サヤマとレイラ

レイラ「ラフェー、ラフェー!……参ったなぁ、はぐれちゃった。……ん?」

サヤマ「……」

レイラ「あのー」

サヤマ「ん?」

レイラ「移動、大変そうですね。よかったら手伝いましょうか?」

サヤマ「え、でも……」

レイラ「遠慮しないで」

サヤマ「あー……じゃあお願いします」


レイラ「じゃあサヤマは小さい時からこの病院にいるんだ」

サヤマ「ああ。物心ついた頃には、この脚も動かなくなってた。事故だ、って医者は言ってたな」

レイラ「それは……大変だったね」

サヤマ「いやあ、慣れればそんな大したことないぜ?」

レイラ「そういうもの?」

サヤマ「そういうもの。俺からすりゃあ『歩く』ってののが分かんねえなぁ。『歩く』ってどんな感じ?」

レイラ「どんな感じって言われてもなあ……」

サヤマ「『走る』ってどうやるんだ?『跳ぶ』って何だ?」

レイラ「さ、サヤマ……?」

サヤマ「俺ずっとこうだったからさ、分からねえんだよ。教えてくれよ」

レイラ(……な、何?なんか、すごい嫌な感じが……)


サヤマ「あ」

レイラ「え?」

サヤマ「診察室、ここだ」

レイラ「え、あ、ああ……」

サヤマ「ありがとな。検診間に合いそうだ」

レイラ「そっか、良かった……」

サヤマ「おう。にしても、なーんか俺だけ検診の回数多い気がするんだよなー」

レイラ「…………」

 

作者:邪魔イカ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年05月21日 19:36