バイストン・ウェルでの戦乱は、その場を地上界へと移し、地上の人々をも巻き込んでゆく。
ラウの国のオーラ・バトル・シップ(巨大戦艦)、ゴラオンが、クの国のオーラ・バトル・シップであるゲア・ガリングに特攻する。
ラウの国の女王エレ・ハンムと家臣のエイブ・タマリは戦死を遂げる。
ゴラオンと共にゲア・ガリングもまた、撃沈する。
ショウ「エレ様!?」
チャム「ショウ、エレは死んだわ。エイブも…… ゴラオンを支えていたオーラ力が無くなっていく!」
ショウ「ゴラオンだけじゃない。ゲア・ガリングを支えていたオーラ力も無くなって……」
マーベル「オーラ力のプレッシャーが消えていくわ。けれど、まだある。賢しいオーラ力が!」
アの国の女戦士、ミュージィ・ポーの乗るオーラ・ボンバー(大型機動兵器)、ブブリィ。
ミュージィ「ウィル・ウィプス。ブブリィ、緊急着艦する。──いいか、オーラコンバーターが加熱したとでも言っておけ」
部下「しかし、なぜ?」
ミュージィ「ショット様の特命だ。(このドサクサのドレイク暗殺は、ショット様の望むところのはずだ)」
反ドレイク側の旗頭、ナの国の女王シーラ・ラパーナのオーラ・バトル・シップ、グラン・ガラン。
シーラには、フェラリオのエル・フィノとベル・アールが付き添っている。
乗組員「ゴ、ゴラオンが墜ちます!」
シーラ「構うな。グラン・ガランは全速前進である。ドレイクは勝てると踏んだであろうが、そこが隙というもの。全将兵に伝えよ。総がかりである!」
ベル「ソーガカリ? 何だ?」
エル「総攻撃よ」
ベル「え? 何だ?」
エル「みんなで最後まで戦うの!」
ベル「最終回だからか?」
エル「もう、馬鹿っ!」
バイストン・ウェルの覇権を狙うアの国の王、ドレイク・ルフトのオーラ・バトル・シップ、ウィル・ウィプス。
ドレイク「フフ、これで勝ったな。ショットに伝えろ。『残存艦艇をグラン・ガランの背後に回し、グランを挟み撃ちにしろ』とな」
ミュージィのブブリィが、ウィル・ウィプスに着艦する。
兵士「ショット・ウェポンの伝令だと?」
ミュージィ「ドレイク陛下に、急ぎ伝言を」
兵士「なぜ無線を使わん!?」
ミュージィ「戦闘中にそんなもの使えるか!」
ドレイク「ミュージィ・ポー、何か?」
ミュージィ「はい」
ミュージィはドレイクに駆け寄ると見せかけ、拳銃を連射する。
ドレイクは銃撃をかわし、ミュージィを杖で一撃し、先の兵士がミュージィを取り押さえる。
兵士「やめんか、こいつ!」
ミュージィ「離せ!」
ドレイク「ショットの命令か?」
ミュージィ「う……」
ドレイク「ショットの命令か!?」
ミュージィ「わ…… 私の意志だ! ショット様は知らないことだ!」
ドレイク「賢しいな、ミュージィ。音楽教師をやっていた頃の嫋やかさはどうしたのだ?」
グラン・ガランの窓が砲撃で砕け、爆風がシーラや艦長のカワッセ・グーたちを襲う。
シーラ「カワッセ!」
カワッセ「オーラバトラー隊に、前方を固めさせろ!」
ベル「ねぇ、バイストン・ウェルに戻ろうよぉ!」
エル「シーラ様、地上で死んでしまったらつまんないよ!」
シーラ「ベル、エル、お聞きなさい。バイストン・ウェルの世界、いえ、オーラの力は、戦いさえ終われば必ず私たちに報いてくれます。ですから、退くわけにはいかないのです」
ベル「ここんとこ、ずうっと言ってることよね」
エル「でも、シーラ様にもしものことがあったら……」
シーラ「バイストン・ウェルの機械は、地上世界を混乱に陥れています。私たちの手で、すべてを終わらせなければならないのです。2人だけでもお逃げなさい」
ベル「私、シーラ様と一緒じゃなきゃ嫌だぁ!」
チャム「聞こえる…… ベルとエルが怯えている」
ショウ「よし。シーラの動きは、チャムの勘でキャッチしていてくれ。俺はスプリガンの足を止める」
バーン・バニングスは仮面で素顔を隠し、黒騎士として暗躍している。
その黒騎士のもとに、ショット・ウェポンからの通信が届く。
黒騎士「この戦闘中に何だ、ショット・ウェポン」
ショット「ミュージィのブブリィが、ウィルに接触しすぎのようだ」
