寺島実郎「世界を知る力」(2011)

評価

★★☆☆

ひとこと

おそらく大学生(教養課程)くらいをターゲットに書かれたと思われる本。読みやすい。
前段の過去の経緯の部分については、知らなかったこともあり、興味深く読み進めた。
「で、これからどうすべきか」(第三章)の話になると、物足りなかった。
新書だしそこまで求めるのは無理かもしれない。
と思ったが、直後に読んだ内田樹「街場のアメリカ論」はかなり満足。やはり教養の差か。


分類

目次

第一章 時空を超える視界 自らの固定観念から脱却するということ
  1. ロシアという視界
    • 一七〇五年、ロシアの日本語学校
    • 一七九二年、初の遣日使節
    • はじめて世界一周した日本人
    • 幕府、北方の脅威に目覚める
    • 北海道と極東ロシアは瓜二つ
    • ウラジオストックで見た一枚の風景画
  2. ユーラシアとの宿縁
    • 歴史時間の体内蓄積
    • 七福神伝説にみる日本人的なるもの
    • 空海 「全体知」の巨人
  3. 悠久たる時の流れを歪めた戦後六〇年
    • 歴史時間を忘却した日本人
    • 与謝野晶子の世界地図は逆さだった?
第二章 相関という知 ネットワークのなかで考える
  • ネットワーク型の視界をもつ
  1. 大中華圏
    • 広義の「チャイナ」と狭義の「チャイナ」
    • 大中華圏の強固な実体
    • 「中華民族」なる言葉の二重構造
    • 躍動する大中華圏のダイナミズム
    • なぜ中国だけがポスト冷戦で台頭したのか
  2. ユニオンジャックの矢
    • 世界を動かすユニオンジャック
    • シンガポールがもつ知政学的な意味
    • 情報と価値の埋め込み装置
  3. ユダヤネットワーク
    • 世界を変えた五人のユダヤ人
    • 基軸は国際主義と高付加価値主義
    • 無から有を生み出す力
  4. 情報技術革命のもつ意味
    • 「IT革命」というパラダイム転換
    • 暗転するアメリカ、オバマ大統領の登場
    • 就任演説に込められたメッセージ
  5. 分散型ネットワーク社会へ
    • 太陽・風力・バイオマス
    • グリーン・ニューディールはIT革命を超えるか
第三章 世界潮流を映す日本の戦後 そして、今われわれが立つところ
  1. 二〇〇九年夏、自民党大敗の意味
    • 東西冷戦構造と五五体制
    • 「漂流」を始めた九〇年代
    • 強迫観念にも似た「小泉構造改革」
    • 民主党政権誕生が意味するもの
  2. 米中関係 戦後日本の死角
    • 日米関係は米中関係である
    • 相思相愛から始まった
    • メディアの帝王ヘンリー・ルース
    • 「二つの中国」が日本に戦後復興をもたらした
    • アジア太平洋は“相対化”の時代に突入した
  3. 日本は「分散型ネットワーク革命」に耐えられるか
    • ふたつのグローバリズム
    • 日本の「国際化」は後退している
    • 「分散型ネットワーク時代」に日本を浮上させる
  4. 「友愛」なる概念の現代性
    • 冷戦型世界認識から脱却せよ
    • アジアとアメリカをつなぐ「かけ橋」
    • オバマ登場と共鳴する「友愛」なる概念
    • プロジェクトとしての「東アジア共同体」
    • 「大人の外交」にはシンクタンクが不可欠
第四章 世界を知る力 知を志す覚悟
  • PCと古本屋
  • 書を捨てずに街に出よう
  • agree to disagree
  • 異文化のなかへ飛び込め
  • 異国に乗り込んだ「場違いな青年」
  • 情報は教養の道具ではない
  • 知 不条理と向き合うために


気になる表現


メモ

  • ロシア
    • サンクトペテルブルク=聖ペテロ=ピョートルの街
    • 白系ロシア:王党系(反共産主義)ロシア。ウクライナに多い。(ウラジオストックに流された人も多い)

  • 中国
    • 北京五輪で「中華民族」を使ったのは、“大中華圏”に向けたメッセージ

  • アメリカ
    • アメリカで消費される石油(国内生産:中南米:それ以外=4:4:2)・・・中東への依存度は低い



参考文献

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最終更新:2011年12月21日 00:31