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愛に国境は無い、性別も無い、人種も無い。愛したならば誰も止めることはできない。
つまりどんな酷い事になっても、その場合も止められないということだ。
                               E・ハガネスキー

燃えよakiharu国
あるいは
ソックス・ネバー・ダイ

AM11時
小笠原分校の教室に集ったakiharu国の面々はそわそわと落ち着きがなかった。
それもそのはず、今日の小笠原を楽しみにして長いこと頑張ってきたからである。
やがて誰かの影が廊下を歩いてくるのが見える。やや等身は低く、頭髪がもじゃっとしていていた。
皆の胸が緊張感に包まれる
がらり、と音を立てて戸が開いた。次の瞬間、MrBはにこやかな笑顔のまま教室の床に倒れ伏す。即死であった。
わざわざ持ってきたのか通信画面を模した黒い枠を持ったまま顔面からぶっ倒れている。何をする気だったのか。
皆がええええええとかぶっはーとかな、なんととか言い出して大騒ぎになる。
藩王、涼原秋春の「ちょ、展開早いよ!」という言葉がこの事態の全てを物語っていた。
教室の床に顔面から密着しているMrBを見下ろすように、副官のウィチタ更紗が肩で息をしている。
その手には湾曲したハリセンが握られている。あ、柄の部分が握力でみしみし潰れていく。
橘が「さーらせんせー!さーらせんせー!」とこの場にいるはずの女医の名前を叫んでいる。
「て、天誅……」
と呟いて更紗は泣いた。泣いてうわあああと叫びながら廊下を突っ走っていった。青春である。
「あ、待ってくださいー!」
「え、ええと、おはようございます。更紗さんーーー?!」
444と東西 天弧が揃って廊下に飛び出すと更紗を追いかけた。阪明日見も慌ててその後を付いて行く。

「あ、えーと、だいじょうぶですかー」
教室ではぶっ倒れたままのMrBに秋春がおずおずと近づく。前のめりに倒れたままぴくりとも動く気配がない。
「MrB……更紗さんはもう行ってしまいましたよ。あれくらいで死ぬ貴方ではないでしょう……」
果たして忌闇装介の漏らした通りであった。
忌闇の言葉に一瞬気を取られた秋春に、今まで感じた事のない快感がぞわぞわと走る。
「みぎゃー!」
「は、藩王サマ!?」
秋春の叫びに和志が振り向くと、突っ伏したままのMrBが秋春の靴下を脱がしてゲットしていた。恐るべき執念である。
そのまま自らの顔面に靴下を当てるとすーはーすーはーと嗅いでいる。
「さすがですねぇ」
「見事……!脱がせた相手にも快楽を与えるとは!!」
「鮮やかなる手つき…」
リバーウィンドと忌闇、鴨瀬がうんうんと頷く。今日の小笠原はハンターの多い世界であった。
「あぶないところだった」
そう呟きながらMrBは靴下を懐にしまいつつ立ち上がった。
「あらあらあら……変態さんですね」
「直球ですね、サーラ先生・・・」
夜明けの船の船医、サーラ・サーシャは大変おっとりした口調で100マイルクラスの直球をど真ん中に放った。
は、とその声に皆が振り返り、ハンター達は絶望した。靴下はいてなかったのである。
「おおう。素晴らしきはその美技。MrB。我が名はakiharu国のソックスハンター。名をソックスチキンと申します」
仰々しく名乗りを上げた次の瞬間、忌闇ことソックスチキンがMrBに近寄ろうと足を踏み出した瞬間、足元に現れた20m級の穴に自由落下した。
今日の小笠原、本当に展開が唐突である。
しかしソックスチキン、慌てず騒がず腰に落とした鞭を振るい、天井に吊るされた電灯に絡みつかせると難を避ける。
「ついにきたな」
「おそらく地上です」
もうもうと崩落した名残の土煙から現れた二人の影が会話を交わす。
「穴から、穴からヒトが?」
「このお手前は徳河先生かっ。て、かれんちゃんも穴の中からかっ!あたらしすぎる!」
葛藤の末に教室に戻ってきた東西と、橘が叫ぶ。
果たして地下から姿を現したのは考古学者、徳河舞蔵と海ラヴ主人公にしてアンドロイド、労働一号かれんちゃんであった。
徳河は毎度御馴染みの冒険家スタイル(インディでジョーンズなあれである)。かれんちゃんも連れに合わせてか探検家チックなサバンナスタイルに眼鏡(akiharu国滞在中はどうやら眼鏡を着用しているらしい)である。
「おわ!!鞭の師匠まで!!先生こんにちはー」
ぶら下がったまま挨拶をするチキンを馬鹿だなあ、と笑いながら和志も挨拶をした。それに続いて教室にいた者達が次々挨拶をする。
今度こそ宝のはずだったが、と手書きの地図を見ながらぶつぶつ呟く徳河の横で、かれんはこんにちは、みなさんと挨拶を返した。
そんな光景の中、かれんを違う目で見る視線が一つ。MrBである。
は、とその気配に気付いた阪、橘、東西、そしてハンターである鴨瀬が横取りさせてたまるか、と妨害に走る。
だが、迫る面々を前にしてMrBの目にはなおも輝きがあった。す、と多目的結晶を取り出すと何事か呟く。
そして次の瞬間、MrBの姿はテレポートを-しようとして失敗した。再び前のめりに倒れたのである。
本気と書いてマジになりかかっていた人々も全員こける。コントのお約束である。
「あらあらあら。犯罪ですよ?」と手に鉄棍棒を構えたサーラが笑った。明らかに棍棒から生温かい血が滴っている。
「ちょ、サーラ先生その凶器どこからー?!」
「あ、これ、麻酔用で医療用ですから」
「何ともakiharu国流な麻酔ですね・・・」
東西のツッコミをさらりと流しつつにこにことサーラは笑っている。

