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第12回トーナメント:決勝②




No.6754
【スタンド名】
ティン・エンジェル
【本体】
白鷺 かふら(シラサギ カフラ)

【能力】
接触する二つのモノを徐々に癒着させる


No.1057
【スタンド名】
バタフライ・キッス
【本体】
壮周(ソウシュウ)

【能力】
とまった場所に蝶々型の穴を空ける




ティン・エンジェル vs バタフライ・キッス

【STAGE:からくり屋敷】◆pFj/lgiXE.





午前二時半。

某県某市のとある三階建ての屋敷の門の前に、一人の幼女が立っている。幼女は前髪を揃えたおかっぱ頭に、和装という出で立ちをしていた。
この幼い少女は、何のために夜更けに屋敷の門の前に一人でいるのか?
それは、ある二人の人物を待っているからだ。

数分後、二人のうちの片方がやってきた。
二つに結えた銀色の髪に、雪のようにしっとりとした肌、喪服のような漆黒のセーラー服を着た女子高生だ。
一見すると可憐な乙女だと誰もが感じるだろう。しかし、今の彼女の身体の一部分は氷のように冷たい機械となっている。
特に右腕は関節の部分が剥き出しとなっていて、見る者によっては彼女を、人間に成りかけている機械仕掛けの人形と思うだろう。

彼女の名は白鷺かふら。
トーナメント第一回戦において、花屋を営む男「葉月裕美」を愛の茨で拘束し、第二回戦でディザスターの構成員「テン・ジャンユ」を物言わぬ肉の塊にしたスタンド使いである。

和装の少女がかふらに言う。

「トーナメント決勝進出者の方ですね?」
「はい。白鷺かふらと申します」

かふらは、血の通わない右手と白く透き通った左手で、スカートの裾をつまんでお辞儀をした。

二人がそう会話しているうちに、もう片方の人物がやってきた。
唐装を着て鼻掛け眼鏡をかけた、黒い長髪の中国人男性である。
彼の両目は壊しがいのある「玩具」を求めているような、妖しい輝きに満ちていた。常人が彼の目を見たら、生物の本能で危険を察知し、その場から逃げだすだろう。
彼の目を見て怯えずにいられるのは、それこそ心に大きな空洞や欠落を抱えた人間であるとしかいいようがない。
実際かふらはこの男を見ても、平静な精神を保っていた。それは、彼女が心が大きく欠損した人間であることを示している。

彼の名は壮周。
トーナメント第一回戦において、面白ければそれで良い自由人「岩切稀典」をプールの底へ沈め、
第二回戦でディザスターの構成員「ロザリンド・ルーシー・ステイル」をドミノ倒しをするかのように爆破したスタンド使いである。

和装の少女が壮周に言う。

「貴方も、トーナメント決勝進出者ですね?」
「ああ。壮周という者だ」

壮周は和装の少女とかふらに向かって、被っていた帽子を外して一礼した。


トーナメントの決勝進出者が揃ったところで、和装の少女は自分の名を言った。

「白鷺かふら様、壮周様、決勝進出おめでとうございます。
私は今回決勝戦の立会人をさせていただきます「浮橋夢乃(うきはし・ゆめの)」といいます。以後、お見知り置きを」

夢乃がそう言って一礼すると、壮周が口を開いた。

「ご丁寧に挨拶をどうも。
…で、ここまでトーナメントを勝ち抜いてきたわけだが、決勝での相手がこんなお嬢様だとはなぁ…」

そう言って壮周はかふらの身体、特に右腕の部分を凝視すると夢乃に、

「こいつ、右腕が機械製の義手になってるじゃあないか。
おそらく一回戦か二回戦で重傷を負ったのだろうが、本当にこんな状態で戦えるのか?」と訊いた。

彼のこの言葉は立会人である夢乃に「この相手はまだ戦える力が残っているのか?」という意味合いで訊いた言葉なのだが、かふらにはそのような意味合いで聞こえていなかった。
夢乃が壮周の言葉に答えようとした時、かふらは白い頬を赤く染めながら言った。

「ああ、壮周様…。失った部位を人工の部品で補っている私に、労わりの言葉をかけてくれるなんて…。
貴方はなんてお優しい方なのでしょう…」

壮周はそんなかふらに「お前に言ったわけじゃない」と言おうとしたが、その言葉は高揚しているかふらに遮られた。

「でも心配しなくても大丈夫ですわ壮周様、私の右腕に付けられた義手は、人間の手と変わらないくらい滑らかに作動しますし、私の体内に埋め込まれている人工心肺は、人間の肺と同じ働きをするのです!」

自身に付けられた義手と人工臓器について説明したかふらは、続けてこう語った。

「…私はこのトーナメントで優勝するために、二回戦で失った部位を機械で補って来たのです。この戦い、負けるわけには参りませんの。
ですからこの勝負、素晴らしい戦いに致しましょう、壮周様!!」

かふらは自身のスタンド「ティン・エンジェル」を発現させた。壮周はそんな彼女を見てフッと笑った。

(このかふらとかいう女…。日本の少女漫画のヒロインみたいに頬を染めたり、気持ちを高ぶらせたりしているのを見るに、おそらくは自分の婿探しのためにこのトーナメントに参加したのだろう。
今こいつは優勝していないのにもかかわらず、幸福の絶頂に達しようとしている。その多幸感、完成寸前のドミノを崩すように壊してやろう…!)

