第03回トーナメント:決勝②
No.2643
【スタンド名】
メテオ・クラッチ
【本体】
豊念寺 惑火(ホウネンジ マドカ)
【能力】
殴ったものに熱を込め、弾丸として飛ばす
No.4377
【スタンド名】
ニール・コドリング
【本体】
加賀 御守道(カガ ミモチ)
【能力】
インクを膨張させて造形して操作する
メテオ・クラッチ vs ニール・コドリング
【STAGE:塔】◆aqlrDxpX0s
豊念寺惑火は塔の入り口の前で、その高くそびえる塔を見上げていた。
雪が降り積もる森の中に建つ塔はどこか厳かで、神秘的な雰囲気を感じさせた。
灰色の四角い石を何万個も積み重ねて造られただけのように見えるのだが、
歴史を感じさせる塔の風貌が、何百年とそこに立ち続けてきた塔の頑丈さを物語っていた。
開始時間はとうに過ぎていた。
対戦相手はすでに塔の中にいるのかもしれないし、もしかしたら不意打ちを食らうかもしれない。
しかし、惑火にはそれを補って余りあるといえる『秘策』があった。
シンプルだからこそ無限の戦略がある……。惑火は自分のスタンド能力を誇りに思っていた。
惑火が塔の中に入ると、薄暗い室内の奥に一人の女性が壁にもたれかかっていた。
加賀「あら、女性が相手なんて初めてじゃない?」
N・C「一回戦ノヤツッテ一応女ジャナカッタッケ。」
加賀「……そうだったかしら。」
N・C「ヒデエ。」
惑火「あなたが対戦者?」
加賀「あなたがこの塔の住人じゃない限り、そのようね。」
N・C「ドウミテモ『ラプンツェル』ジャネエダロ、オッパイハデカイケドヨ。」
惑火「……よくしゃべるスタンドですね。」
N・C「『ニール・コドリング』トイウ。ヨロシクナ。」
惑火「……豊念寺惑火です。スタンドは『メテオ・クラッチ』。」
加賀「名乗らせていただこう、加賀みm」
惑火「それじゃあ、そろそろはじめましょうか。」
N・C「オ手柔ラカニ頼ムゼ……ドウシタ?」
加賀「……別に。」
惑火は自らのスタンド『メテオ・クラッチ』を発現させた。
炎のような姿のスタンドが、薄暗い塔の中でぼんやりと光を放つ。
加賀「まあ、暖かそうなスタンドね。」
惑火「アツい……スタンドだよ、『メテオ・クラッチ』ッ!!」
惑火はポケットから取り出した小さな『巾着袋』を放り投げ、それをスタンドで殴りぬいた。
バオウッ!!
袋が燃えて、中に入っていた無数の『石コロ』がメテオ・クラッチに殴られた衝撃で加賀のほうへはじけ飛んだ!!
加賀「『ニール・コドリング』、ガードしなさい!」
バシバシバシバシッ!
N・C「!!?」
加賀「ッ!?」
ジュウウウウウウウウ!!
向かってくる石コロをはじいたが、弾いた石コロはとても『熱く』、加賀は火傷を負った。
加賀「袋が燃え、石は高熱を持っている……ただの攻撃ではないわね。」
N・C「飛ンデキタ石ノスピードモ相当ダ。ヤツノ『スタンド』、パワーダケナラオレヨリ上ダゼ。」
加賀「『熱』を持たせる能力と、強大なパワー……ショートレンジでは不利ね。」
ダダダッ!
加賀は自分の近くにあった階段を駆け上った。
塔内部の壁をぐるりと回るようにつけられた階段をのぼって上の階へ行き、惑火からは加賀の姿が見えなくなった。
惑火「『熱を持たせる能力』……ね。」
惑火も加賀を追って階段を駆け上った。
惑火「ッ!!」
階段を上った惑火が見たものは……暗闇。何も見えなかったと言っていいだろう。
壁にあいていたはずの窓も何かで塞がれたのか光すら漏れてこない。
周囲が『真っ黒』だった。ついさっき上ったはずの加賀の姿もない。
惑火「どこへ………」
加賀「『ニール・コドリング』ッ!!」
ドゴォオッ!!
