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松井@FEGさんからのご依頼品


紫ラメのできるまで

ここは南国、リワマヒ国。
南国らしく生い茂る木、樹、熱帯雨林。
木々の陰に隠れるようにして、その酒場は今日も賑わいを見せていた。
酒と料理の香り漂う店内に、とある猫士が2人。

「今日も疲れたニャー……。」

「いつの間にか木が大繁殖してたからにゃー。お手入れも一苦労にゃ」

「でも、頑張るニャ」

「負けないにゃ。ここが踏ん張りどころだにゃって東さんも言ってたのにゃ」

「摂政様、今日も輝いてたニャー……主に紫色に」

「あのズボン(?)どこで手に入れたんだろにゃー。とっても欲しいのにゃー」

”知りたいかい?”

カランカラン。
酒場のドアに取り付けられた大きめの鈴が来客を告げる。
ドアを背に立っているのは、南国には珍しく厚手の外套を羽織り、帽子を目深に被った男。
さらには、猫士たちの見たことのない弦楽器を背負っている。

「吟遊詩人さんかニャ…というか暑そうニャ」

「ええと……、って。東さんの紫ラメの服、どこで売ってるのか知ってるのにゃ!?」

”ああ ああ知ってるとも ただしあれは売り物じゃあない”

少年のような無邪気さと、大人の艶やかさが同居した声。
猫士たちは、まるで魔法にかかったかのように男を見つめている。

「お、教えて欲しいのニャ!」

「お願いしますにゃ!」

”いいとも いいとも しかし私は喉が渇いた”

”話す代わりにビールをいただこう”

「おごれってことかニャ……。結構しっかりした詩人さんだニャ」

「ご主人ー、キンキンに冷えたビールを一杯ずつ持ってきてほしいにゃー」

運ばれてきたビールをぐいと一気に飲み干すと、男は楽器を奏で始めた。
周囲の喧騒はビールとともに男の中に吸い込まれ、今は男の歌声しか聞こえない。

”おいしいビールをありがとう”

”では聞かせよう 紫ラメの できるまで”

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それほど昔でもない、昔。
一人の、男がいた。名を、東 恭一郎、という。
さてこの東、故国リワマヒがテラ領域に入植するにあたり、
国に貢献するためには自分を磨き鍛えねばならぬと考えた。

悩みに悩み、彼が向かうは彼の村一番の物知り婆の家。
彼は問う。”どうすれば国のためになる男になれるだろうか”
老婆は答えの代わりに、一着の衣服を投げて寄こした。
それはそれは白く、汚れを知らぬ真更の白。

”染めて見よ お主の手でこの白を 思うままに”

”だが 容易くはないぞ この白は易々とは染まらぬゆえ”

/*/

一応試してみたものの、白き衣服は一向に染まらなかった。
しかし東は諦めない。方々を尋ねて回り、ついに彼は手がかりを得た。
この広き星のどこかに、「色」を司る国があるという。
その国王に認められた者のみが、色を得ることが出来るのだ。

東の旅が始まった。それは長い長い旅であった。
そしてついに。
七つの平原を歩み、七つの山を越え、七つの谷を渡った先に、その国はあった。
国の名を示すシンボルには、紫の国、とある。

だがこの国は、普通の国とは少し様子が違う。
三つの小国に、三つの女王。
緑の才知の国には知恵の女王、青き壮健の国には力の女王、そして赤き慈愛の国には愛の女王。
国境入り口は三つに分かれ、入り口の前には立て札一つ。

”ようこそ 紫の国へ”
”生まれたての赤子が如き 貴方を歓迎しましょう”
”力の女王は前途の健康を 知恵の女王は潤沢な機知を 愛の女王は母なる祝福を”
”我らを訪ねる順番は 貴方の選択任せ”
”ただし色を求める者は 訪れる順番をよく考えること”

どうやら、三人の女王を正しい順に訪ねなければ色は手に入らないらしい。
しばしの黙考の後、東が選んだのは……

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”白き旅人よ 色を求める者よ よくぞ私を最初に選びましたね”

言うは、愛の女王。
優しき母の面持ちで、微笑みつつ東に語りかける。

”立て札が問答であるのなら、その助けも立て札の中にありました”
”そう 貴方方の言う通りならば私は赤子”
”赤子が最初に求めるものは 母なるものの祝福 つまりは愛情です”

愛の女王は、微笑んだまま口を開く。

”いいでしょう 貴方の白に 私の愛を授けます”
”ようこそ そしておめでとう”
”願わくば 赤子に健やかなる成長を”