「いいだろう…来い」

壮周も自身のスタンド「バタフライ・キッス」を発現させ、臨戦態勢に入る。
夢乃は両者が一触即発寸前の状況に突入するのを見て、ため息をつきながら言った。

「あの…、今回の決勝戦のルールは、真正面からの戦いではありませんよ?」
「えっ?」

かふらは呆気にとられた表情で夢乃の顔を見た。
壮周は「どういうことだ?」と夢乃に訊く。

「ですから…今回の決勝戦は「スタンドを使った殺し合い」じゃあなくて「人探し」なんですよ」

夢乃は淡々とした口調でそう答えると、「…ここで立ち話もなんなので、この屋敷と今回の決勝のトーナメントのルールを扉の前まで移動しながら説明しましょう」

と言い、両手で門を開けて、屋敷の扉まで二人を連れて話をした。


「かふら様は知っているかもしれませんが、ここは大正時代の企業家「血祭屍滅(ちまつり・しめつ)」を始祖とする「紫屍藤家(ししとうけ)」のお屋敷なんです」
「血祭は自分の一族に伝わっているからくり人形の技術を使い、その技術で作ったからくり人形をイギリスやフランスなどの西欧諸国に輸出する事業で大成功をおさめました」
「事業の成功に気を良くした血祭は、自身の名前を「紫屍藤滅(ししとう・めつ)」と改名し、事業拡大の道を進んでいきました」
「戦後は彼の曾孫である「紫屍藤禍(ししとう・まが)」が彼の意志を受け継ぎ、政財界の大物や各企業の社長と接触して、自社のネットワークを拡大していきました」
「かふら様のお祖父様も、紫屍藤家の一族の方と何らかの関係を持っていたと思います。貴方のその右腕の義手や人工臓器の設計及び開発技術も、紫屍藤家が提供したものなんですよ?」
「現在の紫屍藤家は、禍の四人の息子のうちの長男であり先代当主「紫屍藤罰(ししとう・ばつ)」が交通事故で亡くなったため、罰の一人娘である「紫屍藤累(ししとう・るい)」が当主となりました」
「累はまだ十代でありながらも、政治経済についての知識を常人以上に持っていたため、一族の人間や関係者は「累様ならば紫屍藤家をますます栄えさせてくれるだろう」と思ってました」
「しかし、累は始祖である滅や祖父の禍のように事業の拡大をするでもなく、父の罰のように政財界や各企業の社長とつながりを持とうとするでもなく、始祖が建てたこのお屋敷に、自身に使える執事と一緒に籠もるようになってしまったのです」
「なぜ累が屋敷の中に引き籠もるようになってしまったのか…。彼女の叔父達は「先代当主の罰が交通事故で亡くなったことがショックで立ち直れなくなってしまったのではないか?」と言い、紫屍藤家とつながりを持つ政治家は「政財界の連中や各企業の社長と顔を合わせるのが怖くなったんだろう」と言い、この屋敷の近所に住んでる主婦の皆さんは「一族の人間や関係者が余計なプレッシャーをかけたから、それに耐えられなくなったのではないか?」と言い、多くの人が色々な説を唱えましたが、真相は分からずじまい…」
「業を煮やした一部の関係者達は、累を無理やりにでも連れ出そうと屋敷の中に入り込みましたが、誰も屋敷から帰ってくることはありませんでした」
「累が屋敷に籠もって、もう三年…。このままでは紫屍藤家の事業が成り立たなくなってしまうと、親族や関係者の方達は今、困りに困り果てています」
「現在アベノミクスを進めている第二次安倍内閣の閣僚達も、「せっかく民主党から政権を奪取し、紫屍藤家とパイプを持とうとしたのに、肝心の現当主が引き籠もり状態では、紫屍藤家から資金援助をしてもらえなくなる」と嘆いています」
「一人の引き籠もりのせいで親族だけでなく、政治や経済関係者を困らせている…。これはこの国にとっても大きな損害となるでしょう」
「ですから今回は『どちらかが紫屍藤累を屋敷の中から外へ連れ出した方を勝者とする』というルールに致します」
「トーナメントの優勝者となり、かつ、この国を救う救世主となる…。これは貴方達にとってとても名誉なことだと思いますが、どうでしょう?」


夢乃が屋敷についての説明とトーナメント決勝のルールを言い終わると、壮周は夢乃にこう訊いた。

「お前の言いたいことはつまりこういうことか? 「怖気づいている紫屍藤家の親族や関係者のかわりに、当主を屋敷から無理やり引っ張りだせ」と」

「その通りでございます」と夢乃は返すと、今度はかふらが訊いてきた。

「では、屋敷の中にいる当主の捜索をするにあたって、相手の捜索の妨害をすることは許されるのでしょうか?」
「相手の命を奪わなければ良しとします。あなた方は二回戦において、対戦相手を肉の塊にしたり爆破したりと、とんでもないことをやらかしましたからね。下手をすれば屋敷が半壊状態となって近所の人や警察が駆けつける事態になってしまいます。無関係の人間にこのトーナメントがバレることは、最もあってはならないことですからね」

「そうですか。分かりましたわ」とかふらは夢乃の言葉に答えると、「ところで」と話を続けた。

「さっきの屋敷の話なんですけど、一部の関係者がこの屋敷の中に入ったけれど、誰も屋敷から帰ってこなかったと仰っていましたが、それはどういうことなのでしょうか?」

夢乃は数秒間口を紡ぐと「さぁ? 詳しいことは私にもよく分からないので」と答えた。かふらは夢乃のこの言葉を聞いて「そうですか」としか言わなかった。
その時、二人の会話に混ざらなかった壮周が口を開く。

「おい、そろそろ始めないと朝になるぞ。近所の住人に見つかって通報されて、俺達三人とも不法侵入罪で逮捕されかねない。決勝戦を開始しようぜ」

「そうですね」と夢乃は言うと、決勝の始まりを告げるかのように、屋敷の扉に手を当てて、少量の力を込めて押した。
扉はギィィィと厭な音を立てて開いた。

屋敷の中は冷たい静寂に包まれていた。床は埃が積もり、天井の所々にはクモの巣が張っている。前方には二階へと続く階段があるが、一段ごとにネズミの死骸が転がっている。
この屋敷には当主の累の他に、執事が住んでいるはずだ。なのに、屋敷の中が全くと言っていいほど掃除されていない。
これは一体どういうことだと、かふらと壮周が不思議がっていると、夢乃は二人に懐中電灯を渡した。

「屋敷の中が暗い場合はこの懐中電灯をつけてお進みください。この様子だとおそらく、屋敷内の電気は止められていると思いますので」
「…そうですか。すみません、気を遣わせて」
「…すまないな」
「いえ、いいのですよ。これも立会人の務めですから」

夢乃は二人にそう言うと、屋敷内から外へ出て、扉に手をかけた。

「では、トーナメント決勝を開始いたします。くれぐれも「命を落とさぬよう」お気をつけて」

夢乃がそう言った直後、扉はバタンと閉まった。


「…さて、決勝戦が始まったからには、この屋敷のどこかにいる当主様を探さなくてはなりませんね。色々と気になることがありますけど、今はこのトーナメントで優勝することが先決ですからね」

かふらはそう言って懐中電灯のスイッチを入れると、軽い足取りで歩を進め、前方の階段に向かった。階段の前に立ち、一段目に右足をかけた瞬間、その一段目の部分に彼女の右足首がズボッとはまった。
「あら?」とかふらが首をかしげ、足首がはまった穴を見ると、その穴は蝶々の形をしていた。

「なるほど、モノに蝶々型の穴を空ける…、それが壮周様のスタンドの能力ですね…」
「あぁ、そのとおりだ。確かルールでは相手の妨害は殺さない限りOKなのだろ?なら、こういう妨害の仕方はアリだろう?」

壮周はそう言うと「お前が上の階に行くなら、俺は一階を探してみるとしよう」と続け、階段の右隣の部屋に向かおうとした。だが、両足が地面にくっついて上がらない。
彼は自身の足元を見ると、靴底が床と癒着していた。
かふらは壮周を見ながらくすくすと笑う。

「さっき屋敷に入った際、壮周様の靴底を床にくっつけておきましたわ。こういう妨害もアリですわよね?」
「何かを何かに癒着させる…。フン、それがお前の能力か」

壮周は鼻で笑うと、床と癒着した靴を手を使わずに器用に外した。

「互いの能力が分かったところで、さっさと当主探しを始めるとしようか。このまま相手を妨害しているのもいいが、今回の戦いの勝利条件は、「当主を屋敷から連れ出す」ことだからな」

そう言うと壮周は靴下を履いたままの状態で、右隣の部屋へ向かった。壮周の後ろ姿を見送ったかふらは、息を荒くしながら頬を赤面させた。

「嗚呼、突然のアクシデントにも動じないそのお姿…、とても素敵ですわ…。壮周様と一緒に当主探しをしたいところですが、これはトーナメント決勝戦…。この戦いで勝利するのは私ですわ!」


