第13回トーナメント:予選③
No.4900
【スタンド名】
レッド・ハーヴェスト
【本体】
エリザベート・サマエリス
【能力】
触れた物をなんでも「吸血鬼」に変える
No.5393
【スタンド名】
ホット・アクション・コップ
【本体】
鹿鳴 志弦(カナキ シズル)
【能力】
スタンドが触れた『凶器』を『押収』する
レッド・ハーヴェスト vs ホット・アクション・コップ
【STAGE:】◆UnDerlZmms
女は、夢の中に居た。
その夢の中で、彼女は十字架が乱立する森の中に佇んでいる。
目の前では一匹の蛇がその十字架に巻き付いて鎌首をもたげ、彼女を見つめていた。
蛇は、その尾に杯を巻きつけ、彼女の方へ差し出す。
その杯を彼女が手に取ると、何処からか男の声が響いた。
『飲め』
彼女は杯を覗きこんだ。
その瞬間、彼女の視界が歪む。
伸びる。縮む。回る。廻る。曲がる。狂う。爆ぜる。揺れる。
やがて全てが暗転し、彼女は現実へと引き摺られて行く。
最後の一瞬、見えた杯の中身は、どこまでも赤い、一杯の血だった。
女は、目を覚ました。
この夢を見るのは一体何度目だろう。
この国に来てからというもの、頻度がより多くなっている気がする。
そしてそれに比例する様に、殺人衝動もどんどん強くなっている。
もう何年も前から、あの杯の中身を飲み干したくて堪らない。
耳にこびり付くはあの声。目に焼き付くはあの赤。
その全てが殺人鬼『エリザベート・サマエリス』を突き動かす衝動なのだ。
しかし彼女は本能のままに殺戮を繰り返すような愚者では無い。
静かに這いよる賢き蛇なのだ。
逮捕されては意味が無い。それをわきまえている。
そこに舞い込んできた、この『トーナメント招待状』。
聞く所に寄れば、優勝者は願いが叶うとか何とか……
「話半分よねぇ……でも」
なんと魅力的な話であろうか。
逮捕に怯えず自由な殺人。その夢が叶うかも知れないのだ。
ただ、目下の彼女にはもう一つ大事な問題があった。
ここは走る電車の中。彼女はその振動に揺られ、眠り込んでしまったのだ。
そして彼女はあの夢を見ると、つい無意識でスタンドを使ってしまう。
「はぁ……面倒だわぁ……」
彼女は横目で、隣に座る干からびた死体を見ると、呟いた。
青年は、闇の中に居た。
人通りの失せた道を、靴を鳴らし歩いて行く。
時は深夜。日付も今まさに変わろうとし、日中から殆ど無い人の気配は本格的に皆無だ。
太陽が出ている間は蝕む様な熱を孕んでいる大気も、今はひっそりとした冷気に包まれている。
青年の名は、鹿鳴 志弦(かなき しずる)。
何の因果かトーナメントに呼ばれ、現在は指定された廃工場へ向かっている。
彼の髪は日本人には珍しい地の赤毛であり、撫で付けてもはねる髪は無造作さを醸し出している。
だが例え彼の髪に気を引かれた者が居たとしても、今の彼に話しかけようとは思わないだろう。
虚空に向かってブツブツと独り言を続ける者に話しかけるのには勇気がいるからだ。
「なあコップ、言っとくが俺は本来お前がこんな時間に外出する事には反対なんだからな」
コップと呼びかけられたのは、『ホット・アクション・コップ』。
志弦のスタンドであり、頭陀袋を被った小さな少女姿の意思持つ像である。
しかし一般人にはスタンドの姿は見えず、声も聞こえず。
故に何もない空間に語りかける志弦の姿は危険人物以外の何者でも無かった。
『いや、そんな事言われても本官近距離型でスし……
マスターが外出しない限り外出られないっスよ?』
志弦の言葉に、ホット・アクション・コップが応えた。
その語り口は流暢で、確固たる意思を持っている事が分かる。
「そんな事は分かっている。
だが何かの拍子にお前が自動操縦とかになるかも知れないだろう。
それに寝る子は育つという言葉も在る。
まあ育っても嫌だが……それに夜更かしは美容の大敵とも言うしな」
『いや、スタンドに言う言葉じゃないでスよね。それ』
「例えスタンドだろうと、俺の前では一人の少女なのさ……」
『あーハイハイ。
まあマスターの馬鹿さ加減にはもう慣れたっスけど……
でもせめて念話してくれません?他人の視線が突き刺さる突き刺さる……
殆ど人と会わないのに会ったら会ったで冷たい視線て、何スかこれ、修行でスか?』
「さっきも言ったろ?俺はお前と人間として会話したいんだ!」
『うん、本官はスタンドとして会話したいんスよ。
何これ、感情の一方通行がすごい』
分かって頂けただろうか?