黒騎士「それが?」
ショット「ビショットが死んだ今となっては、ドレイクはまだ使いようがある」
黒騎士「ショット! 貴様ミュージィに、ドレイク暗殺を命令したのか!?」
ショット「命令はしておらんが、今はやめさせたい」
黒騎士 「(策士め、この礼金は高いぞ) ただし、どのように止めるかは、俺のやり方でやる」
マーベルのダンバインが、ショットのオーラ・クルーザー(高速巡洋艦)、スプリガン目掛けて突進する。
マーベル「あの高速巡洋艦が、ショット!」
ショット「ダンバインか!?」
マーベル「ショットめぇ!」
敵オーラバトラーが、割って入る。
マーベル「邪魔しないで!」
マーベルが敵機を撃ち落すが、その間にショットは遠くへ飛び去る。
マーベル「……チャム?」
チャムの声「マーベル、今そっちに行く。がんばって!」
マーベル「ありがとう、チャム」
ミュージィが、ドレイクの目の前で床に叩きつけられる。
ドレイク「お前を餌に、ショット・ウェポンの息の根を止めてやる。永遠に私に跪かせてやる」
黒騎士からの通信が入る。
黒騎士「親方様」
ドレイク「何か?」
黒騎士「ミュージィは、親方様の命を狙っています」
ドレイク「……ウィル・ウィプスに入り込んでいるのか?」
黒騎士「はっ」
ドレイク「戦闘中になぜ知らせる? 軍規違反を犯してまで」
黒騎士「私の意地です」
ドレイク「ショットへの怨みか?」
黒騎士「親方様のご想像にお任せします」
通信が切れる。
ドレイク「ショットの策を知らせるバーン・バニングスか。それをさせるショットという男、よくよく徳のない男だな、ミュージィ」
ミュージィ「くそっ!」
ドレイク「ルーザに、お前のような可愛さがあれば、こうは……」
反ドレイク側のリーダー格のニー・ギブンと、女戦士のキーン・キッスが、オーラバトラー・ボチューンで、窓を突き破って艦内に突入する。
ドレイク「第2ブリッジへ移動するぞ!」
兵士「ドレイク様!」
ニー「キーン、ザコには構うな。ドレイクだ!」
キーン「ドレイクらしい人影が、右奥のハッチへ向かったわ!」
ミュージィ「まだ私にはツキがある……」
ドレイクを狙うニーのボチューンに、敵オーラバトラーが群がる。
ニー「どけよ!」
ミュージィは混戦の最中、格納庫へ走る。
ミュージィ「ブリッジに敵が出撃した! 行くぞ!」
兵士たち「はっ!」「出るのかよ!?」
ミュージィ「艦内で白兵戦の用意だ!」
兵士たち「えぇっ!?」「白兵戦!?」
ミュージィがブブリィに乗り込み、発進する。
ニー「あれはブブリィ!? また出てきたのか!」
キーン「あぁっ! ブ、ブブリィ!?」
ミュージィ「しまった、この距離では砲撃が!」
ウィル・ウィプスを飛び立ったブブリィが、キーンのボチューンに鉢合せする。
ブブリィの激突で、キーンのボチューンが大爆発する。
キーン「あぁっ!? ニ──!!」
ニー「キーン!? ブブリィめぇ!」
地上では、ショウたちの戦いがテレビで放映されている。
マーベルの両親が、ショウの父シュンカが、それに見入っている。
『グラン・ガランは持ち直したようです。ゴラオンの残存戦力が予想以上の数を残していたため、戦線は移動しておりません』
『第7艦隊からの発表によりますと『オーラバトラーが残った場合には、自爆機と体当たりさせても、葬るようにとある』とのことであります。そのために、各国の──』
グラン・ガランが砲撃で大きく揺れる。
カワッセ「左舷、弾幕が薄いぞ! オーラバトラー隊、どうした!?」
ベル「シーラ様、行こうよぉ!」
エル「シーラ様!」
シーラ「地上にも、バイストン・ウェルと同じようなところが……」
ベル「嫌よ! 一緒じゃなければ!」
シーラ「ベル、エル……」
カワッセ「各艦は前に出て、シーラ様の盾となれ!」
ドレイク「グラン・ガランが最後の勝負をかけてきたか」
兵士「スプリガンの動きが見えんぞ。どうなっている?」
ドレイク「ショットめ……」
ショウは、新鋭オーラバトラー・ビルバインで、敵機を次々に撃ち落とす。
ショウ「あれは!?」
チャム「ガラバよ!」
黒騎士「捕まえた……」