かふらは穴から右足を上げて蝶々型の穴から脱け出すと、そのまま階段を上り二階へ着いた。
二階へ着いた瞬間、かふらの目には寝室とおもしき部屋のドアが映っていた。

「あらあら、当主様が寝ていると思われる部屋が簡単に見つかりましたわ。ここから当主様を引っ張り出せば、私の勝ちですわね」

かふらは部屋のドアノブを握り、ガチャリと回した。

その時、右側の通路から、ドルルンドルルンッ、と奇妙な音が聞こえた。かふらは首をかしげて右側の通路を懐中電灯で照らした。
照らした通路の先には、彼女目掛けて猛スピードで突っ込んでくる乗用車があった。かふらはこのまま乗用車に轢き殺される…と思われた。
しかし、彼女はありとあらゆる事態に対する対処法を学んだ者だ。故に、普通ではありえないような事態が起ころうとも、それに対する対処は頭の中で編み出されていた。
かふらは右手の甲から匕首の刃を突出させ、自分に向かってくる乗用車を目にも止まらぬ早さで切り刻んだ。乗用車は一瞬でバラバラとなり、かふらの前に沈黙した。

「なるほど…、この部屋の扉のドアノブを回すと、乗用車が突っ込んでくる…という仕掛けですか。そうなるとおそらくこの部屋はフェイク…。さすがはからくり技術で富を築き上げた紫屍藤家の屋敷なだけありますね」

おそらくは、さっきのように、屋敷中にありとあらゆる罠が仕掛けられているのだろう。
当主を引っ張り出そうと屋敷に入り込んだ者達も、これと似たような罠にハマり、命を落としたに違いない。

「ならば、気を引き締めて探索しなければいけませんわね。下手をすれば命を落としかねない…」

かふらはそう呟き、二階の通路を歩いて行った。



一方、壮周は一階の部屋という部屋に入り、当主の累を探していた。しかし、当主の姿も見えなければ、仕える執事の姿もない。
あったのは、ありとあらゆる罠が仕掛けられた部屋だ。
極小のボウガンの矢が発射されるハト時計のある部屋、床に仕掛けられているスイッチを踏むと天井から竹槍が飛び出てくる部屋、床・天井・壁にサボテンが生えている灯りのない部屋、etc、etc…。
しかし、そのような罠にひっかかる壮周ではなかった。彼は元チャイニーズマフィアで、かつ、テロリストだ。
このような罠は彼のスタンド「バタフライ・キッス」で瞬く間に穴を空けられ、簡単に突破された。
壮周は一階の通路を進みながら思考する。


(屋敷の部屋の中にあれだけの罠を仕掛けるとは…、流石はからくりで事業に成功した一族の当主なだけはある。多分あのからくりは三年前に作られたもの。
設置した理由は、自分を連れ出そうとして屋敷に入り込んだ者達を始末するため。 屋敷の門や扉に鍵がかけられていなかったのも、よっぽど自分が作った罠に自身があるからだろう。
おそらく、屋敷に入って行方不明になった者達は、屋敷の中にある罠にはまって命を落としたのだろう…。だとしたらその死体はどこにある…?)

壮周がそう考えていると、突然通路が観音開き状に空いた。その穴の中に壮周は音を立てて落ちていく。
彼はチッと舌打ちをした。屋敷のことで頭の中がいっぱいになって、通路に仕掛けられた罠に気付かなかった。
壮周は落ちながら穴の底を懐中電灯で照らすと、穴の底には鋭い針が何百本も生えていた。その針には、屋敷の中に入ったと思われる紫屍藤家の関係者らしき白骨死体が刺さっていた。

「なるほど、あいつもこの罠にはまって命を落とした一人ってわけか…。だが、あいつにはいなかった…、「バタフライ・キッス」はいなかったッ!!」

壮周はバタフライ・キッスを出し、命令する。

「バタフライ・キッス、俺の落下先にある針を消滅させろ!!」

バタフライ・キッスは穴の底の針を、連続パンチで穴を空けた。壮周の落下先に生えている針は、バタフライ・キッスの拳の連打によって何度も穴を空けられ消滅した。
壮周は針が無くなった床に綺麗に着地した。

「この屋敷に潜んでいる紫屍藤家の当主は一つだけ計算違いをした…。それは、スタンド使いが屋敷の中に入ってくる可能性を考えていなかったということだ。
まぁ、スタンド使いではない人間に、スタンド使いの対策など出来るわけがないがな」

壮周はフッと笑うと、自分の着ている唐装の袖から鉤付き縄を取り出し、地上の床へと引っ掛けると、その縄に上って地上へ向かった。
地上へ抜け出すと壮周は再び思考する。

(さて、屋敷の一階には当主も執事もいなかった…。となると、いるのは二階か、それとも三階か…?)


屋敷の外で夢乃は、「かふらが屋敷の罠にはまって死ぬこと」を期待していた。
実は夢乃は全世界の無秩序化を目論む巨大犯罪組織「ディザスター」の構成員である。
そんな彼女がトーナメントの立会人になったのには、理由がある。

それは、復讐である。

彼女は某国の戦災孤児であり、孤児院で暮らしているところを「ディザスター」の構成員であるテン・ジャンユによって引き取られ、ディザスターの新しい構成員として育てられた。
浮橋夢乃という名前も、ジャンユが彼女に付けた新しい名前であった。
そんなジャンユのことが、夢乃はとても好きだった。
ディザスターのメンバーの多くは我の強い者が多いため、メンバー間の交流は少なく繋がりも薄い。
しかし夢乃はその幼い外見から一部のメンバーに可愛がられることが多く、ジャンユも夢乃のことを自分の妹のように可愛がっていた。
任務外の時にジャンユは夢乃をネズミーランドに連れて行き、飽きるまで一緒にアトラクションを回ったりして遊んだ。
夢乃はこんな時間が続けば良いと思っていた。
大きくなったら、ジャンユのお嫁さんになりたいとも思っていた。

しかし、ジャンユに運命の時が訪れる。ジャンユがトーナメント戦に出場することになったのだ。

ジャンユが第一回戦の会場である刑務所に行こうとしていた時、夢乃はジャンユに言った。

「本当にトーナメントに行くの、ジャンユ?」
「ああ、トーナメントにご執心の方からの命令でね。「トーナメントで優勝しろ」だってさ。なんでも、俺の他にも今回のトーナメントに参加しているメンバーがいるらしい」
「でも、そのトーナメントって、一部の人は命を落としているって話を聞いたことがある。ジャンユもそうなりかねない…」
「大丈夫だよ。俺と「ムーン44」はそう簡単に負けやしないさ」
「でも、もしかしたらということもあるし…。そうだ、私のスタンドを使えばジャンユはきっと優勝できる」

夢乃のこの言葉は本当である。
彼女のスタンド「フィール・ソー・バッド」は、「ある人間の幸福」と「ある人間の不幸」を「交換する」能力であり、この能力を使えばジャンユに優勝という名の幸福が訪れ、逆にジャンユの対戦相手となった者に敗北という名の不幸が訪れる。
夢乃はひっそりと相手に近づいて、フィール・ソー・バッドの能力を使えば簡単に優勝できるとジャンユに言った。
しかしジャンユは「心配性だなぁ」と笑いながら言った。

