中西輝政「日本人として知っておきたい近代史 明治篇」(2008)
評価
★★★☆
ひとこと
ここのところ幕末~明治時代に関する書籍を乱読しています。
これもその一環。
もっとちゃんと日本の歴史について学び直したいと思いました。
分類
目次
第一章 人間を中心に歴史をつかむ
- 日本の歴史を貫く三本の「筋」
- 日本史の「結節点」とは
- 「上手な政治」か「正しい政治」か?
- 日本人のあるべき生き方
第二章 吉田松陰――この国の未来を守るための戦略
- 近代日本をつくった人
- 内憂外患の時代の到来
- 「兵学者・松陰」という視点
- 最終的に達した結論とは
第三章 岩倉具視と大久保利通――近代日本を生み出すための謀略
- 歴史は「会議」で決まる
- 「四侯会議」における決裂
- 「政敵」後藤象二郎の登場
- 「日本の一番長い日」
第四章 伊藤博文(前編)――現代の霞ヶ関が模範とすべき「明治の官僚」
- 明治の「秀吉型リーダー」
- 講和交渉の名手
- 財政の健全性と透明性を重視
第五章 伊藤博文(後編)――世界に恥じない近代立憲国家を目指して
- 「維新の三傑」の後継者
- 明治十四年の政変
- 憲法に「国体」を反映させよ
- 「進歩的」な明治憲法
第六章 明治の三太郎――日露戦争に挑んだ近代日本の「長男」たち
- 明治日本の輝ける瞬間の立役者
- 絶世の謀将の死がもたらしたもの
- 小村に対する二つの評価
- 国家運営にかかわる辛苦を喜んで引き受ける
第七章 桂太郎(前編)――近代軍制を確立し、日清戦争に挑んだ軍官僚
- 戊辰戦争で苦杯を嘗める
- 私費でドイツ留学を果たす
- 薩摩のホープ・川上操六との出会い
- 日進戦争で再び苦戦を経験
第八章 桂太郎(後編)――『ニコポン宰相』がめざしたイギリス流二大政党制
- 『ニコポン』で国を束ねる
- 政友会と交わした密約
- 「鉄道広軌化」問題
- 国民に理解されなかった真意
第九章 児玉源太郎(前編)――軍人の枠を超えた政治的手腕の冴え
- 父と義兄を幼少時に失う
- メッケルに学ぶ
- 後藤新平との出会い
- 同じアジア民族として
第十章 児玉源太郎(後編)――日露戦争勝利を導いた男のもう一つの戦い
- 異例の降格人事
- 児玉の「誤算」、旅順要塞
- 二〇三高地の「鬼」たち
- 奉天へ
- 元老との対立
第十一章 小村寿太郎(前編)――日英同盟を締結させた気力と胆力
- 江戸の面影を残す飫肥に生まれる
- 独断で清国と国交断絶
- 「三国干渉」の屈辱
- ロシアの脅威が迫る
- 「外交」よりも「内交」に苦労する
第十二章 小村寿太郎(後編)――日本の勝利を決めたポーツマスでの粘りの交渉
- 秘密の「広報大使」金子堅太郎との誓い
- あえて損な役回りを引き受ける
- 「日本勝利」を決めた小村の奮闘
- 「アメリカ問題」という宿命
第十三章 乃木希典(前編)――松陰の志を継ぐ宿命を己に課して
- 「さん」づけで呼ばれた英雄
- 小倉城一番乗り
- 乃木を襲った「二重の衝撃」
- 甦る松陰の精神
第十四章 乃木希典(後編)――自らの死で示した日本人への警鐘
- 「名将」の資質
- 「二〇三高地問題」の裏にあったもの
- 「情報」と「補給」の軽視
- 「明治の精神」に殉じる
最終章 日本近代史の本質とは何か
- 日本人が戦略性を発揮するとき
- 国家を危うくするものとは
- 第一次大戦の敗戦国は日本
メモ
- 日本の歴史を貫く三本の筋
- 日本人特有の繊細で美的な感性
- つねに政治が実用主義(プラグマティズム)で行われていること
- 「日本とはこういう国である」という国家意識
- 国家の危機に際して、あえて「火中の栗を拾う」人物が繰り返し現れる。それは明治という時代がもった顕著な特質で、明治日本が隆盛した最大の要因ではないか。
参考文献
- 高橋文博「吉田松陰」
- 田中彰「吉田松陰」
- 中西輝政「日本人のこころとかたち」
- 大久保利謙「岩倉具視」
- 毛利敏彦「大久保利通」
- 永井路子「岩倉具視」
- 佐々木隆「伊藤博文の情報戦略」
- 坂野潤治「未完の明治維新」
- 小林道彦「桂太郎」
- 宇野俊一「桂太郎」
- 別宮暖朗「旅順攻防戦の真実」
- 司馬遼太郎「坂の上の雲」
- 櫻井忠温「乃木将軍」
- W.グリフィス「ミカド」
- 佐々木英昭「乃木希典」
- 片上宗二「日本社会科成立史研究」
- 高橋史朗「占領下の教育改革と検閲」
- 江藤淳「閉じられた言語空間」
最終更新:2010年08月18日 15:36