山口智司「名言の正体」(2009)

評価

★★★★

ひとこと

サブタイトルは「大人のやり直し偉人伝」。偉人の名言録的な本はいっぱいあるのです。
その中でもこれは「名言」そのものを知らない初心者から、その一歩先を知りたい大人まで幅広い人の知的好奇心を満足させてくれる一冊だと思います。軽く読める一冊です。
そして「人は、真実を見抜く眼をもっていないのではない。ただ往々にして、真実であってほしいと思っていることを、真実として見てしまうものなのである。」(塩野七海「レパントの海戦」より)を思い出してしまうのであります。

分類

目次

第1章:誤解された名言
  • 天才とは、99%の努力と1%のひらめきである(エジソン)
  • 芸術は長く人生は短し(ヒポクラテス)
  • 健全な精神は、健全な肉体に宿る(ユウェナリス)
  • 私はカモメ(テレシコワ)
  • こいつぁ春から縁起がいい(河竹黙阿弥)
  • 水に落ちた犬は打て(魯迅)
  • 「狭き門」「目から鱗が落ちる」(聖書)
  • 芸術は爆発だ!(岡本太郎)
  • 旅に病んで、夢は枯野を かけめぐる(松尾芭蕉)
  • 光を、もっと光を!(ゲーテ)
  • 平家にあらずんば人にあらず(平時忠)
  • 酒は百薬の長(王莽)
  • 初心忘るべからず(世阿弥)
  • 握り拳と握手はできない(インディラ・ガンジー)
  • 一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ(本多重次)
  • クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、歴史は変わっていただろう(パスカル)
  • 天高く馬肥ゆ(杜審言)
  • 将を射んと欲すれば先ず馬を射よ(杜甫)
  • 参加することに意義がある(クーベルタン)
  • もし私が、より遠くを眺めることができたとしたら、それは巨人の肩に乗ったからです(ニュートン)
  • 君死にたまふことなかれ(与謝野晶子)
  • 老兵は死なず、ただ消え去るのみ(マッカーサー)
  • 武士道と云ふは、死ぬ事と見つけたり(山本常朝)

第2章:カットされた名言
  • 天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(福沢諭吉)
  • 歳月、人を待たず(陶淵明)
  • 児孫のために美田を買わず(西郷隆盛)
  • ペンは剣より強し(リットン卿)
  • 鳴かぬなら……ほととぎす(松浦静山)
  • 和をもって貴しとなす(聖徳太子)
  • ふるさとは遠きにありて思うもの(室生犀星)
  • 勝てば官軍(慣用句)
  • やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ(山本五十六)
  • 面白きことなき世を面白く(高杉晋作)
  • 少年よ大志を抱け(クラーク博士)
  • 原始、女性は実に太陽であった(平塚らいてぅ)
  • 地球は青かった(ガガーリン)
  • ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ(アームストロング)
  • 疾きこと風の如く 静かなること林の如く 侵掠すること火の如く 動かざること山の如し(武田信玄)
  • なせばなる なさねばならぬ 何事も(上杉鷹山)

第3章:誇張・捏造された名言
  • 翼よ、あれがパリの灯だ!(リンドバーグ)
  • 悪法もまた法である(ソクラテス)
  • バカヤロー(吉田茂)
  • 生まれてすみません(太宰治)
  • そこに山があるからだ(マロリー)
  • 朕は国家なり(ルイ14世)
  • パンがなければ、お菓子を食べればいいじゃない(マリー・アントワネット)
  • 余の辞書に不可能の文字はない(ナポレオン)
  • 人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し。いそぐべからず(徳川家康)
  • 天災は忘れたころにやってくる(寺田寅彦)
  • お父さん、僕は嘘をつくことができません! あの桜は、僕がこの斧で切ったんです(ワシントン)
  • 人民の人民による人民のための政治(リンカーン)
  • 板垣死すとも自由は死せず(板垣退助)
  • 待て、話せばわかる(犬養毅)
  • 貧乏人は麦を食え(池田勇人)
  • 私はあなたの意見には反対だ。だがあなたが主張する権利には賛成だ(ヴォルテール)
  • 敵は本能寺にあり
  • 一本ではたやすく折れる矢も、三本まとめるとたやすく折れない(毛利元就)
  • 黒い猫でも白い猫でもネズミを捕るのがよい猫だ(鄧小平)

第4章:「お前が言うな!」と言いたい名言、「そこまでやらなくても」と言いたい名言
  • 自然に帰れ(ルソー)
  • 40歳を過ぎたら、人間は自分の顔に責任を持たねばならぬ(リンカーン)
  • 葬るに分を越ゆるなかれ(二宮尊徳)
  • 人は四十になるまでに土台を作らねばならぬ(野口英世)
  • 人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。重大に扱わなければ危険である(芥川龍之介)
  • 人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり(武田信玄)
  • 歩を大事にしない王はやがて窮地に陥る(細川忠興)
  • 人間は働きすぎてだめになるより、休みすぎてサビつくほうがずっと多い(カーネル・サンダーズ)
  • 人生は造るもの、必然の姿などというものはない(坂口安吾)
  • 私たちは、つねづねこうなりたいと望んでいるものになれる(ナイチンゲール)
  • 愛の表現は惜しみなく与えるだろう。しかし、愛の本体は惜しみなく奪うものだ(有島武郎)
  • 女性は一冊の本のようなもの。内容を問わず、最初のページから正しいと思って読まなければいけない(カサノヴァ)
  • 私の念願は……ころり往生である(種田山頭火)
  • 愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない(太宰治)
  • 善行は、これを他人に施すものではない。これをもって自分自身の義務を済ますのである(カント)
  • 芸術は短く、貧乏は長し(直木三十五)