「夢乃の能力を使わなくたって、俺のスタンド能力があれば楽に優勝できるし、どうせこんなトーナメントなんて単なる遊びでしかないんだからさ。ちゃっちゃと始めてちゃっちゃと終わらせればいいんだよ」
「でも……」
「そう心配するなって。このトーナメントが終わったら、またネズミーランドに遊びに行こう。なっ?」
「…うん。わかった。絶対優勝して戻ってきて」
「ああ。約束するよ」

夢乃とジャンユはそう指切りして約束した。が、その約束が果たされることはなかった。


第二回戦においてジャンユが死亡したという報を夢乃は信じなかった。これは何かの間違いだと言って聞かなかった。
しかし、第二回戦が行われたゴルフ場跡へディザスターの末端構成員達と一緒に向かい、そのホテルの一室へ真っ先に入ると、そこにあったのは、椅子と融合した肉塊だった。

「こりゃあ酷いな、椅子と一体化してやがる…。こんな惨いことをした奴は尋常じゃあないぜ」

構成員の一人が放った言葉は、夢乃の耳に届いていなかった。

ジャンユが死んだ。しかも、普通の人間の死ではなく、人間ではないモノに変えられて殺された。
江戸川乱歩の短編小説に例えるわけではないが、ジャンユは文字通りの「人間椅子」にされてしまったのだ。

「ジャンユを殺した相手が憎い、ジャンユを殺した相手が許せない、ジャンユを殺した相手を絶対に生かしておくものか………」

殺してやる。
殺してやる。殺してやる。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。
殺してやる、殺してやる。殺してやる。殺してやる。

幼い少女の心に復讐の炎が燃え上がった。


ジャンユの死がディザスターの幹部達に伝えられたのは、彼の死から数日経ってからのことだった。
実験部隊隊長のジャンユが悪趣味なスプラッターホラーのような肉塊になることは、幹部達も想定外だった。
幹部達は怒りに心頭した。せっかくトーナメントに介入してジャンユを二回戦に進出させたのに、その二回戦でジャンユは人とも椅子ともつかない奇妙な人間椅子とされてしまった。
ディザスターのメンバーを死に追いやったということは即ち、ディザスターという組織そのものに宣戦布告をしたことと同じことである。
ジャンユを殺した相手は、明治時代から続く貿易業を営む資産家の一族の娘「白鷺かふら」だという。
またトーナメントに介入して、かふらを抹殺したい。
だが、ロザリンド・ルーシー・ステイルも二回戦で敗退して入院してる以上、自分達はトーナメントに介入できるわけがない……。

いや、介入できる方法がひとつだけある!!

幹部達は白鷺かふらを抹殺するための作戦を思いついた。
それは「ディザスターの構成員をトーナメントの立会人にする」というものであった。
運営側に下げたくない頭を下げて、ディザスターの構成員の一人をトーナメント決勝戦の立会人にすれば、一回戦と同じようにトーナメントのルールに介入が出来る。
幸い、ディザスターの幹部の一人と繋がりを持っていた紫屍藤家の当主が、三年前から屋敷に引きこもっているという情報がある。
さらに屋敷には、当主を引っ張り出そうとして屋敷の中に入った関係者が行方不明になっているという話だ。
その屋敷を決勝戦のステージにして、「屋敷の中にいる当主を先に引っ張り出した方が勝者」というルールにすれば、その屋敷の中に入ったかふらを抹殺出来るかもしれない。
問題は誰をトーナメントの立会人にするかだった。だが、それはすぐに決まった。
ジャンユに拾われ、彼と一番仲が良く、その彼の死によって憎しみの炎を燃やしている少女「浮橋夢乃」をトーナメントの立会人にするには一番的確だ。


幹部達の提案に夢乃は歓喜した。ジャンユを殺した相手に復讐できるチャンスが舞い込んできた!
ジャンユの仇である白鷺かふらを、トーナメントの立会人として殺すことができる。なんと幸運であることか!!

そして夢乃はディザスター幹部達の作戦通り、トーナメント決勝戦の立会人を担当することとなった。


「決勝に勝ち上がってきた壮周様には申し訳ないけれど、復讐のための生贄になってもらおうかな……」

夢乃は屋敷の中にある罠にはまり、恐怖と絶望に打ち震えているかふらの姿を想像しながら、復讐という狂気に満ちた笑みを浮かべた。

そう、夢乃は屋敷の中にある罠を決勝戦前日に調べておいた。
ただし、屋敷内を調べたのは夢乃自身ではない。
かつてトーナメントに参加しておきながら、一回戦で無様に敗北し、末端の構成員に格下げとなったディザスターの元幹部「ラッセル・ケマダ」と、屋敷の近くのアパートに住んでいる浪人生に屋敷内を調べさせておいたのだ。
もちろん、ラッセルが屋敷に入って行方不明にならないように、彼女は自分のスタンド「フィール・ソー・バッド」の能力を使い、ラッセルに訪れる不幸と浪人生が享受する幸福を予め取り換えておいた。
ラッセルは浪人生が得られるはずだった「屋敷内から無事生還する」という幸福を代わりに享受して屋敷から抜け出し、逆に浪人生はラッセルに訪れるはずだった「屋敷の中に入って行方不明となる」という不幸を受けることとなった。
さらにラッセルは、紫屍藤家の現当主である累がどこにいて、さらに累がどのような状態であるかも調べていた。これは夢乃にとって計算外であったが、ディザスターの幹部達には良い土産話となるだろうと思った。
夢乃はラッセルをディザスター本部に帰還させ、決勝戦の日を今か今かと待っていた。

そして、決勝戦当日がやってきた。

トーナメント決勝戦は、勝ち進んできたスタンド使いが自身の望みを叶えるために最後の戦いに臨むものである。
しかし、彼女にとってこの決勝戦は、愛しい人の命を奪った憎き者に天誅を下す「仇討ち」でしかない。

「ジャンユの命を奪った白鷺かふらは……、地獄のような責め苦に遭って、無様に泣き喚きながら死ねばいいんだわ……」

そう呟く夢乃の表情は、幼い少女とは思えない、成人女性そのものであった。


かふらは二階にある部屋を調べ終わった後、最上階である三階へ上って、三階にある物置部屋を捜索していた。
物置部屋の中には、高価なドレスやキャビンアテンダントスーツ、ナース服にバニースーツなど、ありとあらゆる衣装が丁寧にハンガーに掛けられていた。

「現当主である累様は、コスチュームプレイがお好きな方なのでしょうか……?」

かふらはそう呟きながら、ハンガーに掛けられているドレスを触ろうとした。
だが、そのドレスの両袖の中から何かが飛び出してきた。かふらは危険を察知し、ドレスから一歩下がった。袖の中から飛び出してきたのは、からくり製の二匹のネズミだった。
からくりのネズミは床に着地すると、かふらを下から睨みつけた。

