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第03回トーナメント:準決勝①




No.4674
【スタンド名】
デリケート・サウンド・オブ・サンダー
【本体】
フランチェスカ・J・シャフナー

【能力】
振動を一点に集束させる


No.2643
【スタンド名】
メテオ・クラッチ
【本体】
豊念寺 惑火(ホウネンジ マドカ)

【能力】
殴ったものに熱を込め、弾丸として飛ばす




デリケート・サウンド・オブ・サンダー vs メテオ・クラッチ

【STAGE:雪原地帯】◆rHIQHWITdU




「寒い・・・」

フランチェスカ・J・シャフナーは、まずそう呟いた。
前の戦闘は飛び交う灼熱を避けて、避けて、避けまくる戦いだった。
しかし、今回は逆だ、割と全てにおいて逆だ、先ほどは熱で今は寒気、避ける場合かと思ったら今度は忍耐。

「あー風邪引きそう・・・これ終わったら暖かいコーヒーが飲みたいわ・・・」

ズルズルと鼻を鳴らしながら、フランチェスカは来るべき相手を待った。
雪は、降っていない。



「ほへーっ!一面銀世界だー!」

雪の上に降り立った豊念寺惑火は、開口一番、歓喜の叫びを上げた。
彼女が普段住んでいる島では、基本的に雪は降らない。
島から出ることさえまれなのに、こんな寒い地域に来るなんて一生ないかと思っていたのだが。

「これ終わったら、雪だるまでも作ってみようか」

元気いっぱいにそう呟き、惑火は戦うべき相手の元へ走った。
雪が、降り始めた。


「やっときたわね・・・ガチガチ」
「ちょっと迷ったわ!目印かなんかあればいいのに」

惑火がフランチェスカの元へたどり着いたのは、そのおよそ10分後のことであった。
その間、フランチェスカはすっかり凍えてしまい、惑火は
既にハンデがついてる気がしないでもない。

「あー・・・じゃあ早速はじめましょうか・・・『デリケート・オブ・サンダー』ッ!・・・ブルブル」

そういって、フランチェスカが己のスタンドを出す。心なしか、そのスタンド像も震えているように見えた。
しかし、惑火はまだスタンドを出さない。身構えない相手を、フランチェスカは訝しがる。

「どうしたの?やらないんだったら一方的にやるわよ」
「いや、なんていうかさ・・・せっかくの、このフィールドなんだからさ、ちょっと遊んでみたくない?」
「・・・? どういうこと・・・?」
「つまり、さ」

そういうと、惑火は少しかがんで、地面の雪をすくい上げた。
その刹那、その豊満な胸が揺れて、胸元がちらりと覗く。フランチェスカはなぜか敗北感を感じた。

「こいつをこうして・・・」

手のひらでお握りを握るように、雪を丸める。すると、ひとつの雪玉が出来上がった。
そして、完成したそれをフランチェスカのほうに放る。

「?」

飛んできたそれを、反射的にスタンドで殴り飛ばした。無論、ただの雪玉だ。何も起きない、起きるはずがない。
だが、フランチェスカはそれで合点が言ったようだ。

「なるほど・・・『スノーボール・ファイト』ね、いいわよ」
「へ?『スノ・・・なんだって?」
「『雪合戦』よ。英語苦手なの?」

ちょっとあきれたように言いながらも、スタンドに足元の雪を集めさせる。
『デリケート・オブ・サンダー』の右手は板のようになっているので、雪玉をストックしておくには丁度いい。

「じゃあ、開始の合図はどうする?」
「雪玉が落ちた瞬間ってことで」
「OK、了解よ」


惑火はもう一度雪玉を作り、手のひらの上に乗せる。

「レディ!」
「そういう単語はわかるのね・・・」

フランチェスカがまた呟くが、惑火には聞こえていないようだ。
雪玉が、空に飛び上がり。

「――――GO!」

雪玉が、雪面に砕けながら、着弾した。
間髪いれず、フランチェスカのスタンドが雪玉を投擲する。

「おっと!」

雪をかき集めながら、横っ飛びに避ける。

「やるよッ、『メテオ・クラッチ』!」

惑火のスタンドがその姿を現す。
惑火が作った雪玉を受け取り、雪玉の連弾を放つ。

「おおおっとととと!・・・ところでさ、さっきから私、震えてないんだ、知ってた?」
「へ?」

スタンドによる投擲を止めずに、呆けた顔をする。
そういえば、確かに震えが止まっている。先ほどまであれだけ寒がっていたというのに?体が温まるほど体を動かしたというわけではない。

「震えってさ、『振動』なわけよ、ずいぶんと大雑把だけどね。
私のスタンドはそんな『震え』を集めることができるのよ・・・食らわせなさい、『デリケート・オブ・サンダー』ッ!」

『デリケート・オブ・サンダー』が左拳を大きく振り上げ、振り下ろした。
瞬間、発生するのは小規模なれど立派な『地震』、そして舞い上がる『雪煙』!