一方その頃
廊下を未だに走り続ける444は教室での惨状を知らされ、息も絶え絶えになりながら更紗に声をかけた。
「さ、更紗さん、Mr.Bというか、芝村勝吏さんが、 なんだかあなた以外の女性に殴られているようなんですが」
その言葉を聴いてぴたり、と更紗の足が止まる。
ゴゴゴゴゴゴ、という効果音と共に444には更紗の体から何か恐ろしい力が立ち上っているのが見えた。
「……う、浮気かあのがきゃー!っっ」
高速で反転するとどん、という音と共に更紗は一足で100m近くを跳んでいた。世界記録も裸足で逃げ出す勢いである。
がんばってー、と言いつつ444も急いで反転すると、更紗が空中で前転しながら教室の窓ガラスをぶち破る様が見えた。
普通なら突っ込んだ場所のみで済むであろう被害が、ソニックブームでも発生したかのように全てのガラスを破壊しての突入である。(実際発生していたのかもしれない)
ぎゃー、とかひぃぃぃぃ、などの断末魔の声が聞こえる中、どうやって狙いを定めたのか立ち上がった直後のMrBの側頭部に見事な飛び蹴りをお見舞いする。
(ちなみにその後ろでは鞭を使って飛び込もうとした444が残っていた窓ガラスに刺さってギャーと悲鳴を上げている)
壁にめり込んでいたMrBの襟首を掴み、ガラスだらけの床の上を引きずると更紗はサーラと対峙する。
「うちのものがご迷惑かけました」
「いえいえ。凄い大人しかったですよ?」
盾になってガラスの破片が全身に刺さった東西をぐい、と横にやるとサーラはにこにこと返答した。
更紗の背後にメラメラと燃え立つ炎が見える。すすす、と周りの連中はこれから起こるであろう惨事から逃げるために遠ざかり始めた。
「そうですか、失礼しました」(にっこり)
「いえいえ。どういたしまして」
更紗はそのまま校庭に出た。待て、ガラスが刺さったままだぞ。いやちょっと待ってくださいお願いしますと足元の誰かが言っている気がしたが全く気にしていない。
しばらくすると、教室にこの世の終わりの如き断末魔が聞こえてきた。皆耳を塞いだり、雲に誰かの顔や靴下を見たり、ガラスの破片や食べられなくなった弁当を穴に捨てたりして断末魔の主の最期を悲しんだ。
「大変だな」
なにがですか、と横できょとんと聞き返すかれんちゃんを無視して徳河はそう呟いた。
「徳河さんは奥さんと喧嘩することないんですか?」
「俺の奥さんは良く出来ているからな、うらやましいか?」
「うわー、のろけだー。うらやましいですよ!」
そんな444の叫びを尻目に「勉強会しないといけませんね」というサーラの言葉で教室は片付けられ始めていた。

