第16回トーナメント:予選①
No.6297
【スタンド名】
ネクスト・アルカディア
【本体】
ネプティス・アヌヴィッシュ
【能力】
対峙したものの能力に合わせて「定向進化」する
No.430
【スタンド名】
M・E
【本体】
メルビス・リート
【能力】
対象の排除or状況の打破に必要なモノを本体に与える
ネクスト・アルカディア vs M・E
【STAGE:コンサートホール】◆gQH3H.T5K2
‥‥‥私は負け続けた女―
彼女の名は「ネプティス・アヌヴィッシュ」。
「ネクスト・アルカディア」という名のスタンドを持つ、スタンド使いである。
‥‥‥どうして俺、こんな目に遭わなきゃいけないんだ―
男の名は「メルビス・リート」。
彼もスタンド使いである。その名は「M・E」。
**
「ここ‥どこだ‥?」
夕方。メルビスは家に帰るところであるが、途中で道に迷ってしまった。
あまり行かない場所へ行くことになった為、地図を使って目的地まで行くことは出来ても、
帰りの途中でそれを無くしてしまい、帰り道が分からなくなってしまった。
「えーと、俺の家は‥。」
やはり何処へ行けばいいのかわからない‥。
「‥こんなときは」
メルビスは『M・E』に頼むと、『M・E』は地図を出した。
『M・E』。メルビスのスタンドである。
‥なのだが、メルビスは自分がスタンド使いであることを知らない。
その為、スタンドが見えるにも関わらずスタンドのことも知らず、『M・E』は人だと思っている。
「あなた、スタンド使いですね?」
「‥‥‥へ?」
メルビスは振り向くと、一人の男がいた。
「え、えっと‥‥どちら様でしょ?」
「私は『オリスタトーナメント』の者です。」
「オ、オリスタ‥トーナメント?は、はぁ‥」
その男は改まって言った。
「貴方はそのトーナメントに参加する資格があります。」
「さ、参加する‥資格?」
メルビスは急に『参加』の勧誘をされてあたふたしてしまう。
「そうです。」
「急にそんな事いわれても‥‥そもそも――」
「ルールは簡単。『スタンド使い同士を戦わせて、倒したほうが勝ち』という単純なものです。」
「ス、スタンドって何だよ。」
「貴方はスタンド使いではないのですか?」
「ち、違う‥。」
メルビスは『スタンド』というモノを知らない。
「あるじゃないですか、さっき出してたでしょう?」
「え‥‥‥。」
「さっきの『人間ではない、人型の何か』を。」
それが『スタンド』である。
「えっとその‥‥『M・E』のことを言ってるの?」
「『M・E』‥それが貴方のスタンドの名前ですね。」
「スタンド‥てか、『個性的な姿の人』‥です‥。」
「ほう‥個性的な‥。」
男は言う。
「この、貴方が言う『個性的な姿の人』があれば、参加が出来ます。」
「いや参加しないって!」
メルビスは逃げようとする。何をされるか分からない予感がした。
「ふむ‥ここにいるスタンド使いはあなたと『もう一人』しかいませんがね。」
「じゃあそいつにやれよ!」
「ふっ‥もうその人は決定しています。」
「‥‥‥。」
「あなたはそのスタンド使いと戦わせていただきます。」
「い、嫌だ!」
「なら仕方がありませんね。」
ドスッ!
