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S43@るしにゃん王国さんからのご依頼品


  1. ネコリスがぎっしりとひしめいていた+


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ICP 命題P ネコリス200匹を呼んで部屋に入れて、その中にテルさんを落とす。

The world is answered.
それでは世界の明日を決めよう。
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 るしにゃん王国の集会所に、その日、妙にうきうきした人々が集まってた。互いを見る眼差しは好奇心と悪戯心のぎっしりつまった夢見る悪童も真っ青な輝きに満ちている。
 観光に行くつもりが、ひょんな事から別のゲームをすることになった、るしにゃんの面々である。
 切っ掛けは天からの声だった。
「その日はテルさんの誕生日です。みんなでお祝いしよう」
 その天の声が何なのか疑問に思わぬ人がいなかったわけではない。ないのだが、しかし、それを疑問に思うよりも、その疑問を問うよりも、彼らはもっと大切なことを知っていた。
 その言葉の内容をすぐに理解したのは、通称正義ことS43である。彼はテルにふさわしいプレゼントを考え、絶技よりも早く口にした。
「よし。じゃあテルさんをネコリス地獄に落とそう」
 地獄かよ。
 つっこみの視線がツンドラの冷気並みに、荒れた。が、そんなまっとうな空気は一瞬のこと。彼らはすぐに考えを改めた。具体的に言うと、「正義お茶目」「さすが正義」「さすがだw」「まあ正義の考えそうなことなのです」などとのたまっている。
 ちなみに、言ったのは前から鷹臣、幽、るしふぁ、南無の順である。最も状況を読んだ一言さえ、腕を組んでノーマ・リーのつぶやいた「ネコリス大迷惑」という一言だった。
「んでもどうやってさ」
 はたと冷静になってそう聞いたのは南無である。彼の問いに、S43は自信満々に答えた。
「どういうわけだか知らないが、今は簡単な置換魔法が使えるんだ」
「痴漢魔法、ですか……」目をそらす南無。
「ちょ」慌てるS43。
「ちょ」テルも慌てた。
「ちょ」釣られて幽も慌てた。
「南無さん,字が!」クレールがつっこむ。
 集会場が、どよめいた。なお、このたった一度の誤字から始まった混乱は、終結するのに五分ほどの時を必要としている。
「……お、おついたか」
 ようやく落ち着いた風の彼らに声をかけるS43。ちょっと涙をたたえているのはきっと気のせいではないだろう。しかしその理由を問うほど無粋な者はこの場にはいなかった。
 彼は何かをふっきるようにこほんと咳払いをすると、こう言った。
「で、ちなみにこの置換魔法、重量および瞳の数がうまく釣り合わないと機能しない。実は他にもいろいろあるらしいんだけど、まあ、今は関係ないから」
「ネコリスの一匹の重さはいくらでしょう?」更夜は小首をかしげて聞いた。
「えーと、確か、小さいのは60gとか聞いたことがあるよ」ちゃきがぴょんと手を挙げて答える。
「軽っ!」
「小さいのでいい?」
「大きいのもほしいですよねえ」南無が腕組みして言う。妙に真剣な表情である。
「大きいのは2kg」
「大きいの200匹の方が」幽がちょっと考えて、言った。
「正確には種類違うけど、でかいネコリスもいるらしいよ。ヒュージネコリスとかメガデウス・ネコリスとか」
 ……え?
「メガデウス!?」クレールが叫ぶ。
 再びざわつく集会場。メガデウスってなんだよとあちこちから声が響く。なお、ヒュージネコリスは通常の3倍で6kg。メガデウス・ネコリスは今は絶滅していて、大きさは3m、200kgを越えるとの事である。
 この説明を聞いた次の瞬間、集会場で目をぐるぐるさせ始める人が現れた。クレールは「それどんなんだよ」といった目を宙にさまよわせ、南無は何とも言えぬ恍惚の表情を浮かべる。似たような者、が他にも数名でた。
「メガデウス×200のなかにテルさん落っことしたらそれこそ地獄だな……」鷹臣がぼそりとつぶやく。
 静まりかえる集会場。そういえば、そういう目的で呼ぶんだった、と誰かが思い出すように言った。そして二度目の落ち着きを取り戻し、厳正なる審査を行った結果、呼び出すのはヒュージネコリスを200匹という事になった。
 とりあえず、ネコリスの海に落とした後にテルが生きて戻ってくるかとか、そういうのは忘れることにした。世の中今日も平和である。

