第04回トーナメント:予選①




No.2110
【スタンド名】
ポール・ムニ
【本体】
ジェシカ・館華(ジェシカ・クララ)

【能力】
殴ったものを「女性の乳房」の感触にする


No.3734
【スタンド名】
ジャック・ナイフ
【本体】
来栖 真輝斗(クルス マキト)

【能力】
無限にナイフを出すことができる




ポール・ムニ vs ジャック・ナイフ

【STAGE:駐車場】◆UmpQiG/LSs




AM 02:36━━。某所駐車場。


???:
「学生には少し遅い時間だったな。早くケリをつけて寝かせてやろう。」

深夜の澄みきった空間の中でそう言った男の声が響く。

???:
「あら?そう遅い時間でもないよ?週末ならメンズと楽しく過ごしてる時間。おにーさんも焦らなくていいよ。」

男の言葉に甘く湿った声の女が答えた。

???:
「……。やれやれ…。所謂ビッチってヤツか…。大和撫子は絶滅したんだな。まあいい。喋りは得意じゃない。早速始めようか…。」

男は右手に持った少し大きめのナイフを前に突き出す。

???:
「あら残念。同じ“スタンド使い”とお喋り出来るチャンスだと楽しみにして来たのに。あ、それと私ハーフだから大和撫子にはなれないよ。ジェシカ。ジェシカ・館華。1文字のタチバナじゃなくてヤカタって字に難しい方のハナっ…」

シュッ━━━━。

少女の顔の横をナイフが掠め夜の暗闇へと消えて行く。そして後ろの方で何かに突き刺さる様な鈍い音がした。

???:
「来栖 真輝斗だ。見ての通り俺はナイフを使う。手加減はしない性分だが負けを認めた相手に手を出す様な事はしない。そして…もう喋るのは疲れた」

そう言うと真輝斗は低い姿勢でダッシュし間合いを一気に詰める。逆手に持ったナイフがジェシカの首筋に薄く赤い軌跡を残した。

少女は首筋をなで妖艶な笑みを浮かべた。

ジェシカ:
「ふうん…?マキトクンってアレでしょ?童貞?ふふ…♪そんながっつくコって大体そうなんだよね?━━━━ポール・ムニちゃんっ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

少女の『スタンド』がその姿を現す。ナチュラルストレートのロングヘアーにセーターとミニスカートのジェシカに対して、ふわっと盛り上がった超ロングヘヤーと全身の3割程度しか隠していない妖艶な衣裳を纏ったスタンド…ポール・ムニ。2対の大きな双丘は嫌が応でも人の目を惹く。

間合いを詰めた真輝斗に対してその妖艶なスタンドのラッシュが襲いかかった。

PM(ポール・ムニ)
「ほーらほらほらほらほらっっっ!!!!」

そのサディスティックな意を込めた平手打ちのラッシュを真輝斗はバックステップで難なく避けた。

少女は目を丸くし口唇の端を上げる。

ジェシカ:
「へえ!へえっ!!やるじゃん!やるじゃんっっ♪流石スタンド使いっ!!その辺のおっさんとかとはやっぱ違うね!ゾクゾクするっ♪」

大袈裟に身をくねらせ頬を赤く染めた。


真輝斗:
「(スピードはこっちが上だな…。しかし問題は能力。私の様に“得物”は無い。今の所その片鱗も見えない。先ずはそれを知らなければ…。)」

真輝斗は自分のスタンド『ジャック・ナイフ』の能力で数本のナイフを具現化した。このスタンドナイフは射程が20mといった制限はあるものの実際のナイフと全く変わらず実際のナイフであるが故に「ナイフ使い」である真輝斗の大きなアドバンテージになっている。

真輝斗:
「悪く思うなよ…」

そう呟くと数本のナイフを少女に向けて投げ放った。始末出来るor能力を確認出来ると言うのを期待して。
だがその思惑は外れ相手のスタンドはそれを普通に難なく弾き飛ばした。

ジェシカ:
「流石に甘く見すぎじゃなあい?ま き と クンっ♪そんなヌルイ前戯じゃ私はイかせられないわよっ?うふふ♪」

必要以上にセックスアピールする仕草と言葉でジェシカは真輝斗を挑発する。
戦闘経験が豊富な真輝斗だったが相手の無知さに違う意味での怒りを覚えていた。

真輝斗:
「(やむ得無い。戦闘不能になって貰うか)」

「ジャック・・・・ナイフ」

その呼び掛けに真輝斗のスタンドが姿を現す。
冷静沈着で寡黙な真輝斗とは対称的なまるで“奇狂いピエロ”の様な姿をしている。

JK:
「キッキッキッッッ」

首の座らない赤ん坊の様に頭をフラフラさせながら不快な高音でイヤらしい笑い声を響かせる。
真輝斗はその姿を眉をしかめながら眺め「(……バケモノめ…)」と心の中で呟く。

