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第02回トーナメント:準決勝①




No.4343
【スタンド名】
バッド・バード・ラグ
【本体】
煤架 耶樹(ススカ ヤギ)

【能力】
楔を打ち込んだモノを真っ二つに割る


No.3409
【スタンド名】
ゴースト&ダークネス
【本体】
グリシア・ハーミット

【能力】
食欲も増幅させる二丁拳銃




バッド・バード・ラグ vs ゴースト&ダークネス

【STAGE:大聖堂】◆aqlrDxpX0s




真夜中の大聖堂の中は柱の燭台に灯りがともされ、月明かりを受けた大きなステンドグラスが色鮮やかに照らされている。

大聖堂の中で『グリシア・ハーミット』は立ち止まったまま、ステンドグラスの上に飾られた十字の紋章を見上げていた。
グリシア(……"因果"なものだ。)


――――15世紀 イギリス。

小さな島国のはずれの小さな村に、魔法のような不思議な力で洪水から村を守ったという女性がいた。
彼女はその不思議な力を持っていることに驕らず、人柄も良かったため村人からの信頼と尊敬を集めていた。

平和な毎日が続いていた彼女のもとにある日、教会からの手紙が届いた。
内容を見て彼女は驚いた。彼女が民衆を邪悪な力で惑わし、教会に仇なす魔女だとみなされて裁判を受ける事になってしまったのだ。

当時、欧州では「魔女狩り」が流行っており、裁判をするといってもほぼ確実に有罪とされ即日に処刑されてしまう。

もちろん彼女には悪意などない。しかしこれは彼女の人望が教会への信仰を上回り、力を失う事を恐れた教会による策略だった。
彼女は当然、この裁判を拒むつもりだった。しかしもし拒否したらどうなるか。この報せは村人達にもじきに届くだろう。
彼らはおそらく教会よりも私のことを信じてくれるのだろう。だとしたら、彼らは私を守ろうと教会に抵抗しようとするかもしれない。
そしてそうなったら………魔女に加担した者達だとして、村ごと教会につぶされてしまう……。


彼女は村人に黙ったまま、教会で裁判を受ける事を決意した。

村から遠く離れた、ただっ広い荒地に建つ小屋に、まだ幼い我が子を置いて彼女は教会へ向かった……。


この日、小さな農村に住んでいた女性が教会の司祭により魔女と認定され、処刑された。
罪人の名は『グレイシア・ハミルトン』。
この女性こそが、社会から関わりを断った『ハーミット(隠者)』と呼ばれる魔女の一族のはじまりだった……。


大聖堂の十字架を睨みグリシアは思った。

――――まさか、ここに来る事になるとは。

教会に虐げられたの者の末裔が、教会を訪れる。
……それも、"命を賭けた戦いのために"。

これは偶然なのか。それは彼女自身にも、誰にもわからない。


その男は自分のことをよく知らなかった。
記憶喪失なのか何なのかはわからないが、一番古い記憶でさえ自分が16の時に今の仕事に就いたときのことであるという始末だ。

彼は木を伐採する仕事をしているが、それは自分のスタンド能力にもっとも適しているからであって、
伐採の仕事をしているからこの能力が身についたわけではなかった。

自分がなぜこんなスタンド能力を持つようになったのか。
しかし彼にはそんなことはどうでもよかった。
彼にとって大事な事は未来の事で、過去に執着する気はなかった。

このトーナメントに参加したのも、単なる好奇心と力試しのためである……。


夜露で濡れた草を踏みしめて煤架耶樹(ススカ ヤギ)は戦いの舞台へ向けてまっすぐ歩いていた。

草原のど真ん中にそびえ立つ大聖堂は満月の光を受けて淡く光っているようだった。
その神秘的な様子が耶樹にはかえって不気味に思えた。
しかし、ここで引き返すわけにはいかない。過去を振り返らないのと同じく、尻尾を巻いて逃げる事も彼はしたくなかった。



