・・そんなに多くない。

親と生き別れたのは1週間前。
吾輩は黒くて大きな鳥に掴まれ、空を飛んだ。
色々なものが小さく見えて良い経験だったが、
ちょっと怖かったので二度目は勘弁して欲しい。
しばらくして、何かに驚いたか鳥が手を離し、
吾輩は人間の手の上に落ちた。
それ以来親とは会っていない。

しばらく、その日ぐらしの生活を続けていたが、
雨宿りのつもりで入ったこの場所で、
人間がごはんをくれた。
それ以来ここに居る。


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そうして日々を過ごしていると、
ある日、雨の中を二人の人間がやってきた。
仲の良さそうな夫婦だ。

奥さんの方に抱き上げられる。
とてもふかふかで懐かしい気分になるのはなぜだろう?
気持ちがいいので体を預ける。

旦那さんのほうは、見覚えがある。
何処で見かけたかと悩んだが、
ふと見せたまじめな顔で思い出した。
鳥から落ちた時に、吾輩の命を救ってくれた人間だ。

旦那さんを見て、奥さんを見る。
やはり人間でも、良いオスは良い伴侶に恵まれるのだなあと実感した。
吾輩も良いオスになるよう頑張らねば。


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しばらく奥さんに抱きかかえられていると、
夫婦が歩き出した。
どうやら別の場所へ連れて行かれるらしい。
この夫婦なら安心できる。
もしかするとえさをくれるかもしれない。
それにこの奥さんに抱かれていると
生き別れた母を思い出す。だからもう少しだけ・・・

そんなことを考えながらしばらくすると、
この夫婦の住み家らしい場所に連れてこられた。
大きくて、居心地が良さそうで、
なかなかいい場所である。
旦那さんには命を助けられたし、奥さんはいい人そうだし、
奇妙な縁も感じるので、しばらくここで厄介になろうと思う。

ふかふかした場所に下ろされ
突然暖かくて、大きくて、不思議な何かが目の前に現れた。
抱きついてみる。
暖かい。
ごろごろしてみる。
楽しい。
時を忘れてこの何かと格闘してしまった。

ふと見上げると、旦那さんの方が、
吾輩にに拝んでいる。
吾輩は猫神のように力のある猫では無い。
不思議なことをするものだ。
だが、ここはとてもいい場所だ。
何か危機が有れば全力で立ち向かおうと思う。
その程度には恩をかんじ・・・
ごはんだ。とっても美味い。

二人が話している。
どうやら吾輩に名前をくれるらしい。
コハクという名前だ。
奥さんが名前を呼びながら撫でてくれる。
とても心地よい♪
あまりに心地よく、鳴き声が出てしまった。

名の恩、飯の恩、そして大切にしてくれた恩。
それらを返せる程度には、
この場所を大切にしようと思った。


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ふと気がつくと、
夫婦が難しい顔をしていた。
ここは笑顔の似合う住み家だ。
最初の恩返しはその顔に笑顔を取り戻そうと決意する。

感謝の気持ちを込め、一声鳴く。

一瞬、夫婦が驚いたような顔をしたが
すぐに笑顔に戻ってくれた。
きっと思いが届いたのだろう。
吾輩でも出来ることは有るのである。


吾輩はコハクである。
この住み心地の良い場所を守る
一匹の猫である。


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引渡し日:2008/09/01


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最終更新:2008年09月01日 01:26