「ウッ‥‥‥!」
メルビスは腹を殴られて気絶してしまう。
「負けてもいいですよ、貴方が真面目に戦えば。戦いに勝者がいれば敗者もいる。
敗者は勝者の糧となり、勝者は次の戦いへ挑みます。
‥平たく言えば、貴方も、貴方の相手も、言わば物語の登場人物に過ぎないでしょう。」
**
ここは喫茶店。ネプティスの常連の店である。
彼女はいつものコーヒーを飲んでいる。
「‥ところで、ネプさん」
喫茶店の店長から声をかけられ、ネプティスは店長の方に顔を向ける。
「あんた、確かスタンド使いって奴だよね?」
「‥そうだけど?」
店長はズボンのポケットから一枚の紙を出し、それをネプティスに差し出した。
「今朝さ、何か変なお客さんが来て、これをネプさんに渡せって頼まれたんだ。」
紙に書いてあるのは、「オリスタトーナメント」という名の大会についての事だ。
「‥オリスタトーナメント?」
「そのお客さん曰く、スタンド使いの大会だそうな。優勝すれば何が貰えるかは分からないけど。」
「‥‥‥‥‥。」
ネプティスは言う。
「このトーナメントは、何処でやるの?」
「え、書いてないの?」
「書いてない。」
ネプティスはその紙を店長に見せる。開始時間と開催場所は書かれていなかった。
「‥‥そうか‥‥‥。」
急にトーナメントの紙を渡されても、開催場所などの基本的なことが書かれてなかったら意味が無い。
「貴女が、オリスタトーナメントの参加者ですか?」
ネプティスが振り向くと、一人の男がいた。
「‥何?」
「申し遅れました。私はオリスタトーナメントの運営の一人です。
貴女が持ってるのは、トーナメントの参加の招待状ですね?」
「コレの事?」
ネプティスはその男に、持っている紙を向けた。
「そうですそうです。コレが招待状となっています。
‥で、貴女は参加しますか?」
「‥‥‥。」
「あのー、お客さん。」
店長が言う。
「参加といっても、場所が‥あと、時間も書いてないんですけど。」
「開始時間は今夜。場所は‥‥そうですね。」
男は一瞬考えた後に言った。
「場所はコンサートホールです。」
「コンサートホール?」
「そこって確か、店の近くの‥。」
「そうです。そこが開催場所であると同時に、貴女の対戦場所となります。」
「対戦‥場所‥?」
男は店長に向かい、お金を出した。
「ごちそうさまでした。」
「ん、あ、ああ。」
男は金を支払い、店を出ようとした。
「待って。」
ネプティスは男を呼び止めた。
「貴方、一体何者なの?」
「いずれ分かりますよ。優勝すれば‥ね。」
男は店を後にした。
「‥ネプさん、どう思います?」
「どうって‥。」
「僕はスタンド使いじゃないから何も言えないけど、何かありそうな気がするんだよね‥。」
「‥‥‥‥‥。」
ネプティスはもう一度、その紙を見る。
「オリスタ‥トーナメント‥。」
ネプティスはグラスに残ったコーヒーを飲み干した。
「ごちそうさま。」
ネプティスは金を支払った。
「ああ。えーと、お釣りお釣り‥‥‥‥‥‥‥‥ネプさん。」
店長が言う。
「ホントに行くの?」
「‥‥‥。」
「まあ、無理に行かなくてもいいんじゃないかな。何か意味深的なこと言ってたけど、
どうせ別に大したモノじゃないし。」
ネプティスは店長からお釣りを貰った後、店を出た。
「‥オリスタトーナメント‥‥‥。」
ネプティスはオリスタトーナメントの紙を見ながら歩き、帰る‥のではなく、何気なくその場所へ向かう。
あの運営が言う場所、近くの「コンサートホール」。
「ここか‥。」
しかし、正面の自動ドアは開かない。他の所から入るのだろうか。
ネプティスはホールの裏側へ向かう。
「まさか、対戦相手が先に‥って感じかしら。」
ドアが開いていた。
**
(ここに、いるのね‥‥‥。)
ネプティスがいるのは無人のコンサートホール。何故ここにいるのかは訳がある。
彼女は、自分のズボンのポケットから小さく折りたたんだ紙を広げる。「オリスタトーナメント」の紙だ。
その内容を要約すると、『トーナメントに優勝して一番のスタンド使いになろう!』というものであり、彼女はそれに参加するためにここへ来ている。
カフェで会った、トーナメントの関係者らしき人物から聞いた話によると、対戦場所はこのホールらしい。
「‥‥‥‥‥。」
彼女が聞こえるのは、「自分の呼吸」と「自分の足音」だけ。
(‥‥‥お前‥‥‥‥弱いな)