惑火「ぐふっ……!」
暗闇で何も見えない中から急に惑火の腹部に衝撃が襲う。
痛みのもとを見下ろした惑火がおぼろげに見たのは、『拳の形の黒色』。
暗闇の中から加賀の声が聞こえる。
加賀「あなたが遅れてきたおかげで、いろいろと仕込むことが出来たわ。」
惑火「……ッ!?」
加賀「窓を塞ぎ、光が少しも入り込まないようにする。塔の中に入って闇に目を慣れさせながらあなたを待った。
上の階へ行ってすぐ私のスタンドで部屋すべてを『黒く染めて』、潜む。」
惑火はメテオ・クラッチの炎の明かりでパンチを食らった腹部を見ると、その部分は黒くなっていた。
惑火「これは……インク!?」
加賀「そう、私の能力は『インクを操る』こと。私の万年筆からインクはいくらでも噴き出させられるわ。」
惑火「め、『メテオ・クラッチ』!周囲を見張れッ!!」
加賀「無駄無駄ァ、すでに上の階に行ってるからね。」
惑火「くっ……!」
加賀「ちなみに上の階も同様に闇に染めているわ。…………『闇に染めている』って『クる』セリフね……。」
惑火(……上のほうからペンを走らせる音が聞こえる。ほんとに上にのぼったようね。)
加賀「来るか来ないかはあなた次第……距離をおいても私はいっこうにかまわないけどね。」
惑火「…………」
惑火は階段に足をかけ、歩みを進めていった。
惑火(『熱を持たせる能力』……それは間違いじゃない。でも、見落としがあるよお姉さん。)
ひとつの、致命的な見落としがね……。
そして、塔を上にのぼったあなたの選択は……自分で自分の首を絞めることになった!)
階段を歩き進んでいた惑火。……ただし彼女は階段を上っていたのではなく、『おりて』いた。
そして、塔の外へ出て、塔の灰色の壁の前に立った。
惑火「『メテオ・クラッチ』の能力は殴ったものに熱を込め…………
さらに、『フッ飛ばす』ことだッ、弾丸のように!!」
ドグォ――――――――――――――ン!!!
メテオ・クラッチが、塔の壁を構成する積み重ねられた『大きな石のひとつ』を殴りぬいた。
惑火「石が固められていようが、私のメテオ・クラッチは容赦なく弾き飛ばす。」
塔の壁に大きな穴が開き、塔がパキパキと音を立てて、あちこちから塵がこぼれだした。
惑火「いけない、離れなくちゃ。……『塔が崩れてしまう前に』。」
惑火が塔から距離を置いた直後……
ドドドドドドドドド!!ガラガラガラガラガラガラガラ!!
高くそびえ建っていた塔が、大きな音と土ぼこりを上げて崩れた!!
惑火「………………」
塔は完全に崩れ、音はしなくなったが、土ぼこりはまだ舞っていた。
惑火「………やりすぎちゃったかな?生きてるといいけど。
大会の運営の人が、助けてくれるよね。」
惑火は拳を高く振り上げた。
惑火「でもこれで…………私の勝ちだッ!!」
バァ――――――――――z______________ン!!
ゴリッ
その瞬間。
惑火は自分の後頭部に何か『硬いもの』があてられているのを感じた。
加賀「……『FREEZE』。」
惑火「え…………?」
加賀「ツメが甘かったわね、あなた。」
惑火「け、拳銃……!?」
加賀「相手の姿を確認するまでは油断しちゃダメよ。私は刑事をやっててね……かつて今のあなたと同じように犯罪者を取り逃がしたことがあったわ。
あのときはルパンを逃した銭形のとっつぁんの気分だったわね。」
惑火「どうやって抜け出したというの……?さっきの状況から……。」
加賀「正確に言うとね、塔が崩れる前に屋上から地面に降りていたのよ。『ニール・コドリング』を鉤つきロープに変えてね。」
惑火「『インクを操る』って、そこまで出来るの……?」
加賀「そこまで考えが回らなかったでしょう?あなたの前では人型でしか見せていなかったからね。……まあ、そう思いこむように私が仕向けたんだけど。」
惑火「見落とし……いいえ、思い込みをしていたのは私も同じだった……。」
加賀「『熱を込める』以外に何かがあると、あなたの表情が言っていたわよ。……ホントに塔を崩れさせるとは思わなかったけどね。」
森の中を風が強く吹き、あたりに舞っていた土ぼこりも消えていった。
加賀「……どうする?まだ続けてもいいけど。」
惑火「…………いいえ、拳銃をあてられて負けと認めないわけにはいかないでしょ。」
惑火は思った。
きっと、加賀は拳銃を撃つつもりなどないだろう。弾も入っていないに違いない。
だが、これ以上続けることに意味はない。私は自分の策に過信し、ツメを怠った。
経験の差……完全なる敗北だった。
しかし、惑火は悔しくも悲しくもなかった。
少しヘンな人だけれど、加賀がカッコいいと思えたのだ。
目標とする人に会えた……。それだけで惑火にとっては十分な成果だった。
学校を卒業したら、警察官になるのもいいかもしれない……そう惑火は思った。
惑火「ねえ、お姉s」
加賀「あ、鹿だ。」
パァン!パァン!!
加賀は拳銃を惑火の頭から森の中の鹿に向けて、発砲した。
N・C「オ、命中シタゼ。」
加賀「オーケー、今夜は鹿鍋ね。」
惑火「実弾……入ってたんだ。」
もしあのとき「続ける」と言ったら……。
惑火は恐ろしくなったが、決してそのまま頭を撃ち抜いたりはしないだろうと信じたかった。
★★★ 勝者 ★★★
No.4377
【スタンド名】
ニール・コドリング
【本体】
加賀 御守道(カガ ミモチ)
【能力】
インクを膨張させて造形して操作する
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最終更新:2022年04月15日 02:50