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第03回トーナメント:予選④




No.4720
【スタンド名】
コスモ・スピード
【本体】
桐生 麗(キリュウ レイ)

【能力】
5m内のものと同じ速度で動く事ができる


No.4680
【スタンド名】
ティー・ペイン
【本体】
ラルフ・ビンセント

【能力】
「見えない糸」のついたピアスをとりつける




コスモ・スピード vs ティー・ペイン

【STAGE:夜の遊園地】◆UmpQiG/LSs




━ズッ━━ダムッ━ズッズッ━━━━ダムッ━ダッダッ━ダムッ━━━━

薄暗い路地裏に空いた小さなスペースに重低音が響き渡る。

━ズッ━━ダムッ━ズッズッ━━━━ダムッ━ダッダッ━ダムッ━━━━

バッ! バッ!ダッ!ビシッ!
3人いる少年達が各々のポーズを決めると音楽が鳴り止んだ。

少年A:
「ヒャホーッッ!!もうバッチリじゃんっ!今度のダンスコンクールで優勝は間違いない!そして俺達は世界に羽ばたくんだぜっ」

少年Aは興奮しながら語る。

少年B
「おまえはいっつも気が早いよなー。優勝目指すのは間違いないけど世界とか話がトビ過ぎっしょ」

やれやれと言うオーバーリアクションをしながら少年BがAに笑いかけた。
その様子をニコニコとした笑顔で少年C━ラルフ・ビンセントが眺めていた。
黒曜石の様な鮮やかな黒い肌。その美しい肌に玉の汗が光っている。そしてその汗よりも遥かに輝くピアスが体中の至る所に装飾され少年の存在感を演出していた。

少年B:
「けどさぁ~…ラルフよぉ~本当に大丈夫なのか?10万円なんて大金……」

10万円。ダンスコンクールに出場する為の参加費+諸々の諸費用で少年達にとっては雲を掴むのと同じくらいに都合するには高過ぎる金額であった。

ラルフ:
「おうっ!任せとけって!ちょっとした考えがあるんだってばよ。このチャンスを逃したら俺達に未来なんてない。なんとしてもこのコンクールに合格しなきゃいけないからな!!」

ラルフは親指をビッと立て白い歯を輝かせニカッと笑う。
世界的なこのコンクールが少年達のギリギリ手の届く場所で行われる事はもう一生無い。
それは少年達自身が一番よくわかっていた。それ故に最初で最後のチャンスなのである。

ラルフ:
「(この“力”は神様がこの時の為にくれた最高のプレゼントなんだ━)」
そう心の中で呟き、ポケットに押し込んだ「招待状」を握りしめる。

ラルフ:
「(先ずは前哨戦だ。激しく“踊って”やるぞっ)」


ガブゥン!ガフガフブロロロロッッッ━。
けたたましい排気音が夜明け前の街に木霊する。
最近の車には無い荒く強いしかし壊れるのではないかと思われる音の主はクラッシックなスポーツカーであった。
無駄にデカイボンネットからは素人にはわからない装置が飛び出し、明らかに規制に引っ掛かる様な太いタイヤ。そのタイヤを包む様にカウルが張り出している。
シャイン・レッドの車体には見事なファイヤーパターンが刻まれマニアなら写真を撮らずには居られない見事な車であった。
そのマシンを煙草を吹かしながら操る主━桐生 麗。
その桐生とマシンの前に一人の男が立っている。

桐生:
「なんだい?あんたは…?」

ただならぬ雰囲気にハンドルに手を置きながらも“戦い”の心構えをする。

白いメッシュの入った頭髪を片手で後ろに流しながら男を睨んだ。

男:
「…………………シュ」

男の影が動いたかと思うとフロントガラスにひび割れが走り1枚の封筒が突き刺さっていた。

桐生:
「ふん…そう言う事か…。修理代はツケとくぜ」

マシンが再び唸りを上げ暴走を始める。

桐生:
「ついでにオーバー・ホール代も頂く事にするぜ?ふふ…」


ガブルルルルンッッ ガチャ━。
静寂に包まれた夜の遊園地に爆音が響き、そしてまたその静けさが闇毎支配する。
桐生:
「夜の遊園地たーちょっとオシャレじゃねーか?嫌いじゃないぜ?このセンス…」
レザーのグローブを着けた両手で髪を掻き上げながら一人呟く。

桐生:
「これで相手が美女ならサイコーのパーティーなんだがな」

静まり返った遊園地を踵を鳴らしながら歩を進める。
この遊園地の目玉になっている大観覧車の真下に来た辺りで異変に気付いた。

見られている。

どうやら対戦相手は先にステージに上がっていた様だ。

「こんばんは、おにーちゃん」

その声はまだ幼く間違い無く少年の声であった。

「はあ…」と1つ溜め息を吐き桐生が応える。

「ガキの遊びに付き合う気はねーんだ。とっととヤッちまおうぜ?その青いケツをペンペンしてやるよ」

そう言いながらも既に臨戦体勢を整える桐生。

桐生:
「(遠距離か…?だとしたらこの暗闇はヤバい…。俺のスタンド『コスモ・スピード』は相手の攻撃に反応出来てこそ真価を発揮するっ)」

視覚を頼りに辺りに注意を張り巡らせる桐生。
その反応を見て少年が再び声を掛けた。

「にーちゃん。大丈夫だよ。オイラは闇討ちなんて卑怯な真似はしない。スタンドも近距離タイプだよ。ただ1つ…オイラと“賭け”をしない?」

声の反響するこの場所では位置の特定が出来ない。近距離だと言うのも嘘かも知れない。
思考を巡らせての駆け引き。桐生はそんな状態を嫌いでは無かった。

桐生:
「内容次第だな。言ってみな小僧。場合によっちゃノってやる」


その言葉を聞いて少年━ラルフは敵の前に姿を現した。
ラルフ:
「にーちゃん話わかるじゃん!」

自分はスタンド使い…いや人間として真っ直ぐな誇りを持っている。闇討ちだとか嘘だとかそんなのはチキン野郎のする事だ。ラルフはそう考えるからこそ姿を現した。そしてそれは自分の能力に自信があるからこそとも言える。
ラルフは真っ直ぐな眼差しで相手を見据えゆっくりと話し出す。