「!」
ネプティスは不意に目を瞑る。
「‥‥‥。」
急に聞こえた、自分の心に突き刺さる言葉。
スタンドを得た今は、「その事」は無いと思っている。
「私は‥弱くなんかない。」
**
「‥ん‥‥。」
メルビスは目を覚ます。
気が付くと、何処かで見慣れたような場所にいた。
あるのはいくつかの椅子に観葉植物。男はその椅子の上で寝ていた。
「俺‥何でこんな所にいるんだ?」
思い出してみる。ここに来た経路を。
「確か俺、誰かさんに話しかけられて‥それで、なんとかに誘われて‥それから‥‥。」
記憶があやふやで思い出せない。
「‥‥‥ダメだ、何も思い出せない。」
メルビスは頭を抱える。
「不幸だ‥。」
メルビスは不幸な人間だ。
買って食べようとした豆腐で大怪我、シャーペンの芯が手のひらを貫通、
角を曲がろうとして人にぶつかり頭を打つ‥‥‥。
「あ、『M・E』‥。」
『M・E』。彼を支えてくれる、「個性的な姿の人」である。
困った時はいつも助けてくれた。
『M・E』はメルビスのズボンのポケットに手を入れる。
「‥?」
ポケットに何か入っていて、それを取り出して男に渡した。
一枚の紙である。その紙に書いてあるのは‥‥‥
「オリスタ‥トーナメント‥‥‥はっ」
メルビスは思い出した。
「そうか‥確か俺、そのオリスタトーナメントっていうやつに誘われて‥
んで断ったんだが、いきなり、えーと‥‥‥いてて。」
何で眠らされたかはわからない。しかし、腹に少し痛みがある。殴られたように。
「そんなことはどうでもいい。とにかくここを出ないと‥‥。」
メルビスは扉を開けた。
**
ネプティスは振り返る。
一人の男が立っていた。
「‥あんたは‥?」
「対戦相手でしょ?貴方。」
「な‥。」
メルビスは驚く。
「何を‥‥‥。」
「貴方、名前は?」
「‥‥‥。」
「私はネプティス。」
「‥メルビス・リート。」
ネプティスが言う。
「貴方が私の対戦相手のスタンド使いね。」
「ス、スタンド?え‥」
「あんたが私の対戦相手じゃないの?」
メルビスがスタンドのヴィジョンを出す。
「あるじゃない。」
「‥個性的な姿の人だ。」
「個性的な?‥ふーん。」
ネプティスも、自分のスタンドを出した。
「ひっ!あ、あんた‥‥!」
「これが私のスタンド『ネクスト・アルカディア』よ。」
メルビスは状況をある程度把握した。
彼女にも「個性的な姿の人」と同じものを持っていることを。
「‥‥‥‥‥。」
メルビスは構える。
「戦闘開始よ!」
ネプティスの一言と同時に走り出し、『ネクスト・アルカディア』がメルビスを襲う。
「うわっ!!」
メルビスは間一髪でスタンドのパンチをかわした。
「た、助けて!M・E!!」
『M・E』の手から工具が出現する。
「な、何?スパナ‥?」
「これで戦えと‥?」
メルビスは『M・E』が持つ工具を自分で持ち、ネプティスに向ける。
「卑怯よ!スタンドで戦わずそれで!」
「これがM・Eなんだよ!」
ネプティスが舌打ちする。
(相手は工具を‥‥でも‥‥‥!)
ネプティスはメルビスに向かって歩き、『ネクスト・アルカディア』で攻撃する。
『M・E』が『ネクスト・アルカディア』の拳を受け止め、メルビスがネプティスにそれで殴りつける。
「‥!」
工具がネプティスの腕を掠る。彼女の腕に擦り傷を負う。
「‥やってくれるわね。」
「‥‥‥‥‥。」
「ここからが本番よ!」
『ネクスト・アルカディア』の手からカッターナイフを3本出す。
「な、何だって‥!?」
「これが私の能力。あなたのを使わせてもらうわ。」
『ネクスト・アルカディア』が、持っているカッターナイフをメルビスに投げる。
「!!!」
メルビスの腕が切れて出血し、くすんでしまう。
「覚悟しなさい!!」
ネプティスの『ネクスト・アルカディア』がメルビスを襲う。
が、『M・E』が『ネクスト・アルカディア』を殴り、彼女を観客席へふっ飛ばした。
「あああっ!!」
「あ、『M・E』!よかった‥。」
『M・E』が持ってるのは包帯。
メルビスはすぐにそれを取り、腕に巻く。
「くっ‥!」
ネプティスが『ネクスト・アルカディア』で自身を受け止め、下ろした。
「こんな所で‥‥‥‥!!」
(‥‥‥‥‥‥無様だなあ、お前)
「!!」
ネプティスは急に何かを思い出す。嫌な思い出を。
自分の頭を何回か叩く。
(わ、私は負けない‥っ!!)
