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No.88 蝶子@レンジャー連邦様からのご依頼


「喫茶店でも、どうだ?」
「あ、はい。いいですね」
ヤガミ達が入った喫茶店は小洒落た雰囲気の店だった。
「わ、涼しいー。素敵なお店ですね」
蝶子が店内を見渡すと客はカップルばかりだった。そして、彼女の様に制服を着ているのは誰もいなかった。自分の格好が店の雰囲気から少し浮いているのではないかと蝶子は内心思った。なにせ、シャツの裾を結んでへそまで出しているのである。
対するヤガミは、トレードマークの黄色のジャンパーを着ておらず、完璧なまでにネクタイを巻き、バリバリにノリの効いたワイシャツの袖をめくりバンドで留めていた。一見すればどこかのサラリーマンのようにも見える。
蝶子はヤガミの様子を窺うように見たが、彼は周りの様子など気にせず店員にヘビドリンクを二人分注文していた。
「ヘビドリンク?。あの、ヤガミ。ヘビドリンクってどんな味なの・・・?」
まったくどんな飲み物か想像できない蝶子は恐る恐る尋ねたが、ヤガミは笑って答えない。
「お待たせしました。当店自慢のヘビドリンクになります」
蝶子が重ねて尋ねようする前に紅い液体の入ったグラスが目の前に置かれた。泡を立てている紅い液体は良く冷えているらしくグラスの表面に水滴が浮かんでいた。
「み、見た目は、炭酸・・・?」
「うまいぞ」
涼しい顔でヤガミはヘビドリンクを飲んでいる。どういう飲み物か教えるつもりは無いらしい。
ヤガミの顔とヘビドリンクを交互に見ていた蝶子は思い切って一口飲んでみた。口の中に広がる少し酸っぱいイチゴの味。
「甘ーい!。おいしい!」
「少しすっぱいがな」
ヤガミは蝶子を見てにっこりと笑っている。そのヤガミを見て蝶子もうれしそうな笑顔を見せた。なかなかお似合いのカップルである。
「イチゴ味好きです!。このちょっと酸っぱいのがおいしいです。でも、何でこれがヘビドリンク・・・?」
「ヘビイチゴだ」
「あ、そっかヘビイチゴ!」
「あまり取れないから、なかなかの値段だ」
ヤガミの言葉に焦る蝶子。持ってきたお小遣いで足りるかどうか分からない。
「た、たかいの・・・?」
「おごる、おごる」
焦った蝶子を安心させるように言うヤガミ。
「え、いや、そんなわけには。」
「社会人と学生、男と女、年上と年下」
「わ、わかりました・・・。ありがとうございます。ごちそうさまです」
「何より、お前におごるのが好きだ」
そう言われた蝶子は顔をヘビドリンクのように真っ赤にし、うつ向いてしまった。
「え、あ、あの。もー、からかわないでー」
「赤くないか?」
顔を上げるとヤガミは、まるでアッカンベーをしているみたいに舌を出していた。舌がヘビドリンクの色が移り真っ赤になっている。
「あ、赤くなってる。色が移っちゃたんですね。私も赤くなってるかなー」
蝶子も同じ様に舌を出すとヤガミは苦笑を浮かべた。
「?」
「いや、子供に見えたんで」
「ちょ、子供って。そんなことないです!」
「学校行ってて、そんなことないだろう」
蝶子は力一杯、否定したが、はたから見れば仲良く舌を見せ会っている二人はどっちも子供である。
「それは小笠原だからでー、せっかくの可愛い制服着なきゃ損!。だからでー。むむむ、むー」
言ってるうちにぐるぐるしてきた蝶子だったが、急に元気を無くしたように肩を落とした。
「つ、次来る時は制服じゃない服で来ます・・・!」
「ま、スリル満点のデートではあるな」
「スリル?なんで?」
「次来る時が。ま、美的センスに期待している」
ヤガミの言葉は蝶子を励ます為だったが、その気持ちはうまく伝わらなかった。
「ちょ、何で次来る時がスリル満点になるんですかー!。むー、馬鹿にしてー!」
蝶子の表情を見てヤガミは表情を曇らせた。励ましたつもりが、怒らせてしまうとは思わなかったのだ。
「馬鹿にはしてない・・・。言い方が悪いんだな。いつも迷う」
「・・・本当に??」
軽く頷くヤガミ。
「うーんと。うーんと。次来る時は、一生懸命オシャレして来ますね」
「いつも心配させてばかりだな。きっと俺は、人をけなすように出来ているんだろう」
自分の言葉に落ち込んだようにも見えるヤガミに蝶子は優しい微笑みを向けた。いつも肝心なことをはぐらかすヤガミだったが、この時は本音を言っているという確信が蝶子にはあった。
「ヤガミ。好きな人の心配をするのは当然だと私は思います。だから、あなたを心配することがあっても、私はちっともそのせいで不幸だったりとかはしませんよ」
ヤガミは神妙な顔で蝶子の言葉を聞いていた。
「あと、あなたが人をけなすように出来ているかどうかは分からないけど、私はそのままのあなたが好きです」
顔を真っ赤にしながらも蝶子は一気に言いきった。
ヤガミは一瞬目を閉じたかと思うと、次の瞬間舌を見せた。
レロレロレロ。
「~~~~~~!!!」
声にならない悲鳴を上げフリーズする蝶子。
なお、ヤガミが何をしたかは皆さんのご想像にお任せします。
「続きをどうぞ。お嬢さん」
ヤガミは先程の落ち込んだ様子をみじんも出さずに蝶子に囁いた。
突然のことに顔だけでなく全身を真っ赤にした蝶子はじたばた暴れだした。
「もう!。もーう!」
「ま、元気そうで安心した。そろそろ帰るか」
蝶子は誤魔化された気がしたが、素直にヤガミに従った。
「むう。うん。はい。出ましょうか。私もヤガミが元気そうで安心しましたし」
喫茶店を出るとヤガミは手を振って蝶子に分かれを告げた。
遠ざかって行くヤガミに蝶子は声をかけた。
「あのねヤガミ。あなたはとても優しいと思う」
ヤガミは立ち止まると聞こえた証しに右手を上げた。口許には普段見せない微笑みが刻まれていたのだが、ヤガミは照れているのか振り向かなかったので、蝶子は自分の言葉がヤガミに救いをもたらしたことに気が付くことができなかった。
藩国に帰った蝶子は、今度ヤガミに会う時には彼を感嘆させるぐらいの可愛らしい私服を着ていくことに心を決めていたが、たくさんある私服を前に頭を抱えることになる。
「つ、つぎ、なにをきていこう・・・」

END


作品への一言コメント

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  • SSの受注&制作、どうもありがとうございました。ほぼ台詞のみで進行する小笠原ゲームの空白部分は、読む人によって色んな想像ができると思うのですが、なるほどこういうイメージもありか…!と改めて文字の力を感じた気がします。(当人はこのログにからかわれてばかりなお子様風味のイメージしか持っていなかったので、なんというかいい意味で斬新な印象で非常に照れました…!)本当にありがとうございました! -- 蝶子 (2007-10-19 03:32:59)
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最終更新:2007年10月19日 03:32