校庭ではMrBが頭に刺さったガラスの破片を抜きながらぶちぶちと何か言っている。
「ひどいめにあった」
「他の女の靴下なんかに手を出すから」
「いや、信じてくれ。本当だ。あれは未遂だった」
実際はその前に他の男の靴下に手を出しているがそれは口にしない。
そして容赦なく殴られた。地面を5回くらいバウンドして塀に激突する。
「なお悪いわ!」
ぜーぜーと肩で荒く息をしながら更紗はどこかから部品を取り出してかちゃかちゃと組み立てていく。
20秒もしないうちに、その手にはロケットランチャーが握られていた。
「まあいい」
片手で器用に弾を込めると、照準を先ほど出てきた教室に合わせる。
「あの女に、教育してやります」
ま、まてとMrBが呟くが時既に遅し。ロケット弾が噴煙を上げて教室に直撃した。
「何か嫌な予感が! 総員対ショック姿勢ー!」
秋春の叫びが爆音にかき消される。
教室からもうもうと爆煙が上がる。ひゅーんとリバーウィンドが窓を破ってどこかに吹っ飛んでいった気がしたが誰も確認できる状況ではなかった。
直撃を喰らった面々は起き上がることも出来ず転がっている。
「ぐ……お見合いにあわせて、鞭の達人に着替えたせいで、気付けなかった……」
頭の上に乗っていた床の破片を落としながら秋春が立ち上がる。
「サ、サーラ先生は無事なのか……」
とっさに目の前にいたサーラをかばった444はサーラを探す。
見れば穴の中に早々に隠れていたらしく、普通に穴から登ってくるサーラの姿があった。
は、と444が後ろを見ると、そこには変わり果てた姿の掃除用具用ロッカーが転がっているのみだった。
「はっ、これはサーラ先生ではない。変わり身!? グフッ……」
「流石…なり…」
真っ黒になりながら鴨瀬が呟く。口から黒い煙も吐いた。
「かれんちゃん、徳河先生?大丈夫ですか?」
「無事か?」
「耳から煙がでていますが、ええ」
阪の言葉にかれんちゃんは文字通り煙を耳から噴きつつ答える。
「それは無事とは言えない様な……」
ぼたぼたと水滴を垂らしつつ、どこからか戻ってきたリバーウィンドが呟いた。
大穴とロケット弾のせいで既に教室は授業を行える状況ではなかった。無理して続けると校舎の保障どころか本当に命の保障が出来なくなりそうである。
「ふむ。本日は青空教室ですかねぇ」
「校庭は危ない気がするよ!徳河先生、抜け道とかないですか?」
「任せておけ」
「抜け道なら、こちらに」
二人は早速自分達が掘ってきた穴の中に姿を消す。
「あー、うん。アレだ。今日の勉強会は徳河先生の考古学実習と言うことにして、穴から脱出しましょう!」
「よーし、徳河せんせいとかれんちゃんについていこう・・・ど、どこにでるんだろ・・・」
「かれんちゃんが言うならだいじょうぶなのかな。では脱出、と」
秋春の言葉もあって、焼け焦げていた連中もぞろぞろと穴の中へと潜っていく。
そして静かになった学校で、一人こそこそ蠢く影があった。ソックスチキンこと忌闇、いや忌闇ことソックスチキンである。
教室が爆破される前に一人MrBを追っていた彼は、校庭に忍んで難を逃れていたのである。
(MrB、今助けます)
しゅ、と鞭を音も無く振るうと倒れたままのMrBに絡みつく。
よし、と思い力いっぱい引っ張ろうとした次の瞬間、更紗がこれもまた見事な鞭捌きでMrBに鞭を巻きつけた。
2本の鞭が両腕に絡み、引っ張られることでMrBの体を空中に吊るし上げる。
「あぁ……いい、違う。はなせ!」
危うく別の方向に目覚めかけるMrB。
「私のほうがいいっていいなさい」
明らかに別の方向の意味で取られる発言をする更紗。
「MrBこちらにはいいソックスがありますぜ!!」
ソックスチキンが取り出したアタッシュケースを開けるとそこには色とりどりの靴下が詰まっていた。
くわ、と目を見開くとMrBは素早くソックスチキンの鞭のほうへと体を回転させていく。あっという間に一枚のソックスを嗅ぐと、素早く鞭を振りほどいた。
「逃げるぞ」
「応です!!」
すたこらさっさー、と校門から逃げ出す二人。後には物凄い殺気を放つ更紗が残されていた。
「まてやこらぁーっっっっっっっ!!!!!」