「なるほど……、あのドレスに触るとからくりのネズミさん達が袖の中から現れる仕組みになってましたのね」

からくりネズミ二匹はかふらに飛びかかり、その柔肌を噛み千切ろうとした。しかし、飛び上がろうにも四本の足が地面に癒着して飛ぶことができない。
ネズミ達は自分達に備えられている物体認知機能で感知できなかった。かふらのスタンド「ティン・エンジェル」が、自分達が床に着地した瞬間、足と床をぴったりと癒着させたことに。

「紫屍藤家のからくり技術でも、私のスタンドを認識することはできなかったようですわね」

ネズミ取りのように身動きが取れないからくりのネズミ達に向かってかふらはそう言うと、次の部屋に行くことにした。


壮周は二階の部屋を捜索していたが、すべての部屋の有様を見て「かふらに先を越された」と痛感した。
階段を上がってすぐの通路に転がっていた、元は乗用車だったと思われる鉄の塊をはじめ、床に数体の白骨死体が転がっていて、左側に銃痕があるのに、右側にその銃口がない部屋、
丸ノコの破片が散らばった部屋などなど、部屋に仕掛けられた罠がことごとく破られているのを見て、壮周はかふらがスタンドと自身の体術を使って罠を突破したのだろうと推察した。

「どうやらあの女は俺と同じく、スタンドの能力だけに頼らず、自身の力で危機を突破するタイプのようだな。だが、最後に勝つのは俺だ」

壮周は三階へ続く階段を上ろうとした。と、その時、通路の壁から助けを求める声が聞こえた。壮周は右隣の壁に耳をそっと近付けた。確かにか細い声で「助けて」と聞こえる。


「……バタフライ・キッス。この壁に大穴を空けろ」

バタフライ・キッスは壮周の命令に従い、壁に拳の雨を浴びせた。壁には大きな蝶々型の穴が開いた。壁の中は刑務所の軟禁部屋のようなスペースとなっていて、そこには、髭を剃ってない汚らしい男と、執事服を着た白骨死体があった。
不精髭の男は涙目で壮周にすがりついた。

「た、助けて下さりありがとうございます!!このご恩は一生忘れません!!」

壮周は「一体お前は誰だ」と訊くと、男は早口で答えた。

男は屋敷の近所のアパートに住んでいる浪人生で、昨日、ある人物から「良いアルバイトがあるからやってみないか」と言われた。アルバイトの内容は「屋敷の中にいる「ある人」を探して連れ出す」というもので、自分の他にも大柄な男がそのバイトを頼まれていた。
浪人生は屋敷の中に入ると、大柄な男と手分けして屋敷の中にいる「ある人」を探していたが、探し疲れて二階の通路の壁に寄り掛かると、突然壁が回転扉のように回って、壁の中にある部屋に閉じ込められてしまった、とのことであった。

「壁の中の部屋にはあの執事の服を着た白骨死体があって、もう怖くて怖くて…。出ようにも壁はびくともしないし、仕方ないからここでずっと助けてと言ってたんです……」

壮周は壁の中の部屋にある執事服の白骨死体を見て、この屋敷にいるという当主の累に使える執事だと判断した。おそらくはこの浪人生のように壁に仕掛けられた罠にはまり、出たくても出られず、結果、飢え死にしてしまったのだろう。
壮周は白骨死体を一瞥すると、浪人生に再び訊いた。

「……ところで、お前を雇った人間は、どんな奴だった?」
「確か、和服を着た女の子だったと思います」
「………その話、詳しく聞かせろ」


「さて、いよいよ残るはこの部屋だけとなりましたわ」

三階の部屋をあらかた調べ終わり、残るはこの部屋一室だけとなった。いよいよ、紫屍藤家現当主の紫屍藤累と対面できる。
累をこの屋敷から出せば、自分はこのトーナメントの優勝者となるのだ。
かふらは激しく脈打つ心臓の鼓動を鎮めながらドアノブをゆっくりと回した。
二階の時のように、通路から乗用車は突っ込んでこない。罠は仕掛けられていないと彼女は認知した。
かふらは一気にドアを開けた。


部屋の中にはクラシックベッドが一台あった。ベッドの上には誰かが上体を起こして寝ていた。
ベッドの周りには、何かが入っているゴミ袋が大量に置かれていた。かふらとベッドの距離は、かふらの歩幅で15歩くらい離れている。
かふらは懐中電灯でベッドで寝ている人物を照らす。ベッドで寝ている人物は、自分と年齢がそれほど変わらない、シースルーの寝巻きを着た少女だ。
彼女ははその少女が紫屍藤家の現当主・紫屍藤累であると認識した。

「紫屍藤家当主・紫屍藤累様ですね。私は白鷺家令嬢・白鷺かふらと申します。あなたが三年前からこの屋敷に引きこもっているという話を聞いて、ここへやってきました。
あなたのことを大勢の人が心配しています。どうか私と一緒に屋敷から出てはいただけせんか?」

かふらはベッドで寝ている累に向かって手を差し伸ばした。しかし、累は返答をせず、ぴくりとも動かない。

「……累様?」

かふらは累の名前を呼ぶが、累は何の反応も示さない。かふらは累が無反応の抵抗をしているのだと認識した。

「なるほど、「自分は一切ここから出るつもりはない」ということですか。では、無理矢理でもここから引きずり出してあげますわッ!」

かふらは累が寝ているベッドへ一歩踏み出した。その時、かふらの足元でカチッと、何かを踏んだような音がした。
かふらは反射的に自分の足元へ目を向けた。その一瞬の行動が彼女の運命を分けた。
ベッドの後ろ側の壁から何かが発射され、それがかふらの体に付着した。
彼女は油断したと思い、自身の身体に付着した何かを調べようと左手で触った。だが、それに触った瞬間、左手が服にくっついて離れなくなった。

「これは…、トリモチッ!?」

かふらが身体に付着したものがトリモチだと気付いた瞬間、ベッドの後方の壁からトリモチ弾が数発連射される。トリモチ弾はかふらの両手両足に付着した。
かふらは右手に仕込まれた匕首の刃を出そうとするも、トリモチが張り付いて出すことができず、さらに身動きも取れない。
そして、トリモチの弾が彼女の顔に付着し、かふらはトリモチの檻に封じ込められてしまった。
かふらはこの部屋に仕掛けられた罠を理解した。さっき自分が踏んだのは、罠が作動されるスイッチ。
そして、作動した瞬間、ベッドの後ろの壁からトリモチ弾を発射する射出口が出てくるという仕掛け。
最後の最後で油断したとかふらは後悔した。もうすぐ自分がトーナメントに優勝できると有頂天になり、最後の部屋に仕掛けられた罠に気付けなかった。
自分がトリモチで動けなくなっているのを、ベッドの上で累はほくそ笑んでいるのだろうか?

(トーナメントに優勝できると思っていたのに…こんなところで…)

かふらの意識が遠くなりかけたその時、部屋の外から声が聞こえた。


「……なるほど、これが最後の仕掛けか」

そういえば、部屋の扉を開けたままだったとかふらは思い出していた。
この声の主をかふらは知っている。

(……壮周様!!)