その言葉を聞くと、東は女王に礼を述べ、慈愛の国を後にした。
来るときまでは何があっても汚れすらしなかった彼の衣服は、
愛の女王の祝福によって、赤々と燃えていた。
さて、彼が次に向かうは……

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”私が二番目か 最初に来ても良かったのだがな? ははは”
”さあ お前の答えを聞こうか”

かんらかんらと笑う力の女王。
その目は、好奇と感心で光り輝いていた。

”母の祝福を受けた赤子が次に得るべきは何か”
”教えてくれたのは、愛の女王でした”
”わが子の健やかなる成長、健康こそが母の願いであるならば 次に向かうべきは貴方の所”

力の女王はますます高らかに笑いかけると、東の肩を叩きながら言った。

”よし よし いい答えだ”
”ならば私も報いよう 愛に応え得る力をそなたに”

またも東は礼を言い、壮健の国を後にした。
赤と青、二つの色が溶け合い紫となった衣服を身に纏って……。

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”一番最後に回されてしまったのね 少し寂しいかな”
”一応聞くわね どうして私が三番目?”

少し拗ねた素振りを見せるのは知恵の女王。
もっとも、あくまで素振りだけで、彼女の目は東を興味深そうに見つめている。

”貴方を後回しにしたわけではありません 知恵とはそういうものなのです”
”母の祝福を受け 健やかに育つ子供”
”やがて彼は知ります この世界には多くの謎が秘められていることを”
”その謎に迫る手段こそ 育ってゆく中で得る知恵”
”そう 知恵は愛と力を束ね 強くすることのできる最後の決め手なのです”

そう告げる東の顔には、何か以前とは違うものがあった。

”うまくいい逃れたわね なんてね? いい答えをありがとう”
”愛と力 知恵で上手に活かしてあげてね”

才知の国を後にして、紫の国の入り口に戻ってきた東。
紫色だった彼の衣服は、知恵の女王の手によって、美しく煌く紫ラメへと変化していた。

ゲートに立ちふと振り返る東。そこには三人の女王が立っていた。

”いい子ね それにどうやらもう 私たちの役目も終わり”
”さあ行け 今のお前を必要としている者が山のようにいるぞ”
”もしも迷ったり 壁にぶつかった時は 私たちのことを思い出してね”

東は深々と礼をすると、前を見据えてこう言った。

”愛 力 知恵 そのどれもが欠かすことのできないものだと この旅で私は学びました”
”しかし一番大切なのは 学んだことをただ学んだままにしないことです”
”自分に何ができるかわからずに旅をした私ですが ようやく分かりました”
”それは誰もが悩むことなのだと そしてそれは乗り越えることができるのだと”
”もう悩みません 恐れません 私は私の出来る精一杯をするだけです”

そう宣言すると、東は後ろを振り返ることなく、歩き始めた。
三人の女王の表情は見えなかったが、彼が気にすることはない。
そう、彼はかつての彼ではない。
リワマヒ国の東 恭一郎を必要としている人々のため、今は前進を続けるのみ。

そう、この耀く紫ラメとともにある限り……!

/*/

現代。
リワマヒ国、酒場。

”ご清聴 ありがとう”
”ビールも非常に美味しかった”

「す、すごいニャ東さん……」

「まさかそんな大冒険をしてたにゃんて……!」

「あの紫ラメに、そんな秘密があったんだニャー」

「歌の最中、次から次にビールをお代わりさせた甲斐はあったにゃあ」

「素敵だニャ……」
「あこがれちゃうにゃ……」

ぽわわわんと空想にふける猫士たち。
夢心地な彼らは気付かなかった。
吟遊詩人が猫士たちをよそに店を後にしたことも、
ドアを開ける際に吹き込んだ風で外套が翻り、
その内側に紫色に輝く服が一瞬ちらりとのぞいたことも……。

/*/

大法官ばなし


共和国のとある国。喫茶店の片隅で、二人組が世間話をしている。
片方は古くから共和国に住んでいるらしいが、もう一人は最近帝國から移住して来たらしい。

A(帝國出身)「……と、いうわけでさ。ようやく落ち着いて暮らせるようになったよ」

B(共和国出身)「大変だったなあ。でもほら、共和国もいいもんだろ?この藩国は治安もいいしな」

A「ああ……。そういや、治安といえば共和国でも治安維持は法官とか警官の仕事?」

B「もちろん。大法官だって共和国には二人もいるんだぜー」

A「大法官かー。帝國大法官の都築さんはすごい人だよー!」

B「ああ!頭がモヒカンなんだろ?すごいよなー!『地べたすりは消毒だぁ~!』みたいな」

A「すごいところはそこじゃねえよ!しかもモヒカンじゃねえソフトモヒカンだって!
 大法官なのに種もみ奪っちゃいそうじゃねえか!
 ……ほら、TLIOとかで政策方面のまとめ役やってたりさ!」