これが自分の中にある精神の姿。これが自分なんだと思うと反吐が出る。
故にスタンドバトルにあっても『ナイフを無限に作られる』能力を活かし本体である己自らで戦うスタイルを確立していた。

真輝斗:
「JK。ナイフ16本だ。内8本をおまえに」

キキキと笑うJKの前に16本のナイフが発現する。真輝斗は8本を各指の間で掴み取りJKもそれを真似る。

そしてそれを腕をクロスさせる様に振り16本全てのナイフがジェシカに襲いかかった。

ジェシカ:
「━━━━━━っな!?」


ジェシカ:
「ポール・ムニちゃんっっ!!!!」

今迄余裕を見せていたジェシカも流石に一瞬では数え切れない程の飛来するナイフに冷たい汗が吹き出た。

PM:
「アアアアアッッッ!!!!」

それはジェシカのスタンドであるポール・ムニも同じだったらしく自我がある故に必死になっている。
あるナイフは腕に刺さり、あるナイフは弾かれ車のボンネットに刺さり、またあるナイフはジェシカの服をズタズタに切り裂いた。

切り傷数ヶ所。手足に刺さったナイフが合計3本。

投げたモーションから元の態勢に戻る迄の刹那とも言える時間の枠で真輝斗が確認出来たリザルト。
そして1本が打ち返されて正に今この瞬間に自分の頭に刺さる所であった。

真輝斗:
「(大したもんだ…)」

シュッ━━━━━━。

その現状を把握さえ出来ていればスピード:Aのパラメーターを誇るジャック・ナイフなら捌く事等造作も無い。

━━━━━━パシッ。

グニョ……

「 ! ? 」

ジャック・ナイフの腕で掴んだ“打ち返されたナイフ”の感覚がフィールドバックし真輝斗をギョッとさせる。

・・・・・・・
柔らかいッッ!?

人と言うのは見た目で物の感触や重さ等を想像してしまう癖がある。
例えば如何程重そうな物が想像していたより遥かに軽いと腰をイわせたり、固いと思った食べ物が柔らかかったりすると嫌な気分になったりする。

そんな時に人はギョッとするのだ。
真輝斗は今重度のギョッとした瞬間に取り付かれている。
自分の投げた硬くて重いナイフが柔らかいのだから。
そんな瞬間に出会うと脳の判断では無く、反射神経の作用で掴んだ物を離してしまう。そしてその離した物を無意識で目で追ってしまうのだ。


「や わ ら か い ?」

次の瞬間真輝斗の耳元に熱い息が吹きかかる。
自我を失っていた真輝斗は再びギョッとした。
無意識に手で耳元を払い除ける。

ムニュ━━━━

またあの柔らかさだ。

ジェシカ:
「いやん…マキトクンのえっちぃ~~♪」

真輝斗の手はジェシカの大きな乳房に触れている。

━━━━━━っ!!

相手の接近をここ迄許している。
反射的に戦闘態勢に戻る為跳ねようとする真輝斗の体をジェシカとポール・ムニの手と腕がロックする。

自分がナイフ使いであるが故にこの状況のヤバさは解る。
簡単に言うと絶望的。
いくらスピードに特化したスタンドと言えど反応が追い付かなければ防ぐ事も出来ない。ましてや先の行動で知る限り相手、ジェシカのスタンドのスピードは遅くない。

混乱する頭とそれについて行けない体。

次の瞬間━━━━━━。

真輝斗の乾いた口唇に血液と唾液で熱く濡れた口唇が重なった。

ジェシカ:
「降参……っ………」

一瞬離した口唇でジェシカはそう言うと再び熱いキスをする。

真輝斗は更なる混乱に苛まれる。

「(降参…?降参しろと言うのか?それとも何か別の意味があるのか?この口付けに何か理由は………?)」

ジェシカはロックを解除すると血だらけの体で立ち上がり携帯電話を取り出し真輝斗に向ける。

ジェシカ:
「優勝したらなんかおごってヨっ♪」


深夜の駐車場で真輝斗は思う。
戦闘技術だけではこの先生き残れ無い。
完封無き敗北だった と。

その手にはジェシカのメールアドレスが表示された携帯電話が握られていた。

★★★ 勝者 ★★★

No.3734
【スタンド名】
ジャック・ナイフ
【本体】
来栖 真輝斗(クルス マキト)

【能力】
無限にナイフを出すことができる








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最終更新:2022年04月24日 18:27