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第11回トーナメント:予選②




No.5394
【スタンド名】
Make Some
Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!
【本体】
仰木 健聡(オオキ ケンソウ)

【能力】
体液に衝撃を込める


No.6096
【スタンド名】
クワイエットブルー
【本体】
シエラ・アルカンシエル

【能力】
棘を作り出し、撃ち出す




Make Some Noizeee…e!!!! vs クワイエットブルー

【STAGE:ファミリーレストラン】◆UnDerlZmms





『自動 押してください』と書かれたボタンを軽く叩くと、ドアは素早く開いた。
オープンセサミ。
夜の寒気から逃れる様に、身体を内に滑りこませる。
ここは某大手ファミリーレストランの一店。
通常なら家族連れなどで賑わう店内には、ただ一人の影があるのみ。

「お姉さんが、僕の相手?」

店の一番奥の壁にもたれかかる少年は、入店者を認めると訊ねた。
それに対し、女は中指で眼鏡のブリッジを押し上げ、答える。

「はい。シエラ・アルカンシエルです。
 この度はトーナメントを調査するため、調査会社『アカシャ』より派遣されて参りました」

中央まで歩いて名乗り、軽く一礼。

「ふーん。僕は仰木 健聡(おおき けんそう)。
 よく分かんないだけど、お姉さんと戦えばいいんだよね?」

「ええ、そう思われますが……
 立会人は不在でしょうか。ならば今からでも始めますか?」

事実、シエラの言う通り店内には他に人の気配は無い。
電気すら消え、広い窓から差し込む向かいの店の電飾によってのみ整然と並ぶ椅子と机が照らされている。
しかも今は夜中。これなら間違えて一般人が紛れ込む事はまず無いだろう。
そして立会人はここには居ない。
今、この大勢を迎え入れるための施設は、ただ二人の異能のためだけに存在していた。

「うーん……あー、それなんだけどさぁ。
 お姉さん、勝ちたい?」

「……はい?」

薄すら笑いを浮かべた健聡の突然の提案にシエラの反応が遅れる。

「僕に勝ちを譲ってくんないかなーって話。
 お姉さんだって野蛮な戦いなんてしたくないでしょ?
 だからここは棄権してさぁ……」

「…………何のつもりですか?」


シエラが呟くと、巻貝型のヘルメットを被ったスタンドが出現し、
次の瞬間、針のようなものが健聡の頬を掠めた。

「へ?」

血が、健聡の頬を伝い顎から滴り落ちる。
シエラは静かに眼鏡を外すと、胸ポケットにしまう。

「棄権?勝ちを譲る?……笑わせないで。
 私はここに『トーナメント』とは何かを調べにきた。
 こんな謎だらけの存在、私達は――アカシャは認めるわけにはいかない。
 戦う理由が無いのは貴方でしょう?棄権するべきは貴方でしょう?
 そんなに戦うのが嫌ならば、貴方が尻尾を巻いて逃げるがいい。
 さもなくば…………私は貴方を潰す」

その言葉に呼応するように、シエラのスタンドが両手を前に翳す。

「『クワイエットブルー』ッ!」

そしてシエラの声に応じてその腕に刺が現れ、一斉総射、健聡へと殺到する。
射線上にあった机や椅子に刺弾が次々と刺さり、当たりどころの悪かった不運な椅子が一脚破壊された。
一方の健聡は、笑みを、薄ら笑いでは無く心からの笑みを零して言う。

「そうだよねぇ……そりゃあそうだよ……。
 闘いを前にして逃げ出すなんて出来ないよね。
 やっぱ僕には向いてないや。小難しい事考えるのはさぁ!」

そして彼は、足元の血を強く、二度、踏みつけた。

「『Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!』!!!!」

瞬間、健聡の身体は、蹴られたように前方に飛びあがる。
真下では目標を失った刺が虚しく壁に突き立つ。
健聡は空中で一回転し、シエラを飛び越しその2,3メートル後ろに着地。

「ごめんね、お姉さん!
 でも今からは全力で戦うからさ、許してよ!」

そう言って彼はスタンドを発現。
さらに自らも振り向きざまに包丁を数本投げつけた。

「包丁ッ!?」

「お姉さんが来る前に厨房から持ってきたんだ。
 行けッ!『Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!』」


全身の口から涎を垂らす亜人が、シエラに殴りかかる。
それを迎え討つ、クワイエットブルー。
必然的に包丁にはシエラが自ら対応せざるを得ない。

「くっ……!」

「おっ、一個命中?」

殆どの包丁は後ろの壁へと飛んでく。
しかし避けきれなかった一本がシエラの脇腹に突き刺さり、服にうっすらと赤が滲む。
これを機に一気に攻め込もうと、健聡が包丁片手にシエラの懐に飛び込んだ。

一方スタンド同士の戦闘は、クワイエットブルーが押していた。
パワーにおいては大柄なMake Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!が有利なものの、
スピードはクワイエットブルーが段違い。
敵の攻撃を手数でいなし、高速かつ正確な攻めで致命的一撃を狙う。
とはいえ一発貰えばダメージは大きいだろう。
守りを意識した慎重な戦闘は、効果的な一撃を入れ難くする。
確かに時折、腕から刺を飛ばしたりすることで軽いダメージを与えることは出来ていた。
しかし、状況は実質硬直している。しかも、極度の緊張の中で。