耶樹が大聖堂に入ったとき、中にはだれもいなかった。

祭壇の前にいたはずのグリシアも、すでに身をどこかに隠していた。

耶樹「ほぉー……」
耶樹は広い大聖堂を見渡して感嘆の声を上げた。

体育館ほどの広さの大聖堂には、祭壇に向けて二列に並べられた多くのベンチのほかにも、
コンサートホールのように2階部分にも祭壇にむけて多くの席があった。
何か教会の特別な儀式があるときには、この2階まで参拝者でいっぱいになるのだろう。

一階のベンチの間に敷かれた赤いカーペットの真ん中で耶樹は周囲を見渡していた。
美しい大聖堂の中をもっとよく眺めようと思ったわけではない。耶樹はすでに臨戦態勢に入っていた。
まだ大聖堂の中で敵の姿を見たわけではなかったが、もしかしたらすでに中に入っていて、自分の隙をつこうとどこかに潜んでいるかもしれない……。
自分の勘がそう言っていた。

そして……


パァン!

静かな大聖堂の中に乾いた銃声が響いた。

耶樹「こっちかッ!」
耶樹は銃声に即座に反応し、音のした方向を向く。
放たれた銃弾は……『バッド・バード・ラグ』が指で挟んで持っていた『くさび』によって二つに『割れて』、耶樹の体には当たらなかった。

耶樹が銃弾の放たれた二階の座席の方を見たときには、かすかにグリシアの姿は見えたものの、グリシアはすぐに身を隠してしまった。


グリシア(即座に銃弾に対応するスピードと精密性……不意をつかなければ攻撃は不可能……)


グリシアは身を屈めたまま足音をたてずに移動する。
闇に生きる彼女にとって、気配を消して歩く事など造作もないことだった。

一階にいた耶樹からは二階は見上げる形になり、グリシアが身を屈めただけで姿を見失ってしまった。

耶樹「ッチ、どこいったんや……。」
耶樹はそばに立っていた大理石の石像のカゲに身を隠し、二階を見上げた。

耶樹から見える範囲にはグリシアの姿は見られなかったが……

パァン!

耶樹「!?」

パラパラ……

銃声の響いたあと、耶樹の目の前で白い粉が降り落ちるのが見えた。
耶樹「あ、あかん!!」バッ

ドドォン!!
耶樹が即座に石像のそばから離れると、銃弾に打ち抜かれた石像が自分の背後に倒れた。


耶樹「あぶなぁ……」
耶樹はすぐに別の石像のカゲに隠れた。しかし……

パァン!

耶樹「またかッ!!」


ズズゥン……

またも耶樹のそばの石像が壊されてしまう。


耶樹(これはやばい……やばいな。俺がヤツを見つける前にヤツは俺をおびきだそうとしよる。
   ヤツはおそらく銃がスタンド能力。遠距離では勝ち目はない!)

耶樹は再び隣に立つ石像のカゲに隠れる。


パァン!

ガラガラ……

耶樹「くそッ!」

耶樹はまた石像を壊され、隣の石像のカゲに身を移す。
耶樹はもはやグリシアの姿を探す事さえままならなかった。

耶樹(しかも身を隠す場所にも限りがある。このままじゃやられてまう……!)


パァン!

ドドォン……

耶樹「クッ……!」バッ


耶樹は祭壇横にある教壇に身を隠した。
耶樹(そろそろ……覚悟決めなあかんな……。)


二階でグリシアは姿をゆっくりと現し、銃口を教壇に向けた。
グリシアから耶樹の姿は見えなかったが、教壇に隠れているのはわかっていた。そこへいくように石像を壊し、誘導したからだ。
そこへ耶樹を誘導したのは大聖堂の入り口から耶樹を遠ざけて、耶樹が逃げるのを防ぐため。
そして、『教壇へ隠れさせ、攻撃を確実に当てるため』だった。


勝ちを確信しても、グリシアの表情は一切変わらなかった。
彼女にとって、勝利は何の意味も持たないからだ。
たったひとりで生きる魔女にとって、勝利の喜びなどというものは必要のないものだ。


  パ ァ ン !