黒騎士のオーラ・ファイター(飛行メカ)、ガラバが、鉤爪でビルバインを捕える。
ショウ「うわぁぁっ!?」
黒騎士「捕まえた! ショウ・ザマ!」
ミュージィのブブリィが突如、ガラバに砲撃を加える。
黒騎士「何っ!?」
ミュージィ「黒騎士ぃっ!!」
黒騎士「ブ、ブブリィが!?」
チャム「同士討ち?」
ショウ「らしいな」
ビルバインはその間に、ガラバから逃れる。
黒騎士「逃がした! ミュージィか!? ドレイクから逃れてきたのか!?」
ミュージィ「なぜ私の行動を知ったのだ!?」
黒騎士「俺はバイストン・ウェルの人間だ。ショット如き、地上人の言いなりにはならんということだ!」
ショットのスプリガン。
兵士「ショット様、ウィル・ウィプスが総攻撃を始めました」
ショット「このまま、動くな」
兵士「援護をせずとも良いですか!?」
ショット「構わん」
兵士「しかし……!」
ショット「このときのために、ドレイクを生かしておいたのだ。共に潰れてくれればいい」
兵士「ビルバインが、突進して来ました!」
ショット「何っ!?」
ショウのビルバイン、マーベルのダンバインがスプリガンに追いすがる。
ショウ「マーベル、遅くなった」
マーベル「ショウ、スプリガンは速いわ。気をつけて!」
ショウ「出て来た、オーラバトラーだ!」
チャム「ショウ、私もやる!」
ショウ「わかった。チャムのオーラ力を貸してくれ!」
ビルバインとダンバインがショウたちのオーラの光に包まれ、巨大な光球となる。
ミュージィ「オーラ光がスプリガンに!」
黒騎士「何だと!?」
ショット「ハイパー化せずに、パワーを上げたというのか!?」
ガラバ、ブブリィ、双方がスプリガンのもとへ。
ミュージィ「ショット様を狙うなどと……!」
ビルバインらとスプリガンの間に、ブブリィが割って入る。
ガラバが、ダンバインの胴に一撃を加える。
マーベル「うぅっ!?」
黒騎士「まだショットを殺すわけにはいかん! 利用価値がある!」
オーラの光の中、ブブリィのコクピットが砕け、ミュージィが外へ放り出される。
ミュージィ「あぁ──っ!?」
ショット「ミュージィが!?」
ミュージィ「ショ、ショット様……」
ショット「ミュージィ……」
ショットが窓の外へ手を伸ばし、ミュージィと手を取り合う。
スプリガン、ブブリィが、巨大なオーラの光に飲み込まれ、大爆発を遂げる。
マーベル「はぁ、はぁ…… や、やったわ、ショウ。ショットをやったわ!」
チャム「やった、やった、やったぁ!」
ショウ「マーベル! 俺たち、ハイパー化しなかったな! ──マーベル、どうした?」
チャム「マーベル? マーベル、どうしたの?」
マーベル「何でもないわ、大丈夫よ…… うぅっ! ショウは、ウィル・ウィプスへ……」
ショウ「了解。しかし、マーベル……」
マーベル「あなたは聖戦士でしょう!? まずドレイクを墜としなさい!」
ショウ「……了解。すぐに救援を回させる」
ビルバインが飛び去る。
マーベル「まったく…… 人が慰めてほしいときは、知らん顔して…… う、うぅっ……」
マーベルの腹に、べっとりと血が滲んでいる。
そしてダンバインが、ついに大爆発する。
黒騎士「確実だな、ダンバイン。ビルバインは?」
地上界の各国の軍艇が、海上に犇めいている。
「ウィル・ウィプスがジリジリ距離を詰めている」「何かあるんだ!」
「ドレイクの戦力は、まだまだ抜けちゃいないな」
アメリカ空母カール・ヴィンソンのスコット艦長と、エンタープライズ副長。
スコット「バイストン・ウェルが、地上人の作ったオーラ・マシンを排除したのかな」
副長「しかし、地上をこうまで巻き込むことはないじゃありませんか」
スコット「バイストン・ウェルは別世界じゃないんだ。我々の魂が戻るところなのだとさ。この精神世界が、我々地上界の人間にテキストの戦争を演じさせているのさ」
副長「テキスト……戦争?」
スコット「そうじゃないかね? ここには世界中の軍事力が集まっている。最終的には彼らは、この軍事力を全滅させるために遣わされた、バイストン・ウェルの代表選手かもしれんのさ」
