萩野むつき@レンジャー連邦からの依頼
思わぬ展開に固まってしまった萩野むつき。
エリザベス:「なんだいなんだい。ドランジめあてかい?」
萩野むつき:「そうです!(@@」
ぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるしていたとは言え、思い人であるドランジの前での告白…
まさに顔から火が出る気分とはこの事である。
あまりの恥ずかしさに頭を抱えて叫ぶ萩野むつき。
エリザベスは、ふぅーっと息を一つ吐いた。
エリザベス:「ドランジ、ちょっと私の部屋から煙草もってきな」
ドランジ:「ん?」
いいから行きな!しっしっと手で追い出され、ブツブツ言いながら出て行くドランジ。
さて、部屋にはエリザベスと萩野むつきの2人だけである。
エリザベス:「ま、ちょっと座りな。」
エリザベスがソファーをぽんぽんっと叩く。
興奮して立ち上がっていた萩野むつき。ポフッと座る。
萩野むつき:「艦長、取り乱してしまってすみません」
恐縮して身を縮ませる萩野むつき。まだ頬が赤い。
エリザベス:「いや、別にかまわないさ。私の若いころもそうだった。相手が鈍すぎて、ダメだったけどね」
ふっと懐かしいものを思い出したかのように目が優しくなった。
萩野むつき:「うまくいかないものですね、すごく頭の中が変になってしまいました」
エリザベス:「本気かい?」
萩野むつき:「はい」
エリザベスからの視線をまっすぐ見返す萩野むつき。その瞳に嘘偽りはない。
萩野むつき:「私はドランジさんが一番好きなんです」
きっぱりと気持ちを告げる。本当の気持ち。大切な気持ち。
その言葉を聞き、口元をほころばせるエリザベス。目が優しくなっている。
エリザベス:「どれくらいだい?」
萩野むつき:「ふふふ、気持ちはサイズではかれるものじゃ無いです、そのぐらい、ですかね」
最後になって少しだけ照れた。
エリザベス:「結婚するくらいかい? それとも、そこまではいかないくらいかい?」
エリザベスがさらに問う。娘の事が気になる母の顔といった感じだろうか?
萩野むつき:「ずっと、一緒にいたいです、無鉄砲な私の後ろを守って欲しいです、そうなったらすごく幸せ」
エリザベス:「籍をいれるほどじゃないと」
ふふ~ん?と言った感じのエリザベス。あ、少し意地悪っぽい表情になった。
萩野むつき:「うまく言えないや、籍は、ドランジさんが望むなら、断る理由は私にありません」
エリザベス:「へえ」
エリザベスはその答えに微笑んだ。その気持ち、大切にしなよとでも言うように。
エリザベス:「艦内放送一生懸命聞いているドランジ、どうだい?」
ニヤリッと笑うエリザベス。
座ったまま固まる萩野むつき。
萩野むつき:「うあー恥ずかしい!恥ずかしいったら!ってえええええええええええ!」
ぎゃーーーーーーーーーーーーーー!
大 絶 叫 !!
再びぐるぐるし始める萩野むつき。
エリザベスは娘のそんな姿を見てニヤニヤ笑っている。
エリザベス:「いや、進展させてやろうと思ってね」
エリザベス:「いい手だろ?ドランジもそんなにいやがっちゃいないさ。ただまあ、古い奴だから結婚願望がね」
そう言うとエリザベスは、がははははっと豪快に笑った。
萩野むつき:「ど、ドランジさんはどこですか!」
ぐるぐるモード再び!恥ずかし過ぎて半泣きである。
エリザベス:「私の部屋で煙草とって、そこで会話が流れてるのをきいてぶったおれてるあたりかねえ」
萩野むつき:「あわわ、艦長ー!、でもありがとうございます、行って来ます!」
そう言うが早いか、ダッシュで飛び出した。
エリザベス:「がんばれー」
その背をエリザベスからの応援の声が見送った。
エリザベス:「(ふふっ…若いってのはいいねぇ。)」
1人残されたエリザベス。
2人の行く末に祝杯でもあげるかねぇと土産の酒を見ながらニンマリと笑った。
一方、夜明けの船の通路を駆ける萩野むつき。全力疾走である。
おちつけー、おちつけーと心の中で念じながらも顔は真っ赤で火が出そう。涙も出そう。
ドンッ!!
