第01回トーナメント:準決勝①
No.4082
【スタンド名】
クレセント・ロック
【本体】
藤島 六郎(フジシマ ロクロウ)
【能力】
殴った場所からロケットを生やす
No.3222
【スタンド名】
メープル・リーフ・ラグ
【本体】
天知 悟(アマチ サトル)
【能力】
本に書かれた比喩表現を具現化する
クレセント・ロック vs メープル・リーフ・ラグ
【STAGE:ビル内部】◆gReBKaoshc
「ぶっ飛ばせ、『クレセント・ロック』!」
男がそう叫ぶやいなや、数十発のロケット弾が、乱雑に散らかったデスク群の頭上を掠めて飛んでいく。
「『その軌道は切れの良いカーブがかかったように目標を撃破することなく着弾点を逸れた』」
片手に本を持った優男が、本の中にある一文を読むと、ロケット弾は彼を目前にして軌道を変え、後方の窓ガラスを突き破ってその姿を消した。
高層ビルのとあるオフィス。雑に並べられたデスクを挟んで両者は対峙する。
出会い頭にロケットをぶっ放したアゴヒゲの男が、その立派な髭を撫でながら近くにある椅子へと腰掛けた。
「そう怖い顔しないでくれよ、今のはちょっとした挨拶のつもりだぜ?」
「随分と野蛮な挨拶だな。動物園から逃げ出してきた猿なのか?」
アゴヒゲを擦りながら、男は眉間にシワを寄せる。
「安い挑発をどーも。やりあう前に自己紹介でも済ませとっか、俺の名前は藤島六郎。オメーは?」
「天地悟」
そう答えると、悟は本をパラパラとめくり、目に付いたページで止めた。
一瞬の間を置き、悟は本の一文を読み上げる。
悟「『男はまるでトラックが激突したかのような衝撃を受け、壁に叩きつけられた』」
六郎「ッ!クレセント・ロック!衝撃に備えろ!」
白を基調としたボディに、赤いランプが灯る人型のスタンドが、六郎の背後に現れた。
瞬間、六郎の体を衝撃が襲う。 ”まるでトラックに激突された” かのように六郎は突き飛ばされ、壁に激突。コンクリートで塗り固められた壁を見るも無残に砕いた。
六郎「くぅ~ッ!イテテテ……」
額から血を流しながら六郎は瓦礫の中からよろめき立ち上がる。
スタンドの防御によって衝撃を和らげていた為、致命傷はなんとか避けることが出来た六郎だが、見た目以上にダメージは大きかった。
六郎「アバラが何本かイっちまったな……」
悟「アンタには悪いけど、さっさと決着をつけさせてもらうよ」
六郎「まァまァ、そー焦るなって。冷静でいないとな、闘いは。なァ、クレセント・ロック?」
クレセント・ロックは腕を交差させると自身の両肩を叩き、そこから2本のロケットを出現させる。
六郎「今度は外さねェ!」
スタンドの両肩から伸びたロケットが発射された。
煙の軌跡は目標に向けて伸びていく。
悟「『それは予め逸れていくレールが引かれていたかのように、男の身を焦がすことなく飛んでいった』」
またも悟は本の一文を読み上げた。六郎の射出したロケットは、涼しい顔で佇む悟の脇を掠めもせずに逸れただけだった。
悟「無駄だ、いくらでもアンタの攻撃を回避することはできる」
六郎「始めっからオメーを狙ってたわけじゃねーぜ!」
ロケット弾は悟の脇を通過した直後、その軌道を垂直に変えて天井に着弾、爆発する。
六郎「コンクリート片のシャワーだ!」
崩れた天井からコンクリートの瓦礫が悟の頭上へと降り注いだ。
悟「幼稚な……ッ!『私の左手は全ての不幸を退ける傘である』ッ!」
頭上に左手をかざすと、コンクリート片は悟を避けるようにして彼の足元に転がる。
六郎「雨の日にも傘いらずな便利な能力だなァ~、オメー手品師にでもなりゃ一生オマンマ食っていけるんじゃネーか?」
悟「……」
六郎「そんなに睨んじゃやーヨ。とりあえず、オメーに言っておきたいことが一つある。たった一つのシンプルな台詞だ。この勝負、────────」
両者を挟む空間に、無数の緊迫した糸が張り巡る。
その糸が一本でも切れてしまえば、全てが連鎖して千切れ飛ぶような緊張感。
六郎「────────俺が勝つ」
『藤島 六郎』、『天地 悟』。互いの瞳に ”覚悟の火” が灯った。
六郎「クレセント・ロックッ!」
CR「ウォオオオッ!!!」
悟「メープル・リーフ・ラグッ!」
MLR「メギィィィッ!!!」
二人のスタンドが、雄叫びを上げながらその全容を現した。
空間を振動させるほどの気迫が衝突し、弾け飛ぶ。
六郎「クレセント・ロック!装填準備、全弾発射ッ!」
拳の乱打が床へと叩き込まれた。
能力により作られた小型ロケットのカーペットは、一度扇状に発射され、目標に向けて収束する。
悟「何度やったって同じことだ、『厄災の雨は私の前で全て撃ち落とされる』!」
悟の言葉に従うかのように、ロケットは全て彼の周囲で爆散した。
爆煙が悟を囲うようにして広がるのを、六郎は見逃さなかった。
六郎「オメーの視界、奪ってやったぜ!」
高らかに声をあげる六郎だったが、それは彼も同じこと。
いざ次のロケット装填にとりかかろうとした六郎めがけて、爆煙の中からデスクが飛び出てきた。
六郎「ナニィィーーーッ!?クレセント・ロック、弾き返せ!」
CR「ウォォォオオオッ!!」
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!