シーラたちのグラン・ガランは砲撃を受け、すでに中破している。
シーラ「戦えるオーラバトラーはすべて出しなさい。ウィル・ウィプスのブリッジだけを潰せば良い。ドレイクのみを」
黒騎士「ビルバインめ。まだウィルのブリッジに、取り付いていないのか!?」
ショウのビルバインが、ウィル・ウィスプへと接近する。
ショウ「ドレイクはいるか!?」
チャム「いると思うけど…… 違うかな?」
ドレイク「妙だ…… 妙だな? 一方的に我が方の被害が増えている。ウィル・ウィプスのオーラバリアーは働いておらんのか!?」
兵士「グラン・ガランに、確実にダメージを与えておりますし、そんなことはありません!」
ドレイク「達観論では戦に負けるぞ! 事実を見つめろ!」
兵士「はっ!」
ドレイク「オーラ力とは、人の生体エネルギーと言ったな。ビショット、ルーザが死に、我が方のオーラ力が弱まったのか」
グラン・ガランが、砲撃の雨を浴び続ける。
操舵手「むざむざやられるか!」
カワッセ「防火壁を降ろせ! 誘爆を防ぐのだ!」
シーラ「カワッセ! 力押しでは被害は大きくなるばかりです。雲を盾になさい!」
カワッセ「雲!? 操舵手!」
操舵手が爆撃で吹っ飛び、咄嗟にカワッセが舵を取る。
チャム「私たちはドレイクをやっつければいいのよ! 死に急がないで!」
ビルバインが、群がる敵機を斬り払いつつ、ウィル・ウィプスに砲撃を加える。
ショウ「潰したか!?」
チャム「前へ回り込んで!」
ショウ「よし!」
チャム「ガラバだぁ!」
ガラバの不意の攻撃で、ビルバインの左脚がちぎれ飛ぶ。
黒騎士「ドレイクだけを倒せば済むなどとは思わせん!」
ウィル・ウィプスのドレイクたち。
ドレイク「歯がゆいな。まだグランを黙らせることはできないのか」
兵士「はっ! グランは、雲の中に逃れた模様です」
ドレイク「馬鹿を言うな! シーラのオーラは、確実に私に投影されている」
兵士「はぁ?」
ドレイク「シーラはバイストン・ウェルの意思を呈して私に望んでいるのだ。逃げはせぬ! 認めねば貴行も巻き添えを食らうぞ!」
グランガランでは、シーラが突如、ベルとエルを放り出す。
ベルたち「シーラ様!?」「シーラ様!?」
シーラ「くどい! もうお前たちの顔は見たくもない。下がれ! ドレイク……!」
ベル「シーラ様ぁ!」
シーラ「お気づきか? 貴下の成したこと…… カワッセ、ウィル・ウィプスへ突撃! グラン自爆により、すべてを殲滅する!」
ドレイク「すでに、私の迷いは消えている。ルーザが死んだのだからな。ウィル・ウィプスで、グラン・ガランを受けろ! 私と来い!」
兵士「ドレイク様!?」
グランガランが、ウィル・ウィプスへと突撃してゆく。
チャム「いけない…… シーラ様、早すぎます!」
ショウ「何!? グラン・ガランが特攻をかけたのか!?」
チャム「ベル、エル、どうしたの!? シーラ様を止めなくっちゃ!」
ショウ「ドレイクも特攻を覚悟したんだ!」
チャム「違うわよ!」
ショウ「なんで違うって言えるんだ?」
チャム「ドレイクだって、ルーザやシーラ様と同じくらいオーラ力があるのよ。ドレイクに騙されちゃ駄目よぉ!」
ショウ「騙した!?」
チャム「私、グラン・ガランに行く!」
ショウ「俺も!」
チャム「ガラバのバーンがいるでしょ!?」
ショウ「……行ってくれ!」
チャム「開けて!」
ビルバインのハッチが開き、チャムが戦火の飛び交う空へ飛び出す。
ショウ「チャム……」
ガラバがビルバイン目がけ、突進して来る。
ショウ「黒騎士! バーン・バニングス!!」
黒騎士「ハイパー化できなくともぉ!!」
黒騎士が仮面を脱ぎ捨て、バーンの素顔を晒す。
ドレイクは部下の兵士を引き連れ、オーラ・シップ(戦艦)、ブル・ベガーに乗り込んでいる。
ドレイク「ブル・ベガー1隻と、数機のオーラバトラーがあれば再建は可能だ」
兵士「アメリカの力を借りるというのですか?」
ドレイク「ルーザの意思に取り込まれぬところでにもう一度、自分の力を試してみたいのだ。やってみせるさ。それが、オーラマシンを発明したショットの夢でもあろう。やれ! 最大全速だ!」