夜中に態々こいつに話しかける人間はそう居ないという事が。
だがしかし、今ここに、職業上どうしても話しかけなければいけない者が居た。
「あー……鹿鳴志弦さんですよね?」
話かけて来たのは大人しそうな女性。
整った顔立ちだが、目の下の色濃い隈の所為か、精気が欠けたように見える。
「そうだが、何だ?
警察ならさっきも会ったから間に合ってるぞ」
「えっ。いや、トーナメントの立会人なんですけど……」
「何?おお、本当だ。いつの間にやら目的地ではないか。
やはりコップと話していると時間を忘れてしまうな!」
『すいません立会人さん、もうコイツは無視してていいんで話進めて欲しいっス……』
「そうですか?
では、対戦相手の方はもう来られていますので……
取り敢えず付いて来て貰ってよろしいでしょうか?」
『あっはい、分かりました……
ほら、マスター!行きまスよ!』
立会人に先導され、志弦とコップは廃工場へと入っていく。
……より正確に言うなら、志弦がコップに引き摺られていく。
その様を淀んだ硝子越しに見つめながら、闇の中で蛇眼が静かに輝いた。
廃工場の入り口には、かつて在ったであろう扉は無い。
ただその名残を伝える四角形の穴が開くのみである。
その穴を潜って中に入ると、薄汚れた機械が散逸する広間が現れる。
機械類は何の為の物かも、そもそも元の形を保っているのかも分からない古ぼけた物だが、
その金属でできた無骨な姿は、闇の中である種異常な威圧感を放っていた。
「それで、相手というのは?」
「あれ、さっきまでここに居たんですけど……」
立会人は立ち止まり、辺りを見回す。
もう一人の参加者がここに居た筈だと言うが、その姿は無い。
その時、横の扉が開き、一人の女が現れた。
「ここよぉ。
ごめんなさいね。ちょっと物珍しくて」
勝手に姿を消した事を悪びれもせず妖艶に笑むこの女こそ、エリザベート・サマエリス。
志弦の対戦相手である。
「あんたが相手か?」
「あらぁ、ということはボウヤが私の相手?
エリザベート・サマエリスよぉ。宜しくねぇ」
「ふむ、鹿鳴志弦だ。
もっと年下なら違ったが、アンタぐらいの女なら躊躇せずに済むな。安心だ」
「これは、紳士的なのかしら?
それとも怒るべきなのかしら?」
『あ、怒るとこでス』
その時、咳払いが会話を遮る。
それを聞いて二人は、立会人の存在を思い出した。
「……お二人とも、私の話を聞いて下さい。
私としても無駄な時間を取らされるのは不本意です」
「ごめんなさいねぇ。
じゃあちょっと説明していただける?」
「……別に説明する程の事はありません。
ルール無用の至極単純な殺し合いをしていただきます。
勝利条件は、敢えて言うのなら『敵を倒せ』、でしょうか。
傍目から見て勝ったと言えるのならどういう勝ち方でも構いません。
判断は私が行います。不平不満の類は受け付けませんので、悪しからず」
立会人が息もつかずにスラスラと長台詞を吐き終わり、
志弦とエリザベートの両者に一瞬の沈黙が生まれる。
提示された条件を脳内で反芻する時間が。
「一応聞くけど、無力化って殺害も含まれるのよねぇ?」
「はい」
「成る程、裏世界のトーナメントだけはあるって訳かしら」
「まあ、そうですね。
人一人の生き死にぐらいで揺らぐ物では無いのですよ、我々は」
次に志弦が手を挙げる。
「戦うのはいいが、開始の合図とかは無いのか?
