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アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国様からのご依頼品


『ある藩王の手記』

最近春めいて来たというのに、今日はやけに冷え込む。
こんな急に冷え込んだ日は、ふと、去年の暮れのころの小笠原を思い出す。
小笠原の夜を外で味わったのはあれが最初だった。皆で夜を過ごしたことに限れば楽しいことではあったが・・・

そこに至るまでが大変だった。少し、あの頃の日記でも見返してみるとしよう。
アレから数ヶ月。あの時期は皆大変だった。特に・・・
そう思いながら、日記のページをめくる。


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12月の始め、我々はかねてから計画していた藩国旅行に出かけることにした。
最初の予定では、小笠原で色々大変なことになっているヤツ(含む自分)が居るため、ゆっくり英気を養い、次の勝負を乗り切ろう。
と。そういうわけだったのだが・・・

行って見れば何故か釣りをしてる是空さんに善行(呼んでない)。
黒豹にかまれる岩田。襲撃される学校。途中で合流し、何故か「戦場に連れて行け」なワサビ。

既にこう、この時点で嫌な予感しかしない状態で戦場だった学校に行けば怪我人の多い中で子守唄を謳う国民。
謳うなというか、流石に不味いだろう。
ともかく、頭を抱えることが多すぎた。



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結局、ワサビームががるる状態だったのは月子が行方不明だからだったらしい。
学校の襲撃に関係があるようで、現場で見つけた英吏にしきりに話を聞こうとしてた。
まぁ、それはおいといて。行方不明者の捜索について、我々では出来ることがなさそうなため、報告を待つことにした。
ワサビームは無駄でもやる、と出て行ったが、特に収穫は無いらしい。雷電の追跡力には流石に適わないようであった。

そして、日が沈み、夜もふける。
小笠原といえど、冬の夜は流石に少し冷える。昼との寒暖差で体感温度は大分変わる。
善行が我々を気遣って「あたたまりますよ」と酒を勧めてくれるが、ソレを丁重に断って待機する。
心配を察したのか、善行が「火焔は無事らしい」と声を掛けてくれる。
その一言で急に力が抜けかけるが、酒は断っておく。
……実際、飲みたい気分ではあったが、流石に自重した。
ここ数日、赤髪の女性が狙われてると聞いて心配だったので、飲みたい気分ではあったが・・・



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空が、光った。

ソコからはもう余り思い出したくはない。
ワサビームは走り出すわ、ウチの摂政はソレについてくわ、国民の一人は行方不明だわ。
光のほうに向かってみると行方不明だった国民がいて岩田が踊ってるわ・・・

どうやら光はリンクゲートのような感じだ。
ソレを確認するや否や、飛び込む摂政とワサビーム。カンベンシテクレ。
案の定、通信も通じない。どこに行くかわからんと言うに。声は一応届いているようだが・・・
すると、リンクゲートを前にどうするかと思っている我々のところに香川がやってきた。
彼が言うに、「ゲートが安定していないため、行き先などない」とのことだが。
ソレを聞いてまた一人国民が飛び込んだ。カンベンシテクレ。
とりあえず、俺は心配して後に続こうとする国民を止めておいた。
その直後、ゲートが閉じた。



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結局、ゲートのほうは香川の呼んだヤガミのお陰でゲートは安定し、飛び込んだ三人は無事保護された。
ワサビームのヤツは最後までゲートから出るのを渋っていたが、ヤガミに言われて出てきた。
なんというかこう、月子のことが大事でも、ソコじゃないだろう。とは思ったが、言わない方が良いと思った。
そして、問題のときだ。日記に記すかどうかを大分悩んだが、同じ過ちを起こさぬように記しておこうと思う。

ヤガミに、怒られた。

流石にショックだったので、一字一句覚えている。
「そこの責任者。責任者なら責任をとって、未知のものには軽々しくさわらないように指導しておけ」
「こっちは仲間を助けられないかもしれない瀬戸際なんだ」
至極もっともなのだが、なんというかこう、ヤガミに怒られたのはあらゆる意味でショックだった。
だけどこう、面白いからといってゲートに飛び込むヤツは流石に俺とめられないと思うんだよヤガミ。

って、日記に愚痴を書くとかどういうことだ。
ともかく、コレといった収穫もない探索であった。



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流石にこのままでは悪い思い出になってしまうので、良い思い出を記す。
一つは、ウチの摂政と伯爵を引き合わせれたこと。
コレはいずれやってやろうと思っていたことなので、とても満足している。
一つは、アポロさんと英吏の仲が進展しそうであったこと。
あの調子であれば、いずれ遠くない未来に幸せな二人を見れるだろう。

後は、そうだな。皆でキャンプファイヤーをしたことか。
キャンプファイヤーなんか10年以上前にやったっきりなので、とても楽しかった。
ワサビームは相変わらず張り詰めていたが、まぁ、多少は英気を養えたんじゃないかとは、思う。
あの後まだブツブツ言ってたけどな。



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「・・・ふぅ」

パタリ、と日記を閉じる。
なんだか当時のことを妙にリアルに思い出して微妙な心境だ。

「なんというか、半年もしない間にずいぶんと変わったなぁ」

今やあのワサビームも所帯持ち一歩手前だ。
アポロさんも英吏と良い感じだどうにも落ち着かない。これが「何時挨拶に来るか心配な父親の心境」ってやつか。
まあ、ワサビームはまだ色々ありそうだが。なんとかするだろう。
変わったといえば、イクさんがシーズを追いかけだした。良い事だろう。吉報が来るのを信じている。
摂政の雅戌くんといえば、最近「ぼくは鋸山がきになるんですよ」とか言っていたが、どうなることやら。

「どうしたんですか?ぼーっとして」

件の摂政様が声を掛けてきた。

「ん、あぁ、まぁなんだ。去年とは大分変わったなぁと」
「そですね。大分きな臭くなってきましたし」

そういうわけじゃないんだがなぁ、と思いつつ、適当に返事をする。
あの頃は散々だと思ったが、思い返してみれば平和だったなぁ。
と、柄にも無く思ってしまう。や、あんまり平和じゃなかったし、今も戦争真っ只中ではないのだが。

「しかし大丈夫かね、ワサビームは」
「ワサビームは兎も角、火焔も帰ってきてないんでしょう?」

いらんことを。確かに帰ってきてないが・・・

「とりあえず、仕事するか」
「そうですね。今出来ることは国力増強くらいですんで」
「例の詰め所、形にするか」
「ですね。じゃ、やりましょう」


軍靴の音が近づきつつある中、今やることをやるしかない。
そんなこともあって、あの頃を思い出したのかもしれない。
あの、戦争を考えずにすんだ頃を。



作品への一言コメント

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  • こちらでの感想が遅れてしまってすみません!そうですね、あのころを思い出すとこんな感じですねー。すてきなSS,ありがとうございました!また皆で藩国旅行いけるといいですね! -- アポロ (2008-07-21 05:09:48)
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最終更新:2008年07月21日 05:09