ブル・ベガーが、ウィル・ウィプスから飛び立つ。
シーラ「ドレイク!? ショウ・ザマ、ニー、ドレイクが逃げる! グラン・ガラン、ウィルを飛び越えろ!」
ショウ「ドレイクが!?」
ショウの隙をつき、ガラバが砲撃で、ビルバインの右腕を砕く。
バーン「やった!」
ショウ「まだまだぁっ!」
バーン「そうかな!?」
ニーがドレイクを発見する。
ニー「あれか! ドレイク・ルフトぉ!!」
ニーのボチューンが、ブル・ベガーのブリッジを目掛けて斬りつけ、ドレイクの姿が露わになる。
ニー「貴様のような奴がいたから……」
ドレイク「ニー・ギブンか!?」
ボチューンの剣が、ブリッジを貫く。
ドレイク「う、うわぁっ!! き、貴様に討たれるとはな……!」
ブル・ベガーが大爆発する。
しかし直後、敵オーラバトラーの集中砲火がボチューンを襲う。
ニー「キーン! ドレイクを…… うわぁぁ──っ!!」
ニーのボチューンもまた、炎の中に消える。
シーラ「ニー、よくやってくれました! 人々よ、バイストン・ウェルへ帰還します!」
シーラが、すべてのオーラ力を開放する。
シーラ自身の姿を象った光が、光球となって膨れ上がる。
チャム「ベル、エル! あ…… グラン・ガランが!? わ、わぁぁ──っっ!?」
チャムが爆風に煽られ、吹き飛ばされてゆく。
シーラ「あとは、己の憎しみの心を、地上に遺さぬように…… ショウ!」
ショウ「貴様はぁっ! その怨念で、何を手に入れたぁ!?」
バーン「力と、狡猾さだ!!」
ガラバの攻撃でビルバインの頭部が吹き飛び、ハッチが砕け、ショウの姿が露になる。
バーン「さすれば、勝つ!!」
ショウはなおも、ビルバインを捨て身で突進させる。
バーン「ショウ!?」
ビルバインの一撃によりガラバのコクピットが砕け、バーンの姿も露になる。
ショウ「俺は人は殺さない!」
ショウが今まで一度も抜いたことのない腰の剣を抜き、バーン目掛けて飛び降りる。
バーンもまた、剣を抜いて迎え撃つ。
ショウ「その怨念を殺す!!」
2人が刺し違える。
バーン「がぁぁっっ!?」
ショウ「うっ、うっ…… シ、シーラ・ラパーナ…… 浄化をぉぉ!!」
シーラのオーラが巨大化し、膨れ上がる光の中、オーラマシンが爆発し、次々に消えてゆく。
凄まじい光が海上の軍艇の軍人たち、報道陣を照らす。
副長「な、何です!?」
スコット「これはオーラだ…… 人のオーラの光だ!」
ショウの父シュンカ、マーベルの両親。
そしてアメリカ大統領、ソ連高官、イギリス女王も、テレビを通じてその光景に驚愕している。
翌朝。
各国の軍の戦闘機やヘリコプターが、戦場跡の海上を飛び交っている。
「なんで、みんなが同じところに集まるんだ!?」「それじゃ、近づきすぎる! 離れろ!」
「いや、しかし、ここに来いと言ったろ!?」「誰がだよ!?」
「呼ばれたから来たんだ! 共同捜索のはずだ!」
「グラン・ガランが墜ちた辺りだろ?」「北に150キロ離れて……」
「あれだよ! 俺たちを呼んでるのは! あの光だ!」
「光!?」
朝焼けに照らされた水面に、何かがキラキラと光っている。
ヘリコプターの1機が慎重に高度を下げつつ、パイロットが手を差し伸べる。
穏やかに波打つ海面に、気を失ったチャムが漂っている。
テレビの報道が、それを伝えている。
『チャム・ファウの生存が確認されました。バイストン・ウェルのただ1人の生き証人、ミ・フェラリオのチャム・ファウが、エンタープライズに収容された模様です。全世界の皆様。今、チャム・ファウが将兵の手に抱かれて…… あっ、チャムです! 間違いなく、チャム・ファウです!』
ヘリコプターが、エンタープライズに着艦する。
将兵の手に、気を失ったままのチャムが抱かれている。
チャム・ファウは、 地上人の手厚い看病を受けながら、 バイストン・ウェルの事々を語ってくれた。
そして月夜の晩、チャム・ファウは その軍艦を抜け出して、 二度と還ることはなかった。
それゆえに、ミ・フェラリオの伝える バイストン・ウェルの物語を伝えよう──
|
最終更新:2020年05月29日 21:32