気になる表現

99%の汗ばかり強調されている……99%の汗が実るのは、1%のひらめきを大切にしたときなのだ(p13 エジソン自身の言)


メモ

参考文献

  • 木村尚三郎、外山滋比古、村山吉廣「名言の内側」
  • 木村尚三郎、外山滋比古、村山吉廣「続 名言の内側」
  • 「中国故事物語」
  • 木原武一「大人のための偉人伝」
  • 「世界ノンフィクション ヴぇリタ22」
  • 出久根達郎「百貌百言」
  • 山口智司「人生を奮い立たせる アウトロー100の言葉」
  • 山口智司「壁をブチ破る 天才100の言葉」
  • 山口智司「トンデモ偉人伝 天才編」
  • 山口智司「トンデモ偉人伝 作家編」
  • 山口智司「アウトロー経営者の履歴書」
  • 「学校では教えてくれない 日本史人物の謎」
  • 日本の歴史研究班編「その『手紙』が変えた日本の歴史」
  • 浜田和幸「怪人エジソン 奇才は21世紀に蘇る」
  • 小川鼎三「医学の歴史」
  • ユウェナ―リス「サトゥラェ 諷刺詩」
  • 太宰治「太宰治全集」全十二巻
  • 「新潮日本古典集成 三人吉三廓初買」
  • 竹内好編「魯迅評論集」
  • 塚本虎二訳「福音書」
  • 岡本敏子「岡本太郎 歓喜」
  • ゲーテ「色彩論 色彩学の歴史」
  • ゲーテ「色彩論」
  • レイ・ロビンソン編「世界の有名人 最期の言葉」
  • 「平家物語」
  • 「漢書 食貨・地理・溝けつ志」
  • 吉田兼好「徒然草」
  • 「新編 日本古典文学全集88 連歌論集 能楽論集 俳論集」
  • フランクリン・コヴィー・ジャパン編「『7つの習慣』に生きるための格言集」
  • 横山茂「一筆啓上 家康と鬼の本多作左衛門」
  • パスカル「パンセ」
  • プルタルコス「プルタルコス英雄伝」
  • 奈良本辰也「葉隠」
  • 草柳大蔵「あなたの『死にがい』は何ですか?」
  • 佐伯真一「戦場の精神史 武士道という幻影」
  • 島尾永康「ニュートン」
  • 森毅「異説数学者列伝」
  • 与謝野晶子「与謝野晶子全集」
  • 福田清人、浜名弘子「与謝野晶子 人と作品」
  • 尾崎左永子他「群像日本の作家6 与謝野晶子」
  • 福沢諭吉「学問のすゝめ」
  • 釜谷武志「中国の古典 陶淵明」
  • 猪口篤志「新釈漢文大系46 日本漢詩」
  • 土岐善ロ訳「新訳 杜甫」
  • 「甲子夜話4」
  • 室生犀星「抒情小曲集・愛の詩集」
  • 「連合艦隊 上巻 勃興編 ビッグマンスペシャル」
  • 司馬遼太郎「世に棲む日日」
  • 一坂太郎「高杉晋作」
  • 太田雄三「クラークの一年 札幌農学校初代教頭の日本体験」
  • 平塚らいてう「作家の自伝8 平塚らいてう わたくしの歩いた道」
  • 小林善彦「フランスの知恵と発想」
  • ルソー「エミール」
  • ルソー「社会契約論」
  • ルソー「告白」
  • リンドバーグ「翼よあれが巴里の灯だ 大西洋横断飛行の回想」
  • 白石浩一「ソクラテスの生き方」
  • 中野幸次「ソクラテス」
  • 加来彰俊「ソクラテスはなぜ死んだのか」
  • 麻生太郎「祖父・吉田茂の流儀」
  • 山岸外史「人間太宰治」
  • 山口智司「生まれてすみません 太宰治 一五○の言葉」
  • ラインホルト・メスナ―「マロリーは二度死んだ」
  • 千葉治男「ルイ14世 フランス絶対王政の虚実」
  • Pierre Gaxotte「LOUIS XIV」
  • ロジュ・デュプレス「ナポレオンの生涯」
  • 城山三郎「彼も人の子 ナポレオン」
  • 寺田寅彦「寺田寅彦随筆集」
  • 中谷宇吉郎「中谷宇吉郎随筆集」
  • M・ハーシュ・ゴールドバーグ「世界ウソ読本」
  • ガガーリン「宇宙への道」
  • 立花隆「宇宙からの帰還」
  • 本多勝一「新版 山を考える」
  • 古島一雄「一老政治家の回想」
  • 鈴木文史朗「文史朗文集」
  • 重光葵「昭和の動乱」
  • 田辺保「フランス名句辞典」
  • ヴォルテール「カラス事件」
  • ヴォルテール「ヴォルテール書簡集」
  • 志村有弘「日本合戦騒動叢書9 川角太閤記」
  • 谷口克広「検証 本能寺の変」
  • 鈴木眞哉・藤本正行「信長は謀略で殺されたのか」
  • NHK歴史発見取材班「歴史発見14」
  • ジョン・C・マクスウェル「夢を実現する戦略ノート」
  • 北篤「正伝 野口英世」
  • ジル・ペロー「カサノヴァ回想録」
  • 芥川龍之介「侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な」
  • 祥伝社新書編集部「グレート・スモーカー」
  • 河合敦「目からウロコの日本史」
  • 吉本健二「戦国武将からの手紙-乱世に生きた男たちの素顔」
  • 川西政明「文士と姦通」
  • 檀一雄「小説 太宰治」
  • 嵐山光三郎「文人悪食」
  • ヤマハン「カントの生涯」
  • 坂部恵「カント」
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最終更新:2011年02月23日 00:04