さてここで、教室の穴へと潜っていった一行の姿を探してみよう。
案外長い長いトンネルを抜けていくと、そこは蒼い蒼い海であった。
ようやく(普段の)小笠原っぽい展開である。
「わー、海だぁー!」
「……いったいどれだけの距離掘ったんですか。海岸て」
「おお、小笠原っぽいところにでたなあ・・・とりあえず煤だらけの顔を洗おう」
「海岸に繋がってたんすねー」
「おや。着水したまま浮かんどおけば手間が省けましたねぇ、私。」
ぞろぞろと穴から出てくる一行をびっくりした顔でふみこ・O・ヴァンシュタインと結城火焔、それに雷電のコガが見ている。
3人(?)とも水着姿である。ふみこと火焔は悩殺ビキニ姿で、コガはストライプの全身水着を着ていた。
「なにがあったの。バズーカ打ち込まれた民兵みたいな顔してるけど」
こ、こんににちちちちと言いながら倒れる東西を横目に見つつふみこが訪ねる。
「さすがにお鋭い。ロケット弾打ち込まれた考古学者です」
「まあ端的に言うと、ギャグ時空になるとバズーカで教室爆破くらい普通に起きるんですねという状況です」
リバーウィンドと秋春の端的な説明を受けてふみこはふぅん、と呟いた。戦争でもあったと把握したらしい。
その後ろから皆を見回していた火焔が「顔、洗った方がいいよ」と心配そうに言った。
砲撃のせいで一様に真っ黒な顔をしていたからである。
「うん、洗います。・・・ひどいかな、顔?」
「そうだねー、ああっ、傷に染みる」
「顔洗うっす!・・・ごくごく・・・」
ごしゃごしゃと全員海に向かって汚れたところを洗い出す。後ろではリバーウィンドがどこから取り出したのか全員分のタオルを準備していた。
「平和なリゾートっていう話だったけど」
顔を洗うakiharu国民を見つつ、ふみこは顔に手を当てる。
「リゾートは平和です。うちの国民はデンジャラスです」
顔を拭きながらあっさりと言い放つ東西。確かにそうだがいいのかその答え。
そんな中、一人サーラが「あらあらあら、遠くで変態さんの声が聞こえますね」と呟いた。
(その頃鞭での引っ張り合いをしていた更紗が時空を超えてかちんときたとか何とか)
自己紹介やら何やらでのんびりと時間が過ぎる中、「ばう」と誰かが(該当するのが一人しかいないが)言った。
「ん?なんてったの?コガ。火焔さん、コガさんのいうことわかります?」
ば、ばうと隣で吼え返している東西を尻目に橘は火焔に訪ねた。
火焔が目の前に来ると、コガは身振り手振りを加えてばうばうと何事か言い出した。
「えーとね、て、き、しゅ、う。敵だって」
コガは賢いなぁ。飼い主に似たのかなと一人呟く鴨瀬を残し、全員が大騒ぎしながら周りを見る。
すると、海岸をこちらに向かって走ってくるMrBとソックスチキンの姿が見えた。青春ドラマっぽく爽やかそうに手を振っている。
「ちょ、こっちくんなーーーー!!!」
橘の叫びでMrBの存在に邪念を感じたのか、縞々の水着を着たコガが唸り声を上げて飛び掛る。
水着こそ着ているが戦闘のために作り出された生体兵器99式雷電である。まともな力比べをすればたとえソックスハンターでも危うい。
相対距離がぐんぐんと縮まる中、MrBとコガが砂を蹴散らしながら跳躍をした!
二つの影が空中で交差する刹那、MrBは懐から取り出した靴下を素早くコガの鼻先に押し当てる。もんどりうってそのまま砂浜に倒れるコガ。
勝負を制したMrBはまた爆発はいやっすーと叫んでいた和志を(靴下を履いていないと見るや)蹴り倒した。和志、焼けるような砂浜に顔面から着地。
後を着いて来たソックスチキンは和志に取り出した靴下を履かせるとよし、と親指を立てた。
「徳河先生、皆の為にBと忌闇君の前に落とし穴を!」
「ちょっと掘ってみるか。宝でるかも」
聞いてねえー、と叫ぶ橘。
「あらあらあら、また変態さんですね」
サーラのそんな言葉を傍らで聞きつつ「あのひとは変態さん」と、かれんちゃんがメモにとっている。
情操教育の一環のような状態である。
「なんだか分からないけど、ひどい騒ぎね」
狂想曲の如き状況を見物しつつ、そう呟くふみこ。
と、いつの間にかその横に立っていた万能執事ミュンヒハウゼン45世がふむ、とこちらも呟いた。
「お嬢様。多数の熱源でございます」
あらそう、と言うとふみこはどこかから空飛ぶ箒を取り出し、海の上へと撤退する。近くでその言葉を聞いた火焔とコガも慌てて海へと飛び込む。
「ふみこさん、まってー!え、皆にげて!」
阪が叫んでいると、遠くから何かがひゅるひゅると音を立てて飛んでくる。
振り返って空を見れば、無数のロケット弾が海岸目掛けて飛んできていた。
大急ぎで皆海や徳河が掘った穴に飛び込む。2秒もしないうちに爆音と砂塵が上がった。
海岸を見下ろす丘の上にはロケットランチャーを構えた更紗が仁王立ちである。怖い、理由など無く怖い。
人体の限界を明らかに超えた動きでロケット弾を次々に装填すると、物凄い勢いで連射してくる。
次々と起こる爆発で海岸は見る見るうちに穴だらけの戦場と化していく。80年代特撮のOPの如く上がる火柱の間を皆駆け抜けていく。
「に・が・す・か」
「にげるんだよ。靴下があるからな」
「靴下がある限り、地平の果てまで逃げますぜ!!」
「死ねこの変態!」
ちょこまかと海岸を逃げ回る2人に、容赦ないロケット弾の雨が降り注ぐ。西○警察も真っ青の火薬量だ。
「本当にひどい変態さんですね」
あらあらと顔に手を当てながら酷い事を言うサーラにきりきりと音を立てて更紗が狙いをつける。
どうやって聞こえたかではない。おそらく聞こえたというより感じたのである。
にっこり笑った後、ランチャーの引き金を引いた。
「きゃーーー!」
「ギャー!」
秒速120m弱でサーラに迫るロケット弾の前に444と阪が身を投げ出す。これもまた愛のなせる技なのか!
直後、爆発が起こり、二人の漢は真っ黒焦げになって砂浜に転がった。
「あぁぁ、阪さんがー、4さんがー」
「ちょ、阪さーーん」
「4さん!・・・は、いいか」
おい!と444の口から出てきた人の形をした何かが和志にツッコミを入れる。
そんな黒焦げの二人を「あらあらあら……」と呟きながらサーラは眺めている。幾分視線が冷たい。
「……サーラ先生がいつもより黒い?」
「さ、サーラ先生、一応治療お願いします」
鴨瀬の呟きが聞こえたのかどうかはともかくとして、黒焦げの二人の隣にサーラはしゃがんだ。
「あ、そうですね。はい。いたいのいたいの、とんでけーっと」
「うわー、それ全然科学的じゃない!」
「ああ、なんだか光る雪に打たれてる間に、 痛みとか感じなくなってきたよ……」
すーと444の口から出ていた何かが手を振りながら天に昇っていく。とても満ち足りた表情であった。
「ぬぁ、昇天はまずいです昇天はっ」
海に逃げていたリバーウィンドが大急ぎで鞭を振るい、444の魂を繋ぎとめる。
騒ぎが収束する可能性は全く見受けられなかった。

