アットウィキロゴ

なゆた お試しシナリオ



場面①
4/7(水)
背景:教室

4時限目も終わり、昼食の時間となった。
【浩太】「ふぅ、腹減った。やっと飯だ」
4時限目は中盤からそのことしか頭になかった。
【浩太】「めっしーめっしー……、リオネル・メッシ……ん?」
となりを見ると、なゆたが一人でたたずんでいる。
【浩太】「なゆた、一緒に飯くう友達できたか?」
【なゆた】ふるふる
小さく首を横にふった。
まぁ、転校初日で友達作れっていう方が無理か……。俺なんか今だにいないしな。
【浩太】「友達ができるまで、一緒に食うか?」
【なゆた】「…………」
【浩太】「なんだいやか」
【なゆた】ぶんぶんっ
【浩太】「じゃあ食おう」
【なゆた】こくっ
俺はおもむろに机をなゆたの方に向けた。
それに応じてなゆたもこちらに机をむける。
おぼつかない手つきが可愛い。
机がぴったりくっついたのを確認して、二人とも弁当を取り出した。
【浩太】「今日もまた美味しそうだ」
母の作る料理はいつも美味しい。弁当も例外ではなく、冷めても劣ることはない。
【浩太】「ん、可愛らしい弁当箱だな、それ」
【なゆた】「そう?」
【浩太】「中身もタコの形したタコさんウインナー、うさぎりんご、(たぶん)クマ型のにんじん……。これ全部母親が作ったのか?」
【なゆた】「お母さんはいない」
【浩太】「じゃあ父親が作ったのか……」
今は亡き自分の父親がこんな弁当を作っているところを想像してみる。
【浩太】「……おぇっ」
筋肉質な父親からは想像できない、なんともおぞましい姿だった……。
【なゆた】「ちがう……」
【浩太】「え?」
【なゆた】「これを作ったのは、わたし」
【浩太】「これって?」
【なゆた】「…………」
目線はなゆたの弁当にあった。
【浩太】「これってまさか、おまえのその弁当か?」
【なゆた】「そう」
【浩太】「このキュートでチャーミングであどけない弁当をか?!」
予想外のことに気が動転して、色々と日本語がおかしい。
【なゆた】「そう」
【浩太】「おぉぉ……」
なゆたには、こんな乙女チックな一面があったのか……。
正直、バリバリ仕事をこなすクールな秘書みたいなやつだと思ってた。
弁当ももっとこう、効率的で計算づくな……。

なゆた『私の昼食の理想的な摂取カロリーは約767cal。半分を主食の白米で取り、主菜と副菜のバランスを考え~……』

【なゆた】「…………?」
【浩太】「すまん、なんでもない……」
【浩太】「どうぶつとか、好きなのか?」
【なゆた】こくっ
【浩太】「なにが一番好き?」
【なゆた】「……みんな好き」
【浩太】「それじゃあどうぶつ園はお前にとって楽園だな」
【なゆた】「どうぶつ園……、大好き……」
心なしか無表情のなゆたの顔がすこしほころんだような気がした。
【浩太】「相当好きなんだな」
【なゆた】こくこくっ
そんな会話をしながら、昼食の時間は過ぎていった――――――

4/12(月)
場面②
背景:教室

【浩太】「あのさ、なゆた……」
【なゆた】「うん?」
【浩太】「おれ、今日弁当ないんだ……」
【浩太】「だから……、弁当をすこし分けてはくれないだろうか!」
【なゆた】こくっ
【浩太】「いいのか?!」
【なゆた】「ちょうど作りすぎて困っていたところ」
【浩太】「へ?」
そう言ってなゆたは二段の重箱をかばんの中から取り出した。
【浩太】「確かに作りすぎだな……」
【浩太】「またなんでこんなに作ったんだ?」
【なゆた】「うっかり」
【浩太】「うっかりで作るレベルじゃないだろ、これ……」
【なゆた】「本当にうっかり」
【浩太】「本当かー?」
【なゆた】こくっ
【なゆた】「だから、遠慮しないで食べてほしい」
【なゆた】「どうせわたしは、すこししか食べないから」
【浩太】「そういうことならまぁ、気兼ねなく食うけどさ」
【なゆた】こくこくっ
【なゆた】「はい。食べて」
重箱のふたを開ける。
【浩太】「んじゃ、いただきます」
【なゆた】「いただきます」
もぐもぐ……もぐもぐ……
【浩太】「美味い!」
【なゆた】「そう……」
【浩太】「美味いよマジで」
【なゆた】「うん……」
【浩太】「どうしたんだ? 顔赤いぞ」
【なゆた】「なんでもない……」
【浩太】「熱あるんじゃないのか?」
【なゆた】「大丈夫」
【浩太】「ならいいんだがな」
【なゆた】「それより、もっと食べて」
【浩太】「ああ、うん。言われなくても食べるさ」
【浩太】「だってすげぇ美味いからな」
【なゆた】「~~~」
【浩太】「やっぱり顔赤いじゃんか」
【なゆた】「なんでもないから……」
【浩太】「ほんとかー? なにかあったらすぐ言えよ」
【なゆた】「うん」
【なゆた】「じゃ、じゃあ……」
【浩太】「ん、やっぱりなにかあるんじゃねーか」
【浩太】「なんだ?」
【なゆた】「えっと、その……」
【浩太】「うん」
【なゆた】「あ……り」
【浩太】「蟻?」
【なゆた】ぶんぶんっ
【浩太】「じゃあなんだよ?」
【なゆた】「あり……がとう」
【浩太】「蟻が十?」
【なゆた】「ちがう……」
【なゆた】「ありがとうって、言ったの……」
【浩太】「?? どういうことだ?」
【なゆた】「そういうこと」
【浩太】「そういうこと?」
【なゆた】「そう」
【浩太】「…………」
【浩太】「意味わからん……」
【なゆた】「そういうことなのっ!」
【浩太】「はいはい……」
あまりよくわからないけど、こんな日がいつまでも続けばいいと思った、ある昼食のことだった。
最終更新:2010年10月02日 22:10