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萩野むつき様からのご依頼品



 いかつい男が、鏡の前でしきりに身なりを整えている。背が高く、体格の良い彼が細々としたことを気に掛ける様は、どことなく笑いを誘う光景である。

事実、彼の部屋を訪ねた何人かが笑いを押さえ、見ない振りをして出て行っている。

 太陽系総軍の青色の制服に身を包み、鼻歌を歌う偉丈夫。彼の人の名はカール・T・ドランジという。

 【カールの隠れた奮戦】

 カールには最近、気になる女性がいる。 萩野むつきというレンジャー連邦に住まう女性だ。

 しかし、彼女は同時に悩みの種でもあった。何が困ると言えば、まず服装が困る。おへそ丸出しである。しかも、随時である。男としては扇情的過ぎて困ってしまうことこの上なしである。

その上、カールが彼女よりも背が高いこともあり、どうしても見下ろす形になる。すると自然に彼女の健康そうなお腹が、視界に入ってしまうのである。

 いくら堅い男だろうが性的な思考をしない訳ではない。彼女と会う度にその部分を見ないようにし、自制心の弱さを戒める日々である。

 つい最近までは彼女の子供っぽさに、そういう意識は起らなかった。しかし、二人で過す時間が増えて行くのに伴い、かつての火星独立戦争での想いが甦ってきたのである。

 100年の平和をもたらす為に、火星に現れた戦乙女。その彼女の傍で戦えることが、どれだけ自分の誇りとなったことか。

 そして、再会。彼女の戦時以外の姿に違和感を覚えもしたが、やはり心の芯において、むつきはむつきであった。それゆえに最近は気恥ずかしさも覚えてしまう。

 そもそも、萩野むつきという女性は今までカールが出会ったことの無いタイプである。太陽系総軍所属時にも、変わり者揃いの夜明けの船でも接したことのないタイプの女性だった。

 そう言う理由で惚れたかと問われれば困るカールであったが、彼女のことを思うと温かい気持ちになるのは確かである。

 「あー、いいか?」

 扉をノックする音に振り返る。ドアからこちらを伺うような眼鏡の青年。ヤガミが視線の先に居る。

 「いや、問題ない」

 「その、邪魔してすまないな」

 「だから、問題ないと言っているが?」

 不思議そうなカールに、苦笑を浮かべるヤガミ。その表情はどことなく恥ずかしそうである。

 「ふっふっふー」

 そこにぴょこんと顔を出した少女がいる。ミズキ・ミズヤだ。その幼さの残る面立ちに悪戯っぽい笑みを浮かべている。カールもヤガミも彼女と居るとペースが乱されるので、苦手意識を持っていた。故に、ミズキの表情にヒヤリとしたものを覚える。

 「ダメよね、ヤガミってば。今はドランジの声を掛けるべきじゃないのに、やっちゃうんだもの。タキガワ星人ならともかく、ヤガミくらいの大人がねぇ」

 「・・・面目ない」

 眼鏡の真ん中を押し上げつつ、表情を隠そうとするヤガミ。しかし、顔の赤らみは隠れはしない。それを見て、ミズキは笑い出す。カールただ1人がおいてきぼりの態である。

 「自分は何が何やら、さっぱりなのだが?」

 「はー、はー。あ、あのね」

 笑いをこらえ、おなかを押さえるミズキ。

 「ヤガミが無粋なことをしたってだけ。例えば、ドランジ。あなた、舞踏子と例の島に会いに行く時のヤガミに声をかけようと思う?」

 「む?」

 カールは腕を組み、その光景を思い浮かべる。その表情が段々渋い顔になるのは、理解したゆえか。

 「それはつまり・・・。自分もどことなく浮かれていたと?」

 そっぽを向きつつ、頷くヤガミ。それとは対照的にミズキはドランジを正面から満面の笑みで見つめる。その対応に顔面に血が集まるのを感じる。

 『浮かれるヤガミを見て、微笑ましいものだなどと考えていたが、今の自分も同じだったのか!』

 ショックを受けるやら、恥ずかしいやらでカールはもうぐるぐるである。頭の中を以前見たルンルンのヤガミが駆け巡り、その顔が自分の顔に上書きされて行く。恥ずかしいこと、この上ない状態になったカールは目の前の二人に何かを言うこともできず、口をただパクパクさせるだけである。

