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うにょ@海法よけ藩国様からのご依頼品


 言葉とは分かり合うためにあるもの


 亜細亜のその日の任務は、FEGの是空藩王にPPGの密書を届ける事だった。
 亜細亜はあまり共和国の地理には詳しくない。そこでPPGが護衛につけてくれたのはotaponと言う人だった。すごいゲーマーらしくって、ぽち王女のログで何度か彼の事を読んだ事はあるけど、亜細亜はよくは知らない。
 FEGに出向いたものの、肝心の是空藩王は留守だった。聯合国の海法よけ藩国にいるらしい。
 海法よけ藩国か……。
 亜細亜は頭の中で一人の人物を思い浮かべていた。
 友達。だと思う。多分。
 ずっと仲良くしていたけれど、ある日突然「実は男だった」と言われた。
 偏見がないと言えば嘘になる。ただびっくりした。
 その後はちゃんと話していない。
 悪い事したかもしれないなあ……。
 亜細亜はいつも積極的なみらのと違って、友達と仲違いした時どう行動すればいいのかが分からない。
 喧嘩? ではないと思う。でもすれ違っている。すれ違っているのをどう接していいのかが分からなかった。
 でも今は。まずお仕事。
 亜細亜はパンと頬を叩いた。
 ここから先は戦場である。


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 海法よけ藩国は森国である。
 ツン、と樹の焦げた変に甘い匂いがする。
 燃えたのは大分前なのだろうが、燻っているのか未だに煙が昇っていた。
「ひどい……」
 亜細亜は思わず呟いた。
 確かよけ藩国は復興したばかりだったはずなのに、またこんな事になって。
 otaponは黙って亜細亜にマスクを渡した。
「ありがとう……」
 亜細亜はotaponに手渡されたマスクをつけて辺りを見回した。
 生きている人の気配がしない。横たわるのは死んだ人達ばかりだ。また戦争が始まったからどこかに逃げてしまったのだろうか。亜細亜は不安になりotaponの服の袖をぎゅっと掴んだ。
 otaponに亜細亜の不安が伝わったのか、otaponは何も言わずに先を歩いた。
「ダガーマンはここにいるのかな……」
 人は不安になると黙り込むか饒舌になる。
 元々亜細亜は前者だったが、少し人と話せるようになったためか後者に変わった。
「おそらくは。まあここが戦場になってるならいるだろう」
 otaponは素気ないが相槌は打ってくれる。
 亜細亜は少しだけ元気を取り戻して歩いた。


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 しばらく人気のない場所を歩いていた時だった。
 カサッ、と焼けた草を踏む音がした。
 ビクリッ、として亜細亜はotaponの後ろに隠れた。
「亜細亜ちゃん、こんにちは、久しぶりだね」
 知っている感じの声だった。知っているのはもう少し高い声だったけれど。
 亜細亜がotaponの後ろから見たのは、うにょであった。
 前は女の子だったけれど、前に宣言した通り男の人になって立っていた。
「俺の女に何の用だ?」
 otaponの言葉に亜細亜は顔を真っ赤にしてotaponの背中をぽかぽかと叩いた。
 うにょは少し困った顔で二人の顔を交互に見たが、まずはotaponに挨拶をした。
「はじめまして、大事な友達に話したい事があるんだけど、いいかな?」
「度胸には目を見張るものがあるが、まあ、ログアウトしたがいいと思うぞ。そんな用なら」
 otaponは冷たく切ろうとするが、うにょは少しビクッとした顔をしたものの、そのままぽそぽそと話し始めた。
「亜細亜ちゃん、そのままでいいから、聞いて欲しいんだ」
 亜細亜は少しびっくりした顔をしたが、otaponの背から顔を出してうにょを見た。
 うにょは真剣な顔をしている。
「この前は、嫌な思いをさせてごめんなさい」
 うにょが頭を下げた。
「話は以上か?」
「いや、ごめん、もう少しだけ」
 うにょの言葉に、otaponは少し後ろの亜細亜を見た。
 亜細亜は首をこくこく縦に振っているのでそのままうにょの次の言葉を待つ事にした。
「前にも言ったけど、亜細亜ちゃんと、仲良くなりたいって思ってた。でも、その気持ちが凄く空回って、逆に亜細亜ちゃんを傷つけてしまって、本当にごめんなさい」
 うにょが再度頭下げるのを亜細亜はしげしげと見ていた。
 うにょさんが謝る必要はどこにもないのに。
 すれ違っちゃったのは、私のせいなのに。
 亜細亜は真剣にうにょの次の言葉を待った。
「何度も何度も亜細亜ちゃんに嫌な思いをさせてしまってるけど、でも、亜細亜ちゃんと仲よくなりたいって、気持ちは、今でも変わってないです。自分勝手かもしれないけど、もし亜細亜ちゃんが許してくれるなら、もう一度、友達になってもらえませんか?」
 亜細亜は目を大きく見開いた。
 避けていたのはこっちの方だったのに。
 偏見持っていたのはこっちの方だったのに。
 なのに、またうにょさんは優しい事を言ってくれる。
 亜細亜は胸がいっぱいになった。
 女の子の時のうにょと、一緒にいっぱい遊んだ事を思い出した。
 男の人になったうにょも、あの時のままなんだと亜細亜は思った。
 首は自然に縦に振っていた。


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 誰かが言っていた。
 言葉とは伝えるためにあるものだと。
 私はちゃんとうにょさんに気持ちを伝えていただろうか。
 別に姿が変わっても、私達は友達だよと。
 一緒に歩いた時、前に戻れたみたいで嬉しかった。
 また、一緒にいられますように。
 私はそう思った。


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最終更新:2008年10月17日 20:15