ネプティスは呼吸を整える。
突然聞こえた声を聞かなかった事にしたい。そう思った。
ネプティスはメルビスを睨み付けた。
奴さえ倒せばいい。それ以外のことは考えてはならない。
何かを考えてしまうと絶対に負ける。
(ここは逃げるか‥。)
メルビスは上手のほうへ逃げ、さっきここに入った扉を空けようとした。
「‥!?」
扉が開かない。さっきまで開いてたのに。
「な、待ちなさい!」
ネプティスはメルビスを追う。
「く、くそ‥!」
メルビスは上手へ逃げる。そこへの扉は開いていた。
**
舞台裏の上手。かなり暗いが、なんらかの標識やら椅子やらがある。
「くっ‥ここで死ねるか‥!」
メルビスのスタンド『M・E』は「消火器」を持っている。メルビス自身はまだ包帯を巻いていた。
「そんなもの持ってどうする気?私に吹きかけるか殴るの?」
『M・E』は、その消火器をネプティスに放り投げ、それを殴った。
プシャアアアァァァァ!!
衝撃で消火器が割れ、煙が勢いよく出る。
「うっ!」
煙を撒き散らされ、視界が真っ白になる。
(今だ‥!)
辺りの視界が余計に悪くなり、その隙にメルビスがネプティスの後ろを取ろうとする。
「あっ!‥」
ドサッ
メルビスが躓いて転倒してしまう。
「!そこね!ネクスト・アルカディアッ!!」
『ネクスト・アルカディア』のパンチがメルビスを襲う。
「‥‥‥!!」
メルビスは攻撃を転がって間一髪でかわし、自分も『M・E』で応戦する。
『M・E』はネプティスを殴ろうとするが、それを『ネクスト・アルカディア』で防がれる。
「くっ‥!」
『M・E』の方がパワーを上回っており、スタンド受け止めても仰け反る。
「まだよ‥ッ!」
ネプティスは、一旦スタンドを引っ込める。
「なっ‥!?」
そして、『M・E』のパンチをギリギリでかわし、勢いあまってよろけたメルビスを頭突きで顔を殴った。
「っうふぐえへあぁ!」
メルビスは後ろへ倒れる。
「ぐっ‥‥。」
ぎりぎり頭を打たなかったが、背中をぶつけた衝撃で頭に振動がくる。
「くそっ‥‥‥。」
メルビスは、そのまま煙の中へ逃げた。
「また逃げた‥!」
ネプティスは目を擦る。しかし、メルビスの姿が見えない。
「‥何処へ隠れたの!?」
**
(こ、殺される‥!)
メルビスは頭を抱え姿勢を低くして、束ねた椅子の影に隠れている。
恐怖している。戦わなければ、殺されるだけだと。
(どうすれば‥。)
メルビスは『M・E』を見た。
持ってるのは消火器。
(‥‥‥やってみるか‥。)
メルビスは『M・E』からそれを手に取る。
目に映るのは、煙の中にいる人影。煙は段々薄くなってきている。
(何とかして、ここを出ないと‥でも、まずは‥。)
メルビスはその人影を見て、近づくチャンスを窺う。
(今だ!)
メルビスは消火器を手に、ネプティスに向かって走る。
「!!」
ネプティスはこちらへ向かっていくメルビスの方を向いた。
「なっ‥っ!」
「いけ!くらえっ!」
ネプティスは『ネクスト・アルカディア』を出して迎撃しようとする。
ブシャアアァァァ!!
メルビスは消火器のホースをネプティスに向け、煙を噴射した。
「う‥‥‥っ!!」
ネプティスは顔に煙がモロに受けて怯む。
メルビスは『M・E』で、ネプティスを殴った。
ドカッ!!!
「うぐっ!!‥‥‥」
ネプティスはパンチを自分の腕で防ぐが、スタンドのパワーによるパンチに耐えれるはずが無く、
片方の腕を骨折してしまう。
「ぐうぅっ!!!く、くそ‥‥‥っ!」
ネプティスは殴り飛ばされ、舞台上に出た。
「まだ‥‥戦える‥‥‥ッ!!」
ネプティスは起き上がり、『ネクスト・アルカディア』を出す。
自分の片腕が怪我している為、同時にスタンドも片手しか使えない。
メルビスも、上手から舞台上へ出た。
「いい気にならないで!私は負けないから!!」
『ネクスト・アルカディア』は手からレンチとギプスを出し、ギプスをネプティスに渡した。
(まさかあいつ‥『M・E』の「能力」をコピーしてるんじゃ‥‥‥。)
メルビスはそう思ったが、それは間違いである。
『ネクスト・アルカディア』の能力は、「対峙したものの能力に合わせて「定向進化」する能力」。
『M・E』の能力「本体を困らせた対象の排除と状況の打破に必要なモノを本体に与える能力」を、そのスタンドによって
「本体を困らせ本体が敵対している対象の排除に必要なモノを出現させる能力」となっていた。
「これで終わらせるッ!いけーっ!!」
『ネクスト・アルカディア』はレンチをメルビスに思いっきり投げつけた。
「!!!!!」
ガキイィンッ!!!