場所は?ここからか?」
「スタートの位置は……そうですね、
お互いの距離が10mになるようにそれぞれ後ろに下がっていただいて。
ええ……はい、その辺りでしょう。
場所はこの工場敷地内なら自由ですが、それより外に出る事は許可されていません。
では……どうぞ、戦闘開始です」
淡々とした立会人の言葉により、火蓋が切って落とされる。
最初に動いたのは、エリザベートだった。
「『レッド・ハーヴェスト』!」
その声と共に、エリザベートの隣に心臓のような不気味な人型が現れる。
『…………………………!…………!!』
全身を走る太い血管は、力強さの象徴か。
沈黙の紅い巨躯が志弦達の方へと殴りかかる。
「疾い……ッ!」
そのパワーもスピードも、コップの遥か上。
――だが、届かない。
最初に定められた距離、10m。
これは近距離型スタンドの殆どがギリギリ射程外となる長さである。
故に、届かない。
当然エリザベートも、それには気付いている。
この攻撃は、ある種のブラフだ。
どう対処するかで、相手のスタンドについて少しは知れるだろう。
どうせパワーとスピードでレッド・ハーヴェストが近距離型である事ばバレる。
ならば初っ端からカードとして切っていくのも悪くは無い。
「くっ……コップ!退くぞ!」
志弦が叫び、駆ける。
散乱する機械の林に紛れ込んで行く。
工場内の薄暗さも手伝って、直ぐに見失った。
それを敢えてすぐには追わず、エリザベートは眼を光らせる。
「ふぅん……」
逃げる、という事は正面切って打ち合える程のスペックでは無い、という事だろうか。
あるいは、この場では逃げる方が都合の良い能力なのかも知れない。
だがそんなチョコマカとした戦い方で、
「私のレッド・ハーヴェストに勝てるかしらぁ?」
毒蛇は急がない。
エリザベートは闇の中で、一人笑みを浮かべた。
「なあコップ。
あの女、どう思う?」
機械と機械の間を速やかに、かつ静かに移動しながら、志弦は訪ねる。
今は流石に念話であり、声は出していない。
『胡散臭いっスね。
如何にも信用したら駄目なタイプっス』
「やはりそう思うか。
俺としても、いきなり殺人がルールに抵触しないかを確認するのは碌な輩では無いと思う」
『いきなり殴りかかって来たし、こっちも全力でいくべきでしょうね。
でも、あのスタンドと真正面からぶつかればミンチになるのは本官っス。
“武器”を使うにしても慎重にならないと、そもそも能力もまだ分からないでスし……』
現在、彼は先ほどエリザベートが出てきた扉の反対側へと向かっていた。
この廃工場は見たところ左右対称の造りであり、即ちそこにも別の部屋があると踏んだからだ。
そして今居るこの部屋には、壁に隣接してぐるりとキャットウォークがある。
両隣にあると思われる部屋から、その通路へと出られるのは明らかだった。
敵がまだ下にいる間にそこへ登れれば、位置アドバンテージが取れる。
四角形のキャットウォークでは行き止まりに突き当たる事も無い。
目当ての場所に来てみれば、案の定隣の部屋への扉があった。
入り口のものと違い、その建て付けは予想以上にしっかりしている。
老朽化による思いも寄らぬ音を警戒し、志弦は慎重にノブを回す。
扉は思ったよりもスムーズに開き、志弦は安堵した。
だが……
「何だと……!?」
確かに二階通路への階段はあった。
ただし、それは明らかに人外の力で破砕された後だった。
「やられたな……後から来た事がこうマイナスに作用するとは……」
何の事はない。扉がスムーズに開いたのは、ついさっき開けられた後だったからか。
これではあの階段は使えまい。
戻るか?それとも……
志弦がそこまで考えた時、殺気が背後から押し寄せた。
「!!」
咄嗟に前転し、拳を躱す。
あと少しでも遅ければ、頭が吹き飛んでいただろう。
そのまま、素早く後ろを振り返る。
「……まさか階段が破壊されているとはな」
「老朽化してたから簡単だったわ。
取り敢えず残念だったわねぇ。じゃ、死んどきなさぁい?」
「生憎だが……」
志弦はジリジリと後ろに下がりつつそう言うと、
「まだ死ぬ気は無いんでね!」
一気に駆け出した。
「逃げてばかりじゃ勝てないわよぉ!」
当然、エリザベートも逃がす気は無い。
鉄階段を粉砕する程の威力を持った追撃が志弦に迫る。
射程距離が短いため逃れられているが、
先ほど入ってきた扉以外に出入口の無いこの部屋で何時迄も逃げ続ける訳にはいかない。
(窓は……駄目だ、高すぎる!