「うわっ!?」

一瞬にして真っ白になる視界、そして安定しない足場!
おかげで確保していた雪玉を全て落としてしまう。

「しまっ・・・」
「チェックメイトよ!」

雪煙を掻き分け、目の前にフランチェスカが現れる。
地震も『振動』。振動であれば自分の周囲のものだけを一箇所に集め、避けることができる。
そして、その手には雪玉があった。既に投擲のフォームに入っている。しかも、もう目前だ。かわす余裕がない!


「食らいなさい!」

フランチェスカは、惑火のその大きく揺れる胸に向かって投擲した。
目の前のいい的だったというのもあるが、どちらかというと先ほどの敗北感による劣等感からのものであった。いわゆるあてつけというやつである。
だが、雪合戦においても、ドッヂボールにおいても、あまり狙うべきでない部位というのは存在する。
例えば、頭部。ほとんどのルールでは、首より上の部分に当たってもセーフとされている。これを利用する参加者は割といる。もちろん、危険だというのもあるが。
そしてもうひとつは、胴体。なぜなら、かがむことによって人にもよるが、腰から上の当たり判定が、完全に消えてしまうからである。
もちろん、その場合は脚部を狙えばよいのだが、すぐに復帰されることが多く、割と厄介なところである。

「うおっ・・・!」
「なっ!?」

そして、今惑火は落ちた雪玉を拾うために『かがんだ』のであった。
何も考えなしのことであったが、今回はそれが功を奏した。
そして、このとき惑火には思い出されたことがひとつあった。

「『メテオ・クラッチ』ッ!」

それは、自分のスタンドの『能力』。
目の前に落ちていた雪玉を拾うのではなく・・・『殴る』。
とはいっても、いくつかはそのままつぶされるが、そこに『熱』が込められ、赤熱し始める。

「くっ!?」

一方、持っていた雪玉はひとつだけだったフランチェスカは、あわててスタンドにストックさせていた雪玉を引っつかもうとし――
足元の、赤く光り始めた雪玉を視界に捉えた。

「な・・・何・・・?」
「これが私の、『メテオ・クラッチ』の能力だ・・・飛ばせッ!」

雪玉が、そのこめられた熱を燃料に『発射される』。

「くおっ・・・『デリケート・オブ・サンダー』ッ!叩き落せ・・・!?」

抱えていた雪玉全てを放り出し、その飛んでくる雪玉を打ち砕こうとする。
しかし、ここで予想外の事態が発生した。いや、常識的に考えれば、それは当たり前のことである。
雪玉は当然『雪』でできている。そして雪は当然『氷』の一種である。
そこに、『メテオ・クラッチ』の発火するほどの熱を与えればどうなるか?
答えは単純明快、『融ける』だ。
雪玉は着弾するまでに、液体となった。当然、発火するほどの熱を持った『熱湯』となりながら。

「!? あっつぅ・・・!」

固形ならともかく、液体を叩き落すのは至難の業である。結果的に、飛んでくる熱湯を多少かぶってしまう。


「隙ありだッ!」

その隙を惑火は逃さなかった。
熱湯にひるんでいる間に、フランチェスカが捨てた雪玉を拾って、投げ飛ばす!
雪玉には何の仕掛けもなく、ぽすっ、とフランチェスカの胸部にぶつかって、かすかな冷たさを残しながら砕けた。

「・・・」
「よっし!あたしの勝ちだ!」
「負けたわ・・・折角狂人にも打ち勝ったって言うのに・・・」
「・・・なんか苦労してるのね」
「なんだかんだでね・・・さあ、戻るとしましょうか」
「そうね。あ、火傷とかしなかった?まさか融けるとは思わなかったけど」
「・・・あれ計算づくじゃなかったの?まあ火傷ってほどでもないから大丈夫みたい」
「え?偶然よ。そこまで考えるほどあたし頭よくないし」

それを聞いたフランチェスカは、かすかにため息を漏らす。

「『偶然』か・・・偶然私に勝てたと・・・?
そう答えるのは私にとって『ちょっと悲しくなる』答えだけど・・・
本当なのか?もしかしたらそれは『運命』なのかも知れない・・・」
「・・・何言ってるの?イカれてるの?負けたからといって・・・」
「ちょっと思っただけよ、イカれてるとは失礼ね。
・・・はあ、また寒くなってきたわ。早く戻って珈琲でも飲みますか」
「??? どういうことよ・・・」

雪がやみ始めた。

★★★ 勝者 ★★★

No.2643
【スタンド名】
メテオ・クラッチ
【本体】
豊念寺 惑火(ホウネンジ マドカ)

【能力】
殴ったものに熱を込め、弾丸として飛ばす








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最終更新:2022年04月15日 02:42