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あおひと@避け藩国様からの依頼より



蒼の忠孝一生一度の晴れ舞台 前哨戦 

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秋も深まってきたこの頃だというのに、小笠原は今日も快晴。

暑いくらいの陽気だ。

あおひとは連絡船の待合室を出るのももどかしく、愛しい人との待ち合わせ場所へと小走りに駆けた。
 待ち合わせ場所に決めた甘味処の前で忠孝はいつものように姿勢良く立ってあおひとを待っていた。

忠孝を視界に納めてテンションアップ、制限速度最大に増速するあおひと。
「あ、す、すいません、お待たせしました」
「いいえ。ちっとも」
 忠孝は勢い余って躓きそうになったあおひとをその直前で優しく抱きとめた。

慣性は殺し、しかし羽毛で包み込むようにふわりと。
「でも、待たせてしまったのは事実ですし…えへへー」

抱きとめられて嬉しそうに笑うあおひとに微笑み返して手を離した。

手が肩から離れる瞬間、微妙に名残惜しそうに泳いだ気がした。

それと悟られないようにか、少し距離を取って今日のあおひとを改めてみつめる忠孝。
「暑くないですか。その格好は」
「こ、この間は肩が出ていたので…実はちょっと暑いんです。

あ、抱きつかれて暑いですよね。脱ぎましょうか?」

「脱がします」

照れ笑いのあおひとに事も無げに言い放った忠孝は、あおひとに軽くキスすると、するりと上着を脱がせて畳んで左手に持った。

何だか会う度に手際が良くなっている気がする。ついでに所構わずキスをするようになった。

利き腕はあおひとと手を繋ぐため、いつでも彼女を守れるように空けておく。

「……その言い方は、なんだかやらしいです…」

「そうですかね。すみません。良く似合いますよ。それではいきましょうか。奥様」

赤面するあおひとにしれっと言う忠孝。絶対確信犯だ。

そっと手を取り掌を包み込むような手の繋ぎ方で並んで歩き出す。

「ありがとうございます……は、はいっ、旦那様っ!」

世界で一番愛おしい人から奥様と呼びかけられて嬉しそうに笑い手を握り返す。大きくて温かい。

旦那様、と呼びかけられた忠孝は優しく笑ってあおひとの速度で歩く。

この一連のさり気ないながらの心配りを自然体で出来る辺りがヤガミなんかとは大違いである。
「指輪は、どこで買いましょうか」
「この先に、小さいけれどセンスのいい宝飾屋さんがあるんです!

あまり私もこういうことには詳しくないので、そこしか知らないだけなんですけれど」
「私の家が傾くくらいのが、あるといいんですが」

魔法使い出身で世事に疎いことに照れるあおひとに対して、忠孝は眼鏡を押し上げながらさらりと恐ろしいことを言った。
「そ、そんな高いの買ってもらうわけにはいきませんからっ!!慎ましやかなのでいいんですっ」
「他のどこで、見栄をはれと」
 慌てるあおひとだが忠孝はもの凄く本気だ。眼鏡が輝いている。
「別に、見栄を張らなくても…私は忠孝さんのそばにいれるだけで幸せですから」
「お金では愛は買えませんが、証にはできますよ」
 そう言うと忠孝は頬にキスをした。見栄、というか彼なりに愛情を証明する最上の方法がそれだった。

形あるものだけに他の者にも一目瞭然でもあるし。
「貴方に愛されていることを、私が知っているだけでは不十分ですか?」
「いえ。それを他人に見せびらかすのが趣味なんです」
 頬にキスを返すあおひとに真剣な表情で答える。真性の変態だった。
「……わかりました。いっぱい見せびらかしてください」
 改めて忠孝からの愛の深さと彼の想いに気付かされてついに折れた。

お見合いで初めて出会ってから彼と結構な時間を共にしているが、いつも彼の愛と新たな一面を新鮮な気持ちで受け止めている。きっと世界の終わりまで一緒にいてもそれは変わらないと思う。

忠孝は嬉しそうにうなずくと、唇に軽くキスして歩みを再開した。 

程なくして目当ての宝飾店が見えてきた。ちんまりとした黄色い外装の店構えは店舗というよりはテナントとか屋台という表現の方がしっくり来る。

それでいてどことなく気品と暖かな雰囲気が漂っているから不思議だ。

忠孝が小さなドアを開き、戦地に乗り込むような決然とした歩みで店に入って第一声。

「一番高いのから三番目までの指輪を見せてください。私の格好で勝手に値段決めないでください」
「た、忠孝さん…。もう…そんなに焦らなくても大丈夫ですよ?」

思わず首を傾げて彼を見上げる。今日の忠孝は一段とテンションが高そうだ。

それもそのはず、プロポーズと結婚式の誓いの言葉を除けば男が愛しい人のために良い所を見せられる最大の山場なのだ。

指輪、ネックレス、イヤリング、ピアスにブレスレット。金や銀や思い付く限りの宝石達。

それらで拵えられた色とりどりの精緻で美しく輝くアクセサリーが並ぶガラスのショーケースの向こう、ポンチョ姿に何故かウクレレを持った丸々と太い男が、にこにこして二人の前に現れる。
「一番高い指輪はこれですね。20万根源力です」
「に、にじゅうまんこんげんりょく…」
「ではそれで」
 予期しない人物の登場と指輪のあまりにもあんまりな価格にぴきっと固まるあおひとに対して、忠孝は事も無げに即答して懐の財布に手を伸ばした。

