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もう何度目だろうか...
何度繰り返しただろう...
10000から先は数えるのをやめた。
始めはいつもこうだ。
「ん?誰か来たな」
「ようこそギルドファイアワークスへ!」ガチャ
イグニスは走り寄ってドアを開ける。
私も勿論全力でその後を追う。
だが、いつもあと一歩届かない。
ドアが開く。それと同時に差し込まれる黒い鉤爪。
イグニスの頭は宙を舞う。
まただ。また....駄目だった。
夢だと分かっていても、仲間の首が何千、何万回と飛ぶのを見るのはいい気がしない。
「こんにちは諸君。今日で君たちは廃業だ」
アイツだ。
奴は他の奴らには団長と呼ばれていた。
恐らく私の両親を殺した奴らの幹部なのだろう。
私は奴に照準を合わせ、幾度となくその躰を切り裂く。
しかし、私の刃は奴には届かない。
「言っただろう?今のお前の力では無理だ、と」
奴の正体不明の攻撃を受け、壁まで吹き飛ばされる。
次々と殺されていく仲間達。
私が魔法でも使えたら良かったのだろうか。
いや、結果は見えている。
そして私は独りになる。
「これがお前の力だ」
「仲間を守ることも、私を倒すこともできない」
「....ファイアワークスはあなたになんか負けないわ」
「果たして本当にそうかな?」
「私の力を目の当たりにして、そう言えるのか?」
「...............」
心の底から力が欲しいと思った。
確かに仲間を信じていると言えばそうだが、やはり私がなんとかするしかない。
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それからどれだけ繰り返しただろうか。
そんな事を考えるのも億劫になっていた。
ギルドのドアが叩かれる。
「ん?誰か来たな」
力が欲しい
圧倒的な力が
欲しい
そう思った瞬間、思考がそれだけに支配され、他のことを考えられなくなった。
私の周囲に魔法陣が浮かぶ。
これは...あの時と同じだ。
だが、明らかに魔法陣の数が異常だ。
何か得体の知れないものが私を取り囲み、中に入ってくる。
次の瞬間、私はその手から魔法を放ち、ドアの周囲を吹き飛ばしていた。
これが....力。
「おめでとう」パチパチパチ
「これで君は力を手に入れた、という訳だ」
「まぁそれと同時に操らせてもらったがな」
私の記憶はそこで途切れた。
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次に目を開けた時、私はギルドメンバー達と対峙していた。
「殺せ」
「力が欲しい」
この二つが頭の中で鳴り響く。
殺せ
力が
雪葉「ヴィーニュ殿…」
欲しい
ウォーク「ヴィーニュ!」
殺せ
バタフライ「退いてください」
力を
「………貴方達こそ邪魔よ」
「私はもっと力が必要なの」
「だから」
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺
せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
「邪魔するのなら…………殺す!」
エルフ「何で力が必要なんですか…!?先輩は十分強いじゃないですか!?」
まだこんなものじゃ足りないのよ
アンナ「確かに君は強くなった…けど力の使い方を間違えているよ」
使い方?私は…
雪葉「力……どんな力が欲しいのじゃ?これで本当に良いのかの?」
これでいいのよ、いいの?
ウォーク「力が足りないなら俺達が手助けする!だから戻ってこい!!」
戻る?何処に?
バタフライ「もう良いです。退かないのなら私が斬ります」
「……………………」
エルフ「私…先輩を信じてますから」
信じる……私を…
アンナ「僕は知ってるよ。ヴィーニュさんはそんな人じゃないって」
私は…私は…力が欲しかった…
ウォーク「ヴィーニュ、一人でできる事は限られてるんだぞ……だから…!」
殺せ
ああ、そっか
力が欲しい
いや、力は
殺せ
こんな近くにあったのね
団長「無駄だよ」
「君たちの声は届かない」
「そして君たちはコイツに殺されて閉幕、という訳だ」
バタフライ「てめぇ…口だけは達者だな。覚悟しておけよ」
雪葉「如何にも三流未満の台詞じゃの。化け物に相応しい最後を与えてやるから待っているのじゃ」
私を信じてくれる人がいて
力に狂った私に止めを刺そうとしてくれる人がいて
心配してくれる人がいて
みんながいて
なら、それに応えなきゃね
『行くの?』
幼き少女は私に問う。
「ええ、私を…貴方を待ってくれている人がいるから」
『…そっか』
「貴方も私の一部だったのよね」
「私はようやく貴方を受け入れる事が出来そうね」
「さ、帰りましょ。一緒に」
団長「いいのか?力を失っても」
ヴィーニュ「ええ、私はもう迷わない」
私は自分の弱さをどうしても認めることが出来なかった。
力を手に入れる事で、無力だったあの頃の幼い自分を消そうとしたのだ。
でもそんな必要は無かったのだ。今の私には仲間がいる。
1人で足りないなら、皆で補えばいいのだ。
力が欲しい。その欲求が満たされたからか、私の狂化は解けた。
同時に意識がハッキリとし、何処からか送られてくる殺意も吹き飛んだ。
とても清々しい、晴れ晴れとした気分だ。
その後、私は不意打ちを貰って一旦気絶してしまったのだが。
でも彼らなら大丈夫だと確信があったから、安心して気絶していられた。
次に目を覚ました時、奴は居なかった。
彼らの顔から察するに、まんまと逃げおおせたのだろう。
でも次もきっと大丈夫。
「あ、そうそう言っておきたい事があったわ」
「私はこのギルド、皆がいるギルドが…好きよ」
私はもう独りではないのだから。
おわり
最終更新:2016年07月28日 09:51