レイラ「ラフェー、ラフェー!……参ったなぁ、はぐれちゃった。……ん?」
サヤマ「……」
レイラ「あのー」
サヤマ「ん?」
レイラ「移動、大変そうですね。よかったら手伝いましょうか?」
サヤマ「え、でも……」
レイラ「遠慮しないで」
サヤマ「あー……じゃあお願いします」
レイラ「じゃあサヤマは小さい時からこの病院にいるんだ」
サヤマ「ああ。物心ついた頃には、この脚も動かなくなってた。事故だ、って医者は言ってたな」
レイラ「それは……大変だったね」
サヤマ「いやあ、慣れればそんな大したことないぜ?」
レイラ「そういうもの?」
サヤマ「そういうもの。俺からすりゃあ『歩く』ってののが分かんねえなぁ。『歩く』ってどんな感じ?」
レイラ「どんな感じって言われてもなあ……」
サヤマ「『走る』ってどうやるんだ?『跳ぶ』って何だ?」
レイラ「さ、サヤマ……?」
サヤマ「俺ずっとこうだったからさ、分からねえんだよ。教えてくれよ」
レイラ(……な、何?なんか、すごい嫌な感じが……)
サヤマ「あ」
レイラ「え?」
サヤマ「診察室、ここだ」
レイラ「え、あ、ああ……」
サヤマ「ありがとな。検診間に合いそうだ」
レイラ「そっか、良かった……」
サヤマ「おう。にしても、なーんか俺だけ検診の回数多い気がするんだよなー」
レイラ「…………」
作者:邪魔イカ