「当主が潜んでいる部屋の仕掛けが、こんなショボイものだとはな。これで侵入者を始末した後は、どう処分するつもりだったんだ、あの当主は?」
「ど、どうするんですか、壮周さん!?」

壮周は浪人生に「お前はそこで見ていろ」と言った。
かふらは浪人生と呼ばれた者に対して一体誰なんだと感じたが、それよりも壮周に「気をつけて下さい」と言いたかった。しかし、顔をトリモチで防がれているため、口を動かすことができなかった。
ベッドの後ろの壁に仕込まれている射出口は、依然かふらの方に向いている。

(おそらくはこの部屋の床に、罠が発動するスイッチが何個か仕掛けられているな…。うかつに部屋に入ると、スイッチを踏んでしまう可能性がある)

壮周は数秒間考えると、フッと笑った。

「確かにその罠は、一般人やトリップ気味のお嬢様にしか引っ掛からないだろう。だが、「バタフライ・キッス」にその罠は通じない」

壮周はバタフライ・キッスを発現させ、命令する。

「バタフライ・キッス、部屋の中の罠を全て壊せ」

その瞬間、バタフライ・キッスの身体は花弁が千切れるかのように分裂し、その破片は無数の蝶々に変化した。
蝶々の群れは部屋の床や、ベッドの後ろ側の壁に仕掛けられている射出口に止まる。
そして、数秒後、部屋には数えきれないほどの穴が空いた。

「部屋の床は抜けない程度に穴が空いたようだな。これでベッドの上の当主を屋敷から連れ出すことが出来る」

壮周はそう言って浪人生と共に部屋の中に入った。浪人生はトリモチの檻に包まれたかふらを一瞥すると、壮周に訊いた。

「あ、あの、罠にはまった人は助けないでいいんですか?」
「…本当はここで見捨ててもいいんだが、一般人がいるとなると、見捨てることはできないな」

壮周はそう呟くと、再びバタフライ・キッスに命令する。

「トリモチに穴を空けて、中にいる奴を助け出せ」


無数の蝶々がかふらに纏わりつくトリモチに群がると、蝶々は小さな穴となり、トリモチを消滅させた。
かふらはトリモチの檻が消滅したことを確認すると、ベッドへ向かう壮周に後ろから抱きついた。

「壮周様!罠にはまった私の命を助けて下さり、ありがとうございます!この御恩は一生忘れません!」

壮周はため息をつきながらかふらに言う。

「……勘違いするな。俺はそこにいる浪人生に言われて、お前を助けただけだ。別にお前を助けたかったわけじゃない」

しかし、かふらには壮周の言葉は届いていなかった。

(ふふふ、口ではそんな事を言いながらも、本当は私のことが心配で助けて下さったのですよね?嗚呼、葉月様もおられるというのに、私はこの方も愛してしまいそうですッ!!)

絶頂寸前に陥っているかふらをよそに、壮周は浪人生に言った。

「おい、浪人生。ベッドの上にいる女を、さっさと「運び出す」ぞ」
「えぇッ、でもその人、この屋敷に住んでる当主様でしょ!? 勝手に連れ出してはまずいんじゃ…」
「安心しろ、その心配はない」
「その心配はないって、どういうことです?」

浪人生が訊くと、壮周はベッドの上にいる少女の顔を覗き込んだ。

「どうもこうもない。このベッドの上にいる女、紫屍藤家当主・紫屍藤累は、とっくに「死んでいる」」
「し、死んでいる!?」

紫屍藤累が死んでいるという言葉に、絶頂寸前のかふらも反応した。

「一体、どういうことですの……?」


「俺達がこの屋敷に入る前から、累は死んでいたのさ」
「屋敷が埃だらけだったのと、浪人生が閉じ込められていた部屋に、累と一緒に屋敷に住んでいた執事の白骨死体があったことから、なんとなくは予想していた」
「おそらく累は、執事が罠にはまって飢え死にしたことも知らずに、執事が部屋に入ってくるのを待ちながら、自分も栄養失調か飢餓でくたばった。死亡した時期は多分、二年前か一年前で間違いないだろう」
「何? 「じゃあ累の死体が全くと言っていいほど腐っておらず、しかも生きているように瑞々しいのはどういうことだ」だって?」
「死体の状況を見ればちょっと推察できるだろう。そこのお嬢様は大体わかったぞ?」
「最近の食べ物にはありとあらゆる化学成分や添加物が含まれている。ファーストフード店で売っているハンバーガーや、合成着色料を使っているスイーツなどがそうだ」
「そういったものを毎日毎日摂取していれば、その食べた物に含まれていた化学成分なんかが防腐剤の働きをして、人間の身体を腐らせにくくするんだそうだ」
「アメリカではそういう食べ物を摂取している奴らが増えまくったせいで、死体が腐りにくくなっている事例が何件も発生していて、昔ながらの土葬ではなく、火葬をしてから埋葬をする家庭が多くなっているそうだ」
「実際、ベッドの周りにあったゴミ袋の中には、マクドナルドのハンバーガーの袋や、スーパーで売っているスイーツの容器が山ほど入ってあったし、さらに、大量のサプリメントの容器も入ってあった」
「それをバカバカ食べていれば、身体は絶対に腐らないだろう。この国に伝わっている「帷子が辻伝説」の壇林皇后も、あの世でビックリしていることだろうよ」
「おそらく、執事あたりが累に頼まれて、マクドナルドやスーパーに行って、その手の類の代物を買ってきていたんだろう」
「一番謎なのは、そんなものを大量に食べていたくせに、累本人は全然太っていないということだ。普通は腹に脂肪が溜まっているはずなのにな。一体どういう体質だったんだ……」

壮周の話を聞いた後、かふらは「私もうらやましい限りですわ」と言った。

「ぜひそのプロポーションの秘訣をお教えしてほしいですわ」
「死体に口なしだがな」

壮周は累の死体を背負って通路を歩きながら、かふらにツッコミを入れた。


浪人生は壮周の説明に納得いったものの、ひとつだけ納得できないことがある。

「……でも、分からないことがありますね。屋敷の中で餓死してしまうなら、どうしてこの人は普通の暮らしをしていこうと思わなかったんでしょう? この累って人は、名家の現当主で、しかも、企業や政治家と繋がりを持っている人ですよね? それなのに、屋敷の中に引きこもって、いろんなからくりの罠を仕掛けて……。そんな生活をするよりも、自分の家の事業の拡大をした方がずっと楽でしょうに!」

かふらはそう言う浪人生に向かって、こう答えた。

「……浪人生さん、こういう話を知っていますか? 1999年の新聞に載ってあった事件なのですが、自宅で奥さんを亡くした男の方がおられまして、その方は奥さんの死亡届をどこにも出しませんでした」
「知り合いをはじめとして、警察にも、病院にも、葬儀社にも連絡をせず、その方は自宅の床の板を剥がして土を掘り、奥さんの遺体をそこに埋め、その上で生活を送っていたのですわ」
「そして数年が経って、親戚の方が遊びに来た時「あれ、奥さんどうしたの?」と男の方に訊いて、警察に知られることとなったのです」
「奥さんは検視を受けて、埋葬。男の方は罪に問われることはなかったそうですわ」
「え? 「奥さんが亡くなって悲しいのはわかるけど、電話一本かければ済む話なのに、どうして奥さんの死を誰にも言わなかったんだ?」ですって?」
「答えは簡単。「その方が楽だから」ですわ。精神医学的に言うならば、「現状の維持に安らぎや幸福を感じる心因性」とでもいいましょうか」
「その方にとっては床板を剥がして、ショベルで土を掘って、そこに奥さんの遺体を埋める作業よりも、親族の方や葬儀社に電話をかける労力の方が、よっぽど面倒なことだったんでしょうね」
「累様の件もそれと同じ。ご自分の家の事業を拡大する仕事よりも、屋敷の中にずっと引きこもっている方が、彼女にとってはよほど幸福なことだったのですわ」

