勝間和代「断る力」(2006)
評価
★★☆☆
ひとこと
TVで見ていてどうしても好きになれなかった勝間女史。
先日「まねる力」を立ち読みして、予想外に面白かったこと、そしてメンターもするし、食わず嫌いもよくなかろう、と買ってみた。
彼女は秀才というよりは、努力の人なんだなと認識。言っていることは真っ当、というか割と当たり前すぎてなぜ改めて受けているのか理解できなかった。彼女もそれを認識しているようだ。ただ、きっと愚直に有言実行できる才能が彼女の凄いところなのだろう。
あとがきにも書いてあるとおり、この本のターゲットは明確だし、言いたいことも一貫している。
それでもなお・・・「彼女は何を目指しているのだろう、何が幸せなんだろう?」そんな疑問を感じずにはいられなかった。「『仕事を頼まれる』ことに充実感を覚えているのではないだろうか?」と。
板東眞理子・辰巳渚「ワークライフバランス」で「もっと具体的ななりたい自分を考えろ」とあった問いをそのまま彼女に投げかけたくなった。そこが未だに腑に落ちない部分でもある。
分類
目次
はじめに
- 「断る力」を身につけてはじめて、コモディティ(汎用品)から抜け出せた
- 9割は断るからこそ、引き受けた仕事は全力投球・命がけ
- 勇気を持って、あなたも「断る力」をつけよう!
1章 総論 「断る力」の圧倒的な効用を理解する
- 「断る力」がない人たちは自己主張ができない人たち
- 「断る力」がないと「2ちゃんねる」で不満をぶちまけてしまう
- 正しいかどうかは関係ない。あるのは相手の「認識」だけ
- アサーティヴ、すなわち、賢い自己主張が「断る力」を支える
- うつになる人は他人の評価に身を委ねてしまう人である
- 「断る力」をもたないと「子どもサッカー」をプレイしてしまう
- 「問題集をひたすら解く」ような教育は考える力を失わせる
- 「コモディティ」にならないためには「スペシャリティ」になる環境を選びぬかなければならない
- 「断ること」によるデメリットは思ったより少ない
- 同調はしやすいものと認識しなければならない
- 会社は同調思考を抜け出せるチャンスになる
- 「断らないこと」のメリットは何か
- 「断らなく」ても嫌われることはゼロに出来ない
- 「熱狂的なファン」を作ることに集中する
- 「嫉妬」は必ず生じるものだと割り切る
- 「嫌われる」リスクを取ろう
- だからといって、むやみに嫌われるようには振る舞わない
- 「悪意」の攻撃に対しては冷静かつ戦略的に対応する
- その悪意は「解決すべき問題」か判断する
- 自分の「悪意」を抑制することで、相手の悪意も理解できる
- 私たちは自分の扱い方を人に教えている
- 「断る力」を身につけるためには、相手との「対等」な人間関係が必要
- 「ランク・ジャンケン」主義者が一定割合はいることも割り切ろう
2章 ホップ 自分の揺るぎない軸を持つ
- 自分に責任を持てるのは自分だけ
- ビートたけしさんの「毒舌」の正体とは?
- 上手に「断るリスク」を取る具体的なコツを学ぶ
- ネットにおける「果たし状」~批判を繰り返す人の心理を考える
- 適切な「自己評価」がすべての基本になる
- 評価しづらい能力も評価する
- 「努力」の量はかけた時間で評価できる
- 自分の評価をするためのより具体的な方法を知る
- 「客観的評価」を失うことこそ、最も避けるべき状態
- 「フィードバック」からノイズを取り除きながら、光と影を知る
- 他者からの評価バイアスで注意すべきこと
- 「不得手」なものは放っておく割り切りと強さが必要
- 30代前半までに「軸」を持つのが理想
- 自分が自分の「コーチ」として実は最適な人材である
3章 ステップ 相手への建設的な影響力を発揮する
- 「空気」を読んだ上で無視できる力をつける
- 「影響の輪」を常に意識しよう
- 上司は思いつきでものを言う
- 相手への影響とは、相手の力をうまく引き出し、「協力関係」を築くことである
- 「交渉力」はクセである
- 相手を尊重するからこそ、「断る」
- 「思考のクセ」を変えるには、手法を知り、行動を繰り返すしかない
- 「断る力」の発揮を「ロー・リスク」な場所から始めてみよう
- 「断る」成功体験で、自分に自信ができる
4章 ジャンプ 「断る力」で、自分と周囲の好循環を作る
- 「断る力」を身につけると、人間関係が目に見えて変わる!!
- 人との関わりの中で「自分の軸」が革新していく
- 相手を相対化する
- 職場でのチームワークを作る
- 日常生活の中で、基礎となる友情・愛情を育む
- 最後は、間違った考え方、間違った社会にNOと言える力を養うことを考えたい
メモ
- 三毒追放(妬む、怒る、愚痴るを止めること)に出会い自分を取り戻した。
- 事実なんてない。あるのは認識だけだ。
- 戦略性も何もないまま、ひたすらボールを追いかけて、ゴールをめざすような「子どもサッカー」
- 友だちは何人必要か?
- この商品(サービス)をぜひ、知り合いに勧めたいですか?
- 数年かけても追いつけないレベルが会社や地域で一番、数十年かけても追いつけないと日本で一番
参考文献
- シゾレフ・メランコテスト
- マリー=フランス・イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメント-人を傷つけずにはいられない」
- 荘司雅彦「離婚裁判-モラル・ハラスメントからの脱出」
- リチャード・J・ステナック「私をコントロールしないで!-あなたを支配するパートナーとの縁の切り方」
- マーサ・スタウト「良心をもたない人たち-25人に1人という恐怖」
- フラッド・ライクヘルド「顧客ロイヤルティを知る『究極の質問』」
- 加藤諦三「妬まずにはいられない症候群」
- マーカス・バッキンガム、ドナルド・O・クリフトン「さあ、才能に目覚めよう-あなたの5つの強みを見出し、活かす」
- トム・ラス、ドナルド・O・クリフトン「心のなかの幸福のバケツ」
- 福岡伸一「生物と無生物のあいだ」
- べティ・ハラガン「ビジネス・ゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方」
- 山本七平「『空気』の研究」
- ロバート・B・チャルディー二「影響力の武器」
- デール カーネギー「人を動かす」
- ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル「ピーターの法則」
最終更新:2010年08月21日 18:44