 それはともかく。やること決まったのでどうやってやるかである。ヒュージネコリス200匹なんて素手で持ってこれるはずもなく、当然ながら、S43の言った置換魔法を使うことになる。なるのだが、
「どうする?」
 更夜はが聞いた。その顔を見て、ちょっと考えてからるしふぁが口を開いた。
「しらす200匹+水(合計1200kg)=ヒュージネコリス200匹で置換できる?」
「あ、できる。と思う」頷くS43。「やってみる」
「ちょ、待……!」
 静止は遅すぎた。集会場に大量召喚されるヒュージネコリス。その数、200。
 どうなるか、ちょっと知恵を働かせれば想像がつくだろう。
 ――かくして。
 集会場は、しらすと置換されたヒュージネコリスでひしめいた。ぎゅうぎゅう詰めである。るしふぁの頭の中で石川五右衛門が踊る。絶景かな、絶景かな……。
「いや、絶景どこじゃないですから」冷静につっこむ南無。
 そう。ついでに、肝心なのがいない。
「あ、テルさんどうしよう」更夜が思い出したようにつぶやいた。
「あ」
 ――みっしりとしきつまったヒュージネコリス、その数200。ぎしぎしと軋む集会場という絶景を眺めつつ、彼らは沈黙した。

「え、えーと。テルさんをおとすための穴を。天井にー」慌てて南無が言った。
「だけど、置換するには瞳の数と体重が……」遠い目をしてつぶやくS43。
 少し難しい。何人かが眉をひそめ、あるいは腕組みし、議論を開始する。ちょっと視線をずらせば目に入る、籠いっぱいに詰め込んだハムスタみたいになっているヒュージネコリスの存在は、この際、黙殺することにした。この中にたたき込んだ後テルがどうなるかも、意図的に思考から外した。
 自己保存機能のたまもの、精神衛生を優先した結果である。無論、褒められたものではない。
 ちなみに、そんな現実逃避にも似た議論の内容は、以下のとおりである。
「天井と穴を交換なら」
「ついでにテルさんも呼ぼう。空中に」
「空中によんじゃえば穴はいらないのです」
「0と置換」
「瞳の数0のものと瞳の数0のもので交換すれば」
「迷い込んできた鳥+天井の一部(あわせてテルさんの体重(ごめんなさい))=テルさん、でどうでしょう?」
「あ、お掃除は正義頼みましたよ!」
「何気にSさんの負担が増えてないかそれ」
「正義の負担が多いのなんて毎日のことじゃないですか」
「あはは」
「正義がぐるぐる働くのがうちの国のデフォルトです」
「もう年じゃしのう。ごほごほ」
 ――それはともかく。
 なにげに答えが出ているのである。そのことにはたと気付いたS43は、またもや唐突に魔法を行使した。
「なあっ、何、いきなり!?」
 突然集会場に放り出されるテル。当然、意味不明である。理解不能である。しかも眼下にひしめく姿はネコリス――なのだが、ちょっと待てでかすぎやしないかと自分につっこみをいれる。
 しかし、彼はそんなことを考えるよりも前に、逃げるべきだったのかもしれない。
 テルはぐるぐるしながら、なすすべもなく、ヒュージネコリス200匹の中にダイビングした。なにやら悲鳴じみた歓声を上げるテル。
「テルさんが無事地獄に落ちた」るしふぁが神妙につぶやく。
「くっくっく。上手くいったようだ」S43がにやりと笑った。
「はっぴばーすでー!トシの数だけネコリス入れときましたね!」ちゃきが声をかけた。
 というか、200歳かよ。
「……いつから200歳になったんだろう」あれ、と首をかしげるノーマ・リー。
「テルさん、お達者で…」南無が祈るように言った。
 ――もっとも、テルは「うわあああああん」とか叫んでいるのでこれらの言葉が聞こえているかどうかは定かではない。
「そんなに喜ばなくても」
 S43は全てを理解している笑みを浮かべ、言った。

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QED.

おめでとう。命題は達成された。
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引渡し日:2007/

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最終更新:2007年11月02日 21:21