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ハッピーエンドへの序章

このSSをPLニンジャさんとリワマヒ国民室賀兼一子さん、そして芝村英吏さんと斉藤奈津子さんを応援する全ての方々へ捧げる。

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「いやか?」

「い、いきます! ついていきます、どこまでも!」

                  ~32017002の会話より抜粋~

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「目的地上空に到着したよ。」

輸送機の操縦桿を握っていた無名騎士藩国から参戦した冴月の言葉を受けてコパイロットの薊が、降下スペースに放送を入れる。

「作戦空域上空に到着。降下員は降下準備を開始してください。」

奈津子の降下装備を確認していた室賀兼一子が奈津子に声をかける。

「なっこちゃん、用意はいい?」

ハスキーな声が魅力の美女である。うん、そういう事にしておこう。

「え?」

きょとんとした顔の奈津子。

「こ、降下装備ですか?振袖で?」

改めて自分の格好を確認すると、振袖の上から厳重にコートを着込み、パラシュートを背負っている。随分とぼんやりしていたんですねーと場違いなことを考えている奈津子。

「警戒は厳重だったけど、空中の警備だけは穴だったのよ。ここが最後の山場よ。」

藩王室賀が可能な限り手を尽くしたが、警備の穴を作るのは難しかった。

最終的に苦肉の策として空中からの降下が選ばれたのだった。

「は、はい」

目をぐるぐるさせている奈津子。

「パラシュートを開いて着地したら、その場でいもむしごろごろ、するの。そうすれば、今つけてる外套がはずれて、きれいな振袖のままで現場に到着できるわ。」

着地の時の動きを示すように手を動かす室賀。

それを追う奈津子の目が徐々に落ち着いてくる。

「下には黒の竜殺部隊の方20名に待機してもらってるから、誘導に従って頂戴」

オゲィ?と視線を合わせる兼一子に落ち着いた目を向ける奈津子。

「は、はい」

一瞬この子は何かのプログラムがされているのかもと兼一子は思ったが、今は何も言わず機内通信で準備が終わった事を告げる。

「それじゃあ真神 貴弘さん、後部ハッチを開けて下さらなーい?」

勿論声はハスキーである。

「降下ハッチオールグリーン。オールプレイヤーダイブスタート。」

真神がスイッチを操作すると降下スペースに大きく風が湧き上がる。

体が流されていく奈津子と兼一子。

一気に空へと飛び出る二人を見送る輸送機から最後に通信が入る。

コパイロット平 祥子からの通信だ。

「なっこちゃん。私達はあなたを応援しているわ。あなたがどれだけ努力したかを私達は知っている。あなたにシオネ・アラダの御加護があらんことを!」

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降下ハッチを閉めて、空域を離脱する輸送機の中で4人のパイロット達が顔を見合わせて笑う。

「うまくいくかな?」
「ああ、絶対にうまくいくよ」
「そうやね。」
「うん。あの二人お似合いですからね。」

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シュートオープン。

圧搾ガスが噴出し、傘が開く。

上へと流れていた景色が一瞬とまり、次には下へと流れていく。

耳元で唸る風がその速度を表していた。

目を細める奈津子。

眼下を確認し、竜殺部隊を探す兼一子は記憶した位置とずれている事に気付いた。

風に流されたのだ。

眼下の景色が直ぐに近づいてくる。

その先には池が・・・。

着地と同時に体を回転させて綺麗に衝撃を分散させる兼一子の近くで盛大な水柱が上がった。

奈津子ずぶぬれである。

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芝村英吏は不機嫌そうに切れ長の目を細めていた。

このお見合いというものは、あまり好きではない、というよりかなり嫌いであった。

苛立たしさを紛らわせる為に縁側に出ていたら、目の前の池にパラシュートが落ちてきた。それも二つ。

驚く英吏。

音に反応してゆらりと立ち上がる鵺の女王クイーンオブハート。

池に落ちなかった方のパラシュートの人物が叫ぶ。

「竜殺部隊のみなさーん、来てー、!いや来るなー!」

黒の関係者だろうか?

一瞬疑問に思ったが、池に落ちた方のパラシュートを除装した人物を見た瞬間どうでもよくなった。

ずぶぬれの奈津子を助け上げる英吏。

目が、合った。

口元を震わせる奈津子の手をとって落ち着かせようとする兼一子。

英吏が何か口にする前に、奈津子が口を開いた。

「違うんです。違うんです!」

涙が浮かんでくる。

「違うんです。私はただ、応援したくて」

自分自身の心にもない言葉が、自分自身の心を抉る。

悲しくて、悔しくて涙が止まらなかった。

「大丈夫よ。装備は私のに換装すればいいから。 あなたのはそのすきに乾燥。なんちゃって」

兼一子の言葉にも泣き止まない奈津子。

英吏に視線を向ける兼一子。視線の意味は助けてだった。

「何故泣いている。斉藤。」

しゃくりあげながら、答える奈津子。

「濡れて……」

「まあ、たしかに洒落た格好ではないな。」

優しく笑う英吏。この人物の笑顔はいつも悪意に満ち溢れていると言う人は多い。

だが、この笑顔を見れば、その意見は大きく覆る事だろう。

だが、と言葉をおいて英吏は続ける。

「まあ、重要なのはそなた自身だろう」

結局の所、芝村が評価するのはその人物そのものなのだ。

立ち上がる英吏。クイーンオブハートに声をかける。

「クイーン、出るぞ。お見合いはやめだ。」

呆然としている奈津子に探し出したお弁当箱を渡す兼一子。

「(これを、差し入れといっておわたしなさいな)」

兼一子の方を見た英吏が軽く会釈する。






そして、奈津子の手を取った。






「そなたも、その格好ではお見合いにはいけまい」

それは、不器用な誘いではあったが、決して悪いものではなかった。

「どこかにいくぞ」

それを見た兼一子は英吏に会釈を返すと、後は若い方たちにお任せしてとかいってる。

「え?」

きょとんとする奈津子。

「いやか?」

優しくささやく英吏。

「い、いきます! ついていきます、どこまでも!」

力いっぱい答える奈津子に苦笑する英吏。

「お見合いは破棄と、記録してください」

奈津子をクイーンの背に乗せた後、兼一子に告げる英吏。

「承知いたしましたわ。」

やり遂げた漢の顔で答える兼一子。

それを聞いて微笑むとクイーンに乗って塀を越え、何処かへと走り去っていった。

一人残った兼一子は竜殺部隊を呼ぶと後始末を始めた。

池の鯉は無事かしらと言いながら、覗き込んだ水面には。

化粧が流れた藩王室賀兼一の顔があった。

「ぎゃああああああああああああ!」


~Fin~
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作品への一言コメント

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  • 素敵なSSありがとうございました! 楽しく読ませていただきました! -- 室賀兼一 (2007-12-04 20:09:43)
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最終更新:2007年12月04日 20:09