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都築つらね@満天星国様からのご依頼品


タイトル:『決戦の土曜日』


 乙女のデート当日の朝は戦争だ。
 ぶっちゃけ男性の「オレだって大変だったんだよ」なんてもんじゃない。

 前日から肌の調子を整え、化粧のノリがよくなるように気を使い。
 ヘアメイクのためにカールの準備したり。
 何より服、どうしよう…

 それは男子禁制の戦場なのだ。

/*/

 ドレッサーには基礎化粧品のみならず、ファンデーションにマスカラ、アイシャドウにアイブローペンシルはもちろんのこと、口紅、リップグロス、他にもとりどりの化粧品が並んでいた。
 リップの色は悩んだ。似合う色がいまいちわからない…

 部屋の壁には、今から着替える服が飾られていた。
 白が基調の、軽やかなミニスカートのワンピース。
 素材も軽いものだ。フレアのスカート裾が軽やかに踊っている。


 オンサは、久しぶりの逢瀬に、気合が入っていた。
 もちろん、相手にはそんなこと教えないし気取られないように。

 そりゃもう、ツンデレの極みを地で行く乙女だった。
 でも、だからといって、デートに普段着だなんて…なんてもったいな。
 だから気合が入っていた。


 それは待ち合わせ時間のはるか前だった。

 オンサはドレッサーのイスに座り、細い脚を組んで鏡に向かっていた。
 既に洗顔を済ませ、前髪が邪魔にならないようにヘアバンドで上げて固定。

(絶対に見せたくない…)

 世の女性がみな、そう思うだろうことをオンサも呟いていた。
 メイク最中など、男性それも好きな男性に見られたくない。


 まずは基礎から。
 化粧品を顔になじませ、マッサージもする。
 次に乳液。こちらも顔になじませるようにぬって顔のマッサージをした。

 下地をぬって、ファンデーションを軽くぬる。
 ここからは濃くならないようにメイクを施す。
 あまり厚化粧は好きではなかったから。

 そうして、眉を描き、マスカラで睫を整える。
 元々、長く綺麗な睫のオンサは、重くならない程度マスカラを塗れば十分だった。
 アイラインとアイシャドーはあまりしない。
 ちょっと、眼が大きすぎるように見えるのが、嫌だったからだ。

 オレンジピンクのリップに透明グロスでつやを出す唇。
 ちょっとリップの塗りが失敗しそうになったが、どうにか形を整えた。
 そこまでやると、淡いピンクで頬に薄くチークを塗って完成。

「う…やり、すぎた…?」

 珍しくバッチリメイクを施したものだから、不安になるオンサ。
 鏡には、美しさをさらに際立たせた乙女が一人映っていた。


 メイクを一通り済ませると、ヘアバンドを取り、ヘアメイクへと移る。

 長く垂らした後ろ髪の毛先をヘアアイロンとカールを駆使して、軽く縦巻きにする。
 それを二つに分けて双方耳の少し上あたりでまとめる。
 可愛らしいツインテールにしてみた。

 そうして櫛をドレッサーに置いたとき、一つの髪飾りが目に入る。
 少し、ちょっと悩んで。
 それを手に取ると、ツインテールにしている片側。髪の毛を束ねているその上辺りに配置して、髪を飾った。

 傍目からは、やわらかい色使いのメイクに、少し幼げになるツインテール。
 とても可愛らしく出来上がっているのだが、オンサはそんな自分を見るのが初めてな気がして、落ち着かなかった。

(こ、こんな自分は。嫌いかな…)

 ふと、これから逢う男性がこの姿を気に入らないのではないか、と思ってすぐ、なんであいつのことを考えながら化粧しなきゃいけないんだ、と勝手な怒りを表しながら、着替えを開始した。
 壁にかけていたハンガーから服をとり、すばやく着替える。

 白基調にライトグリーンのアクセントが可愛いワンピースだ。
 胸元が少し大きく開いているので、大人っぽく見えるが、Aラインのスカートは、裾がふわりと軽やかに踊っていて、胸元の大人っぽさを少し抑えていた。
 袖は短く、スカート丈もミニのため、かなり露出は激しいかもしれないが、着こなしなのか雰囲気なのか、いやらしく見えない。

