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奥羽りんく様からのご依頼品


 完成致しましたので提出させて頂きます。ご指名ありがとう御座いました。気に入ってくれれば幸いです



青い空の下で

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まだ暑い小笠原の昼下がり 
何処からか流れてくるラジオの音が今日も晴れると教えてくれた
細い路地を嬉しそうに歩いている小さな人影
ほんの少しだけお化粧して
下ろしたての靴を履き
お気に入りの服を着て
愛しい人がいるあの場所へ

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キミは期待と不安で胸がいっぱいでドキドキしながら最後の辻を曲がった。その先には青森が煙草を咥えて待っていてくれた。待ち合わせの時計はまだ過ぎていないのにと思いながらキミはすこし小走りに彼の元に駆け寄った。
「ごめんなさい。約束の時間に遅れましたか?」
「いや、たまたま早く着いただけだ」
キミはほっと一息ついて彼を見つめた。入院していた頃より血色もいいし、いつもの身体に戻っている事に気がついた。
「ひさしぶりだったな、お嬢さん」
「青森さん、元気になったんですね。よかった…!」
「ああ。元気になった。おかげさまでな」
「お久しぶりです。しばらく会いに来られなくてすみません…。でも、またこうして会えて、とても嬉しいです」
と笑いながら彼の手を取ってぎゅっと握り彼を見つめた。彼もまたキミを見つめて
「なにか、嫌なことが?」
「え!? 嫌なことはないです! 全然。ただ、前回強引に…キスとかしちゃって、ちょっと照れくさいだけです……」
彼は少し苦笑して
「子供だからな」
「そんなことありません」
と背伸びをして彼の唇にキスをした。キミを子供扱いして彼が一言
「無理しないでもいいんだぞ」
「無理してるなら、そもそもここに来てません」
「私が、したいからしたんですけど…青森さんが嫌ならという可能性は考えてませんでした」
キミは自分のした事を冷静になって考えておろおろとし始めた。その姿をみた彼は思わずキミを抱き寄せ、強く抱きしめた。キミは一瞬なにが起こったのかわからなかったが彼の腕に抱かれている事がわかってそっと抱き返した。
「あ、青森さん。ちょっと、痛いです…。もう少し、ゆるめてもらってもいいですか…?」
「あ、ああ。すまん」
彼は何とも言えない複雑な顔をして手を離してもう一度キミに謝った。キミは彼がそんな風に謝っている姿がとても愛おしくて思わずキミから抱きついた。
「青森さんに抱きしめてもらうのは好きですから、いいんです。でも、優しくしてください」
抱きつかれた彼はキミの事をいつもと違う優しさをもってキミを抱き返してくれた。
「会いたかった……」
「私も…すごく、会いたかった……」

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キミは彼の胸の中にいた。
彼はキミをお姫様抱っこして小笠原の道を駆けていた。
時は少し遡る…、キミ達が抱き合っていた場所はただの待ち合わせ場所だった。辺りは二人を遠巻きしてみている人達でいっぱいになっていた。
それに気がついた彼がキミの手を引こうとしたが止めて、キミを抱えてその場から走って逃げ出した。
「あ、青森さん!? 重たくないですか~?」
「そういうことは言わないもんだ」
「まだまだ現役だ」
「・・・はい。ごめんなさい」
キミは大人しく首に手を回してつかまっていた。キミが嬉しそうに彼の顔をみていると彼と視線があった。それに気がついた彼はキミに優しく微笑んだ。

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気がつくともうそこには天文台が見えていた。彼はキミをお姫様抱っこしてかなりの距離を走ってきたようだ。
「うわぁ…! 青森さん、ここ、天文台ですよ! すごいですね!」
「青森さん……私とは、鍛え方が違うんですねぇ」
彼は複雑な顔をしたが呼吸を整えながら余裕の笑みを浮かべて当然だろって表情をしていた。キミは彼のそんな所を気遣って
「でも、人って疲れるものですから。私を抱えて走ってくれてありがとうございました」
「なに、軽いもんさ」
彼の返答にキミは頬にキスをして下ろしてもらった。キミを放した時の彼の表情は少し寂しそうに見えた。そして、キミは一言
「お姫様抱っこ、ちょっと憧れてたので…好きな人にしてもらって、すごく嬉しいです」
その一言で彼の顔に赤みが帯びてくるのを感じた。彼はキミに気づかれないようにする為に離れて煙草を吸おうとしたがさっき走った時に落としたのだろうかどこにもなかった。いつもよりオーバーアクションで片手を広げて顔にあてて照れを隠した。そんな彼の姿をみて
「あ、ご、ごめんなさい。思いっきり走ってもらっちゃったから…」
「いや、なんでもない」
と言いながらキミを見つめていた。顔はさっきよりもはっきりとわかるぐらいに赤みがさしていた。
「青森さん? どうかしましたか?」
とキミが訊ねると彼は自分の顔を見られるのを避ける為にキミを引き寄せて抱きしめた。
「わわっ。青森さん……抱きしめたら何でも誤魔化せると思ってませんか? 嬉しいから、いいですけどね」
とキミは彼の行動が可愛くて仕方ない表情で彼に優しく包まれる事した。そんな彼が神妙そうな顔をして
「……名字で呼ぶのはやめないか」
キミは嬉しそうに彼に微笑みながら
「えっと、じゃあ……きょうへい、さんって呼んでもいいですか…?」
彼は無言で頷き
「俺はなんと呼ぶべきかな?りんく?」
キミはビックした顔をして
「あ、えっと…はい。そう、呼んでください。……初めて、ちゃんと名前呼んでくれましたね。嬉しいです……恭兵さん」
彼は意外そうな顔をしてキミを優しく抱きしめながら
「そうだったか?」
キミは少し拗ねた顔をして
「そうです。だって、ずーっとお前とか、お前さんとか……。ホントは、ちょっとだけ寂しかったんですよ?」
彼は申し訳なさそうに頬をかきながら
「心の中ではずっと名前で呼んでたので気付かなかった」
「もう…。心の中じゃ、私には聞こえませんよ。でも、今こうして呼んでくれたから、いいです」
しょうがないなぁという顔をして彼が困らないように微笑みながら
「伝わらないもんだな」
「ずっと誰かと話すことを、忘れていたのかもしれない」
彼が独り言のように言葉を紡ぎ出した。キミは彼の顔に自分の顔を近づけながら
「恭兵さん。心を口にするから言うっていうんです。ちゃんと言えば、話せば伝わります。
 忘れていたなら、思い出せばいいんです。現に今、私には伝わりましたから。」
彼はキミの顔を見つめながら
「俺はりんくとキスしたい」
「私も、恭兵さんとキスしたいです」
と言ってキミは瞳を閉じて彼と何度目かのキスを交わした。

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彼の腰にまわっていた手が静かに動きだしてお尻を触ろうとしているのをキミは何気ない動作でそれを叩いた。
「もう。キスだけじゃ足りないんですね、恭兵さんってば」
「尻が触りたいといえば伝わるかな」
お互いの顔をみて思わずキミは
「さすがに却下です」
彼の手を軽く叩いた。その音は彼を縛る孤独という名の鎖を断ち切った音なのだろうか彼は笑い出した。キミの額に自分の額を当てて幸せそうに…。

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二人の笑い声は小笠原の青い空の下でいつまでも響いていた。

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引渡し日:2007/11/13


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最終更新:2007年11月13日 10:27