小林裕「強い営業部をつくる営業戦略・徹底実践マニュアル」(2010)

評価

★★★☆

ひとこと

営業戦略の実践に向けたHow to本。
北村尚夫「営業戦略の実際」が営業戦略立案から実践までのプロセスの全体像をMECEに述べた本であるのに対して、それぞれのポイントでの具体的なポイントを例示している。前者ではハウツー的・具体的イメージが湧かない人には併読するとよいかもしれない。


分類

目次

  • 第1部 競争に勝つための営業戦略
    • 第1章 市場を知る、顧客を知る
      1. 市場セグメントを知る
      2. 顧客プロポーションの分析
        • 顧客構成比の違いや変化から市場の余地や課題を見つける
        • 営業効率別の顧客プロポーション分析
        • 訪問採算分岐点をつかんでいるか
      3. 市場や顧客の変化の分析
        • 恐ろしい自社市場のウェイト低下
        • 驚くほど入れ替わっている顧客の顔ぶれ
        • 顧客特性の把握は営業の基本中の基本
    • 第2章 己を知る、ライバルを知る
      1. マーケットシェアのとらえ方
        • エリアによるシェアのばらつき
        • マーケットシェアはカバレージとウィンドシェアの積
      2. 重要な「市場接触シェア」という考え方
        • 普及品市場を軽視してシェアを落とすトップ企業
      3. シェアの持つ意味は業界の競争状況によって異なる
        • 多数乱戦市場ではシェアにこだわりすぎるな
        • 的確に実力を反映する相対シェア
      4. 自社製品のポジショニングを知る
        • ポジショニングの視点
        • 住宅業界のポジショニング
        • ライバルとの品揃えの違いを知る
      5. 自社の強みと弱みを知る
        • 強み弱み分析のポイント
        • 製品の顧客ニーズ充足度比較
        • 強み分析では「閾値」を把握しよう
    • 第3章 市場地位からみた戦略定石
      1. 強者、弱者の捉え方
      2. 強者の戦略
        • 規模の戦略
        • 現競争条件の維持強化
        • 同質化戦略
        • プラグ戦略
        • 需要拡大戦略
        • メイン市場の拡大戦略
        • 周辺市場の拡大戦略
      3. 弱者の戦略
        • リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーとは
        • 一点集中の原則
        • 1位の真似をしない
        • より弱者を叩け
        • グッピー戦略
        • 多数乱戦市場の戦略
        • 1位の強みの中の弱点をつく
        • ゲームのルールを変える
    • 第4章 営業マネージャーが知らなければならない価格戦略
      1. ライバルとの比較が価格戦略のスタート
        • カタログからライバルの価格戦略を知る
        • 自社商品の価格弾力性を知っているか
        • 価格は商品特性にマッチしているか
        • 価格弾力性分析に基づく価格方針決定の実例
      2. 価格設定の主要パターン
        • 価格設定の3つの基本方式
        • 戦略的価格設定
    • 第5章 市場戦略。・チャネル戦略(プレイス戦略)
      1. 市場やエリアへの資源配分の考え方
        • 重点セグメントはどこか
        • 需要の大きさという罠
      2. 顧客構成と顧客分布方針の決定
        • 顧客の重要度をどう判断するか
        • 拠点顧客配置の考え方
        • 問屋の再構成は川下を見て行え
      3. どのようなチャネル編成とするか
        • 直販か、選択的チャネルか、開放的チャネルか
        • コスト効率による直販か間接販売かの選択
        • 川下志向が営業を変える
  • 第二部 営業計画からセールス・マネジメントへ
    • 第1章 全社営業戦略の立案
      1. 営業計画は環境分析から始まる
      2. 営業戦略方針の策定
        • 市場戦略に関する方針決定
        • 資原配分に関する意思決定
    • 第2章 営業戦略の行動指針化
      1. 投入戦力には適正量があることを知る
      2. ガイドライン(行動指針)のない営業は戦略不在と一緒
      3. ガイドライン活用の戦略的事例
    • 第3章 売上目標の設定
      1. 全社売上目標の決め方
        • 各市場セグメントの成り行き売上予測
        • 各市場セグメントの期待売上の設定
      2. 営業マンごとの売上目標の決め方
        • 目標は各顧客の拡販余地を考えて決めなければならない
        • 開拓型営業の営業マン目標は活動量と成約確率がベース
      3. 自主的に背伸びさせる売上目標
    • 第4章 営業管理と日々のマネジメント
      1. 業績管理
        • 売上結果よりもプロセス指標をマネジメントする
        • 累計で管理する
        • 業績評価制度と営業戦略の整合性がとれているか
      2. 定期訪問営業のマネジメント・ツール
      3. 開拓型営業のマネジメント・ツール
        • 成果は見込み客数に比例する
        • 開拓は消し込み活動で明確にし、ウヤムヤにしない
        • キーマン(決定権者)に会わなければ効果はない
        • 営業進捗度は「マイルストーン管理」できめ細かく
        • 営業マンの活動の癖に目をつける
      4. ミーティングの重要性
    • 第5章 営業マンの腕前アップの方法
      1. 腕前は教育できる
        • 2・6・2の6を重点教育せよ
        • 売れないのは考えているつもりで考えていないからだ
        • 顧客を知れば、あの手この手の対策が浮かんでくる
      2. 顧客心理についての知識をもっているか
      3. やる気の三段階
        • やり方がわからないため、やる気がないように見えることが多い


気になる表現


メモ

  • 顧客プロポーションの分析
    • 新規需要
    • 買い替え需要
    • 買い増し需要

  • 営業効率別の顧客プロポーション分析
    • 訪問採算分岐点売上を探る(年間訪問コスト÷粗利率=ペイライン)
      • 年間訪問コスト=年間訪問回数×1回あたり滞在時間×面談1分あたりのコスト

  • 顧客特性をつかむ視点
    • 顧客の購買動機は?
    • 顧客の顧客(エンドユーザ)の購買動機は?
    • 顧客の事業成功のポイントは?
    • 顧客が選択する際の評価基準は?
    • 顧客の重要得意先はどこか?
    • 顧客の購買決定の仕組みや組織はどうなっているか?
    • 顧客はどのような買い方をするか?
    • 顧客の購買行動に影響を与える要素はなにか?
    • 顧客はその商品やサービスをどのように使うのか?
    • 顧客が購買にあたって心配することはどのような事柄か?
    • 顧客は幾らまでなら支払って良いと考えているか
    • 景気動向は顧客の購買にどの程度影響を与えるか?

  • マーケットシェア=カバレージ×競合勝率

  • 強み分析:閾地を意識することが大切

  • 弱者の戦略
    • 1点集中の原則
    • 1位の真似をしない
    • より弱いものを叩く(グッピー戦略)
    • 1位の強みの中の弱点をつく
    • ゲームのルールを変える

  • 探客と売り込みの役割分担が重要

  • 営業の活動ガイドライン例(ガイドラインは標準ではないので注意)
    1. 外勤日数と正味面談時間
    2. 担当顧客数
    3. 川上・川下比率
    4. 新製品注力比率
    5. 1日の訪問軒数
    6. 攻略分野ごとの戦力投入割合
    7. 顧客格付け基準(顧客の購買力×当社売上高で4分類:パートナ・深耕・維持・成り行き)
    8. 格付別訪問頻度

  • 営業活動の生産性=外勤日数比率×1日あたり訪問顧客数×1顧客当たり訪問回数×訪問1回あたり売上高



参考文献

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最終更新:2012年08月20日 11:46