ちなみに20万根源力は忠孝の全力だ。その後にはわかば並の力しか残るまい。
 ヨシフキンはどうします?という顔でケースの向こうからあおひとを見ている
「だ、だめです!」
「デザインが気に入りませんか?」
 そうか、価格以外にも判断基準が、と今更気付いたかのように尋ねる忠孝にこれ幸いとあおひとは現実復帰した。  

例えへなちょこになっても彼への愛は変わらないが、いくら何でも20万はやり過ぎだ。

ヨシフキンがケースから取り出した3つの指輪の内最も安い物(それでも十分高価なのだが)を指さす。
「はい…あの、こっちの方が好きなんですけれど…だめ、ですか?」
 先程忠孝が選んだ一番高い指輪は薔薇の形をしている。自己再生して花びらが散る度に新しく花が咲き始めるらしい。
 あおひとが示した3番目に安い指輪は、なんの飾りもない、シンプルな円環をしていた。内側に細かく文字が彫り込まれてある。
 あおひとにはその文字が読み取れた。

エルフ語で刻印されたその言葉『永遠の愛の証。護りの指輪』。文言は愛を誓い合う二人にはぴったりだった。
「これが、いいです…わがまま言ってごめんなさい。でもこの、永遠の愛の証、護りの指輪と書かれている指輪がいいです」
 そこに刻まれた言葉の深淵さにほっ、と息をつきながらじっと忠孝を見た。
「それは1度だけ死を免れます。かわりに結婚は破棄されますけどね」
「死んでも結婚が破棄されないほうがいいですね。そういうのはないんですか」
 したり顔で説明したヨシフキンに難しい表情になる忠孝。それはちょっと…内心冷や汗もののあおひと。
「え、えっと…一応、二番目のも聞いていいですか?」
「だめ、ですか」
「いえ…私も、結婚が破棄されるのは嫌です」
 苦笑したあおひとの前にヨシフキンが店で2番目に高い指輪を差し出した。

青い色の石で出来ている。こちらも装飾の少ないシンプルなデザインだ。

控えめに配された一粒だけのダイヤがきら、と瞬いた。
「あ、あの、じゃあ、これにしませんか?私達の名前の色の指輪ですし」
「それは瑠璃の光といいます」
「瑠璃の光、ですか」
「ええ。召喚の力があります」
 ヨシフキンの言葉に知的好奇心が刺激されるあおひと。彼や知恵者の商う物の中にはそうした力を秘めた指輪がいくつかある事が確認されている。
「召喚って、どなたかを呼び寄せられるんですか?」
「互いを。どんな距離でも。死んでいても、心だけは呼べますよ」
「忠孝さん、私、この指輪がいいです」
 にっこり微笑んだあおひとに忠孝は破顔して頷いた。

想うことは同じ。例え死が二人を別っても、心だけは永遠に互いの物。
「そうですね。私が死んだら、心だけでも呼んで下さい」
「忠孝さんも…私が死んだら、呼び出してくださいね。心だけでも。

あの、ヨシフキンさん、これはおいくらでしょう?」

ヨシフキンは微笑んだ。最高の商人が最高のお客様だけに見せる特上の営業スマイル。

「そうですね。5万根源力ずつ、お二人で。それ以上は、サービスいたします」
「あ、ありがとうございますっ!」

一番高い指輪が20万だったからこれは相当なサービスだ。
「いえいえ。お客様の喜ぶ顔が、我々の喜び」
「どうしましょう…凄く、幸せです」

照れくさそうに忠孝を見て笑いかけるあおひと。忠孝も優しく微笑んで慈愛を込めた眼差しを注いだ。
「そういわれると、嬉しいですね」
 ヨシフキンはふくよかな顔でにこにことしながら指輪を丁寧に包装してそれぞれに手渡す。価格以上の真心が籠もっていた。
「ありがとうございます」

輝くように笑って、大事そうに指輪を受け取るあおひとを幸せそうに見守り、忠孝はその肩を抱いて店を後にした。背後でヨシフキンが二人の前途を祝福してぺこり、と礼をした。
「だって、魔法使いなのに結婚できるとか思ってなかったですし…それも、一番好きな人と、結ばれるなんて」

「まあ、その、大事にします」

幸せすぎて頬が緩みっぱなしで止められない、という感じのあおひとに今更ながら照れて頬を上気させる忠孝は何とかそれだけを告げた。
「はい…大事にしてくださいね。それで、いっぱい愛してください…私もいっぱい愛します」

嬉しそうに笑って抱きついたあおひとを再びふわりと優しく抱きとめる忠孝。肩に腕を回した。
「はい。もちろん」
「すいません、なんだか嬉しすぎて、頭がうまく回りません」
「いいじゃないですか。僕も、そうです。

好きですよ」

 忠孝は胸に頬をすりつけるあおひとを抱き締めて囁いた。

「…はい。私も、好きです」

顔を上げて頬にキス。

「……えっと、こっちは、人が見ていない、二人っきりの時に…!?」

唇をお預けにされて少し残念そうな忠孝は、あおひとの細い顎を指で上向かせた。目を瞑って唇にキスをする。

「…もう」
囁きながらあおひとは忠孝の首に腕を回した。一つに重なり合う二人の影。

ヨシフキンがこっそり店じまいした。

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拙文:ナニワアームズ商藩国文族 久遠寺 那由他

おまけw

キスカウント

忠孝から>〇〇〇〇

あおひとから>〇〇

 やはりエロリストは蒼の忠孝でした・・・。ごちそうさまでした!


作品への一言コメント

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受注者:久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国
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最終更新:2008年01月16日 01:01