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この日、SW-Mはマイトと夕日の浜辺で語り合っていた。
遠くに見える太陽は真っ赤に輝き周囲を燃えるような色で染めさせている。
SW-Mから見ると太陽はどこか悲しそうな感じがした。それは自分の心を移したのだろうか。
さざ波の音をBGMにしながらもその声ははっきりと聞こえた。

「ごめんね。やっぱり誰か呼ぶよ」
「ダメ」
SW-Mは心の底から否定した。
決然としていながら、短くも有無を言わさない言葉だった。
しかし、マイトは気にするでもなく通信を始める。

「マイト、いいから話してよ」
「何を?」
「言いたいこと、全部」

「言いたいことは、何もないよ。変なSW-Mさんだな」
「僕は、誰かに言いたいことは何もない。分かってもらおうとも、思わない」
マイトは顔に微笑みを浮かべた。
「それじゃだめ?」

「だめ」
「私は、マイトを分かりたいよ」
SW-Mはいつくしむ様な眼差しでマイトを見つめた。
その顔はどこかの聖女を思わせた。絵画にでも描かれているような、そんな雰囲気だった。

「僕をわかっても何もない」
「ある人から、言われたことがある」

「じゃあその人はマイトを本当の意味で理解できなかったんだよ」
心底そう思い、マイトを見つめた。その瞳はまるで自分の子供をかばう様な、そんな優しい瞳だった。

「お前はただの虚無だ。お前はFよりもかのものに近いと」
「俺も、そう思う。最悪な事に、それのなにが悪いと、思ってしまっている」
マイトはあえて俺と言う言葉を使った。

「それ言ったの、誰?殴りに行きたい」
SW-Mはとげとげしく言葉を吐いた。体じゅうが熱くなり、髪の毛の先からピリピリとした感じがあった。

「難しいかな。もう、天国だよ」
SW-Mはきっとマイトが殺したんだと悟った。

「……マイトはさ、機械っていわれても平気なの?」

「別に?」
マイトは優しく笑っている。その顔がSW-Mをひたすら傷つけた。
「機械にも言い分はあるし、機械にも優しい子はいるよ。強いものもある」

「……マイトはさ、怪我しなれてるんだよね?」
SW-Mの中である考えが浮かび、マイトに対するいらだちを含めてそれを表現しようとした。

「うん」
「おかげで、手加減がうまくなったよ」

「じゃあさ、ちょっとでいいから、勝手をさせてもらうよ」

マイトは罪のなさそうな顔をしている。
SW-Mは拳をマイトへと叩きつけようとし、軽く手で押さえつけられた。
「ごめんね」
マイトは連絡した。
「連絡まった」
SW-Mはこのままマイトがどこかへ消えてしまうような気がしてならなかった。
放すものか。そう思いながら連絡を阻止しようとする。

「赤鮭さん? 僕だ」
マイトはSW-Mを見て、やさしく笑った。

「殴りたいのは、マイトが機械だっていわれて何も思わないからだよ」
マイトの瞳はもう近づかないから許してくれと言っていた。

「私はさ、マイトが好きだからさ、マイトがどういったって許そうと思ってる」
「けどさ、だれも近づけないようなその態度が我慢ならない!」
SW-Mは好きな人に本気でぶつかっていた。この気持ちをマイトが理解してくれたら。
そう思いながら言葉をぶつける。

「そろそろ時間ですよ。ええ。お願いします」
マイトは笑った。
「殴られたら、だれだって避けますよ。SW-Mさん」
「ほんとにもう、子供だなあ」

「そういう意味じゃない、そういう意味じゃないよ」
マイトに対して発した言葉は最後の方は本当にかすみになってしまいそうだった。
だめだ、離れていってしまう。私とマイトの距離がどんどん遠ざかってしまう。
SW-Mは焦りにも似た感情を胸に抱いた。

「そういう意味ですよ」
「貴方は僕を嫌っているのは、始めてみた瞬間から分かった」

「違う!」
SW-Mは顔を悲しそうにゆがめながらも、体じゅうを使ってマイトの言葉を否定した。

「でも貴方がそうならないように努力してくれているのは、嬉しかった。心から」

「違うよ。それは違う」
一向に理解してくれないマイトに対し、消え入りそうな声でSW-Mはつぶやく。
どんどん心の距離が遠ざかってしまうのをはっきりと感じた。

「さようなら。僕は貴方の嫌な記憶だけを殺すことも出来る」
「……殺してあげようか?」

「……マイトがそうしたいなら」
殺してあげようか?……一瞬、絶望のふちに叩き落されたかのような気分になった。
SW-Mは表情をよりいっそう悲しそうにしながら言葉を喉の奥から搾り出す。

「でも一つだけ言っておくよ。」
悟ったような優しくも悲しみを帯びた表情を浮かべながらマイトに言葉をかけた。

夕日の海に巨大な潜水艦が浮かび上がる。幽霊船のようだった。

「私がマイトを好きなのは本当だから」
マイトは微笑み、迎えと共にフネに入った。

浜辺は茜から暗闇に染まろうとしている。
SW-Mの体は茜に包まれていた。
一人残されたSW-Mの頭にはマイトの顔がよぎっていた。
最後の言葉をマイトがちゃんと聞いてくれたのか心配になりながらその場に立ち尽くす。
その場にはマイトの残した残り香と体温と雰囲気が残るのみだった。
SW-Mはマイトの置き土産をしっかりと体に刻み込むと次の機会への思いを強く抱く。
その姿は本当に絵になった。



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最終更新:2007年09月26日 18:13