その時、状況が動く。
シエラが健聡に気を取られた所為で生まれる、クワイエットブルーの動きの瞬間的乱れ。
そこを狙い、Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!が拳を振るう。

「一瞬の隙が命取りだよっ。
 食らえッ!」

がら空きになったクワイエットブルーの胸元に、拳が吸い込まれる。
咄嗟に繰り出したとはいえ、破壊力-Aの決断的パンチ。
これが決まればシエラは相当のダメージを負うことになるだろう。
そして……


「うわあああああああァァ!!!!」

血が、夥しい血が床に流れ落ちる。
その源流はシエラではなく、健聡。

クワイエットブルーの身体から突き出た刺が、健聡のスタンドの拳を貫いた。
そしてダメージをフィードバックされた健聡もまた、拳に大穴を作り血を流す。

「隙が出来た、のではなくて、隙を作ったのよ。
 私のスタンド、クワイエットブルーは刺を飛ばすだけが能力じゃない。
 刺を体表に作り出す所からが能力……」

拳をもう片方の手で抑え顔を苦痛に歪める健聡を、シエラは壁に叩き付けた。

「ぐぅッ……!」

「血がたくさん出たわね。
 でも残念、貴方のメイク・サム・ノイジーの能力は既に調査済み。
 能力の行使に必要な物が二つある。貴方の体液と、衝撃。
 貴方のスタンドを私のスタンドが、貴方を私が抑えている限りどんな衝撃が与えられるというの?」

シエラは右手で健聡の両腕を抑え、壁に捻じ伏せる。
健聡の足は浮き、血だまりには届きそうも無い。
同じくMake Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!もクワイエットブルーに組み伏せられている。

「負けて死ぬ前に『棄権』しなさい。
 このまま放っておくと貴方は失血死するわ」

「…………がう……」

「何?もっと大きな声で喋らないと聞こえないわよ」

「二つ違う所がある、って言ったんだよお姉さん」

健聡は附せていた顔を上げた。
満面の、笑みで。

「まず一つ目。
 メイク・サム・ノイジーじゃなくてさ、『Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!』。
 『e』15個と、『!』が4つ。間違えちゃダメだよ。
 そして2つ目」


「僕が負けるって事」

「……何を言っているの?今の貴方がどうやって衝撃を込めるっていうの?
 それとも、私の手中から逃れる方法があるとでも?」

「『今』の僕は、無理だろうね。
 でも過去の衝撃はさ、まだ消えてないんだよ」

その時、背後から勢いよく飛んできた物がシエラの頭上を掠めた。

「え?」

それは、一本の包丁。
突然飛来したそれは、掲げられていた健聡の手に突き立った。
血が、吹き出し、降り注ぐ。

「ああ……あああああああああアアアアァァァ!!!!」

シエラは全身に『包丁を突き立てられた様な』衝撃を受け、吹き飛び、意識を手放した。

「あーあ……手がズタズタだよ……
 急がなきゃヤバイかな……」

血を垂れ流しながら健聡が呟く。

飛んできた包丁は、健聡が投げた内の一本である。
壁に浅く刺さっていたそれは、戦いの余波で少しずつ抜けていた。
そして健聡が壁に叩きつけられた事で完全に抜け落ちたのだ。
落下したそれは壁際の床の血――健聡が最初に飛ぶのに使った物――に当たり、同じ軌跡で飛んだ。

「死んでるかな……?
 ……ま、どうでもいっか」

彼がこの計画を考えて行ったと思うのは間違いだ。
何故なら彼は『考えるよりも先に動いてしまう少年』、仰木 健聡なのだから。


「やーん、健聡っちお疲れー★」

その時自動ドアが開き、一人の女が入店する。

「あ、どうも。約束通りこの人に勝ちましたよ。
 だから速く治療とかしてくれませんか」

「うんうん分かってる、分かってる。
 健聡っちはこのクソ女を始末してくれたんだもんねー★
 もー恩に切りまくり?みたいな?」

そう言って女は血まみれで気絶しているシエラの腹を蹴る。

「トーナメントの事を調べようなんて厄介この上ないってのよ。
 ま、アタシの独断だけどー、潰させて貰いましたー。キャハッ★」

この女はこの試合を担当する筈だった立会人。
シエラは『立会人が不在』と言ったが、実は彼女は初めから外で見ていた。
しかも、先に来た健聡と契約を交わして。

先ほどの『健聡は計画を考えていない』という文を覚えているだろうか。
そう。この立会人の女が、全てを考えだしたのだ。
壁に刺さるほど鋭い包丁を用意したのも、最初に挑発で血を流しておく事も、考えたのは彼女だった。

「でも大筋以外は、結構アドリブだったね健聡っち。
 まあ勝てたんだし結果オーライだけどさっ★」

「ああ、ごめんなさい。
 最初は言われた通りに戦おうと思ったんですけど……
 考えるより先に身体が動いてしまって」

健聡はそう答えると、静かに笑った。
女もまた、ニヤリと笑いそれに答える。

二つの影が、夜の闇に消えていった。

★★★ 勝者 ★★★

No.5394
【スタンド名】
Make Some
Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!
【本体】
仰木 健聡(オオキ ケンソウ)

【能力】
体液に衝撃を込める








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最終更新:2022年04月17日 12:44