 「うわー、ドランジ可愛いー!」

 「余計なことを・・・」

 騒ぐミズキを軽く睨みつつ、ドランジを放っておくことも出来ないので、ヤガミは困っていた。

 「騒がしいのぅ?」

 「どシたにゃーん!」

「ミズキ、うるさいわよ?」

ミズキの大声にクルーたちが次々と集まりだす。勿論、元々カールの様子がおかしいので、気になって近くに居たからであるが。

「ドランジが浮かれていて、可愛いのー!」

『おおー』

 ミズキの適当な解説で一身に注目を集め、更に動揺するカール。いつもは軍人然として揺るぎ無い彼の面影は、今は欠片も無い。そこに居るのは女慣れしていない、朴訥な男性である。

 「ああ、その自分は・・・」

 「いやー、ドランジもやっぱ男だねぇ」

 「初々しいですわ」

「ペィロペィロ」

 「女にはね、頼られたいって気持ちもあるんだから、仏頂面ばっかじゃダメだよ?」

 「ドランジの相手って、もしかしてさぁ」

 カールが何かを抗弁しようとも、完全に無視される。ヤガミのぐるぐるは日常茶飯事として、恋愛の話題には縁が薄いドランジのそれは新鮮であり、話しは尽きそうになかった。

 「こんなところで何、油売ってるんだい?」

 エリザベスのよく通る声が喧騒を断ち切る。

 「あのねあのね、ドランジが舞踏子に会うので浮かれていたの!」

 皆が沈黙を続ける中、ミズキが言う。エリザベスは眉で驚きの形を作る。

 「そうかい、それはよかったね。でも、それじゃ仕事をサボる口実にはならないよ。ミズキ、あんた今は就業時間中だろう」

 首をすくめるミズキ。どうやら、サボってここに居るらしい。

 「まったく。ほら、みんなも解散、解散」

 エリザベスが手を打ち鳴らすと、皆が三々五々散らばっていく。最終的にはカールとエリザベス艦長だけが残される。

 「その、艦長。実に無様な所を見せた。すまない」

 いまや、しおしおのカールが頭を下げる。それを見て、エリザベスは微笑を浮かべる。それは皆が慕う慈母の笑み。

 「浮かれるってのは、それだけアンタがむつきに会う事を楽しみにしている証拠じゃないか。女としては喜ばしいことだよ。是非、むつきに教えてやりたいね」

 「そんなものだろうか?」

 「そうさね。アンタみたいな堅物を相手にするむつきも大変なんだよ? せいぜい大事にしてやんな」

 「自分の出来うる限りをするつもりだが」

 その言葉に、エリザベスは嘆息する。

 「ドランジ、アンタ本当に堅物だねぇ。むつきに同情するよ」

 そう言い残し、ドランジの部屋を後にする。カールは一礼して、その姿を見送るのだった。


  /*/

 こうして、気合を入れて行った小笠原。しかし、カールを待ち受けていたのは「魔法」という未知の領域の難問であった。

 呆けるドランジ。しかし、事態は転がるように移り変わり、気付くと解決していたらしい。

 そして、帰り道・・・。ようやくむつきと二人になったカールは・・・。

                                      To be continued 「勉強会の帰り道と宇宙の騎士」








作品への一言コメント

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  • =□○_ ←可愛さの余り倒れたらしいです。  -- 萩野むつき@レンジャー連邦 (2008-02-10 22:15:59)
  • ありがとうございます、悶絶しました悶絶しまsi(略)堅物なのがいいので、むしろ気の毒なのは、ドランジの方だと思います! -- 萩野むつき@レンジャー連邦 (2008-02-10 22:20:11)
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最終更新:2008年02月10日 22:20