玄霧弦耶@玄霧藩国様からのご依頼品
玄霧藩王は今現在藩王でなく、ただ一人の少女に恋する男であった。
ごめん嘘。もっと酷い。
ただのぐるぐるさんだった。
「どうしようくるかなというかきてくれるかな」
同じところを一分間に十往復しているのを、もう二十分は続けている。
その後ろに群れているコスモスが、玄霧に同情しているかのように風に揺れた。
ふと、その存在に気付く玄霧。
「コスモス…」
花言葉は乙女の純潔だなとかなんとか呟きながら、花に手を添えた。着流し姿にコスモスが良く似合っている。
ぶちり。
手折ってじっと花弁を見つめる。
「火焔、今日はきてくれるかな…くる…こない…」
この時点で決定的な過ちを犯してしまったのだが、玄霧は気付いていない。
「くる…こない…くる…こない…くる…こな…!!!」
コスモスの花弁の数は八、偶数である。来るからはじめれば来ないで終わるのは決まっているのだ。
「あぁぁぁぁ、ちがう、今の無し!」
わー、と花弁の無くなった無残な花芯を群れの中に投げ捨てて、もう一本手折る。
「くる、こない、くる、こない」
だからそれじゃ来ないってば。
「くる、くれ、こい…っ」
あぁ、もう。女子中学生が告白するために校舎裏に呼び出して待ってるようなぐるぐるである。最早くるくるしつつもある。
うひぃー、となんだか叫んだあと正気に戻ったらしい。
「お、俺は何を…」
急に恥ずかしくなって、慌てて無残に散った花弁を足で蹴散らしてごまかした。
最終的に「やばい来ない気がしてきた」とか思い出したところで、足音が聞こえた。
火焔とコガが、来た。
さぁ、ここからが彼のぐるぐる祭の本番だ。
「えーと、うん。今日はデートとかそういうのはいいから。一緒に遊ばない?」
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指名をいただいたSSが完成しましたので添付して提出させていただきます。
コスモスは花弁が偶数だから花占いをするよいこのみんなは「こない」からはじめてくださいね。
不備があった場合、連絡頂けたらと思います。
ご指名ありがとうございました!
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最終更新:2008年01月13日 03:41