日垣隆「つながる読書術」(2011)

評価

★★★☆

ひとこと

自分の読書スタイルに迷いがあったため読んでみた。
読書そのものではなく、別の部分でいくつか「ほう」という点はあったが、
人に薦めたいとは思わない不思議な本。
他人に薦めるつもり(=アウトプットするつもり)で読むことが、
深い読み方につながるということなのかな?


分類

目次

第1章 仕込みとしての読書術 選別力と読解力の基礎トレをする
  • 「読書」には七種類ある
  • 読書はパワーアップする
  • 読書とは、「おのれを知る」営為!
  • いつか読む本でなく、すぐ読む本を買う
  • まず「ベーシックな読み方」を身につける
  • 「頭に入る読み方」を身につける
  • つまらない本は的確に「損切り」する
第2章 知的体力を鍛える読書術  おもしろい読書で、激しく脳を活動させる
  • 「おもしろい」には七つのカテゴリーがある
  • 「おもしろさ」を味わいつくす
  • 名著を読みこみ、知的体力を鍛える
  • 名著の「注釈」を見逃してはいけない
  • 名著の舞台で読み、感性柔らかに耕す
第3章 書いて深める読書術 読書で得た知識を「自分のネタ」に変換する
  • 自分の土俵で本を読むということ
  • 書くことが考えることを深化させる
  • 書く準備としての付箋づかい
  • ひらめきを形にするメモの技術
  • 調査力を鍛えるための読書
  • 仮説力を鍛える読書術
  • 読んで書くというコミュニケーション
第4章 話してつながる読書術
  • なぜ、今こそ読書会なのか?
  • 読書会を主宰する日垣式ノウハウ
  • 古典や難解な本は徒党を組んで読む
  • ウェブ読書会で“集団の叡智”を浴びる
第5章 電子書籍時代の読書術 電子書籍と紙媒体の共存共栄は当然
  • 電子書籍は新しいものではない
  • 電子書籍と電子図書館の未来
  • 電子書籍時代の本棚のありよう
  • 電子書籍は万人を書き手にするのか?


気になる表現

取材は、おのれを知る仕事そのものです。(中略)
「取材をすること=おのれを知ること」という自覚がなければ、5W1Hに即した短い三面記事しか書けません。
5W1Hの致命的欠点は、評価の視点も批評もないことです。
評価の視点がないということは、誰がやっても同じであり、熟練や成長とは関係がなく、
おのれを知る行為とは無縁だ、ということに他なりません。(中略)
取材で危険なのは、相手の土俵で聴き惚れてしまうことです。(p122-123)


メモ

  • 7つの読み方
    1. 楽しむための読書
    2. 調べるための読書
    3. 発想するための即書
    4. 「自分とは何か」を知る読書
    5. 問題解決のための読書
    6. 行動のバネにする読書
    7. 考える力をつける読書

  • 10・3・1の法則
    • 3時間かけて、「おもしろい!」と思う箇所を10か所
    • 「人と話し合いたい」あるいは「自分で考えたい」と思うテーマや問題点を三か所
    • 「許せない、これは絶対違うと言っておきたい」と主張したい箇所を1か所
      • 「いつか読む本でなく、すぐ読む本を買う」はチョット違うのでは?目につくところに「積読」をしておくことは、常に意識下にあるし、著者自身もそうしている。人から薦められた、迷ったら買うを実践しているかぎり「いつか読む本」は買うことになる。