ならば……)
志弦は階段の残骸付近へと一直線に向かっていく。
つまり、キャットウォークの真下へと。
そして目的のポイントに立った志弦は叫ぶ。
「コップ!アレ出せ!」
『了解っス!』
言葉と共に虚空から取り出されるのは、長いロープ。
その取り出したロープを投げ縄の要領で放り、キャットウォークに引っ掛ける。
だがそれを黙って見ているエリザベートでは無い。
「逃がさないわぁ!」
『…………!………………!』
ロープを登り始めた志弦へと、手を伸ばす。
しかし、レッド・ハーヴェストがロープを掴みかけた瞬間、志弦が叫んだ。
「止めておけ!そのロープに触れると死ぬぞ!」
その内容に虚を突かれ、一瞬レッド・ハーヴェストの手が止まる。
実際、エリザベートにはその言葉を嘘と断じる事はできない。
故に生まれる躊躇。
エリザベートがロープから志弦へ目標を変える、その僅かな時間で志弦は通路へと上る事に成功する。
レッド・ハーヴェストの手は、虚しく志弦の靴を掠めるに終わった。
―
―――
――――――
(さあどうする……?
当初の目的通りにキャットウォークまで来たが、今は大して意味が無い……)
志弦は何かも分からない大型の機械に背中を預け、思考する。
『あれだけでこちらの能力が分かるとは思えないっスけど、
能力が分からないのはこっちもでスからね……』
そう。その通りだ。
あのパワーだけでも脅威だと言うのに、敵はまだ殆ど手札を見せていない。
(クソッ……
ロープをあそこで切ったのは良かったのか?
今この場所に留まっているのは賢い選択肢なのか?
ああ畜生、体がやたらと怠い……!)
このまま座っているよりも、まずは慎重にでも動いた方が良いかも知れない。
敵が今どこに居るかぐらいは分かっていないと、また不意打ちを喰らう事も有り得る。
「よし、コップ。動くぞ……ッ!?」
立ち上がろうとした瞬間、足が縺れる。意識が揺れる。
体に力が入らず、機械に倒れかかってしまう。
『マ、マスター!?大丈夫っスか!?』
(いや、おかしい……!消耗し過ぎている……!これは、まさか……)
「スタンド攻撃……!?」
「正解よぉ」
その時、通路の反対側から、歩き来たる者あり。
姿を隠す事もせず、鉄の通路をカツンカツンと踏み鳴らし、
堂々と闊歩してくるその女こそ、エリザベート・サマエリスその人である。
「今の貴方は『貧血』なのよ。
お分かりかしらぁ?」
現れた女を睨みながら、志弦は問う。
「貧血だと?どういう事だ……」
「そうねぇ……折角だから、教えて上げるわぁ。
私の『レッド・ハーヴェスト』の能力はぁ、触れた物を吸血鬼にすることなのよぉ」
エリザベートは自らのスタンドの二の腕に指を這わせつつ、語る。
「吸血鬼にする、といってもドラキュラ伯爵やサー・ヴァーニーみたいになるって訳じゃないのぉ。
ま、簡単に言えば『触れてるだけで血が吸われる物』にする、ってことなのよねぇ。
どう?答えには思い当たったかしらぁ?
