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榊遊@愛鳴之藩国様からのご依頼品


石言葉は想いと共に

 愛鳴之藩国は帝國きっての子供の多い国で知られていたし、国の至る所で、子供の遊ぶ姿が見られた。
 榊弦乃丈の歩く先歩く先でも、子供が無邪気に走り回る姿が見える。
 今も、ちょうど子供が走って横を通り過ぎていった。
 手にはボールを持っている。そう言えば年末年始にドッジボール大会があったとか言ってたな。流行っているのか。
 弦乃丈は思わず頬を弛ませ……帽子を深く被る事で表情を隠した。
 いかんな、どうもこの所ハードボイルドが崩れてる。
 実際の所、女性のクリスマスプレゼントにペヤング(大)をプレゼントしている辺り、それのどこがハードボイルドなのだろう、そもそもペヤングのどこにハードボイルドを見出せばいいのだろうと思わなくもないが、本人がハードボイルドを主張しているのだから、ハードボイルドなのだろう。

 と、聞き覚えのある音が聴こえたので、弦乃丈は立ち止まって耳を澄ます。
 パシャッパシャと響く電子音。

「すみません、写真ありがとうございました」
「お姉ちゃん写真格好よく撮れた?」
「あらあら、少々お待ち下さいね」

 いつも一緒に歩いている榊遊である。
 最近はデジカメに凝っているのか、デジカメであれこれと藩国内を撮り歩いているのであった。
 子供に手持ちの小型プリンターで写真をプリントして渡すと、子供はそれを受け取ってはしゃいだ後、遊に手を振って走っていった。
 遊が手を振り返し、子供の背を見送っていた。

「おい」
「はい?」

 弦乃丈が子供が去っていったのを見届けてから声をかけると、遊はびっくりしたように振り返る。弦乃丈を検めると、いつものようににこにこと笑い返した。

「こんにちは、弦乃丈さん」
「ああ。……肉、美味かった」

 先日の誕生日に彼女が抱えてきた肉の事を少し思い出した。

「それはよかったです。あっ、パワーストーンのストラップ、完成したんですよ」
「ほう……」
「少々お待ち下さいね……」

 遊はデジカメと小型プリンターをショルダーバックに片付けると、替わりに小さな袋を取り出した。

「すみません、本当はもっと気の利いた所に入れてプレゼントした方がよろしかったのでしょうが……」
「いや、味があっていい」

 袋の口を結ぶリボンを解くと、黄色と緑色の層が美しい、石のストラップが出てきた。

「うん。いいんじゃないか」
「そうでしょうか? 喜んでくださったのならいいんです」

 遊はにこにこと笑う。

「で、何でこれを作ろうって思ったんだ?」

 弦乃丈が軽く弾く。この石はパーティ・カラード・フローライト。弦乃丈の誕生石であった。

「えっと。ある方の本に載っていたんです。誕生石をいつも身につけていると、幸せになれるって」
「……うちの知り合いにそんな事のたまう奴がいたな。まあいい」

 弦乃丈は年上趣味のバンダナ巻いたマンガ好きの友人が、ふと頭によぎった。
 遊は分かっているような分かっていないような顔で首を傾げている。

「じゃあ、石言葉って奴は?」
「石言葉ですか? うーんと、前に占い屋さんに並んだ時に伺いました。確か弦乃丈さんの分。このパワーストーンの分は、『過去と未来』でしたね」
「そうか」
「うーんと……」

 遊は首をあれこれと捻っている。
 何だ?
 弦乃丈はその様子を見ていて、彼女が微妙に困っていると言う事に気が付いた。
 弦乃丈は黙って彼女の仕草を見ていたら、意を決したように口を開いた。

「あのう。今までたくさんお世話になりました。今も、昔も、弦乃丈さんにお世話になりっぱなしで、私も少しでも何かを返せたらいいなと、そう思います。
 ……好いているんですよ、これでも」
「………」

 遊は、珍しくにこにことした表情ではなく、顔を真っ赤にして弦乃丈を見上げていた。
 弦乃丈は、帽子を再度、深く被り直した。
 ……駄目だな。女に言わせてばかりじゃ。
 帽子を深く被り直した後、弦乃丈は口を開いた。

「       」


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パーティ・カラード・フローライト

石言葉:
過去と未来
調和の取れた心


<了>


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最終更新:2010年12月20日 13:04