B「TLOのまとめ役……ゴクリ」

A「ちがーーーう!みんな一度は思ってても黙ってるんだからシーッ、シーッ!」

B「ま、まあ大法官と呼ばれるだけあって、みんな何かしら優れたところがあるんだよなきっと」

A「だなあ。都築さんは他にも藩王でありながらラジオやってたり、色々と活躍してるよ。
 共和国の大法官ってどうなの?」

B「一人は成人してるのにおしゃぶりしてピコピコハンマーを嬉しそうに振り回してて、
 もう一人は紫色にラメの入ったニッカボッカ、上半身は大体裸だな」

A「それのどこが大法官として優れてるんだよ!
 おしゃぶりにピコハンとかどう考えても頭のおかしい変態じゃねえか!」

B「いやでも東さん笑うと歯とか超白いし……歯並びいいし……」

A「白さはどうでもいいよ!てか東さんって誰よ!?おしゃぶりの方!?ラメの方!?」

B「『紫』ラメな。お前ここマジ絶対間違えんな」

A「そこ!?そこが絶対防衛線なの!?」

B「f:紫ラメ=東さんといっても過言ではないな。むしろ紫ラメが本体かもしれん」

A「いやいやいや、そのi言語は認めちゃダメだからね世界」

B「……しかし、だ。お前は東さんのすごさを理解していないようだな?青狸はどうでもいい」

A「いや、ある意味すごいってのはこれまでの話で分かったけどさ……。
 もっと大法官とか、治安維持とかの方面ですごいってのはないわけ……?」

B「なんだ、そっちを聞きたかったのか。それならそうと早く言ってくれればいいものを……ハァ」

A「ため息!?というかなんでこっちが悪いみたいな雰囲気なんだよ!?」

B「じゃあお望み通り、大法官として治安維持に携わる東さんのカッコよさを語ってやろう」

A「(なんで偉そうなんだ……)はい、お願いします」

B「紫ラメが今日も輝く東さん。藩国の治安維持は彼の統括だ」

A「おっ。まともな出だしだな」

B「彼が指揮するおかげで、藩国の治安は良好だ。
 ……む、しかし世に犯罪の種は尽きまじ、万引き犯が逃走中のようだ」

A「ふむふむ」

B「そこで我らが東さんの活躍の時だ!」

A「おお、かっこいいじゃないか」

B「突撃小銃片手に、今日もオールハンドゥ、ガンパレード!」

A「待て待て待てーーーーい!犯人逃げて、超逃げてーーーーー!」

B「むっ貴様、犯人をかばう気かっ」

A「そういう問題じゃねえだろこれーー!?」

B「指揮官としての東さんは、実に頼りになると思います」

A「ねえどこに向けて話してるの!?なんか人違うよ!?」

B「もちろん、各国の法官をまとめる仕事や
 リワマヒ国摂政としての各種業務もぬかりなくやっているぞ!」

A「それを最初に言えよ!何で『あ、こういうのもあります』的な言い方なんだよ!」

B「ほら、『人は第一印象が七割』ってよくいうし……アピール?」

A「ほら、じゃねえよ!お前のせいで間違った七割植え付けられたわ!
 いやもうほんとこんなんですいません東さん……」

B「誰に言ってるん?大丈夫?」

A「お前のマネだよ畜生!」

B「今回のまとめとしては、『人間の本質は肩書じゃない』、ってことだな」

A「いい加減にせんかい!」


お後がよろしい……といいな……。
こんなん書いてしまいましたが、筆者は東さんも都築さんも素敵な大人物だと思っております……!
(必死のフォロー)


作品への一言コメント

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  • おまけまでいただいてありがとうございました。あのお題でここまできれいにまとまるとは正直、思ってもいませんでした。いいものを読ませていただきました。ありがとうございました。 -- 松井 (2008-12-03 00:57:29)
  • すばらしすぎてモニターにごはんを吹いてしまいました。 大法官の力が余すところなく発揮された素敵なSSです‥!(ゴクリ -- 和子 (2008-12-03 01:20:03)
  • NWCで称号を頂いてくるくらいには盛り上がりました、都築です(笑) 楽しませていただきました、GJっす。 -- 世紀末大法官 (2008-12-25 00:27:01)
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引渡し日:2008/12/02


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最終更新:2008年12月25日 00:27