偶然、平時は行動を共にしているラフェリアと離れ、散歩そしている日のこと。
前から同じように一人で歩いてくる少女がいた。
初めてみる顔だなあと少女を見ていると、少女と目が合う。
そのすぐあと、自分の身長ほどの大きさの火の玉がこちらに向かって飛んでくる。
「うわっ!?」
これはどこから来たのか、少女が放ったのか、そんなことを考える間もなく、左に跳んで間一髪で火の玉を避ける。
「あら、あれを避けるなんて、なかなかやるじゃない」
おそらく少女のものと思われる声が聞こえる。
「いきなり――」
何をするの、と言おうとしたとき、また火球が飛んできた。
再びそれを避け、少女に尋ねる。
「何が目的ですか?」
「空腹なのよ!それに、目が合ったらバトルをする、それが筋ってものでしょう?」
空腹だと人を襲うなんて、人を食べるのか?とか、通りすがりを食料として襲うとは、理由が理不尽すぎる、とか、言いたいことはたくさんあるけれど、何より――
「目が合ったらバトルするって、ポ○モントレーナーか!」
レイラの叫び声が、周囲に虚しく響いた。
作者:銀