メルビスには間一髪ギリギリ当たらなかったものの、当たりかけたショックで倒れて戦意喪失してしまい、ダウンする。
「い、嫌だ‥死にたくない‥だ、誰か‥助けて‥‥‥。」
その後、メルビスは気を失い、『M・E』も消えた。
「‥‥‥勝ったの‥?」
ネプティスは倒れているメルビスを見る。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
これで良かったのだろうか?
相手は確かに対戦相手。しかし、相手は本気で自分と戦おうとはしていない。
というより、相手は自分を対戦相手とは見てなかった。が、自分は一方的に攻めて‥‥‥。
まるで、自分が「悪」、「悪い奴」であるように思えた。
「わ、私は‥‥‥。」
もう一度、メルビスを見る。
彼は、何処かで見たような人物に似ていた。
**
カタッ
パンパンパン‥‥‥
扉が開き、拍手の音が聞こえる。
「お見事お見事。ネプさん‥じゃなくて、ネプティスさん。」
その男は、カフェで会った運営の男だ。
「‥‥‥‥。」
ネプティスは無言で男を見る。
「貴女はオリスタトーナメント予選を勝ち抜きました。」
男は倒れているメルビスに近づく。
「‥‥何する気?」
ネプティスは言う。
「おっと失礼しました。まだバトルの途中でした。」
「途中?」
ネプティスはメルビスを見る。
「メルビス・リート、まだ生きてますが?」
「それがどうしたの?」
「トドメを刺さないんですか?」
「トドメですって?」
メルビスは気絶しているだけでまだ息はある。
「‥‥‥。」
「そうですか。でしたら。」
男はメルビスを抱える。
「な、何するの‥‥!?」
ネプティスは彼を止めようとする。
が、男は入ってきた扉へいく。
「彼の事は、私が『処理』しましょう。」
「なっ‥‥‥!!?」
『処理』。恐らく、メルビスは『殺される』のであると思った。
「しょ、処理って、あんた‥‥‥‥‥!?」
ネプティスは戸惑いを隠せなかった。
「ネプティスさん。あなたの勝ちです。」
「か、勝ちって‥。」
男は服のポケットから紙を出し、それを地面に放り投げた。
「次の対戦場所と予定時間。この紙に書いてますので。それでは、これで失礼します。」
「ま、待ちなさい!!」
男は出て行き、扉を閉めた。
「ちょっと!ねえ!!」
ネプティスは扉を叩く。ノブを回しても、鍵を掛けられて開かなくなっている。
「くっ‥‥‥!」
ネプティスは項垂れる。
**
この女うぜぇ‥弱っちぃ癖に生意気言いやがって
ビッチすぎだなおい、レイプしても価値ないぜ
ネプティスちゃんよぉ‥‥あんま調子に乗るなよ
「う‥‥‥うう‥‥‥‥‥」
泣いている。
「私が‥あの人を‥‥。」
メルビスが誰かに似ていること。
過去の自分だった。
「私が‥あの人を‥助けてあげられなかった‥‥‥。」
ネプティスは、悲惨な過去を歩み続けた自分と同一のようなメルビスを、助けることが出来なかった。
助ければ、彼を仲間として受け入れたのに。
その罪悪感から、泣き崩れてしまった。
「う‥うう‥‥‥‥‥‥‥‥うわあああああぁぁぁ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
ネプティスは目を擦って涙を拭き、男が落とした紙を見る。
今度は対戦場所と時間が書いてあった。
が、ネプティスは疑問に思う。
何故、自分が、いや、自分とメルビスは、こんな目に遭わなければならないのか。
ただスタンド同士と戦い、殺し合い、次へ進む。
それでいいのだろうか?その果てに何があるのだろうか?
★★★ 勝者 ★★★
No.6297
【スタンド名】
ネクスト・アルカディア
【本体】
ネプティス・アヌヴィッシュ
【能力】
対峙したものの能力に合わせて「定向進化」する
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最終更新:2022年04月17日 15:49