襲い掛かるデスクに猛打を浴びせ、弾くと共に直撃を避ける。
追撃を邪魔された六郎は、晴れ行く煙に目を凝らしながら、悟との距離を開けた。
悟「デスクを吹き飛ばしたんだが、防がれたみたいだな」
煙が晴れて視界がクリアになったオフィスの中心に悟は佇む。
悟「随分と距離が開いたみたいだが、どうした?怖気づいたのか?」
六郎「一応、オメーの能力に警戒しつつ、な。ま、でも勝利の算段はついてンだけどさ。クレセント・ロック、でかい奴をお見舞いしてやれ!」
先ほど弾き返した机に伸びていた大きなロケットが、悟へ向けて発射された。
しかしそれも先ほどと同じように彼の『比喩表現を具体化する』能力によって直撃はせずに、後方の窓からビルの外へと飛び出していく。
悟「馬鹿のひとつ覚えも大概に……」
六郎「『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』って知ってるか?俺は自分の能力をよーく知ってる。スタンドのパワーもスピードも。一秒間にどれだけラッシュが叩き込
めるのかもな。
そんでもってオメーの能力も観察した。読み上げた文章の『比喩表現を実際に引き起こす』ってところだろ?能力の及ぶ範囲も思ったより広くないはずだ」
悟「……それが勝利の算段ってやつか?」
六郎「いいや、ただの ”時間稼ぎ” だぜ」
悟「ッ!!」
悟は後ろへと振り返る。そこには、先ほど避けたはずの大型のロケットが目前まで迫って来ていた。
悟「『潰れたリンゴのように爆発しろォォォォッ!』」
ロケットは悟の目と鼻の先で爆散して弾けた。爆風が悟を襲い煙が辺りに立ち込める。
悟「ハァ……ハァ……時間稼ぎが、ちょっぴり足りなかったんじゃないか?もう少し引き伸ばしていたら当たっていたかもしれないのにな」
六郎「そんなデケーの喰らったらオメー、木っ端微塵だぜ?最初っから当てるつもりだったのはソイツじゃねーよ」
瞬間、視界を覆う爆煙が裂かれた。身を翻して避けることも、ましてや本読み上げて回避する時間すらもないほどの距離に、数十発のロケット弾が悟の目の前に
現れる。
悟「まさか、コイツ、初めから……ぐぅッ!」
ロケット弾の一つが、悟の体へ着弾し、弾けた。残りの数十発もその後に続く。
連なる炸裂音がオフィス内を支配し、悟の体は吹き飛ばされた。
悟「ぐ……クソッ……何故……」
吹き飛ばされた先は六郎の足元だった。
六郎は悟の手元から離れた本を拾い上げると、それを悟へと返す。
六郎「オメー、俺がロケットの軌道操作できるってのに気付いてたか?天井ぶっ壊した時に軌道変えたんだけどよ」
悟「軌道操作か……なるほど……。だが、まだ終わっちゃいない……御丁寧に本まで返してくれて悪いが、オレの火はまだ消えちゃいないからなッ!」
六郎「いいぜ、来いよ。その ”覚悟の火” を消してやるッ!」
悟はゆっくりと立ち上がった。
『藤島 六郎』、『天地 悟』。互いの瞳に灯った ”覚悟の火” は消えぬまま。
高層ビルのとあるオフィス。机一つを挟む隙間もない距離で、両者は対峙する。
悟「『吹きと────』」
六郎「オラァ!!」
ドゴォッ!!!!
悟「ごフッ!」
悟が本を読み上げるよりも先に、クレセント・ロックの拳が悟の顔面を殴り抜ける。
六郎「まだまだァァァ!」
ドゴッ!ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!!
クレセント・ロックの拳が束なり連なり、まるで嵐のように悟へ襲いかかった。
CR「ウォォォオオオオーーーーーッ!!」
六郎「オラァーーーーーッ!!!」
バァァーーーンッ!
最後の一撃は悟の体を壁まで殴り飛ばした。
コンクリートの壁に叩きつけられた悟は気を失い、崩れ落ちるようにして倒れ込む。
六郎「俺の拳と比べて読み上げんのが遅すぎるぜ。まァ、オメーに敗因があるとするなら、 ”敵も己も知らなかった” って事だな」
★★★ 勝者 ★★★
No.4082
【スタンド名】
クレセント・ロック
【本体】
藤島 六郎(フジシマ ロクロウ)
【能力】
殴った場所からロケットを生やす
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最終更新:2022年04月19日 00:12