参考文献

  1. むやみやたらとおもしろい
    • リリー・フランキー「ボロボロになった人へ」
    • 浅田次郎「蒼穹の昴」
    • 張仲忱「最後の宦官」
    • 森博嗣「封印再度」
    • カッスラー,クライブ「タイタニックを引き揚げろ」
    • フォーサイス,フレデリック「ジャッカルの日」
    • クランシー,トム「レッド・オクトーバーを追え」
    • セイント「透明人間の告白」
    • カッツ,ウィリアム「恐怖の誕生パーティー」
    • ネイハム,ルシアン「シャドー81」
    • アーチャー,ジェフリー「百万ドルをとり返せ!」
    • 西加奈子「さくら」
  2. 背伸びができておもしろい
  3. 「いろいろな人がいる」ことが学べるからおもしろい
    • 中村うさぎ「芸のためなら亭主も泣かす」
    • 中島義道「うるさい日本の私」
    • 竹川英幸「帰り道は遠かった」
    • 重信メイ「秘密」
  4. 知的好奇心を満たせるからおもしろい
    • 岡田哲「とんかつの誕生」
    • 本川達雄「ゾウの時間 ネズミの時間
    • キンブレル,アンドリュー「すばらしい人間部品産業」
    • 岡田節人「生命科学の現場から」
    • 松本元「愛は脳を活性化する」
    • ビショップ「遺伝子の狩人」
    • 鈴木忠「クマムシ?!」
  5. 人生の先達に学ぶ近道だからおもしろい
    • 大崎善生「聖の青春」
    • 谷川浩司「集中力」
    • 羽生善治「決断力」
    • 堀江貴文「100億稼ぐ仕事術」
    • カーネギー「人を動かす」
  6. 世の中を広く知ることができておもしろい
    • 藤原直樹「黒いスイス」」
    • 重松一義「死刑制度必要論」
    • 梅崎義人「動物保護運動の虚像」
  7. ありえたかもしれない人生を味わえておもしろい
    • デフォー「ロビンソン・クルーソー」
    • 藤子不二雄「まんが道」
    • 小池真理子「恋」
    • 吾妻ひでお「失踪日記」
  8. その他
    • 山崎朋子「サンダカン八番娼館 底辺女性史序章」
    • 森崎和江「からゆきさん」
    • ヘミングウェイ「老人と海」
    • 湯本香樹「夏の庭」
    • 村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」
    • 筒井康隆「農協月へ行く」
    • 山田詠美「ぼくは勉強ができない」
    • リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」
    • アレックス・ヘイリー「ルーツ」
    • 灰谷健次郎「兎の眼」
    • ショイルマン,エーリッヒ「パパラギ」
    • 小池田マヤ「聖☆高校生」
    • 黒沼克史「少年にわが子を殺された親たち」
    • 吉岡忍「日本人ごっこ」
    • 井上靖「あすなろ物語」
    • 速水栄「うれしなつかし修学旅行」
    • 椎名誠「岳物語」
    • 清水義範「国語入試問題必勝法」
    • 宮崎市定「科挙」
    • 和田秀樹「受験は要領」
    • 加藤秀俊「独学のすすめ」
    • 梨元勝「噂を学ぶ」
    • 松浦元男「先着順採用、会議自由参加で世界一小企業をつくった」
    • 岡野雅行「俺が、つくる!」
    • プラハラード「ネクスト・マーケット」
    • 安田佳生「千円札は拾うな。」
    • 藤原章生「絵はがきにされた少年」
    • 二宮清純「スポーツを『視る』技術」
    • 西澤潤一「独創は闘いにあり」
    • 小関智弘「働くことは生きること」
    • 宮崎俊輔「北朝鮮大脱出地獄からの生還」
    • 藤原てい「流れる星は生きている」
    • 高橋幸春「カリブ海の『楽園』」
    • 唐津一「ビジネス難問の解き方」
    • ギロビッチ「人間 この信じやすきもの」
    • ブロックマン,ジョン「2000年間で最大の発明は何か」
    • 池谷裕二「記憶力を強くする」
    • 竹内均「科学的思考とは何か」
    • 斎藤惇夫「冒険者たち」
    • 太宰治「走れメロス」
    • プラトン「饗宴」
    • 内田樹「先生はえらい」
    • ウェブスター「あしながおじさん」
    • 藤森栄一「心の灯」
    • 山際淳司「スローカーブを、もう一度」
    • 辺見庸「もの食う人びと」
    • 宮本輝「錦繍」
    • 藤沢周平「用心棒日月抄」
    • 立花隆「宇宙からの帰還」
    • 佐藤忠男「論文をどう書くか」
    • 「司馬遼太郎全講演」
    • ツルゲーネフ「はつ恋」
    • シュトルム「みずうみ」
    • ライアル,ギャビン「深夜プラス1」
    • 栗本薫「ぼくらの時代」
    • チャンドラー,レイモンド「さらば愛しき女よ」
    • 宮崎駿「風の谷のナウシカ」
    • 島田洋七「佐賀のがばいばあちゃん」
    • 宮部みゆき「火車」
    • 野村潤一郎「ソロモンと奇妙な患者たち」
    • 千石正一「最後のゾウガメを探しに」
    • キイス,ダニエル「アルジャーノンに花束を」
    • 東野圭吾「容疑者Xの献身」
    • イチロー制作委員会「夢をつかむイチロー262のメッセージ」
    • ショウペンハウエル「読書について」

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最終更新:2011年12月15日 00:36