かふらの話に続くかのように、壮周が言った。

「この国で問題となっている「ニート」や「ネットカフェ難民」と同じだ。親族や政治家達が無職の人間が増えまくっていることで問題にしているのに、当の本人達はそれを意に介さず、テレビやネットの動画サイトを見ながら「らき☆すた面白ぇ」と呟く。この当主様もそいつらと同類だよ。輝かしい将来を棒に振って、自分が安心できる空間へ逃げ込む。死ぬ瞬間もさぞや幸せだったに違いない。だって――――」

こんなに幸せそうな顔をしてるんだからよ、と、壮周は吐き捨てるように言った。
彼の言う通り、累の死に顔は幼女のような多幸感に満たされた、安らかな顔だった。
浪人生は二人の言葉を聞いて、どう反応すればいいのか分からなかった。


「ところで、この決勝戦の勝者は俺ということでいいんだよな、お嬢様?」
「ええ。その当主様をあの部屋から連れ出して、今屋敷の外へ連れ出そうとしているのは壮周様ですから。仕方がないですわね…」

かふらは沈んだような口調で言った。
あともう少しで優勝できると思っていたのに、ひとつの判断ミスでその優勝を逃してしまった。
自分の望みはもう叶わないのだ。
そう思いうつむくかふらに、浪人生はなんとか励まそうとした。

「そんな気を落とさないで下さいよ!そんな沈んだ顔は貴方には似合いませんって!」

しかし、かふらの気持ちは沈んだままだ。
そんなかふらを見ながら壮周は一考すると、かふらを見ながらこう言った。

「なぁ、お嬢様。あんたの望みはなんだ?」
「……え?」
「俺に良い考えがある。乗ってくれるか?」



屋敷の扉が空き、そこから累の死体を背負った壮周が現れた。かふらはどこにもいない。
夢乃はかふらが死んだと確信した。憎きかふらはこの屋敷の罠にはまって命を落としたのだ!
今すぐにでも飛び跳ねて歓喜したいが、自分はまだトーナメントの立会人としての仕事をしている。この感情を露わにしてはいけない。
夢乃は感情を抑えながら、壮周に作り笑いをして言った。

「勝利条件通り、紫屍藤累様を屋敷から連れ出してきましたね。おめでとうございます。あなたがこのトーナメントの優勝者です」
「そりゃあどうも」

壮周は累の死体を下ろしながら答えた。

「当主様は自分の部屋で飢え死にしていたよ。おそらくは執事も罠にはまって命を落としたに違いない」
「そうですか……、残念ですね」

ラッセルが報告したとおりだ、と、夢乃は思った。
累はもう死んでいた。この事実が公にされれば、紫屍藤家はしばらく立ち直ることができないだろう。
多分今後、紫屍藤家で後継者争いが行われるだろうし、紫屍藤家のパイプを断たれた第二次安倍政権は崩壊するに違いない。
おそらくはアベノミクスも大失敗に終わるかもしれない。
だがそれは自分には関係ない。自分にとって一番大事なのは、ジャンユの仇を討つことができたことだ。
今頃かふらは地獄で責め苦を受けているはずだ。そう思うと心が癒される。
壮周が生贄にならなかったのは想定外だが、かふらが死んだのだから良しとするか。
夢乃はそう思いながら、壮周に訊いた。


「では、壮周様。あなたはトーナメントに優勝したことで、望むものを何でも叶えることができます。あなたの望むものはなんなのか、お聞かせ願いますか?」
「そうだな、では……」

壮周は加虐的な笑みを浮かべながら夢乃に言った。

「こいつの望みが叶う位の大金を用意してくれるか?」
「え……?」

壮周の言葉を聞いた夢乃が首をかしげたその時、屋敷の中から予想だにしない人物達が現れた。
死んだと思っていたはずの白鷺かふらと、屋敷の中で行方不明になったと思い込んでいた浪人生だ。
浪人生は動揺する夢乃に向かって指を差す。

「こいつだッ!こいつが僕に「良いアルバイトがある」と言って騙した奴だッ!!」
「なるほど、このトーナメントの立会人が、あなたを騙し、さらに私を屋敷の罠にはめて殺そうとしていたのですね…」

かふらはそう言って夢乃をにらみつけた。

「そ、そんな。死んだと思っていたのに、生きていたなんて……」

夢乃は動揺のあまりに、自分の思っていたことをうっかり口に出してしまった。夢乃は慌てて口を両手で塞いだ。
壮周はそんな夢乃を見て鼻で笑う。

「フン、やはりそういうことだったのか。おそらくは俺も屋敷の罠で始末する予定だったのだろうが、飛んだ計算違いだったな」

マズイ。このままでは真実を知ったこの三人に殺される。この場はいったん逃げなければ!
夢乃がそう思い、踵を返したその時だった。

「策が破られて逃走とは、卑劣だな」

壮周のスタンドである蝶々の群れが、夢乃の着ていた和装に無数の穴を空けた。
夢乃は一瞬で下着だけを付けた姿となった。

「き、きゃああああああああああああああああああああああ!!!!」

下着姿となった自分の姿に、夢乃は恥ずかしさのあまり身体の各所を両手で隠しながら座り込んだ。
その瞬間、夢乃の後ろにかふらが回り込み、右手の義手で当て身をし、夢乃を気絶させた。

「よし、じゃあ最後の仕上げといこうじゃないか」
「ええ、壮周様」

気絶した夢乃を見下ろす二人の表情は、悪魔ともいうべき笑みだった。
そんな二人を見た浪人生は、恐怖のあまりガタガタと体を震わせていた。


どれくらいの時間が経っただろうか。
夢乃は意識を取り戻し、ゆっくりと目を開いた。
意識を取り戻して起き上った夢乃の目に映ったものは、どこかの物置部屋だった。
物置部屋には丁寧にハンガーに掛けられた衣装と、壮周と浪人生、そしてかふらの三人がいた。

「あ、あなた達は!!」

夢乃は思わず後ずさりするが、ふと身体に違和感を覚えた。
肩と胸元が露出している。両脚をこすり合わせると、ザラザラとした感触がある。
頭には何らかのカチューシャが付けられている。
かふらはそんな夢乃を見てくすくすと笑った。

「な、なにがおかしいんです!?」
「何がおかしいって、自分の姿を鏡でよくご覧ください」

かふらは夢乃の前に長身の鏡を立たせた。
夢乃は鏡に映る自分の姿を見て赤面をする。
夢乃は、青のバニースーツを着た、魅惑のバニーガールとなっていた。

「いやあああッ!!なによこれえええッ!?」

夢乃は恥ずかしさのあまり、胸元を両手で押さえた。
壮周とかふらは加虐的な笑みをしながら彼女に言った。

「なにって、どういう理由でか知らないが、お前が俺達のことをはめようとしたんでな。その罰として、お前をバニーガールにしたのさ」
「屋敷の中には子供用のバニーガールの衣装が綺麗な状態で置かれていましたから、それを拝借しましたのよ」
「あなた達、立会人であるわたしにこんなことをしてただで済むと思ってるんですか!?」