彼女の銃から銃弾が放たれる。
弾道は教壇に向けてまっすぐのびていき、『木製の教壇』を突き破った。



耶樹「ぐああああーーーーーーーッッ!!!!!!」



大聖堂の中に耶樹の断末魔が響き渡る。


教壇のカゲから耶樹の腕がハタリと倒れるのが見えた。
グリシアは二階からそれをじっと見つめた。

耶樹の手はピクピクと少し動いた後、ピタリと動かなくなった。
……銃弾が確実に当たったことをグリシアは確信した。


グリシア「…………」

グリシアは銃を下ろし、一度大聖堂を出て室外の階段から1階へ下りた。

再び大聖堂の中へ入り、教壇へ近づく。
中央のカーペットからも教壇のカゲから倒れて見えた耶樹の腕が動かずにいたままだった。

もしかしたら、まだ生きているかもしれない。そう思い、トドメを刺そうとグリシアは教壇のカゲへまわり、銃を構えた――――。



グリシア「………………!!」

グリシアが教壇のカゲを見たとき、そこに耶樹の姿はなかった。
耶樹は、『自らの腕をそこに残したまま姿を消した』。


耶樹「……やっと、つかまえたで。」

グリシア「…………!」

背後から耶樹の声が聞こえ、グリシアは振り返った。
するとそこには、外から壁をくさびで裂いて中へ入ってきた耶樹の姿があった。右腕は刃物で切られたかのようにスッパリ落とされている。


耶樹「よう見てみィ……教壇の中を。」

グリシアが教壇の中を見ると、床部分に大きな『裂け目』ができていた。薄暗い大聖堂の教壇の中はさらに暗く、グリシアは裂け目に気づけなかった。

耶樹「『バッド・バード・ラグ』……あんたが銃を撃つ前に俺は、床をくさびで割ってそこに身を隠した。
   銃を撃ったあと、俺は右腕を切り落とした。俺が叫んだのは銃弾をくらったからやない、自分で腕を切り落とした痛みからや。
   そいで俺はさも撃たれたかのように教壇のカゲから右腕を置き、くさびで地面を掘り進んで外へでた。
   あとは……あんたが近づいてくるのを待つだけや。」

グリシア「……………ッ!」
耶樹「さあ……『バッド・バード・ラグ』の射程距離内やで……!」

パァン! パァン! パァン!

グリシアは右手に持った銃を耶樹に向け連射した。


キィン!キィン!キィン!
耶樹「あかん、あかんで……至近距離でもあんたの銃は俺にはきかへん。」

耶樹は『バッド・バード・ラグ』に銃弾をくさびではじかせながらグリシアに近づき……

耶樹「オオラッ!!」


グリシアの腹を蹴り上げ、ふっ飛ばした。

グリシア「…………ゴフッ!」
歴戦の魔女とはいえ、体は華奢な女性である。耶樹のキックはグリシアに相当のダメージを与えた。

耶樹「……女をいじめるのはシュミやないが……だからといって殺されるわけにはいかん。
   さっきは左腕一本で銃弾を防ぎながらやったからな、追撃はできんかった。……だが!」

耶樹は教壇のそばに落ちていた自分の右腕を拾い上げた。
グリシアはうつぶせになって苦しみ、立ち上がれないでいた。

耶樹「これが……くさびのもうひとつの奥義や。『バッド・バード・ラグ』!」

耶樹は切られた右手を自らの右腕の断面に当てた。

B・B・R「オオオオオオオオオオッッ!!!」


『バッド・バード・ラグ』……耶樹は自らの右腕を『くさびで割って』千切れさせた。
そして、くさびで割ったものは、能力を解除すれば元通りにすることができる……。

そのつもりで耶樹が右腕をくっつけようとしたとき、耶樹はその右腕にある違和感を抱く。



耶樹「なんやコレ。腕に………『穴』?」

グリシア「……………」

ドドドドドドドドドドド……


グリシアは戦いにおいては常に冷静で、あらゆる事象に即座に対応できる思考力と判断力を持っていた。
耶樹が教壇のカゲでまさか床を掘って隠れるとは当然グリシアには予想できなかった。
グリシアは耶樹の右腕に釣られ、教壇に近づいてしまった。

敵のワナにかかったグリシアだったが、即座に頭を切り替えて瞬時に思考する。

敵は右腕を落として姿を隠した。だが、右腕を残す必要はあったのだろうか?
たしかに、自分を釣るには有効な手段だったが、攻撃を逃れるだけなら、姿を隠すだけなら右腕を切り落とす必要はないはずだ。
自分を釣るためとはいえ……『リスクが高すぎる』。

だがもし……そのリスクがなかったら?『腕をもとどおり治す』ことができる上での作戦だったら?