ラルフ:
「“賭け”って言うのは簡単な事。見た所おにーちゃんはお金持ちだよね?もしオイラが勝ったら10万円くれない?」

そう言うとニカッと笑う。
ラルフは相手にも敬意を払い無防備で近付いた。

桐生:
「ほう?金が目的とは案外安い勝負だな?いいだろ。ガキとは言えその正面切って来る姿は嫌いじゃないぜ…。じゃあ俺が勝ったらその黒いケツをペンペンしてやるよ」

ラルフは相手が良い人であって良かったと心底思った。こんな人だからこそ真剣に戦える。

ラルフ:
「じゃあコウショウセイリツだね?行くよ?にーちゃんっっ!!」
桐生:
「C'mon!Baby…」


ラルフ:
「Let's danceing!!ティー・ペインッッッ!!」

TP:
「イヤーッハーッーーーッッッ!!」

少年の背後から踊り出した黒い人型スタンド『ティー・ペイン』が甲高い声で叫ぶ。無数のピアスが僅かな光りを乱反射しキラキラと眩く光っていた。

ラルフ:
「dance No.004!! music 【blue moon】!!」

少年はその叫びと同時にスタンドと共に相手に向かう。打点の高いスタンドの拳や蹴りと本体であるラルフの低い乱舞が桐生に降り注ぐ。その乱舞は文字通り乱れ舞い、正に嵐の様であった。
タンデム・アタックと言われるこの近距離攻撃法は本体・スタンド共に格闘に長けたスタンド使いが好む戦法であり、ラルフの場合それにダンスと言うスタイルを組み込んだまさに真骨頂の攻撃である。

ラルフ:
「沈んでっっ!!」

そう叫ぶラルフであったが目にしたモノは自分の愚かさを知る光景だった。

いつの間にか出現した相手のスタンド『コスモ・スピード』がラルフとTPのタンデム・アタックの豪雨の様な打撃を全て“いなして”いる。
桐生:
「ふっ………」

髪を掻き上げ見下ろす様にラルフを見る桐生。

桐生:
「ごり押し…嫌いじゃないぜ?だけどなぁ~少年。いくらなんでもそこまで世間は甘くねーんだわ」

虚を付かれ呆けたティー・ペインにコスモ・スピードの拳が飛ぶ。
ズギャ━━━━━ンッッッ

ラルフの軽い体は3m程宙を舞いアスファルトに叩き付けられた。

桐生:
「残念だったな少年。約束通りケツを出しな?ん?」
踞るラルフに人差し指を立てながら桐生は笑う。

桐生:
「さあ、お仕置きの時間だ…」


桐生はゆっくりとした動作でラルフに近付く。

ラルフ:
「ふふふ………はははっ!!!甘い…甘いよにーちゃんっ!」

ゆっくりと顔を上げ口から吹き出した血を、腕で拭い取りながら笑うラルフ。

ラルフ:
「ティー・ペインッッッ!!!!!!」

少年が叫んだかと思うと桐生の体はフワリと宙に舞いそのままTPの拳の待つ方へ引き寄せられる。

ラルフ:
「あっは!さっきのダンスは“ソレ”を設置する為の所謂“フセキ”ってヤツだよっ!!!ガキだかって甘く見たね!!にーちゃん!今度はにーちゃんが“踊る”番だよ!!」

見ると桐生の腕に無数のピアスが設置されていた。

ラルフ:
「オイラの『ティー・ペイン』の能力はソレさ!“ピアス”を設置し、“見えない糸で操る”それが本当の姿さっ!!今から防御なんて出来るのかな?その態勢で!」

クンッ━━━ッ!!!!

拳の発車場所であるTPの元に桐生の体が流れて行く。
TP:
「シャーッッッッッッ!!!!」

無防備に飛んでくる獲物にTPが歓喜の声を上げた。

ドシャ━━━━━━━━━━━━━━ッッッッッッ!!!!!!

桐生:
「だから甘いって言ったんだよ………」

無様な姿で転がったのはラルフの方であった。

桐生:
「おまえのスタンドに能力がある様に俺の『コスモ・スピード』にもアビリティってモンがあんだよ。“5m以内の動くモノと同じスピードで動ける”。わかるか?“引っ張る”なんて低スピードなんざに反応するなんて簡単なんだよ」

桐生はポンポンと服についた埃を払い髪を掻き上げる。

桐生:
「でもやっぱ少年。キミ嫌いじゃないわ」

桐生は朦朧としてるラルフに近寄り顔を覗き込み話す。

桐生:
「だけど約束だからよ?」

そう言うとラルフのオーバーオールを下げ

ぱ━━━━━━んっ

と1発モミジを見舞った。
桐生:
「じゃな!少年」

そう言うと桐生は遊園地を後にした。

残されたラルフのケツには真っ赤な紅葉と“紙の様なモノ”が入った封筒が残されていたのであった。

★★★ 勝者 ★★★

No.4720
【スタンド名】
コスモ・スピード
【本体】
桐生 麗(キリュウ レイ)

【能力】
5m内のものと同じ速度で動く事ができる








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最終更新:2022年04月15日 02:29