夢乃はそう言いながらバニースーツに手をかけるが……。

「あ、あれ? あれあれ? 全然脱げない、なんで!?」

バニースーツは肌にくっついて脱ぐことができない。
頭についているウサギの耳のカチューシャも頭から外れない。下半身を包む網タイツもぴったりとくっついて、太ももをこすり合わせても、両手の爪で引っ掻いても破れない。
挙句の果てには青のパンプスも足首にガッチリとはまって脱げない。
これはまさか、と夢乃が思った時、かふらが夢乃に説明した。

「あなたが着てるバニーガール用の衣装。あなたの肌に全てくっつけておきましたわ。それを脱ぐことはもう一生できませんわ」
「そ、そんな……、風邪を引いたらどうするのよ!!」
「別売りで売っている燕尾服を着て対策を取るしかないのではないですか?」

かふらはさらに話を続ける。

「おそらくあなたは、私が第二回戦で戦ったジャンユ様のお知り合いで、彼の仇討ちのためにトーナメントの立会人になった、というところでしょう。そして、あなたの背後には巨大な組織がいる…、違いますか?」

図星だ。なんなのだこの女は。他人を見透かす能力でもあるのか?
夢乃は自分を襲う恐怖に打ち震えた。
かふらは夢乃を睨みつけながら話を続ける。

「知り合いの方の仇討ちをするという心掛けはとても素晴らしいものです。でも、トーナメントの決勝を利用して、壮周様も巻き込んで罠にはめるそのやり口は頂けませんわね……」

かふらは夢乃に近付くと、唇が触れ合うくらいの距離まで顔を近づけた。

「あなたの後ろにいる組織の方達にこう伝えておきなさい。「そんなに私の命を奪いたければ、小細工を弄せずにご自分の足でお出向きください」と。これが、私達があなたに与える罰ですわ」


夢乃は歯ぎしりをしながらかふらを睨みつけた。

「……私はお前を許さない。ジャンユの命を奪ったお前をッ!今度は絶対にお前の命を奪ってやるんだから!!」

夢乃はそう怒鳴りつけて、物置部屋から駆け足で出て行こうとした。壮周はそんな彼女を「待て」と引き止めた。

「さっき俺がお前に言ったこと、忘れていないよな?」
「…忘れていませんよ。その女の望みが叶う位のお金はきちんと用意します。安心して下さい」

夢乃はそこで「ただし」と付け加える。

「あなたもその女の肩を持ったということは、あなたも私の仇の一人です。いつかあなたも必ず殺しに来ますよ」
「……その時を楽しみにしているぜ」

壮周の言葉を聞いた夢乃は、今度こそ駆け足で物置部屋を出て行った。
浪人生は夢乃を見送る二人を見ながら言った。

「いいんですか? あの子を放っておいて」
「いいんですわ。あの方や、あの方の後ろにいる組織が命を狙ってきたのなら、真正面から迎え撃つだけです」
「それに、奴自身が真正面から挑んでくるとは思えない。どうせまたしょうもない小細工を仕掛けてくるだろう。その小細工にかけた時間と努力をドミノ倒しするように打ち壊すのも、悪くない」

壮周はニヤリと笑みを浮かべた。
そんな壮周にかふらは「ところで壮周様」と言ってきた。


「貴方様に渡したいものがあるのですが、よろしいですか?」
「何だ?」
「二人の愛のしるしとして、これを」

かふらはスカートのポケットから赤いリボンを取り出すと、それを壮周の右手首に巻きつけた。そして、かふらのスタンド「ティン・エンジェル」がリボンに触れた瞬間、リボンは壮周の右手首とくっ付いた。

「これでこのリボンは貴方様から一生離れません」
「……一体どういうおまじないだ?」
「壮周様は私の愛する婿候補の一人となりました」
「婿候補の…一人だと?」
「はい。私の愛する殿方は世界中に何十人もおりまして、一人に絞るなんてとてもできません。そこで、トーナメントで優勝した際のお金と私の家の財力を使って、孤島に私の愛する婿候補の方々を招いて戦っていただき、最後に残った方を私の婿として、白鷺家を継いでもらう…という催しを開きたかったのですが、残念ながら優勝することはできませんでした。でも……」
「俺が優勝してトーナメントの運営側から頂いた金をもらうこととなったから、その催しを開くことが出来た、と?」
「はい。壮周様の私に対する優しさが、私に幸運を運んでくれたのですわ」

「優しくした覚えはないのだが」と壮周は言おうとしたが、こいつがそう思ってるならそういうことにしておこうと思い、言うのを止めた。
そして、この女が開こうとしている催しとやらで勝ち残り、こいつが幸福の絶頂に達した瞬間、命を奪って絶望に陥れるのも悪くないとも思った。
壮周は妖しげな笑みを浮かべてかふらに言った。

「いいだろう……。その催しに出場してやろう」
「嗚呼、壮周様!ありがとうございます!!」

かふらは壮周の企みに気づかずに、艶やかな笑みを彼に見せた。
浪人生は二人の会話についていけず、一人だけわけのわからない状態でいた。

(一体この二人は…何を話しているんだ?)

浪人生がそう戸惑っていると、かふらは浪人生の方を向いた。


「ところで浪人生さん。あなたは現在何らかの職業に就いてますか?」
「え? 現在はバイトで稼いでいますが…」
「では、私の家で使用人として働きませんか? 給料も悪くありませんわ」
「ええっ!? でも良いのですか、こんな僕が…」
「構いませんわ。若い方に働く場を与えるのも、良家の役目です」
「そ、そうですか…。それなら、ぜひともお願いします」

浪人生はかふらに頭を下げた。

かふらは言葉でたとえようもないほどの幸福感に包まれていた。
トーナメントには優勝できなかったが、壮周という婿候補と、新しい使用人を手に入れることができた。
これほどの幸運が舞い込んでくるのは、もう奇跡である。
嗚呼、こんなにうれしいことはない。

壮周はその幸福感に包まれているかふらを、加虐的な笑みで見つめていた。
この女が幸福の絶頂から死という名の絶望に落とされる瞬間の表情は、一体どのようなものなのか。
愛する者に裏切られたという悲しみか。それとも愛を裏切った者への憎しみか。
どちらにせよ、早くこの女の絶望の表情を見てみたい。

『近いうちに行われる催しが楽しみだ』

壮周とかふらはそう思いながら、浪人生と共に屋敷を抜け出すのだった。


後日、新聞記事の隅に、紫屍藤家の当主・紫屍藤累が死亡したとの記事が掲載された。

★★★ 勝者 ★★★

No.1057
【スタンド名】
バタフライ・キッス
【本体】
壮周(ソウシュウ)

【能力】
とまった場所に蝶々型の穴を空ける








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最終更新:2022年04月17日 14:02