 リボンは曲がっていないか。
 髪の毛は崩れていないか、失敗してないか。
 服はおかしくないか。
 メイクが合わなくないか。

 そういったコトをめいっぱい確認した後、時計を見ると、待ち合わせ1時間前まで迫っていた。

「!?? え、もうこんな時間!??」

 白のパンプスを履きライトグリーンの小さなバッグを持つと、慌てて出かけたオンサだった。

/*/

 何も言わなかったら、はったおす。
 変とか言ったら、絶対嫌ってやる。

 そんなオンサの内心など知るはずもない、都築は待ち合わせ場所でオンサを見た瞬間、言葉を失った。
 というか、おめかししたオンサの可愛らしさに、グッジョブ!と心の中で叫ぶのがやっとだった。
 もう言葉にならない喜びとはこのことか、と。

「おーい」

 は、っと我に返った都築はすぐにオンサへと手を振りながら近づいてくる。
 しかし、そんな都築に対してオンサは顔をすぐさまそらした。
 オンサの仕草一つ一つが可愛いとしか思えない都築は、自分が横についても未だそっぽ向いてしまったオンサへ恥ずかしそうに言った。

「…いや、こう。今までに無い格好で驚いたというか。」
「知らない」

 オンサは、都築が自分の普段と違う格好に気付いたので嫌うのはやめてあげた。


 そうこうしながら、国内を歩くことになった二人。
 なかなかデートっぽくない、などと思ったオンサは意を決すると、挑むような目線で都築を見ながら、都築の手を握ってきた。

 突発の行動と嬉しさと照れるあまり、軽く挙動不審になった都築。
 しかし、そこは男性だ。乙女の勇気を無駄にはしなかった。
 ぎゅ、っと強く優しく握り返す都築。
 そして空いている手で、オンサの頭を優しくなでてみた。

 緊張のあまりすぐには気付かなかったが、オンサはそっぽを向いたまま。首まで赤くしていて、それが可愛くてしかたがなかった。


 海岸沿いまで来て、砂浜を歩く二人。

 自分には国がある。
 でも、彼女もいる。

 そう思うと、自然、握っている手が強くなる都築。
 一緒にいて欲しいと、きっと強く願ったことは、きっと今までないと思う。

 じっと、見つめてきたオンサを見て、色々思う都築。

 こうして自分のためにおめかししてきてくれる彼女を、守れたらいいな、と思った。
 この国と一緒に、自分と歩いてくれたら、きっと幸せだと。

 そんな気持ちが溢れてきた都築はオンサを抱きしめた、ちょっと思ったより細い身体で驚く。

(細い…力こめたら、折れそう…)


 やっと抱きしめてくれた都築だが、オンサがして欲しいと思ったことをなかなかしてくれないので、自分で行動に移してみた。

(気付かなかったら、ぶっ殺す)

 などと物騒なことを思いながら、抱きつかれたまま、背伸びしてみる。

(あ、けっこう高いんだ…)

 自分よりある都築の身長に気付きながら、そっと瞑る瞳。
 一瞬遅れて、だが気付いた都築は、ほんの少しの逡巡の後、キスをした。

 が、その瞬間オンサが身体を離した。
 一瞬、キスをした、のかな…というくらいしか触れなかった唇。

(あ、あれ?)

 あう?と思った都築だが、確かに触れた唇の感触が残ったので、それでいいと思った。
 身体は離されたが、手は握ったままだし。
 とても強く、オンサの握る手を、握り返す。

 その力強さに気付きながら前を向いたままのオンサは言った。

「いこう。どこかに」
「うん。一緒に行こう」
「どこまで?」

 ふと、都築を見上げながら聞くオンサ。

「そうだなあ…どこまででも良いんじゃないか」

 都築はそんなオンサを見つめながらおどけるように、答えた。
 その答えが満足だったのか、オンサは今日一番嬉しそうに、輝くように、笑った。

 それを見た続きも、嬉しそうにしつつ、再び握る手を強く握った。


 どこまでも共に歩こう。
 君と一緒なら、きっと、いや、絶対退屈はしない。

【おわり】

#本当は金曜日でいこうとしたのですが、ゲームが土曜に行われていたようなので、このようにいたしました。
女の子な感じのオンサちゃんを見ていただかると嬉しいです。


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引渡し日:2009/12/03


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最終更新:2009年12月03日 07:28