それを瞬時に思考し、耶樹が向かってくる前にグリシアが取った行動は……!



耶樹「この穴、まさか銃痕…………!!『バッド・バード・ラグ』、戻すのは待て!何かイヤな予感がする!!」


耶樹が不吉な予感を感じ取る前に、耶樹の右腕は『元通りにくっついた』。
そして……『ゴースト&ダークネス』の銃弾を受けた右腕が、耶樹と一体化した…………!!




耶樹「う……お、お、おおおおお!!何だッ……『食い』……てェ……ッ!!?」



耶樹は、カーペットの上に崩れた石像の破片が散らかっているところに飛びつき、両手に破片を持って口へ運び出した。

耶樹「おぐッ!オゴェッ!!がグッ!ぐえぇえっ!!」


『ゴースト&ダークネス』の能力により、耶樹は欲望に逆らえず石を食いはじめた。
耶樹は目に涙をうかべ、咳をしながら石像の破片を口に入れていく。口の中を切って血が出ても、食うのを止める事はできなかった。

耶樹「がうッ!ゴベッ!おグアッ!グッ……!」
耶樹(なにやってんだ……やめねえと……やめねえと……!!)


グリシアはゆっくりと立ち上がり、座り込んで石を食い続けている耶樹に近づいていく。今度こそ……トドメをさすために。

耶樹「おおっ、おおっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


そのとき、耶樹が握っていたのは石ではなく、『バッド・バード・ラグ』のくさび。

耶樹はくさびを自分のふとももに振り下ろし、突き刺した。


耶樹「ググ………グ…………」




耶樹の動きが止まった。今度は能力を発動せず、ただ、くさびを突き刺した。痛みで自分を律する為に。


耶樹「ハァーッ……ハァーッ……ハァーッ……ハァーッ……」

グリシア「……………………」


耶樹「耐え……たで。」

耶樹は近づいてきたグリシアを見上げ、その顔を見た。


耶樹「あんた………なんて………」

グリシア「ッ!」チャッ


グリシアは銃を耶樹に向けて、引き金を引いた。


耶樹「あかんて。」



ドズッ!!




耶樹は『バッド・バード・ラグ』の左手のくさびで銃弾をはじき、右手のくさびでグリシアの左胸を突いた。


グリシア「…………」

バタッ

グリシアは左胸をおさえてうつぶせに倒れた。


『ゴースト&ダークネス』の能力が解除された耶樹は立ち上がり、口の血をぬぐって倒れたグリシアを見下ろした。


耶樹「あんた………なんて悲しい目をしとるんや。……今すぐにでも死にたいと思ってる人間の目や。」

グリシア「…………!!」


そして耶樹は大聖堂の扉へと振り向き、ゆっくりと歩き始めた。


立ち上がることのできないグリシアは力を振り絞って身を起こし、耶樹の背中を見上げた。
銃を一発、撃つだけの力は残っていた。しかし、グリシアは耶樹を撃とうとはしなかった。できなかった。

これまでの戦いで……耶樹だけが『自分の気持ちに気づいてくれた』人間だった。
グリシアはこれまでの生涯でずっと……消えてなくなりたかったのだ。


薄れゆく意識のなか、グリシアは自分の出生を思いかえした。


『グリシア・ハーミット』はこの少女の名前ではない。一族の末裔が継ぐ名前が『グリシア・ハーミット』なのだ。
この名前は一族の始祖『グレイシア・ハミルトン』を変えたものだ。