私が過去に触れて、今あなたが触れている物は、なぁに?」
「靴、か……ッ!」
答えに辿り着いた瞬間、志弦は靴を脱ぎ捨てる。
靴が足を離れた瞬間、その答えを裏付けるように少しだけ志弦の倦怠感は薄れた。
が、しかし、その足が通路に降りた瞬間、強烈無比な目眩に襲われる
そして訪れる圧倒的な倦怠と、押し潰されるような激しい動悸。
それは正しく、先ほど理解した、血を吸われる感覚その物だった。
「だぁいせぇいかぁい♪
でもぉ、その行動は正解とは言えないわねぇ……」
エリザベートの説明を聞きながら、志弦は遂に膝を折る。
血を失い過ぎて、もはや立っている事も出来なくなったのだ。
「ここの通路はもう既に吸血鬼化済みだったのよねぇ。
さて、この状態なら私の勝利は認められるかしら。
念の為殺っとくべき?」
『………………!…………!』
レッド・ハーヴェストの瞳が妖しく輝く。
さながら、獲物に止めを刺す大蛇の眼のように。
だが、それを遮ったのも、その獲物だった。
「なあ、コップ。
血を吸う通路とは、なんと危険な物だろうな……」
「……何?」
「なあ、コップ。
こんな物騒な物が在っていいものかな……」
「ちょっと待ちなさぁい……!
貴方達、何かするつもりじゃ……!」
エリザベートは焦る。
そう、勝ち誇るには早すぎたのだ。
ロープを出すだけが能力では無いとは思っていた。
つまり自分はまだ、敵の鬼札を見ていない。
能力の真価という名の、最後の虎の子を。
「なあコップ……!
こんな『凶器』、消えちまった方が良いよな……!」
『ええマスター……!
こんな「凶器」、消しちゃった方が良いっス……!』
「『ホット・アクション・コップ』!!!
この危険で悪辣な凶器を、消し去れェェェ!!!」
『ホット・アクション・コップ!!
「Doom Boom(審判の轟き)」!!』
志弦とホット・アクション・コップが叫ぶ。
通路にその手が触れた瞬間、360度、壁を取り巻く全ての通路が、
跡形もなくこの世から消え去り、上に居る者を下へと投げ落とす。
「そんな……惜しかったのにぃ!
こんな負け方、私は認め…………ガフッ!!」
落下したエリザベートは下にあったバルブで強かに頭を打ち、
静かに気絶した。
―
―――
――――――
「ふう……何とか勝てたな……
これもお前のお陰だ、コップ!」
『そ、そんな風に褒めても何も出ないっスよ!』
「いや、素直に褒めさせてくれ。
俺のスタンドがお前じゃなければ、俺は死んでいたかも知れん」
『ま、まあそこまで言うなら有難く褒められときまスけど……
でもあれでスからね!これで調子に乗ったら駄目なんスからね!』
「ハッハッハ!お前のお陰で得た勝利だぞ。
お前を褒めはすれど、俺が慢心など……うおっと……まだクラクラするな……」
『ちょっと!血めっちゃ吸われてるんスから無茶は駄目っスよ!』
「ありがとう。やはりコップは天使だな!」
さて、通路を消し去った志弦達だが、落ちたかと言えばそうでは無い。
それまで機械にもたれかかった姿勢だったのが功を奏し、
その機械に繋がっていたパイプにぶら下がって落下を回避したのだ。
しかし次はそこから降りれ無くなり、ぶら下がったままだ。
そしてその体勢のままで、まさかの犬も食わないイチャつきを開始したのだ。
だが……
「すいません……話を聞いてますか」
今ここに、職業上話しかければならないのに、無視される女が居た。
「降りれないなら助けますけど。あの……」
『や、やめて下さいよ天使なんて……
恥ずかしいっス……』
「ちょっと……」
「何を言う!お前はまさに天使!
いや、もはや天使をも超えて女神!」
「もしもし……」
★★★ 勝者 ★★★
No.5393
【スタンド名】
ホット・アクション・コップ
【本体】
鹿鳴 志弦(カナキ シズル)
【能力】
スタンドが触れた『凶器』を『押収』する
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最終更新:2022年04月17日 14:18