萩野むつき:「ふぎゃ!」
誰かにぶつかった。吹っ飛ばされそうになるのを手を引かれて支えられる。
ぶつかった相手はドランジであった。
萩野むつき:「ドランジさん…、うあ、き、聞きました?よね」
ごにょごにょごにょ…と言葉が尻すぼみに小さくなる。
ドランジ:「い、いや、なんのことかな」
ドランジは目一杯視線を反らしている。彼の頬も少し赤くなっているように見える。
萩野むつき:「私の気持ちです、聞いて無くても、これだけは言わせて下さい」
ドランジ:「イエスだ」
女が言う前に男は答えた。
ドランジ:「自分は、その。貴方のことが嫌いではない」
照れながらも、誠実に…心を込めて答えた。
萩野むつき:「はい、はい(泣き」
涙がこぼれた。気持ちが通じている…それがわかった。
萩野むつき:「私の方は『大好き』ですけどね、一番一番大好きです」
こぼれる涙を指で拭いながら、ニッコリ笑った。
ドランジ:「あー。いや。その」
ドランジ:「同じだ」
2人して照れながら手を繋ぐ。手のひらから相手のぬくもりが伝わってくる。
そのぬくもりが幸せだと感じる。
萩野むつき:「私、すごく無鉄砲で、慌て者で、体弱いですけど、どうぞ、よろしくおねがいします」
ぺこりっと頭を下げる。
見上げると見下ろすドランジと目が合った。青い瞳が優しい光を湛えている。
ドランジ:「自分は、なんの芸もない」
萩野むつき:「芸がなくても人は生きて行けます、それに私にはあなたは素敵な人だから!」
ドランジ:「誰にでも素敵な人物になりたいものだ」
萩野むつき:「ふふふ、大変ですよ、きっと。でもハードル高い方がやりがいあります、だからドランジさんは、もっと素敵になれます」
ニッコリ笑う萩野むつきにドランジが微笑む。
萩野むつき:「えっと、困ってます?」
ドランジ:「いや。幸せだったが」
その言葉を聞き、笑顔が浮かぶ。輝くような笑顔が。
ドランジ:「実際のところ、貴方を抱いてどこかに走りたいところだ」
ドランジ:「歓声をあげて」
そう言って少しだけ背を屈めるドランジ。視線を合わせる。
萩野むつき:「じゃあー、ハンガーデッキにつれていってもらえませんか?」
萩野むつき:「歓声あげて!」
手を伸ばす。手が…頬に触れた。
ドランジは照れている。目を瞑って深呼吸した後、微笑んで貴方を大事そうに抱き上げた。
すごい爆発するような声をあげると、喜びを全開に走りだす。
お姫様抱っこのまま、首にぎゅーっと抱きつく萩野むつき。
彼女もドランジと一緒になって叫んだ。
満面の笑みの2人が夜明けの船の通路を駆け抜けていく。
幸せはそこにある。確かにある。
それは…単純な事なのかも知れない。
難しく考える必要も…ないかも知れない。
好きな人がいて、心が繋がっている…ただそれだけで2人は今、幸せなのだ。
fin
作品への一言コメント
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- 感想が遅くなりすみません。エリザベス母さんが素敵で仕方ありません!なにやらもぞかゆくて仕方ないのですが、あのラストを割増で良くして下さりありがとうございます! -- 萩野むつき@レンジャー連邦 (2007-12-22 17:00:23)
引渡し日:2007/
最終更新:2007年12月22日 17:00