何世紀にもわたって引き継がれてきた"魔女"『グリシア・ハーミット』は、ずっと石造りの地下室で暮らしてきた。
一生のほとんどを地下室の中ですごし、戦いのときだけ外へ出る。
誰とも……関わらずに。

少女が物心ついたとき、そばには母がいた。
『グリシア・ハーミット』は自分の娘がひとりで生きられるようになるまで育つと、娘に『グリシア・ハーミット』の名を継がせて姿を消す。
そして、その娘にまた娘が生まれると、一定の年齢まで育てて、『グリシア・ハーミット』の名を継がせる……。
『グリシア・ハーミット』はそうやって何世紀にも渡って生き継がれてきた。
少女の母も……すぐにどこかへ消えていった。

少女はずっと不思議に思っていた。何故だろう、母も私と同じ『グリシア・ハーミット』だったはずだ。
他の人間と関わりを断った人間なのに、どうして『私』を産むことができたのだろうか。

『グリシア・ハーミット』はだれとも関わらないはずだ。『戦いのとき以外は』………

グリシア(…………!)


そのとき、耶樹の背中を見つめるグリシアの冷たい目つきが少しだけゆるんだ。

グリシア(ああ……そうだ。そうだったのだな。)

少女は気づいた。『グリシア・ハーミット』は戦いの中で出会ったのだ。……『自分を理解してくれた男』に。
…………今の自分のように。


生涯の伴侶と出会った『グリシア・ハーミット』は、魔女の汚名を娘に着せ、孤独の地下室に残していったのだ。
これが……一族の伝統だったのだ。

忌まわしき魔女『グリシア・ハーミット』は、引き継がれし名前ではなく、後代に『押し付けられた』名前だったのだ。


しかし少女の胸中にはそんな先代への怒りよりも、大きな喜びを感じていた。




グリシア(ああ……『グリシア・ハーミット』には、幸せになる権利があったんだ……。)



このとき、少女には生涯背負っていたみじめな気持ちはなくなっていた。はなれゆく耶樹の背中を見つめる少女の表情にも冷たさは見られなかった。




    最期に私の心の内を見抜いたあなたに出会えてよかった。

    わたしはもう死ぬけれど、幸せだ。

    『グリシア・ハーミット』はわたしで終わりにしよう。

    もう、誰にも狭い部屋の中に閉じこもるような生活をしてもらいたくはない。

    そう……魔女なんてどこにもいないのだから。



グリシア「…………さようなら。」


耶樹が大聖堂の扉に手をかけたとき、そのか細い声は聞こえたのかどうかはわからない。
しかしその声はすでに死神のささやきなどではなくなっていた。


満月はすでに沈み、日の出が近いのか東の空がほんのり明るくなっていた。
大聖堂を離れた耶樹は、自分と似たような能力を持つ者のなかには色々なものを背負った人間がいるのだということを知った。
もしかしたら、自分にも知らないところで何か背負っていたのではないだろうか。
それは耶樹の思い過ごしなのかもしれないし、そうでないかもしれない。
しかし、それを確かめる術がない限り、耶樹は前へ進むしかなかった。


       残る戦いはあと一つだ。




大聖堂でひとりになったグリシアは、目を閉じて動かなくなっていた。
彼女の祖先『グレイシア・ハミルトン』は教会に虐げられた。
……しかし、神は彼女を見放したりはしない。
キリスト教の神は誰に対しても平等に祝福を捧げる。
神の前では『グレイシア・ハミルトン』も『グリシア・ハーミット』もたった一人の人間にすぎないのだ。



大聖堂には『ゴースト&ダークネス』の銃に壊されなかった、たったひとつの石像が残されていた。

魔女の末裔『グリシア・ハーミット』は聖母マリアの優しいまなざしに包まれて、静かに息をひきとった。

★★★ 勝者 ★★★

No.4343
【スタンド名】
バッド・バード・ラグ
【本体】
煤架 耶樹(ススカ ヤギ)

【能力】
楔を打ち込んだモノを真っ二つに割る








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最終更新:2022年04月13日 22:31