私は嫌いだ。ハッピーエンドが。第三者の戯言が。幸せで終わりには出来ても幸せな終わりなどないのだ。
魔王を倒して皆幸せ。読者は本を閉じるであろう。然し、物語には続きがあるのだ。続きがあるからこそ始めて物語になるのだ。主人公は嫁を貰い子を育てそのまま死んでいくであろう。成る程幸せな人生だった。其処迄は、認めよう。確かに幸せな人生だ。
然し死ぬ瞬間彼は幸せだったか?死神に肩に手を置かれた時彼は幸せだったか?答えは無論、否だ。第三者には其れが分からぬ。解らぬ。判らぬ。
再度言おう。私はハッピーエンドが嫌いだ。終わりに幸せなどない。
後に不死身の魔女と言われる彼女は此の様にして数多のものを否定して来た。ただ、彼女が否定する物には全て一つの特徴があった。其れは終わりを意識する物だという事だ。要は死が怖かったのである。
そんな彼女には一人の信頼できる師がいた。彼女は不死の薬を作ろうとする薬師であった。「躑躅」其れがその薬師の名前であった。
彼女は躑躅の弟子、という名の雑用となった。二人の研究は10年続いた。その間に二人の間に確かな友情が出来上がっていた。
不死の薬も同じ様に10年かけて出来上がった。
黄金色に輝くその液体は10年の間の試作品とは明らかに格が違うのが分かった。量は少なくとも二人分はある様に見えた。
躑躅様。私が先に飲みましょう。私に異常が無ければ此れこそ不死の薬でしょう。
いいえ、そんな危険な事任せられません。貴方が抜け駆けする様な人で無いのも分かっています。危険な事と言いましたが恐らくはこれは嘘なのでしょう。
私の心がそう言えといったのでしょう。危険とは理性ではきっと思っていないのです。此れは自身の研究に己で終止符を打ちたいという欲です。どうか、私の我儘を許して欲しい。
躑躅の思いに彼女は折れた。師を優先したいというのは自然な気持ちだ。きっと間違いでは無かったのだろう。順番が違えど何方かが成る結末だったのならば変わりは無い。運が悪かったのだ躑躅は。
半蛇特有のその美しい姿は不死生を持つ化け物に変わってしまった。
彼女は逃げた。かつての師から。今の骸骨の化け物から。紛い物の不完全の不死の薬を持って。師の願いを叶える為に。彼女は薬に関してはかなりの素人であったが10年の時の間にかなりの腕を持つ様になっていた。然し師には遠く及ばす更に20年の月日が経ち完全な不死の薬が生まれた。
彼女は不死の薬を飲んだ。
彼女は不死の薬を一匹の半鳥人に一滴与えた。
彼女は残った不死の薬を壺に入れ世界各地を飛んだ。
耳の尖った森に住む者に不死の薬を一滴与えた。
彼女は終わらない。自身が望んだ通りに。然し私達という最悪な登場人物「第三者」は此処で物語の幕を閉じよう、、、ハッピーエンド
最終更新:2017年01月02日 23:15