未だに逃げ続けるハンター二人への爆音が遠くから響いてくる。
「騒がしいわねあれ。ミュンヒハウゼン、何とかなさい」
「かしこまりました」
主の命を受け、万能執事がどこかへ歩いていく。
数秒後、騒ぎ収まらぬ海岸に空から光が打ち込まれた。ふみこ所有の万能衛星から放たれたサテライトレーザーである。
「わーすごいねコガ」
レーザーが降り注ぐ様を見てそう漏らす火焔にバウ、とコガが返す。
巨大な噴煙がもわもわと上がっていくのが見えた。

一方レーザーが直撃した砂浜では。
「対レーザーコーティングを施した靴下が無ければ死んでましたね!」
「全くだ。急いで逃げるぞ」
あちこち焦げたりしているMrBとソックスチキンがまだ逃げていた。両手に靴下を持ちながらあちこち大穴が開いている海岸を走るハンター達。
後ろの方から更紗が重火器を撃ちながら追いかけてくる。こちらもあちこち焼け焦げたり、服がボロボロな以外は特に怪我らしい怪我が見受けられない。
「死ねソックス共!」
怨嗟の声と共に放たれた何度目かのロケット弾の雨を、ハンター達は手にした靴下で次々叩き落していく。
「4さん!4さん!行っちゃ駄目だって!」
そんな騒ぎの向こうでは昇天しかかっている444と阪の魂を必死に皆が止めようとしていた。
「あらあら、元気ね」
ただ一人、そんな状況を無傷でニコニコと微笑んで見ているサーラ。恐ろしい女医である。というか手伝わなくていいのか。

世界の靴下を(自分の)物にするまで、ハンター達に休息は無い。
そしてハンター達を倒すその日まで風紀委員に明日は無いのだ。

つまり、この騒ぎは終わることが無いということで一つ。


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引渡し日:2008/02/22

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最終更新:2008年02月22日 08:03